【メタボリックシンドロームとは】あらゆる病気の引き金になるメタボを徹底解説します

「メタボリックシンドローム」という言葉を、一度は耳にしたことがある人がほとんどだと思います。メタボリックシンドロームは、そのくらい今の日本にありふれた病態になっており、しばしば「メタボ」と省略されることもあります。
多くの人がメタボリックシンドロームにかかっているという現状に対して、近年、厚生労働省を始めとした国の機関が警鐘を鳴らし、予防するよう促しています。なぜならば、メタボリックシンドロームは深刻な病気につながる危険性をはらんでいるからです。深刻な病気とは、いったい何なのでしょうか。また、そもそもメタボリックシンドロームとはどのような状態のことを言うのでしょうか。ここでは、メタボリックシンドロームについて正しい知識を身につけるため、詳しくわかりやすく説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01メタボリックシンドロームの危険性
  2. 02メタボリックシンドロームの定義
  3. 03メタボリックシンドロームの原因
  4. 04セルフチェックしてみよう
  5. 05まとめ

メタボリックシンドロームの危険性

ここがポイント!

  • 日本は、メタボリックシンドロームに対して国を挙げて予防・改善していこうとしている
  • メタボリックシンドロームは命に関わるような病気を招くリスクがある
  • メタボリックシンドロームは自覚症状があまりないため重症化しやすい
多くの人は年に1度、健康診断を受けています。健康診断の際に、おなかの周りをメジャーなどで測定したことがあるという人もいるのではないでしょうか。これは、厚生労働省が2008年度から、メタボリックシンドロームの予防・改善を目的とする新しい検診制度を導入したからです。このような検診制度が導入されたことからも分かるように、近年日本では国を挙げてメタボリックシンドロームを予防・改善しようとしています。
その理由は、メタボリックシンドロームが命に関わるような病気につながること、また症状に気付きにくく重症化しやすいからです。詳しく見ていきましょう。

メタボリックシンドロームに関係する病気

メタボリックシンドロームがきっかけとなって発症するリスクがある病気は、「心筋梗塞」「脳卒中」「糖尿病」などです。

メタボリックシンドロームは「動脈硬化」を促進させます。動脈硬化が進行していくと、血管が詰まりやすくなったり、血管が破れやすくなったりします。動脈硬化は、体中のどこの動脈にも起こります。心臓の血管で動脈硬化が進むと、狭心症や心筋梗塞などの心臓病を起こしやすくなります。また脳の血管で動脈硬化が進行すると、脳出血や脳梗塞などの脳卒中を起こしやすくなります。心臓病や脳卒中は、一瞬にして命を奪う場合もある危険な病気です。また、一命を取り留めたとしても、意識障害や麻痺が残りやすい病気です。そのため、発症後は付きっきりで医療や介護を受けなければいけいない状態になり、著しく生活の質(QOL)を下げる結果になる場合もあります。

糖尿病もメタボリックシンドロームをきっかけに発症しやすくなります。糖尿病が原因で引き起こされる主な合併症には、神経障害・網膜症・腎障害があります。それぞれが進行すると、神経障害では足などの切断のリスク、網膜症では失明の危険、腎障害では人工透析が必要となる場合があるなど、どれも発症後の人生を大きく変えてしまう可能性があります。
厚生労働省は、メタボリックシンドロームをきっかけに起こりやすくなるこれら以外の病気として、痛風の原因になる高尿酸血症、睡眠時無呼吸症候群、認知症、がん、なども挙げています。
メタボリックシンドロームの危険性

メタボリックシンドロームは気付きにくい

メタボリックシンドロームは自覚症状が現れにくいという特徴があります。

風邪を引くと、体が熱っぽくなり、咳、鼻水、喉の痛みなどの症状が出ます。そのため、体の異変に自分で気付き、早めに薬を飲むなどの対策を取ることができます。一方、メタボリックシンドロームは、自覚症状がほとんどありません。そのため、ほとんどの人がメタボリックシンドロームを改善するための行動をとりにくく、悪化させてしまいます。その結果、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳卒中といった病気になってしまってから、やっとメタボリックシンドロームであったことに気付く、というようなケースもあります

このような理由から厚生労働省は、40歳以上の人が健康診断を受ける場合には、メタボリックシンドロームを調べるための「特定検診」を受けることを義務付け、メタボリックシンドロームと診断された人に対して保健指導を行い、怖い病気の予防や、メタボ陸シンドロームの改善をして行かれるようにしているのです。

高血圧症発症チェック

メタボリックシンドロームの定義

ここがポイント!

  • 太っていたりおなかが出ていたりしているだけでは、メタボリックシンドロームとは言えない
  • 内臓脂肪の蓄積に加えて高血圧、高血糖、脂質代謝異常のうち2つ以上がある場合にメタボリックシンドロームと診断される

「メタボな人」を想像した時に、太っている人を想像しませんか。もちろん太っている人はメタボリックシンドロームになる傾向にあります。しかし、太っているだけではメタボリックシンドロームとは言えません
ではメタボリックシンドロームとはどのような状態のことを言うのでしょうか。

日本では以下の基準に当てはまっている場合にメタボリックシンドロームと診断されます。
1)必須項目:内臓脂肪が蓄積されている(ウエスト周囲径で測定)
 ・男性85cm以上
 ・女性90cm以上
2)選択項目:(1)〜(3)のうち、2項目以上当てはまる
(1)高血圧(収縮期血圧130mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上)
(2)高血糖(空腹時血糖110mg/dL以上)
(3)脂質代謝異常(高トリグリセリド血症150mg/dL以上かつ/または低HDLコレステロール血症40mg/dL未満)
メタボリックシンドロームの定義

内臓脂肪はコンピューター断層撮影法(CT)を使って正確に測定できますが、CT検査は気軽には受けられません。そこで健康診断では、ウエスト周りの長さを測定することによって、内臓脂肪の蓄積量の目安としています。
診断基準から分かるように、メタボリックシンドロームは、おなかの大きさに加えて、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の2つ以上がある場合に診断されるのです。そのため太っている「だけ」ではメタボリックシンドロームとは限らないのです。

メタボリックシンドロームの原因

ここがポイント!

  • メタボリックシンドロームの主な原因は、内臓脂肪の蓄積である
  • 不適切な食事による過剰な摂取エネルギーが内臓脂肪の蓄積を招く
  • 運動不足による消費エネルギーの低下が内臓脂肪の蓄積を招く
  • 内臓脂肪の蓄積は、高血糖、高血圧、脂質代謝異常の原因になる
  • 飲酒による摂取エネルギーの増加や、喫煙による臓器への作用は高血圧などを招く

ここからメタボリックシンドロームの原因となる生活習慣と、メタボリックシンドロームとなるメカニズムをご紹介していきます。
メタボリックシンドロームの原因

不適切な食事と運動不足

メタボリックシンドロームには「内臓脂肪の蓄積」が大きく関わっています。内臓脂肪の蓄積を招く主な原因として、食べ過ぎなどによる摂取エネルギーの過剰や、運動不足による消費エネルギーの低下が挙げられます。
食事によって摂取したエネルギーは、基礎代謝や運動による代謝によって消費されます。しかし、食べ過ぎにより摂取エネルギー量が多すぎるようになると、余ったエネルギーは脂肪に作り換えられます。作り換えられた脂肪は、まず肝臓や腸間膜(小腸や大腸を支えている膜)に「内臓脂肪」として蓄えられ、その後で「皮下脂肪」になります。そのため摂取するエネルギーが多いほど、内臓脂肪が溜まっていきます。

内臓脂肪の蓄積は、高血糖などにもつながります。食事をすると、血糖値の急激な上昇を防ぐためにインスリンというホルモンが出ます。しかし、内臓脂肪が蓄積するとインスリンの効きが悪くなります(インスリン抵抗性)。すると、食事をした時に血糖値が急激に上がりやすくなり、高血糖を起こしやすくなります。
またインスリンが効きにくくなると、体はインスリンの数が少ないのだと判断して、大量に出そうとします。インスリンの分泌が多くなると、高血圧や脂質代謝異常を起こしやすくなります。

飲酒・喫煙

飲酒と喫煙もメタボリックシンドロームに大きく関連しています

まずは飲酒との関連を見てみましょう。お酒は、それ自体にカロリーがあるので、飲み過ぎは摂取エネルギーの過剰を招きます。また、お酒のつまみとなる食事の多くは、揚げ物などカロリーの高いものや、味の濃いものです。アルコールには食欲亢進作用もあるため、アルコールを飲みながらの食事は、結果的に必要以上のエネルギーを取ることになってしまっている場合が多くあります。さらに、厚生労働省の調べによると、飲酒量が多くなるほど、高血圧のリスクが高くなるということが分かっています。先ほど説明したように、高血圧はメタボリックシンドロームの判定基準の1つです。

次に喫煙との関連を見てみましょう。近年「メタボ」と「タバコ」をかけあわせた「メタバコ」という造語が出てきていることからも、両者の関連性の強さが想像できます。東京大学の研究グループが日本人を対象に行った研究によると、喫煙者は非喫煙者に比べてメタボリックシンドロームになるリスクが1.37倍〜3.4倍高いという結果が出ています。たばこの煙に含まれる有害物質が血管や糖代謝、脂質代謝に影響し、高血圧や高血糖などを引き起こすのが原因と考えられています。

高血圧症発症チェック

セルフチェックしてみよう

ここがポイント!

  • メタボリスクは、食事や運動、飲酒、喫煙など生活習慣に大きく関係している
  • 食習慣では早食いなどの食べ方と食事内容がメタボリスクにつながるポイント

あなたがメタボリックシンドロームになりやすいかどうか、「メタボリスク」をチェックしてみませんか。

メタボリックシンドロームのリスクチェック

以下の12個の質問の中で、当てはまるものはいくつありますか。

Q1.朝食を抜くことが多い
Q2.よく噛まないで早食いする傾向がある
Q3.食事は満腹になるまで食べてしまい、腹八分目では終われない
Q4.味の濃い料理が好きである
Q5.甘いものが好きである
Q6.1日に炒め物、揚げ物を2品以上食べる
Q7.間食・夜食をすることが多い。ついついお菓子を食べてしまう
Q8.緑黄色野菜をあまり食べない(毎食食べていない)
Q9.両親、またはいずれかが太っている
Q10.体重が増えてきた
Q11.自他ともに認める酒好きである
Q12.階段よりエレベーターやエスカレーターを使うことが多い
Q13.日常生活で運動をする機会が少ない
Q14.最近ストレスがたまっている
Q15.たばこを吸っている

当てはまった項目数が多いほど、メタボリックシンドロームのリスクが高くなります。
(1)当てはまった項目:1個
→メタボリックシンドロームの可能性は低いです。今の生活習慣を継続していきましょう。
(2)当てはまった項目:2個〜4個
→メタボリックシンドロームの可能性は低いですが、生活習慣の改善の余地はあります。
(3)当てはまった項目:5個〜9個
→メタボリックシンドロームの可能性があります。少しずつ生活習慣を見直していきましょう。定期的な健康診断を受けましょう。
(4)当てはまった項目:10個以上
→メタボリックシンドロームの可能性が高いです。出来る部分から生活習慣を改善していきましょう。定期的な健康診断を受けましょう。

いかがだったでしょうか。2項目以上当てはまった人は、当てはまった項目を中心に、生活習慣を見直していくことをお勧めします。

まとめ

「メタボ」という言葉はよく聞きますが、その詳しい定義などに関してはあまり知らなかったという人も多かったのではないでしょうか。近年では、「メタボ」だけでなく「隠れメタボ」という言葉も生まれ、注目されています。「隠れメタボ」とは、ウエストの周囲径が基準値以下であっても、高血圧、高血糖、脂質代謝異常の2つ以上に当てはまる状態を指します。厚生労働省によると、「隠れメタボ」は日本におよそ914万人いると推定されています。隠れメタボの人もメタボの人と同様に、そうでない人と比較した場合、病気にかかり死亡するリスクが高くなっています。メタボリックシンドロームも隠れメタボリックシンドロームも、主な原因は同じで、「生活習慣」にあります。メタボリスクチェックをして、メタボのリスクが高いと判定された人は、今日から少しずつ改善を目指してみませんか。

参考

e-ヘルスネット|厚生労働省
循環器病情報サービス|国立循環器病研究センター
日本成人病予防協会
Ishizaka, N. et al. Association between cigarette smoking, metabolic syndrome, and carotid arteriosclerosis in Japanese individuals. Atherosclerosis 181(2):381, 2005
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16039294
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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