ミノキシジルは生え際に使用できるのか|生え際の産毛に対する育毛効果について解説

ミノキシジルは、AGA(男性型脱毛症)の治療に効果があると医学的に証明されています。日本皮膚科学会が策定している「AGAの診療ガイドライン」でも、第一選択薬として男性、女性ともにミノキシジル外用薬の使用が推奨されています。ここでは、生え際の薄毛にも、ミノキシジル外用薬に発毛効果は期待できるのか、生え際の発毛効果について解説をしていきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ミノキシジルは生え際の後退を抑制するのか
  2. 02ミノキシジルとプロペシアの併用は効果的か
  3. 03ミノキシジルが生え際の後退を悪化させる可能性はあるのか
  4. 04ミノキシジルは女性が生え際に使用してもよいのか
  5. 05まとめ

ミノキシジルは生え際の後退を抑制するのか

ここがポイント!

  • ミノキシジルの発毛・育毛効果は医学的に証明されている
  • 臨床研究では主に頭頂部の髪の毛で評価が行われている
  • しかし、頭頂部も生え際も同じ髪の毛が生えているので、頭頂部と同程度の効果が得られると考えられる

AGAの脱毛の特徴

AGA(男性型脱毛症)は、男性ホルモンの一種である「DHT(ジヒドロテストステロン)」が前頭部と頭頂部の毛包に作用することによって、髪の毛の成長期が短くなり、太く長い毛が細く短い毛に置き換わってしまい薄毛になります。
DHTは、ひげや胸毛に対しては毛を成長させる方向に働くのですが、前頭部や頭頂部では毛の成長を抑制する方向に働きます。そのため、AGAを発症すると「額の生え際の後退」と「頭頂部の薄毛」が特徴的な症状として現れます。

ミノキシジル外用薬によるAGA治療

日本皮膚科学会が策定している「AGAの診療ガイドライン」では、ミノキシジル外用薬を男女ともに第一選択薬として推奨しています。推奨配合量は、男女で異なり「男性はミノキシジル5%」「女性はミノキシジル1%」と記載されています。これは、あくまでも日本における推奨量であり、海外では異なる場合もあります。
ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照下さい。

ミノキシジルは生え際にも効果があるのか

ミノキシジル外用薬の発毛・育毛効果について調べた研究は、全て「頭頂部」の発毛・育毛効果の評価が行われているため、生え際における効果や頭頂部との効果の違いなどについては、今のところ明らかになっていません。最近では、生え際と頭頂部で同様の発毛・育毛効果が得られたと示している論文もあります。また、前頭部も頭頂部も同じ髪の毛が生えている部分なので、外用薬の効果に差はほとんどないと考えられます

ミノキシジル配合の育毛剤

現在、日本で製造・販売が認可されている「ミノキシジル配合の育毛剤」は、大正製薬の「リアップ」シリーズのみです。リアップシリーズは第一類医薬品として市販されており、ドラッグストアや通販で購入することが出来ます。しかし、第一類医薬品は体にもたらす作用から、取り扱いに十分に注意が必要なため薬剤師による「薬の安全性に関した情報提供」を受けることが義務付けられています。ドラッグストアは薬剤師がいる店舗、通販は薬剤師からの薬の情報提供に関するメールに返信をする、自分の健康状態を報告するといった条件を満たさないと商品が発送されない仕組みとなっています。
リアップについて詳しくは【リアップ徹底解説】ミノキシジル配合の育毛剤リアップシリーズについて種類・効果・購入方法・費用までをご参照下さい。

参考

男性型脱毛症診療ガイドライン2010|日本皮膚科学会(pdf資料)
Mirmirani P et al.Similar response patterns to topical minoxidil foam 5% in frontal and vertex scalp of men with androgenetic alopecia: a microarray analysis.Br J Dermatol. 2015.
脱毛症診断チェック

ミノキシジルとプロペシアの併用は効果的か

ここがポイント!

  • AGA診療ガイドラインでは、ミノキシジルとフィナステリドの併用療法が推奨されている
  • ミノキシジル単剤と併用療法を比較した研究は行われておらず、効果は明らかになっていない

プロペシアはAGA治療の内服薬である

AGAの診療ガイドラインでは、外用薬の「ミノキシジル」と内服薬の「フィナステリド」「デュタステリド」の使用が推奨されています。薬には、一般名、商品名、化学名など複数の名前があり、プロペシアは「フィナステリド」の商品名です。
外用薬、内服薬ともに発毛・育毛効果が医学的に認められていますが、それぞれ体にもたらす作用は異なります。
ミノキシジルは、髪の毛の成長促進、髪の毛周囲の血流改善、髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する作用があります。一方で、フィナステリドはAGAの原因物質である「DHT」という男性ホルモンを作る酵素の働きを抑制する作用があります。
つまり、外用薬と内服薬は異なる作用から、発毛・育毛効果をもたらしているのです。

<外用薬と内服薬の発毛メカニズム>

一般名(商品名) 発毛メカニズム
外用薬 ミノキシジル(リアップ) ・髪の毛の成長因子の産生促進す
・髪の毛の周辺組織の血流改善す
・毛母細胞の減少抑制
内服薬 フィナステリド(プロペシア) 「2型5αリダクターゼ」の阻害によるDHT量減少

ミノキシジルとフィナステリド(プロペシア)の併用療法とは

AGAの診療ガイドラインでは、男性の場合、症状が中等度・重度であれば「ミノキシジル5%配合の外用」もしくは「フィナステリド(プロペシア)の内服」をどちらか一方、あるいは両者を併用して1年間治療を行うと記載されています。軽症の場合でも、同様に行うか、その他の成分が含まれている育毛剤を使用して、効果が得られなければ、ミノキシジルやフィナステリドへの移行が推奨されています。
そのため、医師の判断によってミノキシジルとフィナステリドを併用する場合もあります。「ミノキシジル単剤での治療」と「ミノキシジルとフィナステリドの併用療法」の発毛・育毛効果を比較した研究はありますが、まだ研究きぼが小さいため、併用療法の明確な効果は医学的に明らかになっていません。

女性のAGA(FAGA)は、原因が明らかになっていないため、内服薬の使用は推奨されておらず、ミノキシジルとフィナステリドを併用することは出来ません。

参考

男性型脱毛症診療ガイドライン2010|日本皮膚科学会(pdf資料)
プロペシア錠0.2Mg/1Mg(フィナステリド錠)  (pdf資料)

ミノキシジルが生え際の後退を悪化させる可能性はあるのか

ここがポイント!

  • かぶれなどの副作用が起き、頭皮環境が悪化することで、生え際の後退が進む可能性がある
  • 用法用量を超えていたり、誤った使用法をしていると副作用を引き起こす危険がある
  • 医薬品はすべての人に効果があるわけではなく、効果が現れない人もいる

副作用が起きている場合

医薬品には症状に対して効果がある反面、副作用が起こる可能性もあります。一般的に、ミノキシジル外用薬の副作用の出現頻度は低いと言われていますが、その中でも多い副作用は「かぶれ」などの局所の皮膚症状が現れることがあります
皮膚症状が原因で生え際の後退を悪化させる可能性は考えられます。アレルギー体質の人や、過去に副作用を経験している人などは、医師や薬剤師などによく相談し、副作用が疑われるときには医師や薬剤師などの専門家に相談して正しく対応することが大切なのです。

誤った使い方をしている場合

育毛効果を期待して規定の容量を超えて使用したり、何度も塗るなどすると、かえって副作用を引き起こす危険性を高めてしまう恐れもあります。付け忘れた際に、後に塗る量を倍にしても効果がより現れることはありません。薬を使用する前には、必ず添付文書をよく読み、用法用量を守って正しく使用するようにしましょう。

効果がでない人もいる

医薬品と言ってもすべての人に効果があるとは言えません。人によっては効果が出ないこともあります。また、ミノキシジル配合の外用薬を使用してもすぐに効果は現れません。リアップの添付文書には、ミノキシジルを5%配合しているものは最低でも4カ月、1%配合のものは最低でも6カ月使用しないと、効果が表れない可能性があると記載されています。また、どちらも薬を6カ月使用した時点で、改善が全く見られない場合は使用を中止して、医師や薬剤師へ相談するように推奨されています。

参考

リアップリジェンヌ|大正製薬株式会社
リアップX5プラス|添付文書(pdf資料)
脱毛症診断チェック

ミノキシジルは女性が生え際に使用してもよいのか

ここがポイント!

  • 女性のAGA治療薬で発毛効果が認められているものは、ミノキシジル外用薬のみ
  • 男性と同じく、生え際でも頭頂部と同様の効果が期待できると考えられる

女性はミノキシジル外用液1%が推奨されている

AGAの診療ガイドラインでは、女性に対してもミノキシジル外用薬をの第一選択薬として推奨しています。先ほども説明しましたが、男性と女性では、推奨されるミノキシジルの配合量が異なり男性は5%、女性は1%とされています。ミノキシジル配合の育毛剤「リアップ」シリーズでは、ミノキシジル5%を配合した男性用の「リアップX5プラス」とは別に、ミノキシジル1%配合の女性用「リアップジェンヌ」が販売されています。
男性と同じく、生え際と頭頂部の効果の違いは明らかになっていませんが、あえて外用薬を分ける根拠や必要性は乏しく、外用薬については同等の効果があると考えます。

女性は内服薬の使用が推奨されていない

AGA内服治療薬は、女性に対する安全性や有効性が確認されておらず、女性には使用する事は出来ません。また、内服薬であるフィナステリドやデュタステリドの成分が、男の子を妊娠している女性の体内に入ると、男児の生殖器の発育に影響を及ぼす恐れがあると考えられています。有効成分は、直接触れるだけでも皮膚から吸収されてしまいます。錠剤はコーティングされており、通常であれば有効成分には触れない構造になっていますが、妊婦や妊娠している可能性がある女性は、フィナステリドやデュタステリドの錠剤には触れないように気をつけましょう。また、AGAの内服薬を服用している男性は、錠剤は割ったり砕いたりせず、薬の保管場所にも気をつける必要があります。

参考

男性型脱毛症診療ガイドライン2010|日本皮膚科学会(pdf資料)
リアップリジェンヌ|大正製薬株式会社

まとめ

ミノキシジルは、発毛・育毛効果が医学的に証明されていますが、その臨床試験は頭頂部の薄毛に対して行われたものです。生え際の発毛効果に対しては明確な根拠がありませんが、同じ髪の毛が生えている部位ということを考えると、頭頂部と生え際の外用薬を分ける根拠や必要性は乏しいと考えます。なので、生え際もミノキシジル外用薬を使用することをお勧めします。ミノキシジルを4カ月から6カ月使用しても効果が現れない場合は、医師又は薬剤師に相談するようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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