【円形脱毛症に漢方薬は効くのか】漢方薬の位置づけから種類まで徹底解説

漢方薬とは漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことです。含まれている生薬の種類やその組み合わせによって、様々な体の不調を改善していく効果が期待出来ると考えられています。現在、円形脱毛症の原因は完全に解明されていないため、確立した治療法はありません。円形脱毛症の診療ガイドラインでは、ステロイド療法や局所免疫療法が症状改善の効果が期待出来る治療法として推奨されていますが、ここでは「漢方薬」に焦点を当て、円形脱毛症に対する漢方薬の効果について解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01円形脱毛症に漢方薬は効くのか
  2. 02漢方に期待できる効果
  3. 03まとめ

円形脱毛症に漢方薬は効くのか

ここがポイント!

  • 円形脱毛症の原因については、まだ完全には解明されていない
  • 確立された治療法はなく、症状の改善が期待できる治療薬がいくつか推奨されている
  • 漢方薬の使用については、ガイドラインでは治療の効果についての検証が不十分なため、現時点では推奨できないとしている

円形脱毛症の原因は完全に解明されていない

円形脱毛症の原因は、完全には解明されていません。現在、最も有力であると考えられているのは「自己免疫応答」という免疫機能の異常です。自己免疫応答とは、強いストレスにより免疫機能のバランスが崩れ、本来であれば細菌やウイルスなど「外敵」を見分けて攻撃するはずの免疫細胞が、自分の細胞を外敵であると誤認し、攻撃してしまう反応を言います。
この「自己免疫応答」が毛根周囲の細胞で起こると、髪の毛を作る細胞がダメージを受けてしまい、抜け毛の原因になると考えられています。

自己免疫応答により毛が抜ける仕組み

診療ガイドラインで見る漢方薬の効果

日本皮膚科学会が策定している「円形脱毛症の診療ガイドライン」では、漢方薬について「医学的な検証が不十分なため、漢方薬による円形脱毛症の治療効果に明確な根拠がなく使用が勧められない」と記載されています
診療ガイドラインでは、漢方薬が円形脱毛症に効果があると示している報告がいくつかありますが、「効果の評価基準」についての記載がない上に「再発の有無」「自然に治る可能性と漢方薬の効果の比較」などについて調べられておらず、漢方薬によって円形脱毛症が改善したと明確に言い切ることが出来ないのです。そのため、漢方薬での円形脱毛症の治療は、現時点では推奨できないとされています

参考


脱毛症診断チェック

漢方に期待できる効果

ここがポイント!

  • 血行の改善など、あくまでも体質改善には効果が期待できる

漢方薬の位置づけ

漢方薬とは、漢方医学の理論に基づいて処方される医薬品のことで、複数の生薬を組み合わせて調合しているものです。生薬とは、薬草の根や葉、果実、花などの天然に存在する有効成分のことで、服用することで治癒力を高め、体質の改善を目的として用いられます。漢方薬による治療の効果については、先ほども説明しましたが、検証が不十分なため、円形脱毛症の治療には現時点では推奨できないとされています。

漢方に期待できる効果

髪の毛は、頭皮の毛細血管を流れる血液から栄養や酸素を取り入れています。そのため、頭皮の血行不良は、頭皮環境を悪化させる原因になると考えられているのです。
漢方薬によって、頭皮の血流が改善されれば、髪の毛に十分な栄養や酸素が行き渡り、髪の毛の成長や健康をサポート出来る可能性があると考えられます。漢方薬の円形脱毛症対するる治療効果は明確ではありませんので、あくまでも血行改善など体質改善が目的であると心得て使用すると良いかもしれません。

効果が期待出来る可能性がある漢方薬

髪の毛の健康増進を目的とした漢方薬ではありませんが、ここでは体の調子を整え間接的に髪の毛に良い効果をもたらす可能性がある漢方薬をいくつか紹介していきます。

半夏厚朴湯(はんげつこうぼくとう)
自律神経を安定させストレスを取り除く効果が期待されます。精神不安で胃が痛んだり、のどに物がつまったような感じ、つわり、せき、しわがれ声、不眠症の治療に使用されます。
柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
自律神経を安定させストレスを取り除く効果が期待されます。
高血圧、腎機能の低下、精神不安、動悸、いらいらなどの治療に使用されます。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
冷え症、虚弱体質、月経不順、月経痛、更年期障害の治療に使用されます。 肩がこり、疲れやすく、精神不安などの精神神経症状、便秘の傾向のある体質虚弱な女性に使用されます。
桂枝加竜頭牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
泌尿器や男性生殖器の機能低下、精神不安、小児のおねしょの治療に使用されます。 下腹直腹筋に緊張のある比較的体力の衰えている人に用いられます。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
貧血、倦怠感、更年期障害、月経不順、月経痛、どうき、妊娠中の諸症状の治療に使用されます。 通常、筋肉が一体に軟弱で疲労しやすく、腰脚の冷えやすい人に用いられます。

参考

ツムラ半夏厚朴湯エキス顆粒 添付文書(pdf資料)
ツムラ柴胡加竜骨牡蛎湯エキス顆粒 添付文書(pdf資料)
ツムラ加味逍遙散エキス顆粒 添付文書(pdf資料)
ツムラ桂枝加竜骨牡蛎湯エキス顆粒 添付文書(pdf資料)
ツムラ当帰芍薬散エキス顆粒 添付文書(pdf資料)

まとめ

漢方薬による円形脱毛症の治療の効果について、現在では医学的な検証が不十分なため、日本皮膚科学会が策定している「円形脱毛症の診療ガイドライン」でも、治療法としては推奨できないと記載されています。
しかし、漢方薬には血流を改善させる効果や自律神経を安定させる効果などが期待出来ます。漢方薬を使用する際には、あくまでも体質改善の目的であると心得て、自分に合ったものを服用すると良いかもしれません。何を選べば良いかわからない方は、医師や薬剤師に相談して見ましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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