【全頭脱毛症の原因や治療について】完治までの期間や再発の可能性など

全頭脱毛症は、髪の毛がほとんど抜けてしまう病気ですが、なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。その原因には、本来私たちの体にとって必要不可欠な機能である「免疫」の異常が関連していると考えられています。
髪の毛は外見を決める重要な要素の1つであるため、髪の毛が抜けて生えてこない状態は、性別や年齢に関係なく深刻な悩みの種や、場合によっては心の病気の種にもなり得ます。ここでは、全頭脱毛症とはどのような病気なのか、その原因、治療法などを解説した上で、完治や再発、漢方薬による改善の可能性など、多くの人が抱く疑問について、正しい情報をお伝えしていきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01全頭脱毛症とは
  2. 02全頭脱毛症の原因
  3. 03全頭脱毛症の治療
  4. 04治療によって生えてくる毛は産毛なのか
  5. 05全頭脱毛症は完治するのか
  6. 06全頭脱毛症は再発するのか
  7. 07子どもが全頭脱毛症になったら
  8. 08全頭脱毛症に効く漢方薬はあるのか
  9. 09全頭脱毛症でかつらを使用するときに注意したいポイント

全頭脱毛症とは

ここがポイント!

  • 全頭脱毛症とは、円形脱毛症が重症化して頭部全体に広がったもの
  • ほとんどの人は全頭脱毛症が起こる前兆となる自覚症状がなく、突然髪の毛が抜ける
  • 全頭脱毛症の「なりやすさ」に、性別や年齢は関係ない
  • 全頭脱毛症を含む円形脱毛症には、遺伝が関与している可能性がある

最初に全頭脱毛症とはどのような病気なのか、またどのような人がなるのかを解説していきます。

全頭脱毛症の特徴とは

「円形脱毛症」という病名を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。「円形脱毛症」はもともと生えていた毛が円形に抜けてしまう症状を言い、日本皮膚科学会は、抜け方のパターンによって次の4つに分類しています。

分類 特徴
通常型円形脱毛症 髪の毛が部分的に円形に抜けた状態
・単発型:脱毛部が1つのもの
・多発型:脱毛部が複数あるもの
全頭脱毛症 脱毛部が頭全体に広がった状態
汎発性脱毛症 脱毛部が頭だけでなく全身に広がった状態
蛇行状脱毛症 髪の生え際が帯状に抜けた状態
円形脱毛症の4つの分類
「全頭脱毛症」とは、この分類の2番目に示されているもので、円形脱毛症が重症化して頭部全体に拡大した状態を言います。

円形脱毛症の脱毛パターンのうち、通常型(多発性)の特徴、原因、治療法などについて詳しくは「【多発型(多発性)円形脱毛症の原因や治療について】単発型との違いや完治の可能性まで診療ガイドラインを基に解説」

脱毛前に症状は出るのか

全頭脱毛症は、人によっては脱毛の前兆として、軽いかゆみや違和感などを感じることがあるようです。しかし一般的には自覚症状がなく、突然髪の毛が抜け始めます

円形脱毛症を発症する人とは

日本皮膚科学会によると、全頭脱毛症は、性別や年齢の違いに関わらず、どのような人でも発症する可能性があります。他の病気では、高齢者だったり、男性だったりと、年齢や性別の違いによって病気のなりやすさが違う場合もありますが、全頭脱毛症ではそのような差は今のところ示されていないのです。

性別や年齢が全頭脱毛症のなりやすさに影響しないと考えられている一方で、円形脱毛症に遺伝が関与している可能性を示す研究論文が複数報告されています。例えば、オランダの研究報告では、両親が全頭脱毛症を含む円形脱毛症であった場合、子どもも同様の症状が出やすくなることが示されています。

円形脱毛症と遺伝の関連性について詳しくは「【円形脱毛症の主な原因について】免疫の病気からストレスの関与などまで、原因とその発症メカニズムを正しく理解しよう」

全頭脱毛症になる人の割合

日本ではどのくらいの人が全頭脱毛症にかかっているのでしょうか。
東京医科大学は、脱毛症外来のウェブサイト上で、日本では約1,000人に1~2人の割合で円形脱毛症になる人がいると示しています。全頭脱毛症は円形脱毛症のパターンの1つであるため、全頭脱毛症になる人はその割合よりも少ないと考えられるでしょう。

参考


脱毛症診断チェック

全頭脱毛症の原因

ここがポイント!

  • 全頭脱毛症の主な原因は「髪の毛に対する自己免疫応答」と考えられている
  • 「免疫」とは、ウイルスや細菌などの「異物」を攻撃・排除して自分の体を守る仕組み
  • 「自己免疫応答」とは、免疫の仕組みが異常になって自分自身を攻撃してしまう状態
  • 自己免疫応答によって、毛根の細胞が攻撃を受けてが炎症を起こし、脱毛するという考え
  • 全頭脱毛症の人は、他の自己免疫疾患を合併している場合がしばしば見られる

ここでは、突然髪の毛が抜けてしまう全頭脱毛症の原因について、解説をしていきます。

主な原因と考えられている「自己免疫応答」とは

全頭脱毛症の原因は、まだ完全には特定されておらず、複数の説をもとに、研究が進められています。その中でも日本皮膚科学会は、髪の毛の組織に対する自己免疫応答であるという考えが有力であると、円形脱毛症診療ガイドラインの中で示しています。
「自己免疫応答」とは一体どのような状態なのでしょうか。

免疫と免疫細胞

細菌やウイルスなどが人間の体内に入ると、血液に乗って体内をパトロールしている白血球やリンパ球などの細胞が、自分自身とは違う「異物」だと認識します。これらの細胞は異物を認識すると攻撃、排除して、病気にならないように、または病気から回復するようにしています。この働きを「免疫」と言い、白血球やリンパ球は「免疫細胞」と言います。

自己免疫応答と自己免疫疾患

免疫は、人間が生きていく上で必要不可欠な体の仕組みですが、この仕組みが正常に働かなくなり、リンパ球が自分自身の正常な細胞を異物と認識してしまうようになる場合があります。こうして免疫の仕組みが異常になり、自分自身を攻撃してしまう状態を「自己免疫応答」と言います。自己免疫応答により、正常な細胞が誤って攻撃された結果、全身のさまざまな臓器で起きた障害を「自己免疫疾患」と言います。

全頭脱毛症と自己免疫疾患

円形脱毛症診療ガイドラインには、全頭脱毛症を含む円形脱毛症の人は、髪の毛とは直接関係のない自己免疫疾患を合併している割合が高いと記載されています。合併している自己免疫疾患として、具体的に次のようなものが挙げられています。

自己免疫疾患 病態
慢性甲状腺炎(橋本病) 甲状腺に炎症が起こることで、甲状腺の機能が低下する。むくみ、体重増加、無気力などが起こる。
尋常性白斑 皮膚の色素細胞が減少・消失する。
全身性エリテマトーデス 発熱・全身のだるさや、皮膚、関節、血管、腎臓などの全身の臓器でさまざまな症状を引き起こす。
関節リウマチ 関節で炎症が起こり、進行すると関節が破壊される。関節の腫れ、こわばり、痛みなどが出現する。
重症筋無力症 神経と筋肉がつながる部分に障害が起こり、全身の筋肉が低下する。まぶたの垂れ下がり、飲み込みづらさ、足のもつれなどが起こり、重症の場合は呼吸困難になる。

米国で行われた大規模な調査では、円形脱毛症の8%が甲状腺疾患を、4%が尋常性白斑を合併していたと報告されています。

自己免疫応答により毛が抜ける仕組み


髪の毛に対する直接的な自己免疫応答により、次のような仕組みで脱毛が起こると考えられています。

1)リンパ球が毛根の細胞を異物と認識して攻撃します。(自己免疫応答)
2)リンパ球による攻撃によって、毛根周囲で炎症が起きます。
3)炎症により毛根がダメージを受け、髪の毛が抜けていきます。
4)リンパ球による攻撃が長期間続いた場合、髪の毛が抜けるだけではなく、生えて来なくなります。

自己免疫応答により毛が抜ける仕組み

参考


全頭脱毛症の治療


ここがポイント!

  • 主な治療法は「ステロイド局所注射」「局所免疫療法」「ステロイドパルス療法」
  • 治療を受けられるのは「皮膚科」または「脱毛症外来」や「毛髪外来」などの専門外来
  • 女性専用の脱毛症外来が開設されている医療機関もある

自己免疫応答が主な原因と考えられている全頭脱毛症ですが、ここではその治療法と、治療が受けられる医療機関について見ていってみましょう。

治療の方法と流れ

全頭脱毛症にはさまざまな治療法があります。その中でも日本皮膚科学会によって効果的とされている主な治療法を、ここで3つご紹介します。

1.ステロイド局所注射

1カ月に1回程度の頻度で、脱毛部にステロイド薬を注射する方法です。ステロイド薬には、免疫の働きを抑えて炎症を抑える作用があるため、リンパ球による毛根の攻撃や、毛根周囲の炎症を抑えることが出来ます。
この治療法による発毛効果は医学的に認められています。その一方で、注射をする際に痛みがあること、また、副作用として注射した部位の皮膚が萎縮し、へこんでしまう場合があることを知っておきましょう。

2.局所免疫療法

脱毛が6カ月以上続いており、また広範囲で脱毛が見られる場合には、局所免疫療法が選択されます。この方法では、かぶれを起こす特殊な薬を脱毛部に塗って、わざと皮膚のかぶれを起こします。「かぶれ」という皮膚炎は異物を認識しての正常な免疫応答なので、自己免疫応答が起きている部分で正常な免疫応答を起こし、毛根への攻撃を弱めるのが狙いです。1〜2週間に1回程度の頻度で治療を行います。
日本皮膚科学会によると、60%以上の割合で円形脱毛症が改善することが医学的に示されており、現在行われている治療法の中で最も有効とされています。一方で、治療を中止すると脱毛が再発してしまうため、長期間治療を続けなければならない場合もあります。

3.内服や注射によるステロイドパルス療法

ステロイドパルス療法は、ステロイド薬を短期間で多量に内服、または注射(点滴)する治療法です。短期間で劇的な効果を得るのが目的です。
この方法により、脱毛が始まってから6カ月以内の早期例では、脱毛範囲を小さくする効果や発毛効果が確認されています。しかしステロイドには免疫の働きを抑える効果があるため、治療中は全身の免疫機能も低下します。したがって、感染症などにかかりやすくなるという副作用があります。

円形脱毛症の治療の種類と治療に掛かる期間や費用について詳しくは「【円形脱毛症の治療について】ステロイド注射などさまざまな治療法~治るまでの期間や治療費などまで」をご参照下さい。


全頭脱毛症は脱毛範囲が広いため、注射を頭全体に打つことは、とても大変です。どんどん髪の毛が抜けている時期には、ステロイドの飲み薬や注射がよい適応になります。髪の毛が生えるまで時間はかかりますが、治療に反応する方はいます。あきらめず、治療を続けることも大切です。


治療は病院の何科で受けたら良いのか

部分的な円形脱毛症は自然に治ることもありますが、全頭脱毛症の場合は重症化しているので、医療機関を受診しましょう

脱毛は皮膚科が対象としている疾患であるため、全頭脱毛症の治療は「皮膚科」で受けることが出来ます。また、病院や診療所によっては、「脱毛症外来」や「毛髪外来」などの専門外来を設けており、そこでは専門医による治療を受けることが出来ます。不明点があれば、受診をする前に、インターネットや電話などで直接医療機関に確認をしてみると良いでしょう。

脱毛は全頭脱毛症を含む「円形脱毛症」だけでなく、「男性型脱毛症」やその他の病気・薬によって起こるものなどさまざまで、種類によって原因も治療法が異なります。医療機関を受診すると、脱毛の種類や状態を医師が確認してくれるので、適切な治療を受けることが出来ます。そうした面からも、医療機関を受診することをお勧めします。

全頭脱毛症は原因をしっかり調べる必要があり、専門的な治療を要する場合が多いです。皮膚科専門医がいる病院への受診をお勧めします。


女性専用の病院はあるのか

脱毛は男性に起こるというイメージが強いですが、全頭脱毛症を含む円形脱毛症は、性別に関係なく女性でも発症します。「髪は女の命」という言葉があるように、女性の場合髪の毛が抜けることによる精神的ダメージは相当に大きいのではないでしょうか。また、脱毛していることを男性に知られたくないという女性も多いと思います。脱毛で悩むそうした女性のために、女性専用の脱毛症外来や毛髪外来が開設されている医療機関もあります
女性専用の脱毛症外来や毛髪外来を開設している医療機関はそれほど多くないため、希望する人は、まずはインターネット検索などで調べてみましょう。

女性の薄毛の主な原因、治療法、日常対策などについて詳しくは「【女性の薄毛について】考えられる原因と治療法~シャンプーや髪型などの日常対策まで」をご参照下さい。


参考


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治療によって生えてくる毛は産毛なのか

ここがポイント!

  • 再び生えてきたばかりのうちは、産毛のように細めの毛
  • 毛根が回復するに従い、もとのような太く硬い毛となる

ここでは、全頭脱毛症に対する治療をした場合に、どのような形で髪の毛が生えてくるのかを簡単に確認しましょう。

全頭脱毛症では、免疫反応によって毛根が攻撃され、毛根周囲で炎症が起きていると先ほど説明をしました。毛根がダメージを受け続けると、髪の毛は抜けた後に生えてこなくなります。しかしそのときも、毛根を構成する細胞は残っています。そのため、治療によって毛根へのダメージを抑えることが出来れば、毛根は回復し、再びそこから毛が生えてくるようになります。毛根が回復途上の最初のうちは、産毛のように細めの毛が生えてきます。そして毛根が完全に回復すると、徐々にもとのような太く硬い毛となっていきます。

参考


全頭脱毛症は完治するのか

ここがポイント!

  • 全頭脱毛症では、部分的な円形脱毛症よりも長期間の治療が必要
  • 治療しても完治出来るとは限らない
  • 治療期間や費用は治療法や医療機関によって異なる
  • 治療を受ける際には、事前に医療機関へ問い合わせて確認をしておきましょう

ここでは、全頭脱毛症の治療について、完治の可能性や治療期間と費用について確認しておきましょう。

円形脱毛症の中でも部分的に脱毛している通常型の場合は、治療に反応し改善することも多くあります。しかし、広範囲で脱毛している全頭脱毛症は、重症度が高いため部分的な円形脱毛症よりも長い期間治療が必要だと考えられます。また脱毛状態や治療効果には個人差があるため、治療を受けたとしても一概に完治出来るとは言い切れません

円形脱毛症の完治しやすいケース、完治しにくいケースや完治までの過程について詳しくは「【円形脱毛症の完治と再発】完治の過程や再発の原因などについて診療ガイドラインを基に正しく解説」をご参照ください。

およその治療期間は、どの治療方法を選択するかで変わってきます。例えば、ステロイド外用や局所注射の場合は、数カ月から数年にわたり治療が必要なこともあります。また、ステロイドパルス療法のように、短期間で治療するものもあります。

治療法によってかかる費用も変わってきます。全頭脱毛症の場合、円形脱毛症と同様にほとんどの治療が保険適用となります。しかし、治療内容によっては保険適用にならないもの(局所免疫療法など)があります。治療内容や期間によって治療費は異なります。費用については電話もしくは受診時に直接医療機関へ確認しましょう

参考


脱毛症診断チェック

全頭脱毛症は再発するのか

ここがポイント!

  • 全頭脱毛症では、治療で生えてきた髪の毛が再度抜ける可能性がある
  • 実際、治療後に再発をしたという症例報告がいくつかある

全頭脱毛症では、治療をして髪の毛が生えてきたとしても、再発をして再度抜けてしまう可能性があります。実際に、円形脱毛症の治療終了後に、再度脱毛が認められるようになったという症例報告が複数あると、診療ガイドラインにも記載されています。

円形脱毛症の再発が報告されている治療法にについて詳しくは「【円形脱毛症の完治と再発】完治の過程や再発の原因などについて診療ガイドラインを基に正しく解説」をご参照ください。

参考

  • 森 理,橋本 隆:難治性円形脱毛症に対する 経口デキサメサゾンパルス療法.皮膚科の臨床 45 : 677-680. 2003.

子どもが全頭脱毛症になったら


ここがポイント!

  • 全頭脱毛症の治療方法は、子ども(15歳以下)と大人で異なる
  • その理由は、副作用や治療効果が子どもと大人で異なるため
  • 子どもが心の問題を抱えないために、全頭脱毛症について本人と良く話し合っておきましょう
  • 全頭脱毛症について先生などの身近な大人に伝えておくことが周辺環境への配慮につながる

全頭脱毛症は年齢に関係なく発症するため、子どもでも発症する場合があります。ここでは子どもが全頭脱毛症になった場合の押さえておきたいポイントをお話ししておきます。

治療の上で押さえておきたいポイント

全頭脱毛症を含む円形脱毛症の治療方法は、16歳以上の成人と15歳以下で異なります。その理由は、次の2つです。

1)標準的に行われている治療では、15歳以下の場合は副作用によって脱毛以外の障害が出現するリスクが高い。
2)小児の全頭脱毛症は、3人に2人は標準的に行われている治療では改善が見込めない可能性がある。

2)に関して、15歳以下で全頭脱毛症を発症した場合、治療によって脱毛が改善・完治した割合は約34%であったという調査報告が、診療ガイドラインの中で示されています。

通園や通学の際に押さえておきたいポイント

子ども、特に小学高学年から中学生くらいまでの思春期の子どもは、周りからの見た目を強く気にする傾向にあります。そのため全頭脱毛症の子どもは脱毛していることへの恥ずかしさから「外へ出たがらない」「周りとの関係作りにおいて悩みを抱える」などのトラブルを抱える可能性が考えられます。そうしたトラブルを解決する、または未然に防ぐために重要なポイントは次の2つです。

子どもと全頭脱毛症について話をする

全頭脱毛症について、子どもの年齢に応じた理解が出来るように説明をし、その上で見た目が気になるということであれば、帽子を被る、かつらをつけるなどの方法を一緒に考え対処していきましょう。また、日頃から子どもと話し合う時間を十分に取り、全頭脱毛症によって困っていることがないか、学校生活で悩んでいることは無いかなどを確認しながら、心のケアを進めていきましょう。

先生などの身近な大人に全頭脱毛症のことを伝えておく

先生たちは、幼稚園や学校生活の中で常に子どものそばにいてくれる「大人」です。まだ子どもであるクラスメイトなどは、髪の毛が抜けていることをひやかして、ときに心ない言葉をかける可能性があります。そのような時に、身近な大人である「先生」が病気について正しく理解をしていることが、適切な対処につながるはずです。また、心ない言葉を未然に防ぐ配慮も先生に頼むことが出来るるでしょう。
通園や通学の際に押さえておきたいポイント


子どもの円形脱毛症の原因や治療法、発症しやすい脱毛パターンなどについて詳しくは「【子どもが円形脱毛症になったら】病院は小児科と皮膚科のどちらへ連れていくべきか~特徴や治療法、親が気をつけるべきポイントなど」をご参照ください。

参考


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全頭脱毛症に効く漢方薬はあるのか

ここがポイント!

  • 重症である全頭脱毛症に限定しなければ、漢方薬を使った円形脱毛症の治療報告はある
  • 日本皮膚科学会は、漢方薬を使った治療について「現時点では推奨出来ない」としている
  • その理由は、漢方薬による治療の効果についての検証がまだ不十分であるから

重症である全頭脱毛症に限定しなければ、漢方薬による円形脱毛症の治療報告はいくつかあることが、診療ガイドラインに示されています。治療報告のある漢方薬の1つが「柴胡加竜骨牡蛎湯合(さいこかりゅうこつぼれいとう)」というものです。この漢方薬には気持ちを落ち着かせ、ストレスを取り除く効果があるとされています。
しかし、これらの報告を踏まえた上で日本皮膚科学会は、漢方薬を使った治療について「現時点では推奨出来ない」としています。その理由は、漢方薬による治療の効果についての検証がまだ不十分であるからです。漢方薬治療として報告されている例は、今のところ全て「効果の評価基準」についての記載がない上に「再発の有無」「自然に治る可能性と漢方薬の効果の比較」などについて調べられておらず、漢方薬によって円形脱毛症が改善したと明確に言い切ることが出来ないのです。

参考


全頭脱毛症でかつらを使用するときに注意したいポイント

ここがポイント!

  • 全頭脱毛症のかつらは頭全体を覆うものが必要
  • かつらと頭皮をテープで接着し、固定するタイプのかつらが便利
  • 自分のライフスタイルにあったかつらを選択しましょう

全頭脱毛症は部分的な円形脱毛症よりも治療効果が現れにくいため、場合によっては「かつら」を使用することになります。ここでは、かつらを選ぶ際に注意したいポイントについてお話します。

頭全体を覆うかつらを選ぶ

全頭脱毛症の場合、もみあげや襟足などの部分を含めた頭全体を覆うかつらを選ぶ必要があります。

テープで固定するタイプのかつらが便利

かつらと頭皮の接着方法は、注意すべき重要ポイントです。全頭脱毛症では髪の毛がほとんどないため、髪の毛に結びつけタイプのかつらは使用出来ません。そのため、一般的には両面テープを利用してかつらを固定させるタイプのかつらを使用します。テープは使い捨てなので毎日張り替えが必要ですが、テープを頭皮に貼り付けるだけなので使用が簡単です。

両面テープ以外では、接着剤でかつらを固定する方法もあります。接着剤はテープに比べてかつらをより確実に固定することが出来る一方で、かつらの着脱には専門的な技術が必要なため、時間と手間がかかるというデメリットがあります。

その他のポイント

かつらの費用、毛質、髪型なども、かつらを選ぶ上で重要なポイントとなります。
かつらは、ほとんど毎日使用するものなので、自分のライフスタイルに合ったものを選択するようにしましょう。

医療用かつらの種類と特徴、購入方法と値段の相場などについて詳しくは「【AGAや円形脱毛症でも使う医療用かつら(ウィッグ)とは】男性、女性、子ども用の違いや特徴、値段の相場と医療費控除や保険適用など」をご参照ください。

脱毛症診断チェック

まとめ

重度の円形脱毛症である「全頭脱毛症」について解説をしてきました。
全頭脱毛症は年齢や性別に関係なく発症します。外見は社会生活を送る上でとても重要であり、全頭脱毛症は外見に大きく影響します。そのため、人によっては全頭脱毛症は強い精神的ストレスとなります。髪の毛が不自然に抜けてきたなと思ったら、早めに皮膚科や脱毛の専門外来を訪れ、必要に応じて治療を受けるようにしましょう。その際、自分が脱毛前と出来るだけ変わらない生活を送るためにも、ライフスタイルに合った治療・対処法を見つけていきましょう。
全頭脱毛症の治療は、原因と考えられている免疫や炎症を抑える方法で主に行われています。治療法によっては副作用や有効性が不明確なものがあることを理解して、気になる点や疑問点などがあれば医師に相談するようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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