【AGAの治療について】3つの治療方法・期間・薬の効果と副作用から保険適用まで網羅的に

ヘアスタイルは、見た目の印象に大きく関わります。そのため、薄毛に関して悩んでいる人は、男女問わず少なからずいます。
薄毛になる病気はいくつかありますが、その一つに「AGA(男性型脱毛症)」があります。AGAになった場合、昔は諦めるしかありませんでしたが、薄毛になるメカニズムや治療法の研究が進んだおかげで、今では治療して改善させることが出来るようになりました。CMなどで見かけたことがある人もいると思いますが、AGAの治療を専門とするクリニックも増えてきています。
AGAの治療法にはさまざまなものがありますが、ここでは、医学的に効果が認められている治療法を中心に、治療法にはどのような種類があるのか、治療にはどのくらいの期間かかるのか、治療に用いられる薬の効果はどの程度なのか、どのような副作用があるのか、などの基本的な内容から、AGA治療は医療適用されるのかなどの治療費に関する情報までを詳しく解説していきます。

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伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01AGAの治療方法は大きく分けて3つ
  2. 02東京や大阪などの大都市でなくても病院はあるのか
  3. 03AGA治療の効果
  4. 04AGAの治療期間
  5. 05AGAの治療薬の副作用
  6. 06AGAの治療薬の商品名、入手方法
  7. 07AGAの治療費と保険適用について
  8. 08まとめ
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AGAの治療方法は大きく分けて3つ

ここがポイント

  • 1)外用薬:「ミノキシジル」が配合された薬を毎日頭皮に塗る
  • 2)内服薬:「フィナステリド」または「デュタステリド」が配合された薬を毎日飲む
  • 3)自毛植毛:後頭部の毛を毛包ごと脱毛部に移植する
  • AGAの治療は「脱毛症専門外来」「AGA専門外来」などで受診が可能

現在日本で行われているAGAの治療法は、自宅で毎日簡単に出来るものもあれば、病院でしか出来ないものもあります。まずはAGAの3つの主な治療方法について見ていきましょう。

主な3つの治療方法

日本皮膚科学会は2010年版の「男性型脱毛症診療ガイドライン」において、AGAに対して現在日本で行われている治療法の種類とそれぞれの有効性や安全性についてまとめました。その中で、有効性・安全性ともに認められていると記載されているものに、「外用薬」「内服薬(飲み薬)」「植毛(自毛)」の3つがあります。

また、診療ガイドラインには記載されていませんが、医学的に発毛効果が認められており、論文報告も複数なされているAGA治療法にHARG(ハーグ)療法があります。

したがって、、AGAの治療法として効果が確認されており、現在日本で行われている主な治療法は、「外用薬」「内服薬」「植毛」の3つであると言えます。

それぞれの治療の内容と流れを見てみよう

それでは、3つの治療法について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

外用薬

AGA治療に使われている外用薬は、「ミノキシジル(Minoxidil)」という成分の入った薬です。
ミノキシジルは、もともと血管を広げて高血圧を治療する薬(血管拡張薬)として開発されました。しかしミノキシジルの使用者に「毛が増える」という副作用が出現したことから、ミノキシジルの発毛効果が発見されたのです。
その後の研究によって、ミノキシジルには「髪の毛の成長因子の産生を促進する」「髪の毛の周辺組織の血流を改善する」「髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する」などがあることが分かりました。このようにミノキシジルは、髪の毛の組織の血流や成長の促進作用によって、AGAを改善する効果が期待されている薬です。
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ミノキシジルが配合された薬は、米国で販売されている「ロゲイン(Rogain)」を始め、海外ではいくつか種類がありますが、現在、日本で製造販売が認められているのは、大正製薬の「リアップ」という育毛剤だけです(2017年1月現在)。

リアップは一般用医薬品であるため、病院で医師の処方を受けなくても、薬局やドラッグストアで購入し、使用することが出来ます。リアップの使い方は簡単で、毎日朝と夜の2回、薬を頭皮に直接塗るだけですが、継続して使うことが重要です。大正製薬は、リアップを4カ月以上使うことで効果が出てくる可能性があるとしており、6カ月程度使用しても効果が見られない場合は、医療機関などでの治療を勧めています。

ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

内服薬

現在、日本でAGA治療に用いられている内服薬は、「フィナステリド」と「デュタステリド」の2種類です。

AGAの発症には、「DHT(ジヒドロテストステロン)」という男性ホルモンが大きく関わることが分かっています。
その仕組みを簡単に説明すると、男性ホルモンの「テストステロン」に「2型5αリダクターゼ」という酵素が働きかけることで、テストステロンはより作用の強い形状である「DHT」に変化します。DHTは前頭部や頭頂部の髪の毛の成長期を短くする作用がある、AGAの発症を招きます。

AGA発症の仕組みについて詳しくは【AGAの原因について】原因物質「DHT」が薄毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまでをご参照ください。

「フィナステリド」と「デュタステリド」は、どちらも「2型5αリダクターゼ」の働きを邪魔することで、DHTが作られるのを抑えてAGAの改善効果を期待する薬です。
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フィナステリドもデュタステリドも、1日1回、毎日飲んで治療をします。治療の効果が得られているか判断するためには、基本的に6カ月は毎日飲み続ける必要があると診療ガイドラインに記載されています。

フィナステリドについて詳しくは「【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説」をご参照ください。
デュタステリドについて詳しくはAGA新薬「ザガーロ」(デュタステリド)を徹底解説|正しい飲み方、効果、副作用、価格など~プロペシア(フィナステリド)との比較表付きをご参照ください。

植毛

脱毛部に毛を移植する治療法である「植毛」は、移植する「毛」の違いによって「自毛植毛術」「人工毛植毛術」の2種類に分けられます。

1)自毛植毛術:自分の後頭部の毛の組織を、「毛包」ごと脱毛部へ移植する方法

自毛植毛術では、AGAの原因となるDHTに影響を受けにくい後頭部から、生えている「毛」の部分だけではなく、根元にあり発毛と成長の基となる「毛包」ごと移植します。そうすることで、脱毛部に移植された毛包から発毛していくのです。

<自毛植毛術の流れ>
1) 後頭部から髪の毛を毛包ごと採取する
2) 移植部分に、後頭部から取ってきた毛包を移植するための穴を作る
3) その穴に毛包を移植していく

自毛植毛術は3~6時間程度で終わるため、日帰り手術が可能です。手術直後は移植部分から出血する場合がありますが、数週間後にはかさぶたとなり、その後数カ月かけて移植した毛包から新たな髪の毛が徐々に生えてきます

診療ガイドラインでは、外用薬や内服薬による治療を行っても十分な効果が現れなかった場合に、自毛植毛術を行うように推奨しています。

2)人工毛植毛術:人工毛(化学繊維で作られた毛)を脱毛部へ移植する方法

人工毛植毛術は、手術を行ったことによって、拒絶反応などの危険な副作用が出現したという報告が複数なされています。そのため、診療ガイドラインでは、AGA治療法として人工毛植毛術を行わないように呼びかけています。ただし、厚生労働省は人工毛植毛術を禁止していないので、国内に行われている施設はあります。人工毛植毛術を希望する人は、危険性などを十分把握した上で選択するようにお勧めします。

植毛について詳しくは「【自毛植毛によるAGA治療について】植毛後の経過、費用、メリット・デメリット、失敗例など幅広く解説」をご参照ください。

HARG療法について

AGAにおいて内服や育毛剤などと一緒に行われる治療の一つに、「HARG(ハーグ)療法」という治療法があります。HARG療法とはHARGカクテルを頭皮に注入することで、抗炎症効果や毛髪の成長を期待する治療法です。HARGカクテルとは、健常な20歳前後のドナーから脂肪細胞を吸引し脂肪幹細胞を取り出し培養します。その培養中の上澄み液(抗炎症効果をもつサイトカインや成長因子を含む)を集め、凍結乾燥した生体タンパク質のことを指します。

HARG療法を行う全国約170の医療施設が参加する「日本医療毛髪再生研究会」のホームページによると、HARG療法は基本的にHARGカクテルの注入を1カ月置きに計6回行い、6回連続の注入が終了した後は、2,3カ月に1回ずつ注入をしていく場合が多いようです。
しかし、HARG療法は内服薬(フィナステリド、ザガーロ)やミノキシジル外用に比べると医学的根拠が乏しく、男性型脱毛症のガイドライン(日本皮膚科学会)にも記載はありません。侵襲性のある(痛みを伴う)治療であり、費用も病院により異なります。人によっては効果が出る可能性は否定できませんが、内服薬(フィナステリド、ザガーロ)、ミノキシジル外用に勝る治療法ではありません。治療を検討される際は、上記を理解した上で主治医とよく相談しましょう。

頭皮注射は、内服に抵抗をもつ方や植毛手術を選択しない方が選ばれる治療法です。中でも、最も発毛に特化した治療方法がHARG療法です。

何科の病院へ行くべきか

AGAかも知れないと気付き、治療を受けたいと考えた場合、何科の病院へ行けば良いのでしょうか。
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AGAは一般的に「皮膚科」が対象としている病気であるため、基本的には皮膚科がある病院やクリニックで診察を受けられますが、施設によっては専門的なAGAの治療環境が整っていない場合もあります。そのため、AGAで皮膚科を受診する前には、電話やメールなどでAGA治療が可能かどうかを確認しておくと安心でしょう。

AGAを疑った場合、「脱毛症専門外来」を受診するのもお勧めです。「脱毛症専門外来」とは、AGAを含む「脱毛症」の人を専門的に扱っている医療施設で、専門医の診療を受けることが出来ます。さらに、脱毛症の中でもAGAに特化した「AGA専門外来」や「AGA専門クリニック」などもあります。
カウンセリングを無料で行っている病院やクリニックもあるため、問い合わせた上で一度無料カウンセリングを利用してみてはいかがでしょうか。

東京や大阪などの大都市でなくても病院はあるのか

確かに東京や大阪など、人口の多い大都市には、病院やクリニックが多数ありますが、AGAの治療を行っているクリニックは全国にあるため、AGA治療は全国どの都道府県でも受けることが出来ます。
AGAの治療は、総合病院の皮膚科やAGA専門のクリニックで、受けることができます。他にもAGAの主な診察は、視診と問診になるので、遠隔診療という方法での診療も可能です。遠隔診療とは、病院やクリニックに足を運ぶ事は無く、スマートフォンやタブレット端末を使い、テレビ電話やチャット画面で医師の診察を受ける方法です。診察後、薬または処方箋は郵送にて自宅へ届けられます。遠隔診療は、自宅や会社などで診察を受けることができるので、長期間に渡り治療を継続することが大切なAGAの治療には、効果的な選択肢の一つです。また、受診するのに人目が気になるような方にとっても、おすすめできる方法の一つです。
病院選びのポイントは、家から近いなど、継続して通いやすい病院を選ぶことです。その理由は、治療法によっては長期間定期的に受診をする必要があるためです。一方で、時間的にも経済的にも余裕がある人は、都道府県外であっても自分が最も良いと思った医療期間を選ぶのも良いでしょう。

参考


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AGA治療の効果

ここがポイント

  • 外用薬(ミノキシジル)の発毛効果は5%の方が1%よりも高い
  • 内服薬(フィステナリド)を飲んだAGAの人の半数以上は1年後に症状が改善
  • フィナステリドよりも新薬のデュタステリドの方が発毛効果が高い
  • 自毛植毛は移植した毛が高い生着率を示すため効果的と言える

3つの主なAGAの治療法が分かったところで、今度はそれぞれどの程度の効果が期待出来るのかについて、効果の科学的根拠と言える研究データを中心に見ていきましょう。

外用薬(ミノキシジル)の治療効果

米国スタンフォード大学の研究グループは、AGAに対するミノキシジルの治療効果に関する論文報告の中で、ミノキシジルを含んだ外用薬の使用による再発毛効果は使用開始の4カ月後から現れ、12カ月後にピークを迎えると示しています。
また、東京医科大学の研究グループは、日本人男性を対象として、ミノキシジルの配合濃度による発毛効果の違いを調べた結果を論文報告しています。この研究によると、5%ミノキシジル外用薬を使った人は、1%を使った人に比べて高い発毛効果が認められ、このとき副作用の発生頻度は両者で特に違いは認められませんでした。
薬局で手軽に購入して使用出来るミノキシジルですが、確かに発毛効果が認められているというわけです。

ミノキシジルの治療効果について詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

内服薬(フィナステリド・デュタステリド)の治療効果

東京女子医科大学の研究グループは、日本人男性を対象として、フィナステリドを1年間毎日飲み続けた場合のAGA治療効果に関する研究を行いました。その結果、「フィナステリド」1mgを1年間飲んだ人の58%、また、その5分の1量の0.2mgを1年間飲んだ人の54%に、明らかな改善効果が認められたと報告しています。ちなみにこのとき、ニセ薬(プラセボ)を飲んだ中で改善効果が認められた人は6%だったそうです。

また「デュタステリド」については、現在製造・販売を行っているグラクソ・スミスクライン(GSK)社の研究開発チームが日本の北里大学、東京女子医科大学、東京医科大学および台湾、ペルー、チリの大学と行った臨床研究の結果が論文報告されています。この中で、デュタステリドとフィナステリドとの効果の比較が行われ、フィナステリドよりもデュタステリドの方が太い髪の毛を増やす効果が高く、また発毛にも効果的であったという結果が示されています。
臨床試験の結果を踏まえ、デュタステリドは2015年9月に厚生労働省により国内での製造販売が認可され、2016年6月13日に、GSK社から「ザガーロ」という名前で販売が開始されました。デュタステリドは国内で発売されたばかりの、注目の新薬であるとも言えるでしょう。

フィナステリドの治療効果について詳しくは【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説をご参照ください。
デュタステリドの治療効果について詳しくはAGA新薬「ザガーロ」(デュタステリド)を徹底解説|正しい飲み方、効果、副作用、価格など~プロペシア(フィナステリド)との比較表付きをご参照ください。

自毛植毛の治療効果

自毛植毛による治療でAGAが改善するかどうかは、毛とともに移植された毛包が、移植後に正常に生着し、機能して発毛するかどうかがポイントになります。
AGAの診療ガイドラインでは、米国の医師が過去の複数の報告を検討した「毛髪移植(Hair Transplantation)」という著書の中で、自毛植毛術は82.5%という高い確率で毛包が移植後、正常に働いていると示していることを紹介しています。日本皮膚科学会は、こうした報告や治療実績から、薬による治療で十分な効果が得られなかった人への次の治療法の選択肢として、自毛移植を推奨するとしています。

自毛植毛の効果について詳しく「【自毛植毛によるAGA治療について】植毛後の経過、費用、メリット・デメリット、失敗例など幅広く解説」をご参照ください。

参考


AGAの治療期間

ここがポイント

  • 今のところ、完治が約束出来るAGA治療法はない
  • 外用薬(ミノキシジル)は4カ月以上使用すると効果が期待出来る
  • 内服薬(フィナステリド)は1年で効果が期待出来、2年、3年と続けるほど効果が見られる人は増える
  • 自毛植毛は個人差があるが、半年から1年程度で効果が見られる人もいる

AGA治療は、治療法によって治療期間もさまざまです。ここでは、治療法ごとにどの程度の期間で効果が出始めるのか、また、治療はいつまで続くのかを見ていきましょう。

効果が出始めるまでの期間

外用薬(ミノキシジル)

日本で唯一、国から認可されたミノキシジル配合薬「リアップ」を製造販売している大正製薬は、最低4カ月間使用することで効果が期待出来るという研究結果を示しています。この結果は、厚生労働省にミノキシジルの製造・販売の承認申請をしたときに用いたものとして、HP上で公開されています。
もちろん効果には個人差があるため、「リアップ」を使用した全員に効果が見られるわけではありません。そのため大正製薬は、6カ月間使用しても効果が見られなかった人は、使用を中止して医師や薬剤師へ相談するように勧めています。

ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

内服薬(フィナステリド)

先ほど、治療効果の章で紹介した東京女子医科大学の研究によると、「フィナステリド」1mgを1年間飲んだ人の58%に軽度以上の改善が見られ、2年間飲むと68%、3年間飲むと78%と、長く飲み続けるほど治療効果が見られた人の割合が増えると示されています。

フィナステリドについて詳しくは「【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説」をご参照ください。

植毛

自毛植毛術は、術後移植部分に手術による傷がありますが、徐々に移植された毛包が定着して新たな髪の毛を作り始めます。髪の毛の発毛・成長には個人差があるものの、植毛を行っているクリニックの実績報告などを参考にすると、半年から1年程度で移植部分の髪の毛が生えそろう人もいるようです。

植毛について詳しくは「【自毛植毛によるAGA治療について】術後髪が伸びるまでのの経過、費用、メリットとデメリット、失敗例など幅広く解説」をご参照ください。

完治はするのか

さまざまな治療法があるAGAですが、治療によって完治はするのでしょうか。

現在効果が認められている外用薬、内服薬、HARG治療は、それぞれ発毛効果のある成分を体に入れることで、AGA改善効果を期待するものです。そのため薬を止めてしまうと、当然徐々に効果は薄れていきます。
つまり、AGAを改善し続けるためには、もしくは改善した状態を維持させるためには、治療を継続して行わなければなりません。外用薬と内服薬は毎日飲み続ける必要があり、HARG療法も治療後、数カ月に1回の頻度で薬を注入し続ける必要があります
また、今のところ、外用薬、内服薬、HARG療法によってAGAが完治したという論文報告はなされていません。

一方、自毛植毛では、発毛や髪の毛の成長に必要な「毛包」が脱毛部に根付くことによって、脱毛していた範囲から自分の髪の毛が生えてくるようになります。そのため、移植部分に関してはトラブルがない限り治療をする必要がありません。このような点から、自毛植毛による治療は完治に近いと言えるかも知れません。
一方で、植毛後の発毛効果については、まだ効果や持続期間についてほとんど研究が行われておらず、明らかなことは分かっていないのが現状です。

今のところ、完治が約束出来るAGA治療はないと心得ておきましょう。

加齢による壮年性脱毛には勝てませんので、どこかで諦める時が来るかと思います。個人差もありますが、数年以上服用している場合は、数ヶ月程度の服用中止であれば、症状が進行することはあまり見られません。

参考


AGAの治療薬の副作用

ここがポイント

  • 外用薬の主な副作用は「皮膚のかゆみやかぶれ」
  • 内服薬の主な副作用は「性機能不全」や「肝機能障害」
  • 内服薬は、効果と安全性の問題で未成年と女性は使うことが出来ない
薬には病気を治したり、症状の改善を目的とした作用があります。しかし、本来の目的とは異なる「副作用」が現れる事もあります。薬の効き目と同じく、副作用の出現頻度や重症度も個人差が大きいです。薬と副作用は切ってもきれない関係にありますので、薬を飲む際にはどのような副作用が現れる可能性があるのかを確認しておくと良いでしょう。
ここでは、AGAの治療で使用される薬の副作用について解説していきます。

外用薬の副作用

ミノキシジル配合薬は外用薬のため、主な副作用は、薬を直接皮膚に塗ったことで、その部分に生じるかゆみやかぶれです。他にも頭痛、めまい、急激な体重増加、手足のむくみ、胸の痛みなどが報告されています。

現在ミノキシジル配合薬は、AGA治療の外用薬として推奨されていますが、もともと、血管を広げて血圧を下げる作用があることから「血圧を下げる薬」として開発されました。そのため、誤って口に入れると、血圧に影響を与える可能性もあるとされていますので、薬の取扱いには十分に注意しましょう。また、内服薬と同じく小さいお子さんが誤って口にしないように、子どもの手が届かない場所に保管しておくような工夫をしておくと良いでしょう。

内服薬の副作用

フィナステリドが配合された内服薬の副作用としては、主に「性機能不全」があります。具体的には「勃起機能不全」「射精障害」「精液量減少」などです。性機能不全以外には「肝機能障害」や「過敏症」がありますが、発生頻度は明確には分かっていません。
一方、デュタステリド配合の内服薬の副作用としては、フィナステリドと同様に「性機能不全」「肝機能障害」「過敏症」があります。加えて頭痛、抑うつ気分、おなかの不快感なども現れる可能性があるとされています。

外用薬、内服薬ともに、上記の症状が現れた場合、もしくは普段とは異なる症状が出た場合は、すぐに薬の使用を中止して医師または薬剤師に相談するようにしましょう。

内服薬は女性と未成年は禁止

AGA治療の内服薬は、成人男性のみを対象にしています。そのため、女性や未成年は薄毛の症状が現れて、AGAと診断された場合であっても内服薬治療を行うことは出来ないのです。

なぜかと言うと、フィナステリドとデュタステリドは、未成年に対する効果や安全性が確認されていないためです。また、女性のAGAの効果を検討する臨床試験で、有効性が否定されたため、適応とはなっていません。さらに、男児を妊娠している女性がフィナステリドやデュタステリドの成分を体内に取り入れてしまうと、おなかの赤ちゃんの生殖器の形成などに悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。よって、妊婦や妊娠する可能性のある女性への使用は禁忌となっています。
この成分は、皮膚からも吸収されるため、内服治療を行なっている男性は妊婦や妊娠している女性の近くに薬を置かない、錠剤を砕いて飲まないなどの配慮が必要だと言えます。

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このような理由から、女性や未成年の人がAGA治療を希望する場合には、今のところ内服薬以外の治療法を選択することになります。

副作用と言われる「初期脱毛」について

AGA治療の副作用として「初期脱毛」という言葉を聞いたことはありませんか。主にインターネットサイトで使われており、AGA治療の初期に一次的に脱毛する状態のことを指しているようです。いくつかのサイトの情報によると、「初期脱毛」はAGA治療薬によって新しい髪の毛が生えてくるための症状であり、薬の効果が表れている証拠とされています。

しかし、日本皮膚科学会のAGAの診療ガイドラインや、治療薬についての詳細情報がある添付文書には「初期脱毛」という言葉はありません。加えてこれらの資料には、AGA治療初期の一次的な脱毛を示すような副作用についても、一切書かれていません。
そのため、現在のところAGAの治療薬によって「初期脱毛」が起こると、根拠を持って示すことは出来ません。しかし、多くの口コミなどがあることから、実際の治療では初期脱毛が生じる可能性があり、今後新たな知見として明らかになるかもしれません。

初期脱毛について詳しくは「副作用の「初期脱毛」はフィナステリド(プロペシア)やミノキシジル(リアップ)による治療初期に本当に起こるのか~怖いと思う前に正しく理解しよう」をご参照ください。

自毛植毛のリスク

自毛脱毛は、治療を行う上でいくつかリスクはあります。自毛植毛は、AGAの症状が現れにくい自分の後頭部髪の毛を毛包ごと脱毛部分へ移植する方法です。化学繊維でできた人工毛を移植する植毛法よりも生着率は高いとされていますが、それでも100%生着するわけではありません。個人差はありますが、生着せずに再度脱毛してしまう可能性があります。また、後頭部から髪の毛を取り出す際にできた傷が、傷跡として残ってしまう場合もあります。特に、傷口が盛り上がったり硬くなったりしやすいケロイド体質の方や、術後傷口が細菌などに感染してしまった場合には、傷跡が残りやすいとされています。

自毛植毛によるAGA治療について詳しくは、「【自毛植毛によるAGA治療について】植毛後の経過、費用、メリット・デメリット、失敗例など幅広く解説」をご参照ください。


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AGAの治療薬の商品名、入手方法

ここがポイント

  • 外用薬は、薬剤師が常駐するドラックストアや、インターネットで購入可能
  • 内服薬は、医師の処方が必要で、医療機関と薬局でのみ入手可能

ここでは日本で販売が認可されているAGAの外用薬と内服薬について、実際の商品名などを確認していきましょう。その上でそれぞれの副作用や、通販による個人輸入などについても見ていきましょう。

AGA治療薬の有効成分名と主な商品名

ここまでに説明をしてきたように、AGAの治療薬は主に「外用薬」と「内服薬」、加えてHARG療法に用いる「注入薬」の3種類です。ここでは、「外用薬」と「内服薬」について解説をしていきます。

まずはそれぞれの有効成分名と商品名を、一覧表で確認しておきましょう。
有効成分名 商品名(販売元) 効果
外用薬 ミノキシジル リアップ(大正製薬) 毛の組織の血流改善
毛の成長因子産生を促進
髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する
内服薬 フィナステリド プロペシア(MSD)
フィナステリド
(ジェネリック医薬品につき多数)
DHTの産生抑制
内服薬 デュタステリド ザガーロ(GSK) DHTの産生抑制

AGA治療薬の入手先~通販で個人輸入も可能か

副作用について一通り見てきたところで、今度はAGA治療薬の入手先を確認していきましょう。
AGA治療薬の入手先
  薬品名 医薬品分類 購入場所
外用薬 リアップ 一般用医薬品 ドラッグストア、インターネットなど
内服薬 プロペシア
フィナステリド
医療用医薬品 医療機関、薬局(処方せんがある場合)のみ
内服薬 ザガーロ 医療用医薬品 医療機関、薬局(処方せんがある場合)のみ

外用薬である「リアップ」は一般用医薬品に分類されますが、使用方法の難しさや副作用などから、一般用医薬品の中でも最も注意を要する第一類医薬品に指定されています。
第一類医薬品は、市販されていますが「薬剤師による薬の安全性の説明」が義務付けられているため、ドラッグストアやコンビニエンスストアでも購入する場合は、薬剤師が常駐している店舗に限られます。
また、平成26年からAGA治療薬を含めた一般用医薬品全てをインターネットで購入することが可能になりました。しかし、先ほども説明したように第一類医薬品は薬剤師による薬の安全性の説明が義務付けられているため、インターネットで購入する場合には薬剤師からのメールで薬の情報提供を受ける、自分の健康状態を報告するなどの条件があります。また、使用者からの問い合わせがあった場合には、薬剤師による対応が義務付けられています。

一方でAGA治療の内服薬は、医師による処方が必要な「医療用医薬品」であるため、医療機関もしくは薬局(処方せんがある場合)でしか入手出来ません。コンビニはもちろん、国内市場ではインターネットでの購入も不可能です。
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一部の薬品を除いて、一般的な医薬品の個人輸入は法律では禁止されていないため、AGA治療薬は買おうと思えばインターネットなどの通販で買えてしまいます。しかし、個人輸入できる医薬品は、国内で認められている正規メーカーの薬品とは限らず、偽造品の可能性もあります。日本国内で正規に流通している医薬品と違い、個人輸入の医薬品は、品質や有効性及び安全性の確認がされておらず、服用することで健康被害を引き起こすこす可能性もあり、とても危険です。
薬を安全に服用するためには、医師による診察を受けて、服用している薬が症状に対して効果があるか、副作用が起きていないかなど経過観察が必要です。

薄毛で悩んでいる人の中には、わらにもすがる思いで日本国内では許可されていない薬を購入しようと考える人もいるかも知れません。しかしAGA治療薬は、髪の毛以外の臓器にも副作用として悪い影響を及ぼす可能性があります。薬を飲んで髪の毛が増えたとしても、万が一健康を損なうことがあっては治療をする意味がありません。

AGAを疑った場合、まずは一般用医薬品を使用するか、もしくは病院やクリニックを受診し、医師と相談して治療方針を決めていくようにしましょう。

AGAの治療薬について詳しくは「AGA治療薬の効果と副作用|主な2種類の薬~ジェネリック薬情報や値段・通販・輸入薬などについて解説」をご参照ください。

参考


AGAの治療費と保険適用について

ここがポイント

  • AGA治療は基本的に「自由診療」のため、治療費全額を自己負担する
  • 外用薬治療は1カ月3,000円~7,000円程度
  • 内服薬治療は4,500円〜1万円程度の薬代と、診察代がかかる
  • 自毛植毛は20万円〜30万円程度の手術代と、植毛量に応じた費用がかかる


最後にAGA治療費の大まかな目安について解説していきます。AGAの治療費は治療法、医療機関、保険適用の有無などさまざまな条件によって大きく異なります。

AGAの治療は保険適用にならない

風邪をひいて病院に行くと、保険証を出すことで治療にかかった費用の一部(主に1~3割)を病院の窓口で支払います。これは「保険診療」を行ったため「医療保険」が適応されているからです。

日本では、国民の健康を最低限保証するため、安全性と有効性を認められた治療法に対しては、国が治療費の一部を負担し、国民の医療費負担を減らす政策をとっています。これを「保険診療」と言います。

一方、美容目的の治療や病気の予防にかかる費用については、医療保険が適用されません。このような治療を「自由診療」と言います。「自由診療」では、診療にかかった費用は全額自分で支払わなければなりません

AGA治療は命や健康に関わる治療というよりは、美容目的の治療と考えられています。そのためAGA治療は基本的に「自由診療」となります。したがって、普段受けている保険診療で支払う費用よりは高くなるということを、まずは知っておきましょう。

1カ月のおよその治療費

AGA治療にかかる、1カ月のおよその費用を見ていきましょう。

先ほど説明したように、AGA治療は「自由診療」のため、病院やクリニックによってそれぞれの治療の値段設定が異なります。正確な金額を知りたい人は、薬の購入前や受診前にホームページや電話などで確認すると良いでしょう。

外用薬

日本で認められているAGAの外用薬「リアップ」は、ミノキシジルの配合濃度などによっていくつかの商品が販売されています。治療にかかる費用は薬の種類によって変わりますが、1カ月3,000円~7,000円程度です。

内服薬

「フィナステリド」が配合されている内服薬の「プロペシア」は1カ月で6,000円~7,000円程度です。「フィナステリド」が配合されている内服薬には、ジェネリック医薬品も出ています。ジェネリック医薬品は、プロペシアと同等の効果がある上に、プロペシアよりも低価格で購入することが出来ます。目安としては1カ月4,500〜6,000円程度です。「デュタステリド」は1ヶ月で9,000円〜1万円程度です。

上記の薬代に加えて、医師による診察代もかかります。診察代も「自由診療」となるため、無料のところもあれば数千円かかるところもあります。またそれ以外に検査としての費用もかかる場合もあるということを知っておきましょう。

植毛

自毛植毛は、主に手術費用と、別途植毛量に応じた費用がかかります。
手術費用は20万円〜30万円程度です。また植毛量にかかる費用は、植毛する範囲、部位、そして植毛する際にどのような手法を使うのかによっても変わってきます。
植毛治療は基本的に、一度手術をすれば、その後は特別な治療を必要としません。しかし手術にかかる費用が大きいため、支払い方法や分割払いの回数などを確認し、支払い可能かどうかを確認してから選択するようにしましょう。

以上、3つの治療法別におよその治療費について解説してきました。実際にかかる費用は、AGAの重症度とそれによる治療法の選択肢によっても変わってくるため、いずれにしても一度医療機関で診てもらう必要があります。医療機関によっては最初に無料でカウンセリングを行い、そこで詳しい料金を提示してくれる場合もあります。最初は無料カウンセリングを利用してみてはいかがでしょうか。

AGAの治療費について詳しくは【AGAの治療にかかる費用】年間費用の相場を治療法別に比較~ジェネリック情報や確定申告についてもをご参照ください。

AGAが確定申告で医療費控除の対象になる場合

わが国には、1年間に支払った医療費が一定金額以上であった場合、確定申告の際に「医療費控除」の申請をすることで、還付金として一部が返却される仕組みがあります。医療費控除の対象となる医療費は厚生労働省によって定められており、「美容」や「予防」のために行われた治療は控除の対象にならないとされています。
そのためAGAの治療は、ほとんどが「治療」と判断されず、医療費控除の対象となりません。一方で、医師が「治療」と判断し内服薬などを処方した場合には医療費控除の対象となる可能性もあります。詳しくは自治体の税務署に直接お問い合わせください。

AGA治療の医療費控除については、【AGAの治療にかかる費用】年間費用の相場を治療法別に比較~ジェネリック情報や確定申告についてもで詳しく解説しているので、ご参照ください。

まとめ

現在、日本で行われている主なAGA治療である「外用薬」「内服薬」「自毛植毛」の3つについて、治療内容、期間、効果と副作用などを見てきました。AGAの治療法についてはまだ十分に研究がなされておらず、明確になっていない部分も多くありますが、今回ご紹介した治療法はどれもAGAに対する効果が証明されているものです。
しかし、効果が証明されているものの外用薬や内服薬は、治療を継続しないと脱毛が再発することが明らかになっています。AGA治療は長期的なものになるので、通院を継続できる場所かどうかも病院やクリニック選びの重要なポイントではあると言えるでしょう。遠隔診療では、スマートフォンやタブレット端末を使い、自宅や職場にいながら医師の診察を受けることができます。仕事で定期的な通院が難しい方や、近くにAGAの専門クリニックが無いという方も、継続して専門医による診察を受けることが可能です。自分のライフスタイルにあった受診が可能になります。遠隔診療を導入している医療機関も多いので、選択肢の一つに考えてみるのもいいでしょう。


父親が薄毛だったから自分も仕方ないだろう、と簡単に諦める時代は終わったと言えるのではないでしょうか。治療を考えている場合、まずは無料カウンセリングなどを利用して、良く調べながら自分にあった治療法を選択出来るようにしていきましょう。
AGA治療は「自由診療」であるため高額になりがちです。治療法を選択するときには、自分の経済状況も考慮に入れ、必要な治療を必要な期間継続出来るような病院選びをして行きましょう。

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Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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