メタボリックシンドロームの診断基準とは|判定方法をわかりやすく説明

2008年、健康保険法の改正に伴い、メタボリックシンドロームに対する健診である「特定健康診査」の実施が義務化されました。主に対象となっているのは40歳〜74歳の健康保険加入者で、職場や市町村において検診の実施や助成がなされています。
別名「メタボ検診」とも呼ばれる「特定健康診査(特定健診)」とはどのようなものなのか、またメタボリックシンドロームの診断はどのような基準でなされるのか、さらにその治療法や予防法はどのようなものなのか、詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01健康診断でのメタボリックシンドロームの判定方法
  2. 02腹囲の診断結果が男女で異なる理由
  3. 03放っておくとこわいメタボの「行く末」とは
  4. 04健診結果を持って病院へ行こう
  5. 05まとめ

健康診断でのメタボリックシンドロームの判定方法

ここがポイント!

  • 腹囲が大きいだけならばメタボリックシンドロームではない!
  • メタボリックシンドロームは、腹囲+3つの検査で判定する
  • 日本人男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドロームと言われている

「メタボリックシンドローム」と聞くと、おなかが太っている人を想像する人がほとんどだと思いますが、「メタボリックシンドローム」は、単に腹囲が大きいだけの状態ではありません。もちろん、腹囲が大きいということは、内臓脂肪が蓄積した「内臓肥満」の可能性があり、大切な診断基準となります。これに加えていくつかの項目で基準値を超えているのが「メタボリックシンドローム」で、心疾患や脳血管疾患など、重篤な疾患をまねきやすい状態です。

このメタボリックシンドロームに対する健診「特定健康診査(特定健診)」は2008年の健康保険法の改正に伴い実施が義務化された健診です。
生活習慣病である「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」は、心臓病や脳卒中などの重大な病気の発症リスクを上げると知られています。この関連性を踏まえ、生活習慣病の前段階となる「メタボリックシンドローム」に着目し、心臓病や脳卒中などの病気のリスクの有無を検査することを目的とした健診が特定健康診査(特定健診)です。特定健診は、単に重大な病気のリスクを調べるだけでなく、リスクがあった人には、生活習慣をより望ましいものに変えていくための「健康指導」を受けてもらうことも目的としています。

特定健診の対象となるのは40歳〜74歳の健康保険加入者で、会社や市町村で行われる健康診断の際に受けることができます。会社や事業所では、年に1回、深夜に勤務がある場合などは半年に1回、健康診断を実施することが労働安全衛生法で制定されています。

健診にかかる費用に関しては助成制度があります。健康保険の種類や市町村により違いがありますが、自己負担となる費用は平均で500円〜1,000円程度と言われています。健診に行く場合には事前に申請が必要な場合がありますので、問い合わせて確認をする方が良いでしょう。

メタボリックシンドロームを判定するための「特定健診」の中で、必ず行われる項目が腹囲測定です。腹囲測定の結果からは、内臓脂肪の蓄積(内臓肥満)状態が判定されます。腹囲に加えて、高血圧、糖尿病、脂質代謝異常の有無を調べ、これらの結果を総合してメタボリックシンドロームの診断がされます。

最初の診断基準は腹囲測定で、男性≧85cm、女性≧90cmです。
基準値を超えていた場合、さらに(1)血圧測定で、収縮期(最大)血圧≧130mmHgかつ拡張期(最小)血圧≧85mmHg、(2)空腹時血糖≧110mg/dL、(3)トリグリセド≧150mg/dLかつ/またはHDLコレステロール<40mg/dL、の3つの検査結果数値のうち、2つ以上に当てはまると「メタボリックシンドローム」と診断されます。

(1)の血圧基準では「高血圧」の有無を確認します。(2)の血糖値基準では「糖尿病」の有無を確認します。(3)の脂質基準では「脂質代謝異常」の有無を確認します。

つまりメタボリックシンドロームは、「腹囲」+「高血圧」、「糖尿病」、「脂質代謝異常」の4つの項目で判定、診断されるということです。これらの基準は世界共通の基準ではなく、日本人のさまざまなデータと照らし合わせて決められた、「日本人の基準」です。また、特定健診では喫煙の有無についても確認がされます。喫煙は、メタボリックシンドロームが引き起こす「動脈硬化」のリスクをさらに高めるためです。

厚生労働省の報告によると、2013年度に「特定健康診査」を受けた人数は2509万6648人で、そのうち約14.2%358万4013人がメタボリックシンドロームと診断されました。また「メタボリックシンドローム予備軍」だったのは約11.7%296万6488人で、メタボリックシンドロームの診断を受けた人と、メタボリックシンドローム予備軍とされた人の割合を合わせると、約26.1%となります。

これは「特定健康診査」の対象となっている40歳〜74歳の人の中での割合です。これ以外の年齢も含めるとさらに多くの人数となることは間違いありません。


日本人のメタボリックシンドロームの割合

現在では日本人男性の2人に1人、女性の5人に1人が「メタボリックシンドローム」であるといわれています。また、食生活の欧米化などに伴ってメタボリックシンドロームのリスクは若年化していると言われており、近年では「子供のメタボ」も問題になっています。

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腹囲の診断結果が男女で異なる理由

ここがポイント!

  • 女性は男性に比べて皮下脂肪が溜まりやすい
  • 内臓脂肪面積が100cm2に相当する腹囲が男性85cm、女性90cm

メタボリックシンドロームの診断をする際に、必須項目とされているのが「腹囲測定」です。この腹囲測定では内臓脂肪の蓄積状況を判定します。内臓脂肪の計測は、場合によっては腹囲だけではなく「CTスキャン」という検査機器で行うこともあります。
腹囲は、立位(立った状態)で、軽く息を吐き、おへその上の位置で計測をします。男性≧85cm、女性≧90cmが判定基準ですが、なぜ男女で違いがあるのでしょうか?不思議に思う方も多いのではないでしょうか。

腹囲測定の目的は、内臓脂肪量の確認です。内臓脂肪面積が100cm2を超えると、高血圧、高血糖、脂質異常のリスクが高くなると言われています。CTスキャンを使い正確な内臓脂肪量の数値を出すこともできますが、CTスキャンはどこでも簡単に行うことができる検査ではありません。そこで、より簡単にどこでも実施できる基準として「腹囲測定」が必須項目として決められました。一方で、腹囲測定を行う上で問題になるのが、男女の体質の差です。

女性は男性に比べて「皮下脂肪」が溜まりやすい体質です。同じ肥満でも女性の場合は皮下脂肪型肥満が多いのに対して、男性は内臓脂肪型肥満の割合が多くなります。そのため、同じ内臓脂肪の量であっても、女性は男性に比べ、皮下脂肪の分だけ数値が大きくなってしまいます。

CTスキャンで実際に内臓脂肪を測定した結果から、およそ100㎠の内臓脂肪が付いている場合に相当する腹囲は男性84.4cm、女性92.5cmであると判明し、国内での腹囲の基準が男性≧85cm、女性≧90cmと決められました。これが、男女で判定基準に差がある理由です。大切なのは腹囲の大きさではなく、内臓脂肪面積が100㎠を超えているかどうかなのです。

放っておくとこわいメタボの「行く末」とは

ここがポイント!

  • メタボリックシンドロームは動脈硬化の原因になる
  • メタボリックシンドロームは命に関わる病気の「予備軍」と言える

メタボリックシンドロームは、「内臓脂肪が多く、かつ血圧・血糖・脂質異常の状態」と言えます。ところがこの状態は、明らかな症状がないため、放置されてしまう危険があります。メタボリックシンドロームの怖いところは、放置すると確実に次の病気を引き起こすリスクが高くなるということです。ときには命の危険を脅かす病気へとつながっていきます。

メタボリックシンドロームを放置しておいた場合に、まず起こるのは「動脈硬化」です。腹囲が基準をオーバーしている状態は、内臓脂肪が多い状態であり、それに伴い血液中の脂肪の量も増加していています。この状態が長く続くと、血液中の中性脂肪やコレステロールが増加し、善玉コレステロールが減少してしまいます。
血液中に増えた中性脂肪やコレステロールは、血管にダメージを与えます。ダメージを受けた血管は、柔軟性や弾力性を失ってしまいます。この状態が「動脈硬化」です。血管は全身に張り巡らされているものなので、動脈硬化は全身にさまざまな障害を引き起こす可能性のある怖い病気です。
メタボリックシンドロームを放置すると


ここで再びメタボリックシンドロームの判定基準を見てみましょう。

「血圧」についてですが、通常、高血圧の基準は収縮期血圧≧140mmHg、拡張期血圧≧90mmHgとされています。一方、メタボリックシンドロームの診断基準の数値は収縮期血圧≧130mmHg、拡張期血圧≧85mmHgとされています。このようにメタボリックシンドロームにおける血圧の基準は、通常の高血圧の診断基準より厳しく設定されています。これは、血糖の基準値(空腹時血糖≧110mg/dL)が通常の糖尿病の基準より厳しく設定されていることと同じです。つまり、各疾患が合併している可能性があるメタボリックシンドロームでは、動脈硬化がより進みやすい状態のため、基準を厳しく設定することで、軽症のうちから治療する必要があるからです。

このように、メタボリックシンドロームは「高血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」を併発していたり、今後発症してしまう可能性があったりする状態だといえるのです。「高血圧症」「糖尿病」「脂質異常症」は「生活習慣病」ともよばれており、患者数は年々増加しています。
メタボリックシンドロームの判定に目をつぶり、改善されないまま時間が経つと、命を脅かすような重大な疾患を発症してしまうリスクが非常に高くなります。現在日本人の死因の1/3は「心疾患」(心筋梗塞や狭心症など)と「脳血管疾患」(脳梗塞、脳出血等)であるといわれています。

日本糖尿病学会の「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013」によると、メタボリックシンドロームの人は、メタボリックシンドロームでない人に比べ、心疾患や脳血管疾患の発症リスクが約2倍高いと報告されています。これらの疾患には生活習慣病が強く関与しているといわれており、その最初の原因として考えられているのが、メタボリックシンドロームです。
メタボリックシンドロームは、はっきりとした症状はありませんが、その状態は確実に体の中に変化を引き起こしています。メタボリックシンドロームが引き金となって起こる生活習慣病は、「心疾患」や「脳血管疾患」だけでなく、さまざまな病気をひき起こす原因にもなります。
何か症状や病気が発症してから改善するのではなく、メタボリックシンドロームと診断されたその時から、またメタボリックシンドロームと診断されないように、健康的な生活を心がけることが大切です。

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健診結果を持って病院へ行こう

ここがポイント!

  • メタボリックシンドロームを指摘されたら必ず医療機関に行こう!
  • 「内科」「メタボリックシンドローム外来」で診察を受けよう
  • まずは5%の体重減少を目標にしよう。

健診の結果、メタボリックシンドロームの基準に当てはまり、メタボリックシンドロームと診断されたり、医療機関の受診を勧められたりした場合には、どの診療科を受診すれば良いのでしょうか。

メタボリックシンドロームは、一般的には「内科」での診察となります。現在では「メタボリックシンドローム外来」や「肥満・メタボリックシンドローム外来」という、メタボリックシンドロームや肥満を専門的に診療する外来も増えてきています。近隣の医療機関でこのような「専門外来」があるのであれば、ぜひこちらを受診してみてください。

医療機関を受診すると、再度腹囲や血圧の測定が行われます。また、身体の状態をより詳しく調べるために、細かな問診や血液検査、場合によってはCTスキャンなどの検査も行われます。検査の結果、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などの診断がつけば、状態に応じて薬の内服などの治療が開始されます。

幸い、これらの病気の確定診断を受けなかった場合でも、油断をしてはいけません。何度も説明しているように、何も改善しないままの状態では、近い将来必ずなんらかの病気を発症することが多いからです。

メタボリックシンドロームであるということは、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」などの生活習慣病を発症する危険のある「予備軍」であるということを忘れてはいけません。健診でメタボリックシンドロームと判定されたら、必ず医療機関の受診をしましょう

メタボリックシンドロームと診断されたら


さらにこれらの「生活習慣病」は、その名前の通り、治療や予防には生活習慣の改善が最も有効です。厚生労働省が推奨するメタボリックシンドローム改善のための基本戦略では、まず体重の5%を減らすことを目標にしようとうたっています。メタボリックシンドロームを引き起こすおおもとの原因は「内臓脂肪の蓄積」なので、生活習慣を改善して内臓脂肪を減らしましょうというわけです。

内臓脂肪の蓄積には「過食」と「運動不足」の2つの大きな原因が考えられます。原因である「過食」を、バランスの良い食事、食生活に切り替え、「運動不足」を適度な運動をすることで解消することが、メタボリックシンドロームの改善につながります。

5%の体重減少を目標にするということは、実はそんなに難しいことではありません。例えば体重80kgの人の場合、5%だと4kgの減量が必要となりますが、これを3〜6カ月で実施するとすれば、1カ月1kg程度の減量で済みます。適度な食事に切り替え、適度な運動を実施できれば、決して無理な目標ではないのです。5%の体重減少をするだけでも、血圧、血糖、血中の脂質などの状態は改善して、メタボリックシンドロームの診断基準である腹囲と3つのデータも改善します。

今の自分自身の食生活や生活習慣を振り返ってみてください。簡単に改善できそうなことはありませんか?初めから難しい目標を立てるのではなく、まずは少しの努力から始め、それを継続することがとても大切です。5%の減量を達成できれば、体の状態の改善はもちろんですが、それが自信となり健康的な生活を実践するきっかけにもなります。これはメタボリックシンドロームの人だけに必要なことではありません。健康な生活を送りたい全ての人にとって、日々の生活での心がけはとても大切なのです。

まとめ

メタボリックシンドロームは、目に見える症状がないため、指摘されてもつい放置してしまい、改善しないまま長く過ごしてしまうことが多いといわれています。しかし、メタボリックシンドロームは、将来命に関わる重大な病気の予備軍であるということを忘れてはいけません。健診結果でメタボリックシンドロームの診断を受けたり、医療機関の受診をすすめられたりした場合には、必ず受診をしましょう。
メタボリックシンドロームのおおもとの原因である「内臓脂肪蓄積」の改善が、メタボリックシンドロームの改善に最も大切なことです。例えば、まずは腹囲を減らすことを目標にするのも良いでしょう。難しいことのように感じるかもしれませんが、内臓脂肪を減らすということは、決して難しくはありません。自分自身の今の生活習慣を振り返り、バランスの良い適度な食事への変更や、適度な運動を、無理なく始めて、継続していくことは、メタボリックシンドローム改善のためだけでなく、健康的な生活を送りながら長生きするために、全ての人にとって必要なことです。
自分自身の健康のためにも、またあなたの健康を祈る家族のためにも、健康的な生活を目指して頑張りましょう!

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参考

厚生労働省 eーヘルスネット
国立循環器病研究センター メタボリックシンドローム その対処法
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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