糖尿病になる7つの原因とは|糖尿病になりやすいタイプを解説します

一口に「糖尿病」と言っても、さまざまな原因と、原因別のタイプがあります。
糖尿病と言えば、甘いものや脂っこいものをたくさん食べていて、運動不足の人がなる病気・・・そんなイメージはありませんか。実は、糖尿病には、食生活とは無関係になってしまう先天的なタイプや、妊娠に伴う変化、薬剤性のものなどさまざまなタイプがあります。
自分は糖尿病になる家系ではない、と思っている人も、何かのきっかけて発症する可能性がないとは言い切れません。このように、誰しも「絶対に他人事」とは言い切れない糖尿病には具体的にどのような原因やタイプがあるのでしょうか?ここで知っておきましょう。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病になる原因には主に7つのパターンがある
  2. 02パターン① インスリン分泌低下
  3. 03パターン② インスリン機能低下
  4. 04パターン③ 膵臓β細胞破壊
  5. 05パターン④ 妊娠によるホルモン変化
  6. 06パターン⑤ 遺伝子異常が原因
  7. 07パターン⑥ 他の病気が原因
  8. 08パターン⑦ 使用している薬が原因
  9. 09まとめ

糖尿病になる原因には主に7つのパターンがある

ここがポイント!

  • 糖尿病は生活習慣病としてのものだけではない
  • 生活習慣が原因の「2型糖尿病」が日本人では最も多いタイプである
  • 遺伝的に糖尿病になりやすい人や、薬の影響で糖尿病になることもある

糖尿病は実は放置しておくと命に関わる病気にも発展する怖い病気です。それなのに、糖尿病の初期段階の人は、あまり糖尿病を怖い病気として認識していないとも言われています。そんな糖尿病の原因を細かく見ていってみましょう。

糖尿病の7つの原因

糖尿病はその原因により、「1型糖尿病」「2型糖尿病」「その他の原因による糖尿病」「妊娠糖尿病」の4つに分けることができます。2型糖尿病には2つの原因パターンがあります。「その他の原因による糖尿病」には「遺伝子異常によるもの」「薬剤によるもの」「感染症によるもの」の3つに分けられます。これらを合わせると、糖尿病には7つの原因パターンがあります

日本人の糖尿病の約95%は2型糖尿病

日本人の糖尿病患者の約95%が、生活習慣の乱れ、肥満、ストレス、運動不足などから発症する「2型糖尿病」です。また、2型糖尿病は、生活習慣だけではなく、遺伝的な素因も発症に関与しているのではないかと考えられています。

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パターン① インスリン分泌低下

ここがポイント!

  • インスリン分泌低下は、インスリンを分泌する膵臓の疲労によって起こる
  • 血糖を下げる働きを持つ「インスリン」の分泌低下により高血糖が持続する

インスリンとは

「インスリン」は、ホルモンの一種で、膵臓の「ランゲルハンス島」と呼ばれる部分に存在する「β(ベータ)細胞」から分泌されます。インスリンは、食後に多く分泌され、食事からエネルギー源として血管に取り込まれた糖を、肝臓などの臓器にしまい込む働きを持っています。インスリンが何らかの理由で正常に作用しなくなり、糖が血管内にずっと存在する状態が、糖尿病です
インスリンとは

インスリン抵抗性について

代表的な糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病の2つです。
まずは日本人で圧倒的に多い2型糖尿病について説明します。

2型糖尿病のメカニズムを説明する前に、まずは「インスリン抵抗性」という、インスリンの効果が出にくくなる状態の説明をしましょう。
インスリンは普段、細胞の表面にある「GLUT4」という受容体タンパク質にくっつき、これを通して糖を細胞内に入れています。

インスリンを人に例えて考えてみましょう。普段は、1人のインスリンがGLUT4という「ドア」を開けることができます。ところが、インスリン抵抗性があると、このドアを開けるために、3人、4人と多くのインスリンが必要になります。

例えば20人のインスリンが出動するとして、平常状態だと、20人なら20個のドアを開けることができます。ところが、4人で1つのドアを開けることしか出来ないなら、5個のドアしか開けることができません。
したがって、その分、細胞内に取り込める糖が減少し、血管内に糖が多く残され、血糖値が上昇してしまうのです。

2型糖尿病のメカニズム

2型糖尿病のメカニズムは、膵臓からインスリンが出にくくなる「インスリン分泌低下」と、今お話しした「インスリン抵抗性」によって説明されます。2型糖尿病は、この2つのどちらがメインの原因かによって、「インスリン分泌障害優位型」と「インスリン抵抗性優位型」の2つのタイプに分けられます
2型糖尿病は2つのタイプがある
日本人に多い2型糖尿病の中でも、膵臓からのインスリン分泌低下がインスリン抵抗性よりも目立つ「インスリン分泌障害優位型」は最も多いタイプです

インスリン分泌障害優位型のメカニズム

食事を取ると、食事に含まれるデンプンなどはグルコース(ブドウ糖)に分解され、小腸で血管へと吸収されます。そのため、食事の直後は一気に血糖が上昇します

血糖が上昇すると、「間脳視床下部」という脳の一部や膵臓自体がそれを感知して、インスリンを分泌します。すると、糖は脳やいろいろな臓器にエネルギー源として供給されます。インスリンは、肝臓や筋肉に運ばれた糖を貯蓄型のエネルギー源である「グリコーゲン」という形に変えるのも促進します。

このように大事な働きをするインスリンですが、インスリン分泌障害優位型の人では、「遺伝的な性質」や「膵臓の疲労」によって、インスリンの分泌が少なくなっています。稼動できるインスリンの絶対数が少ないため、食事によって上がった血糖を処理しきれず、高血糖の状態になりやすくなります。そして徐々に、高血糖が持続してしまうこととなります。

パターン② インスリン機能低下

ここがポイント!

  • 「インスリン抵抗性」は、インスリンが出ているにも関わらず効果が出なくなってしまうこと
  • インスリン抵抗性優位型では、インスリン抵抗性がインスリン分泌障害より大きく影響する

インスリン抵抗性優位型の人の2型糖尿病の発症メカニズムを解説していきます。

インスリン抵抗性優位型であっても、先ほど説明をした「インスリンの分泌低下」が、一切起こっていないわけではありません。
糖尿病になる二つの要素「インスリン分泌低下」と「インスリン抵抗性」とを比較したときに、インスリン抵抗性の影響の方が大きい場合に「インスリン抵抗性優位型」とされるのです。

インスリン抵抗性優位型の人の場合、食事後に急激に血糖上昇が上がると、これに対処するために、膵臓は必死に頑張り、インスリン分泌を亢進させます。

もちろん、膵臓が頑張ってたくさん出したインスリンの効果で、肝臓への糖取り込みが亢進するのですが、膵臓が頑張ってインスリンを出す状態が長く続くほど、先ほど説明したような「インスリン抵抗性」は上がっていきます。やがて、肝臓での糖の取り込みが低下したり、筋肉・脂肪組織には糖の取り込みができない状態になっていきます。

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パターン③ 膵臓β細胞破壊

ここがポイント!

  • 1型糖尿病は膵臓β細胞が破壊されて生じる
  • 1型糖尿病の原因には遺伝因子と環境因子がある

インスリンを分泌する、膵臓β細胞が破壊されることで発症するのが、1型糖尿病です。生活習慣が主な原因となる2型糖尿病とは異なり、子どものうちから発症することが多いのも特徴です。

1型糖尿病とは

1型糖尿病は、インスリンを分泌する細胞そのものが破壊されてしまうため、当然インスリン分泌量が減ります。そのため、高血糖が持続することになるのです。β細胞が全て破壊されてしまうと、膵臓から全くインスリンが出ない状態となります。
1型糖尿病のメカニズム.png
1型糖尿病の原因には「遺伝的要因」と「環境的要因」があります。遺伝的要素は生まれつきのもので、環境的要素は病原体の感染など、生まれた後に生じたものです。
1型糖尿病発症の2つの要因とは.png

遺伝的要因

まず、遺伝的要因の方を見てみましょう。「HLA」と呼ばれる、人それぞれ異なるタンパク質がある特定のものであると、膵臓β細胞に対し「自己免疫」が引き起こされやすいと考えられています。
自己免疫とは
免疫とは、体内に入ってきた異物、すなわち自分の体ではないものを敵と判断して攻撃し、排除する役割です。しかし、まれに、攻撃の指令が正しく行われなくなり、本来の攻撃対象ではない自分の組織に対して攻撃排除をしてしまうことがあります。これが自己免疫です。

自己免疫が働いて、間違って攻撃されたβ細胞は死に、だんだん数は減っていってしまいます。このように、遺伝的に自己免疫が起こりやすい人は、そうでない人に比べ、1型糖尿病にもなりやすいというわけです。

環境的要因

メカニズムははっきりと分かっていませんが、1型糖尿病の発症は、風邪の時期に多いことが知られています。そのため、コクサッキーウイルスやムンプスウイルス(おたふく風邪の原因ウイルス)などへの感染が引き金となり、β細胞が死んでしまうのではないかとも考えられています。これが、1型糖尿病の環境的要因です。

遺伝的要因や環境的要因により、β細胞が全体の8割から9割破壊されてしまうと、高血糖の症状が現れます。そして、大半の場合は、最終的に一切インスリンが分泌できない状態に陥ってしまいます。

パターン④ 妊娠によるホルモン変化

ここがポイント!

  • 妊娠糖尿病は妊娠して初めて診断される「糖代謝異常」
  • 妊娠糖尿病は、糖尿病と名付けられているが、糖尿病より軽い状態の糖代謝異常
  • 妊娠すると自然にインスリン抵抗性が上がる仕組みとなっているのが原因の1つ

妊娠糖尿病とは

妊娠糖尿病とは、妊娠以前には血糖値で引っかからなかった人が、妊娠によって初めて発見された糖代謝異常のことです。もともと糖尿病であったり、妊娠で明らかな糖尿病であると診断されたりした場合は、妊娠糖尿病ではなく「糖尿病」となります。妊娠糖尿病は、糖尿病より軽度な状態だといえます。
妊娠糖尿病とは.png

妊娠糖尿病は母子に悪影響を与える

妊娠中に高血糖状態が持続すると、おなかの赤ちゃんに栄養が行き過ぎる状態になります。すると、赤ちゃんが奇形になる率が上がったり、巨大児の出産につながったりします。分娩時に母子ともに危険な状態となることも少なくありません。そのため、軽度であっても早期発見・管理が重要なのです。

妊娠中は糖尿病になりやすい

妊娠中、おなかの中の赤ちゃんは育ち盛り。栄養源として、たくさんのグルコースを必要としています。そのため、母体は赤ちゃんにできる限りたくさんグルコースを送り込む仕組みを作ります。
だいたい、妊娠20週以降になってくると、胎盤から出るホルモンの影響で、母体の筋肉・脂肪細胞に「インスリン抵抗性」が引き起こされるようになります。
すると、母体側はグルコースを取り込みにくくなり、母体が取り込まなかった分のグルコースが赤ちゃんへと回されることになります。

このような仕組みが働いている中、さまざまな原因によって、通常よりもインスリン抵抗性が強くなりすぎてしまうと、妊娠糖尿病が発症します。

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パターン⑤ 遺伝子異常が原因

1型糖尿病も2型糖尿病も、「なりやすさ」に関わる遺伝的要因は存在しますが、はっきりと原因となる遺伝子が同定されているものもあります。

現在、同定されている遺伝子は、大きく分けて、「膵臓β細胞に関わる遺伝子」と「インスリン作用の伝達系に関わる遺伝子」の2種類です。

「膵臓β細胞に関わる遺伝子」としては、インスリン遺伝子、MODY遺伝子、ミトコンドリア遺伝子などが挙げられます。「インスリン作用の伝達系に関わる遺伝子」としては、インスリン受容体遺伝子などが挙げられます。

国の難病情報センターによると、何らかの遺伝子の異常が原因であると言い切れる「家族性若年性糖尿病」の日本人のうち、約2割はMODY遺伝子の異常だと推定されています。残りの8割は、まだ遺伝子が特定できず、未知である人が多いとのことです。また、遺伝子が原因で発症している糖尿病は、今のところ根治することはできません。

パターン⑥ 他の病気が原因

ここがポイント!

  • 先にかかっている病気が原因で糖尿病が引き起こされることがある
  • 原因となる病気は、クッシング症候群や感染症などさまざまな種類がある

先にかかっている病気が原因で、糖尿病が引き起こされることもあります。

他の病気が糖尿病の原因になる事もある
<糖尿病の原因となる疾患>
膵臓の病気 膵炎・腫瘍などによる
内分泌疾患 クッシング症候群・褐色細胞腫など
肝疾患 慢性肝炎・肝硬変など
感染症 先天性風疹やサイトメガロウイルス、コクサッキーウイルスなど
免疫系の病気 インスリン受容体に対する抗体
その他 ダウン症候群やプラダー・ウィリー症候群

なぜ1型糖尿病の原因になるのか

感染症では、体内に侵入してきた細菌やウイルスに対して、免疫細胞が攻撃をしている傍らで、誤って自分の細胞を攻撃してしまう「自己免疫応答」も生じてしまう場合があります。膵臓のβ細胞が対象になった場合には、細胞が破壊されて、インスリンが分泌されなくなり1型糖尿病の病態が引き起こされると考えらえれています。

クッシング症候群褐色細胞腫ステロイド薬剤による糖尿病は、1型糖尿病を発症してしまうメカニズムがよく似ています。いずれも、「グルココルチコイド」という血糖値を上げるホルモンが、恒に高い状態になり、糖尿病を発症してしまいます。

膵臓は「消化液を出す外分泌腺としての機能」と「ホルモンを出す内分泌腺としての機能」の両方を持っています。膵炎や膵臓がんになって、内分泌系の細胞が破壊されてしまった場合、インスリンが出なくなってしまい、糖尿病になります。

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パターン⑦ 使用している薬が原因

ここがポイント!

  • グルココルチコイドやインターフェロンなどの薬の使用で糖尿病になることがある
  • グルココルチコイドは「医原性クッシング症候群」を引き起こし、これにより糖尿病になる

「グルココルチコイド」や「インターフェロン」などの薬を使って病気を治療していると、その薬によって糖尿病が引き起こされることもあります。

グルココルチコイドは本来、副腎皮質より分泌されるホルモンです。「副腎」というのは腎臓の上に小さく三角形の形についている臓器の名前で、小さいけれども重要なホルモンをいろいろ分泌しています。

グルココルチコイドが副腎からたくさん分泌されすぎてしまう病気が「クッシング症候群」です。グルココルチコイドを薬として過剰に体内に取り入れている状態が「医原性クッシング症候群」です。グルココルチコイドは本来、血糖を上げる作用を持っているホルモンなので、これによって血糖が上昇し、糖尿病となってしまいます。

また、インターフェロンという薬には、免疫力を高める作用があります。このインターフェロンの副作用として生じた自己免疫が、膵臓β細胞を破壊し、糖尿病につながる場合もあります。

まとめ

糖尿病は、持続的な高血糖を主徴とする病気で、さまざまな原因があります。
大きく2つ、1型糖尿病と2型糖尿病に分けられますが、日本人に最も多いのは2型糖尿病です。
血糖が高くなる原因には、「インスリンの分泌低下によるもの」と「インスリンの機能低下によるもの」があり、2型糖尿病は、「インスリン抵抗性優位型」と「インスリン分泌障害優位型」の2つのタイプに分類されます。このうち日本人に多いタイプは「インスリン分泌障害優位型」で、原因は遺伝的なもの、環境的なものなど多岐に渡ります。
1型糖尿病は、遺伝的要因に加え、感染などの環境的要因により発症する糖尿病で、膵臓β細胞が自己免疫により破壊されてしまい生じる糖尿病です。若い人や、肥満でない方でもなる可能性がある糖尿病です。
妊娠糖尿病は、妊娠をきっかけに初めて発見された糖代謝異常です。妊娠中は、赤ちゃんにたくさん栄養を送るために、生理的に母体はインスリン抵抗性が上がるようになっています。この仕組みが過剰となり糖尿病に近い状態となってしまうのが、妊娠糖尿病です。妊娠糖尿病は、巨大児のリスクがあり、母子ともに危険な状態となり得ますので、気をつけましょう。なお、もともと糖尿病にかかっている人でも巨大児などのリスクはあります。
その他、他の病気や、他の病気の治療に使っている薬が原因となって、糖尿病が引き起こされることもあります。あなたはどのタイプの糖尿病でしょうか。ご自分の糖尿病タイプと原因をしっかり理解して、治療に臨みましょう。
糖尿病そのものは、現在の医学の力ではほとんど完治が難しいもので、多くの危険な合併症と戦いながら血糖コントロールを続けていく必要があります。
つらい時もあるかも知れませんが、糖尿病は一見危険でないようで、放っておくと怖い病気です。正しい知識を身につけ、治療に尽力しましょう。

参考

難病情報センター
ロビンス基礎病理学(丸善出版)
国の難病情報センター

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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