【育毛方法とは】生活習慣の改善や薬など髪を育てる方法を徹底解説

AGA(男性型脱毛症)による薄毛を気にしている人であれば、一度は「育毛効果がある」とうたっている商品や方法を試したことがあるのではないでしょうか。こうした商品の使用経験がある人は、効果のある方法を真剣に選びたいと考えている人がほとんどだと思います。

世の中は、医学的根拠があるものからないものまで含め、さまざまな育毛方法であふれています。一体どの方法を行えば良いかと迷ってしまう人も多くいるでしょう。実は、医学的に育毛効果が認められている方法は多くありません。そのため、育毛の効果を実感するためには、医学的根拠のある方法を優先して試すことをお勧めします。

ここでは、さまざまな育毛方法について紹介をしていきます。直接的・間接的に効果があると医学的に認められている方法を中心に、サプリメントやツボなどの医学的根拠や育毛方法に関する疑問などについても詳しく解説していきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01方法①:健康的な生活を送る~育毛は体の健康から
  2. 02方法②:育毛につながる「外側からの方法」
  3. 03方法③:育毛につながる「内側からの方法」
  4. 04育毛につながる食べ物はあるのか
  5. 05育毛方法と発毛・増毛・植毛の方法との違い
  6. 06育毛方法は「額の生え際」と「頭頂部」とで異なるのか
  7. 07つむじや眉毛など局所の育毛方法はあるのか
  8. 08女性と男性とで育毛方法は異なるのか
  9. 09ツボや冷水などの民間療法は医学的に育毛効果があるのか
  10. 10まとめ

方法①:健康的な生活を送る~育毛は体の健康から

ここがポイント!

  • 人間の体に本来備わっている「毛が生え育つ機能」が正常に働くために、健康的な生活を送りましょう
  • 規則正しく良質な睡眠が健康、引いては育毛につながる
  • 頭皮の血行促進は育毛環境を整える上で重要で「ストレス解消」「入浴」「運動」などの方法がある

人間の体には「毛が生え育つ」という機能がもともと備わっています。したがって、まずは健康的な生活を送って「体の機能を正常に働かせる」ことが、育毛を期待する上で重要かつ基本です。ここでは、育毛につながる1つ目の方法である「健康的な生活」について、具体的に確認をしていきましょう。

規則正しい良質な睡眠が育毛につながる

睡眠が十分に取れていない時に、強い疲れを感じたり、物事に集中出来なかったりした経験はありませんか。睡眠不足は健康に悪影響を及ぼし、生活習慣病やうつ病などのこころの病気にもつながることが、医学的に明らかとなっています。

健康的な生活を送るためには、心身の疲れを回復させて体を正常に機能させる役割を持つ「睡眠」を十分に取ることがとても重要です。毎日6~8時間を目安として睡眠時間を取るように心がけましょう。また、良質な睡眠を得るためには、毎日出来るだけ同じ時間に寝て、規則正しい睡眠リズムを保つようにすることも重要です。なぜなら規則正しい睡眠リズムによって体内時計が正常に保たれ、いつも眠る時間になると自然と眠くなってすんなり眠れるようにしてくれるからです。

小見出し2:ストレスは育毛の敵

髪の毛は、髪の毛を作る「毛母細胞」が細胞分裂を起こすことで伸びていきます。毛母細胞は分裂や成長をするために、頭皮に張り巡らされた毛細血管を通して、血液から栄養や酸素を取り込んでいます。そのため、頭皮の血流が悪くなると、毛母細胞に十分な栄養や酸素が届きにくくなり、髪の毛の成長に影響する可能性があります。つまり血行不良は髪の成長を妨げる可能性があり、育毛のためには頭皮の血行を良好にしておく必要があると言えます。

血行不良を引き起こし、育毛を阻害する可能性がある原因の1つが「ストレス」です。身体的・精神的ストレスを感じると、「交感神経」という神経が活発に働きます。すると、頭皮を含む全身の血管は収縮し、血液の通り道が細くなるため血行不良が引き起こされます。

ストレスを全く感じることなく生活していくのは、ほとんどの人にとって不可能だと思います。そこでストレスを「感じない」のではなく、解消をして「溜め込まない」方法を自分なりに考えてみましょう。例えば、簡単に行うことが出来る深呼吸やゆったりとしたストレッチなどを行うだけでストレス解消につながるという人もいます。他にも運動や森林浴など色々な方法がありますが、「自分に合った方法」を見つけて行うのが効果的であるとされています。

血行促進は重要~入浴から運動まで

育毛を目指して頭皮の血行不良を解消するためには、血行促進を意識することも大切です。血行を促進する方法はいろいろありますが、頭皮に限らず全身の血行促進につながる「入浴」と「運動」がお勧めです。

入浴で体を温める

入浴はシャワーだけで終わらせるのではなく、毎回湯船に浸かりましょう。体を十分に温めると血管が拡張し、全身の血行が促進されます。目安としては、38~40℃の湯に10~15分程度入りましょう。湯の温度は、高すぎると心臓に負担がかかるので気を付けてください。

運動で筋肉を動かす

運動も全身の血行促進に効果的です。運動によって筋肉を動かすと、筋肉がポンプの役割をして、下半身に溜まりがちな血液を全身へ送ってくれます。

参考


脱毛症診断チェック

方法②:育毛につながる「外側からの方法」

ここがポイント!

  • AGA治療に用いられている「ミノキシジル」配合の育毛剤は、育毛効果が医学的に認められている
  • その他の育毛剤に含まれる成分のうち、AGAに対する育毛効果が論文で示されているものもいくつかある
  • 日本皮膚科学会は上記の成分を含む育毛剤について、軽症のAGAに用いても良いとしている
  • シャンプーの際は洗い過ぎ、毛穴の汚れ残り、頭皮への負担などを避けるように気を付けましょう
  • 頭皮マッサージブラシに育毛効果があるかどうかは今のところ分かっていない

薄毛の症状を引き起こす代表的な病気の1つが「AGA(男性型脱毛症)」です。AGAによる薄毛の発症には男性ホルモンと遺伝が大きく影響すると分かっており、育毛効果が医学的に認められている治療法がいくつか確立されています。ここでは、2つ目の育毛方法として、体の外側からアプローチする方法を見ていきましょう。

育毛剤

現在日本で製造販売されている育毛剤は、「医薬品」と「医薬部外品」の2種類に分類されます。

医薬品 病気の治療を目的とした薬で、配合されている成分の有効性を厚生労働省が認めているもの
医薬部外品 厚生労働省が許可した有効成分が一定の濃度で配合されているもの

2017年2月現在、日本で「医薬品」として製造販売が認められている育毛剤は、大正製薬の「リアップ」シリーズだけです。リアップの有効成分である「ミノキシジル」は、「毛の組織への血流を改善する作用」「毛の成長を促進する作用」「髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する」などが医学的に確認されているものです。例えば、米国スタンフォード大学の研究により、ミノキシジルが配合された育毛剤に再発毛効果が認められたという論文報告がなされています。
ミノキシジルのメカニズム

ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

一方、育毛効果があるとされ、国内で製造販売されている医薬部外品には、「t-フラバノン」「アデノシン」などを有効成分とした育毛剤があります。これらの成分の育毛効果は、それぞれ国際的な科学専門誌で論文報告されています。

t-フラバノンの育毛効果

t-フラバノン配合の育毛剤を製造販売している花王株式会社の生物科学研究所は、AGAの人がt-フラバノン配合の育毛剤を使用してから6カ月で髪の毛の太さが増大し、また抜け毛の数が減少したという結果を論文報告しています。

アデノシンの育毛効果

アデノシン配合の育毛剤を販売している株式会社資生堂の資生堂リサーチセンターは、アデノシン配合の育毛剤をAGAの人が6カ月間使用すると、太い毛の増加が認められ、80%程度の人に軽度以上の改善が見られたという結果を論文報告しています。

これらの論文報告を踏まえ、日本皮膚科学会は、AGAの診療ガイドラインの中でこれらの育毛剤の使用について、A~Dの4段階の推奨度の3番目であるCとして軽症のAGAに対して用いても良いとしています。ちなみに、推奨度Aはミノキシジル配合の育毛剤とAGA治療用内服薬、推奨度Bは自毛植毛とされています。

医薬品の育毛剤 ミノキシジル配合の「リアップ」シリーズのみ
医薬部外品の育毛剤 t-フラバノン配合の育毛剤、アデノシン配合の育毛剤など多数


育毛剤の効果ついては、「【育毛効果を最大化させるための実践法とは】AGA治療薬、市販の育毛剤、育毛シャンプーから食べ物まで医学的根拠の有無も解説」で詳しく解説していますので、参考にしてください。

シャンプーで気を付けるべき点

シャンプーをする時の髪の毛の洗い方に少し気を付けるだけで、育毛を助けることが出来ます。しかし反対に、間違った方法で髪を洗っていると、脱毛を促進する可能性があります。ここでは育毛を目指す人がシャンプーの際に気を付けるポイントを確認しておきましょう。

洗い過ぎない

髪の毛の洗い過ぎは、頭皮の乾燥につながります。頭皮が乾燥していると、頭皮の細胞が正常に機能しづらくなり、髪の毛が生えにくくなる可能性があるばかりでなく、炎症などを起こしやすくなってしまいます。

毛穴の汚れを落とす

洗い過ぎは良くない一方で、洗いが足りなく残った汚れにより毛穴が詰まってしまっても、毛が生えにくくなると考えられています。髪の毛を洗うときは毛穴の汚れを落とすために、シャンプーの前にまず髪と頭皮をしっかりとお湯で流しましょう。シャンプーは、手のひらなどで最初に泡立ててから髪の毛や頭皮に付けて洗うと、シャンプーの泡に含まれる洗浄成分により毛穴の汚れがしっかりと取り除かれます。

頭皮に無理な力をかけない

髪の毛を洗う前に、ブラシを使って髪の絡まりを解いておくことで、シャンプーの時に髪に指が絡まって引っ張ってしまうことが防げます。また、髪の毛を洗うときは、頭皮に爪を立てて洗わず、指の腹を使って優しく洗うようにしましょう。

頭皮マッサージブラシによる刺激は育毛につながるのか

髪の毛を洗う際に使用する、頭皮マッサージのための専用ブラシというものが販売されています。専用ブラシは、頭皮マッサージをすることで血流を促し育毛効果を期待するものとして、育毛剤とセットで販売されている場合もあります。薄毛に悩み、一度は手にしたことがあるという人もいるかも知れませんが、実際に育毛効果は得られるのでしょうか。
今のところ、頭皮マッサージブラシによる頭皮の刺激で育毛効果が得られたという論文報告はありません。医学的根拠がはっきりと示されていないため、育毛効果の真偽については、現状では不明であると言えます。むしろ、マッサージブラシによる刺激が強すぎると、頭皮が傷付き炎症を起こすなどのトラブルにつながる場合があるので、使用の際には力を入れ過ぎないように注意をしましょう。

AGAの人が気を付けるべきシャンプーについて詳しくは「【AGAの予防・改善につながるシャンプーの方法とは】おすすめの洗い方からシャンプー選びのポイントまで~今日から試してみよう」をご参照ください。

ミノキシジルが配合された「リアップシリーズ」は、日本で唯一の発毛剤として販売されています。

参考



方法③:育毛につながる「内側からの方法」

ここがポイント!

  • AGA治療に使われる内服薬「フィナステリド」「デュタステリド」は、育毛効果が医学的に認められている
  • 育毛効果が認められているサプリメントはない

体の外側から行う育毛方法を確認したところで、次は、「内側からの方法」にどのようなものがあるのかを、3つ目の方法として見ていきましょう。

AGA治療に用いられる内服薬

AGA治療薬として、国内で製造販売が認可されている2種類の内服薬(飲み薬)、「フィナステリド」と「デュタステリド」は、育毛効果が医学的に確認されている薬です。

フィナステリドの育毛効果

東京女子医科大学の研究グループは、日本人男性を対象に研究を行い、フィナステリドを1年間飲み続けた場合、対象者の半数以上の人に明らかなAGA改善効果が認められたという結果を論文報告しています。
フィナステリドについて詳しくは「【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説」をご参照ください。

デュタステリドの育毛効果

デュタステリドの製造販売を行っているグラクソ・スミスクライン(GSK)社の研究開発チームが日本を含めた数カ国の大学と行った共同研究により、フィナステリドよりもデュタステリドの方が太い髪の毛を増やす効果が高いという論文報告がなされています。
デュタステリドが有効成分として配合されている医薬品ザガーロについて詳しくは「AGA新薬「ザガーロ」(デュタステリド)を徹底解説|正しい飲み方、効果、副作用、価格など~プロペシア(フィナステリド)との比較表付き」をご参照ください。
AGAは、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが前頭部や頭頂部の毛に作用することで、髪の毛の成長期が短くなって発症する薄毛です。フィナステリドとデュタステリドは、いずれもDHTが作られる過程を邪魔して、髪の毛が細く短くならないようにする薬で、1日1回、毎日飲み続ける必要があります。

脱毛症診断チェック

育毛につながる食べ物はあるのか

ここがポイント!

  • 摂取することで育毛効果が得られると医学的に証明されている食べ物はない
  • 栄養素によっては髪の毛や頭皮の健康をサポートする効果がある
  • 髪の毛を構成している「タンパク質」やタンパク質の合成をサポートする「亜鉛」などを含む食べ物を献立に取り入れよう

体内に栄養を取り込む「食事」は、体の内側から健康に大きく影響しますが、育毛にはどのように影響するのでしょうか。今のところ育毛効果が医学的に証明されている食べ物はありません。一方で、髪の毛が生えて育つ環境を整えるための食べ物はあります。健康な髪の毛のために大切な栄養素は「タンパク質」と「亜鉛」です。

タンパク質

髪の毛は90%以上が「ケラチン」というタンパク質から出来ており、健康な髪の毛や頭皮を保つためにはタンパク質の摂取が欠かせないと言えます。
タンパク質は動物性と植物性の2つに分類されます。


タンパク質の分類 豊富に含まれている食材
動物性タンパク質 赤身の肉、鶏肉、魚、卵など
植物性タンパク質 大豆、納豆、豆腐など
タンパク質が多く含まれる食べ物
それぞれ含まれているタンパク質を構成するアミノ酸の種類が違うため、両方をバランスよく取るようにしましょう。厚生労働省が定めた「日本人の食事摂取基準」によると、1日のタンパク質の推奨摂取量は成人男性が60g、成人女性が50gとされています。

亜鉛

亜鉛には頭皮や髪の毛の細胞が生まれ変わるのを助ける働きがあります。また、髪の毛の主成分であるタンパク質の合成をサポートする働きもあります。そのため、亜鉛不足が重症化すると、脱毛などの症状が現れる場合もあります。
「日本人の食事摂取基準」によると、1日の亜鉛の推奨摂取量は18〜69歳の男性で10mg、女性で8mgです。
亜鉛は牡蠣、赤身の肉、鶏肉などに豊富に含まれています。牡蠣は特に亜鉛が豊富に含まれており、厚生労働省の「統合医療」情報発信サイトには、カキフライ3個(約85g)中に約74mgの亜鉛が含まれていると示されています。
亜鉛が多く含まれる食べ物

サプリメントは医学的に育毛効果があるのか

現在、日本皮膚科学会により育毛効果に十分な医学的根拠があると認められ、AGAの治療薬として積極的に推奨されている成分は、外用薬の「ミノキシジル」、および内服薬の「フィナステリド」と「デュタステリド」の合計3つだけです。これらの成分を含むものは「医薬品」扱いとなるため、サプリメントとして販売されるということはありません。したがって、育毛効果をうたって販売されているサプリメントは、育毛効果が医学的に証明されているものではないということになります。先ほどご紹介した栄養素の「タンパク質」と「亜鉛」も、それぞれサプリメントが販売されていますが、育毛効果が示されているものではありません。

参考


育毛方法と発毛・増毛・植毛の方法との違い

ここがポイント!

  • 「育毛」は、生えている髪の毛を太く長くすること
  • 「発毛」は、新しい髪の毛が生えることで、発毛方法は育毛方法と基本的に同じ
  • 「増毛」は、抜けずに残っている髪の毛に人工毛を編み込むなどして髪の毛の量を増やすこと
  • 「植毛」は、自分の脱毛しづらい部分の毛を「毛包」ごと取って、脱毛部に植え込むこと

薄毛やAGAに関する広告や記事などでは、しばしば「発毛」「増毛」「植毛」など、「育毛」と似ている言葉が出てきます。ここでそれぞれの意味や方法の違いを確認し、正しく理解しておきましょう。

まずは、それぞれの言葉の意味です。
育毛 既に生えている髪の毛をより太く長く成長させること
発毛 髪が生えていない毛穴から、新しい髪の毛が生えること
増毛 髪の毛が薄くなった部分に人工的に髪の毛を増やすこと
植毛 自毛や人工毛を頭皮に植え付けること

これら4つの言葉の意味が全て異なると分かったところで、次に、それぞれの方法の違いを確認していきましょう。育毛方法は前の章で説明した通りですので、ここでは発毛・増毛・植毛の方法を簡単に説明します。
育毛・発毛・増毛・植毛の違い

発毛方法

発毛も育毛も、どちらも毛の「成長期」を正常に保つことにより促進されるため、発毛方法は基本的に育毛方法と同じと言えます。したがって、育毛効果が認められていると先ほど説明をした、ミノキシジル、フィナステリド、デュタステリドの3種類のAGA治療薬には、発毛効果も認められています。

増毛方法

増毛は、以下のように複数の方法があります。
・残っている髪に、人工毛を編み込んで髪の毛を増やす
・髪の毛が付けられたシートを頭皮に張り付ける
・かつら(ウィッグ)などを使う

それぞれにメリット・デメリットがあるため、実施する前には詳しい内容、料金、実施後のケアなどについて、直接問い合わせて確認をした上で、自分のライフスタイルに合ったものを選択するようにしましょう。

植毛方法

植毛は、頭皮の脱毛している部分に毛を植えつける方法ですが、植え付ける毛には「自毛」と「人工毛」の2種類があります。AGAの診療ガイドラインでは、AGA治療薬の効果が得られなかった人に対して自毛植毛が推奨されている一方で、人工毛植毛については、植え付けた後に頭皮に生着せず皮膚トラブルになる危険性が高いため、行わないようにと呼びかけています。
自毛植毛にもいくつか方法はありますが、一般的には、自分の後頭部などの脱毛しにくい部分から毛を根元の「毛包」ごと採取し、それを脱毛部に作った穴に植え付ける方法で行います。

植毛について詳しくは「【自毛植毛によるAGA治療について】植毛後の経過、費用、メリット・デメリット、失敗例など幅広く解説」
をご参照ください。

参考


脱毛症診断チェック

育毛方法は「額の生え際」と「頭頂部」とで異なるのか

ここがポイント!

  • 基本的には額の生え際と頭頂部の育毛方法は同じで「外用薬」または「内服薬」
  • ミノキシジル配合の外用薬は、頭頂部に対する効果は証明されているが、実は額の生え際では試されていない
  • AGA内服薬の効果は額の生え際も頭頂部も同じ

AGAでは、主に額の生え際(前頭部)と頭頂部が薄毛になります。人によって薄毛のパターンは異なり、額の生え際が徐々に後退する人もいれば、頭頂部の髪の毛が少しずつ薄くなる人もいます。また、生え際と頭頂部両方が薄くなる人もいます。ここでは、頭頂部と生え際で育毛方法は同じなのか、それとも異なるのかを確認しておきましょう。

既に解説したように、育毛効果が医学的に十分認められている方法は「ミノキシジル」配合の育毛剤と2種類の「内服薬」です。

育毛剤は、額の生え際と頭頂部とで、使用方法に違いはありませんが、実は、育毛効果に違いがないとは言い切れません。ミノキシジル配合育毛剤の販売前に行われた薬の育毛効果を評価する研究は、頭頂部のみで行われました。額の生え際と頭頂部とでは、頭皮の状態が若干異なるため、それらの影響を受けて毛根部の状態も多少異なっている可能性があります。そのため、額の生え際に使用した際に、必ずしも同じ育毛効果が得られるとは言い切れないというのが現状です。

一方内服薬は、薬を飲むと成分が全身を巡るため、効果は基本的に全身に及びます。また、頭頂部と生え際で薬による効果が異なるというデータも示されていないため、頭頂部と生え際とで育毛方法に違いはないと言えます。

つむじや眉毛など局所の育毛方法はあるのか


つむじや眉毛など限られた箇所に対して育毛効果があるかを、医学的に検証している育毛方法はありません。しかし、ほとんどの方は頭頂部につむじがあるため、つむじが薄毛になっている場合はAGAを発症している可能性があります。しかし、円形脱毛症による脱毛がつむじ付近に起きてる可能性もあります。まずは、つむじや眉毛で脱毛が起きている原因を特定することが必要です。

脱毛症診断チェック

女性と男性とで育毛方法は異なるのか

ここがポイント!

  • AGA治療に用いられる内服薬は、女性は使用禁止
  • ミノキシジルの配合濃度が5%の育毛剤は男性のみ使用が許可されており、女性は1%を使用する

AGAは男性だけではなく、女性でも発症する場合があります。では性別の違いで育毛方法は異なるのでしょうか。

AGAの治療薬であり、育毛効果の認められている内服薬「フィナステリド」「デュタステリド」は、女性の使用が禁止されています。その理由は、女性での薬の効果が検証されていないのと、男児を妊娠していた場合、薬がおなかの赤ちゃんの生殖器の形成などに悪影響を及ぼす可能性があると考えられているからです。

またミノキシジル配合育毛剤の使用も、性別によって違いがあります。リアップにはミノキシジルの配合濃度が異なるいくつかの商品があります。現在日本で認められているミノキシジルの最大配合濃度は5%ですが、これは男性のみで使用が認められています。女性は1%ミノキシジル配合の育毛剤しか使うことが出来ません。その理由は、5%ミノキシジル配合の育毛剤は女性に対する効果や安全性が確認されていないからです。

ツボや冷水などの民間療法は医学的に育毛効果があるのか

ここがポイント!

  • 「ツボ」や「冷水」は頭皮の血流促進をうたっているが、育毛効果は医学的に認められていない
  • 間違った方法を行うことで、脱毛を促進してしまう可能性があるため注意しましょう

育毛方法として「ツボ」や「冷水」などが紹介されている場合があります。最後に、これらの方法は医学的に育毛効果が認められているのかについてお話ししておきます。

ツボ

東洋医学の方法とされる「ツボ」は、頭皮の血流を良くすることで育毛を促すというメカニズムとされています。しかし、ツボを刺激することによる育毛効果を検証する研究は行われておらず、現在のところ医学的根拠は認められていないと言えます。育毛を期待してツボを刺激する場合は、この事実を理解した上で行うようにしましょう。

ちなみに、育毛に効果的であると紹介されているツボには以下のようなものなどがあります。


ツボの名称 効果
合谷(ごうこく) 頭部だけなく、全身の血行促進し、頭皮のトラブルに効果的
通天(つうてん) 頭皮の血行を良くして脱毛の進行を遅らせる
風池(ふうち) 円形脱毛症、後頭部の脱毛に効果的
天柱(てんちゅう) 頭部の血行を良くして、後頭部の脱毛に効果的
百会(ひゃくえ) 脱毛予防に効果的
ツボの位置

冷水

髪の毛を洗うときに「冷水」で頭を流すことで育毛効果があると紹介しているホームページなどもあります。シャンプーの後などに冷水(水道の温度)で頭皮を流すと、頭皮の血流が良くなるというのです。しかしツボと同様、冷水による育毛効果も、医学的根拠が認められていません。むしろ冷水を浴びることで血管が収縮し、血流が悪くなる可能性が考えられます。
脱毛症診断チェック

まとめ

育毛方法について、「規則正しい健康的な生活」「外側からの対策」「内側からの対策」の3つの方法を軸に解説をしてきました。
髪の毛が生え育とうとする体に本来備わった力を正常に発揮するために、まずは良質な睡眠や入浴、運動の実践などにより、健康的な生活を送るよう心がけましょう。体の外側からは、育毛効果が認められている育毛剤の使用や、正しいシャンプー方法などで対策をしましょう。体の内側からは、必要に応じてAGA治療の内服薬や、髪と頭皮の健康を保つタンパク質や亜鉛などの栄養素を食事で積極的に取り入れるなどで対策をしましょう。
育毛方法に関しては、まだ医学的根拠の認められていない、不確かな情報も多く流れています。間違った情報に惑わされないように、正しい情報を得て、自分に合った育毛方法を選択していきましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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