【高血圧の治療法とは】治療薬や期間などガイドラインに沿って徹底解説します

高血圧の治療法には「生活習慣の改善」と「降圧薬の服用」があります。ほとんどの高血圧は、生活習慣が原因になって発症するので、、生活習慣を改善する事で、血圧を下げる効果が期待出来ます。しかし、非常に血圧が高い場合や生活習慣の改善を努力しても、血圧の基準値を下回らない場合には、降圧薬による治療が必要とされています。また、降圧薬治療を開始しても、生活習慣の改善は合わせて長期的に継続していく必要があるのです。
ここでは、高血圧の治療法について、生活習慣の改善のポイントから降圧薬の種類から作用に至るまで、詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01高血圧を治療する目的とは
  2. 02高血圧の治療を病院で受ける基準
  3. 03高血圧の治療法①生活習慣の改善
  4. 04高血圧の治療法②降圧薬治療
  5. 05高血圧の治療期間とは
  6. 06高血圧の治療に掛かる費用
  7. 07高血圧を治療している人におすすめの食事法
  8. 08ストレッチは高血圧に対して治療効果があるのか
  9. 09まとめ

高血圧を治療する目的とは

ここがポイント!

  • 血圧が高い状態が続くと、動脈硬化が進行してしまう
  • 動脈硬化は筋梗塞、脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)、腎不全などの命に関わる病気を引き起こす
  • 高血圧を治療する主な目的は、命に関わる合併症の発症、進展、再発を防止する事である
高血圧を治療する主な目的は『心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)、腎不全などの、命に関わる非常に危険な合併症の発症、進展、再発の防止』です。
血圧の高い状態が続くと、血管の壁が傷つき、傷ついた部分に脂質などが溜まります。すると、血管の壁が厚くなったり、弾力性を失って硬くなったりして『動脈硬化』という状態になります。高血圧には自覚症状がほとんど無いため、気づかないうちに動脈硬化はどんどん進行してしまい、先ほど挙げた命に関わる合併症の発症に繋がるのです。
そのため、自覚症状が無かったとしても、定期的に血圧を計測し、適切な診断や治療を受ける事が重要なのです。
高血圧による合併症

参考
高血圧治療ガイドライン2014

あなたに合わせた生活・食事指導で高血圧改善

高血圧の治療を病院で受ける基準

ここがポイント!

  • 高血圧の基準値は、病院で測った血圧が「140/90mmHg以上」
  • 家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。の場合、「135/85mmHg以上」が高血圧

血圧測定は、ほとんどの方がされた事があるのでは無いでしょうか。
血圧は、『収縮期血圧収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)心臓が縮んで、全身に血液を送り出すときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最大の値のこと。(上の血圧)』と『拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。(下の血圧)』の2種類の数値で表されています。この数値が、高血圧の診断基準となるのです。

日本高血圧学会が策定している「高血圧治療ガイドライン2014」では、高血圧の基準値を収縮期血圧収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)心臓が縮んで、全身に血液を送り出すときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最大の値のこと。140mmHg、拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。90mmHg(140/90mmHg)以上」と定めています。この基準値は、診察室で血圧を測定した場合の『診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。』に適用されるものです。家庭で計測した「家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。」の場合には「135 /85mmHg以上」と診断基準が少し下がります。

血圧が基準値より高い場合には、前の章でお話しした合併症を予防するために、治療が必要となります。血圧が高くなってきたと感じた場合には、「内科」を受診し医師に相談してみてはいかがでしょうか。
また、血圧の値は常に変動しています。そのため、日頃のデータが診察の参考となるので、健康診断の結果や自宅で測定した血圧の数値などをメモして持参する事をおすすめします。

参考:
高血圧治療ガイドライン2014


高血圧の治療法①生活習慣の改善

ここがポイント!

  • ほとんどの高血圧は生活習慣が原因で発症するので、生活習慣の改善で降圧効果が期待出来る
  • 生活習慣の改善では、食塩制限、食生活の改善、適正体重の維持、運動、節酒、禁煙などがポイントとなる
  • 生活習慣の改善は、降圧薬治療を開始しても継続していく必要がある

ほとんどの高血圧は、生活習慣が原因で発症するので、「生活習慣の改善」が重要です。
ここでは、具体的な生活習慣の改善ポイントを紹介していきます。

生活習慣の改善ポイント

食塩制限
塩分の過剰摂取によって、血圧が高くなる事は医学的に証明されています。
食塩には「ナトリウム」が含まれています。塩分を多く摂り、血液中のナトリウム濃度が高くなると、その濃度を元に戻そうと血液中に水分が多く取り込まれます。すると、血液の量が増え、血管の壁に圧力がかかり血圧が上昇してしまうのです。
高血圧治療ガイドライン2014では、塩分摂取量を1日6g未満にする事を推奨しています。
塩分過剰摂取によって高血圧に

食生活の改善
食事は、体を作る基礎となります。そのため、生活習慣の改善には『食生活の見直し』が重要です。野菜・果物・魚などを積極的に摂ったり、動脈硬化を引き起こす因子となるコレステロールや不飽和脂肪酸を摂りすぎないよう注意したりする事が重要です。バランスの取れた食生活は肥満防止にも繋がりますので、一度日頃の食生活を振り返ってみてはいかがでしょうか。
※腎臓や糖尿病糖尿病(とうにょうびょう)膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンという、血糖値を下げるホルモンの分泌が減少したり、効果が弱まったりすることで、血液中のブドウ糖濃度が高くなる状態をいう。β細胞が破壊され、インスリンの分泌がほどんどなくなる1型糖尿病と生活習慣病の一つである2型糖尿病の2つに分類される。など、持病を持っている方は食事制限がある場合もあるので、必ず医師と相談しながら食生活の改善に取り組むようにしましょう。
高血圧の方におすすめの食事法については「【高血圧におすすめの食事法】塩分の少ない食べ物・外食メニューまでを徹底解説」をご参照ください。

適正体重の維持
国立循環器病研究センターによると、肥満である人はそうでない人に比べて、高血圧になる危険性が2~3倍高いことが分かっています。また、肥満は高血圧だけでなく、糖尿病糖尿病(とうにょうびょう)膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンという、血糖値を下げるホルモンの分泌が減少したり、効果が弱まったりすることで、血液中のブドウ糖濃度が高くなる状態をいう。β細胞が破壊され、インスリンの分泌がほどんどなくなる1型糖尿病と生活習慣病の一つである2型糖尿病の2つに分類される。脂質異常症脂質異常症(ししついじょうしょう)コレステロールや中性脂肪などの代謝に異常が生じ、血液中の脂肪分(血清脂質)が高い状態をいう。HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪の値から、いくつかのパターンに診断が分かれる。脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。、脂肪肝、月経異常、睡眠時無呼吸症候群など様々な病気の原因となります。そのため、適正体重の維持は健康を保つために、とても重要なのです。

肥満度は体格指数(BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。)を計算することで、確認することができます。
BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}
BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。の数値によって「やせ」「ふつう」「肥満」に分けらます。皆さんも、一度BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。を計算してみてはいかがでしょうか。BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。の基準値は、以下の通りです。

BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。の基準値>
BMIの基準 判定
18,5未満 やせ
18,5~24,9 ふつう
25,0~29,9 肥満度1
30,0~34,9 肥満度2
35,0~39,9 肥満度3
40,0~ 肥満度4

BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。の数値が25以上の方は『肥満』と判定されますので、BMIBMI(びーえむあい)ボディマス指数という、肥満度を表す体格指数をいう。 BMI= 体重kg ÷ (身長m)2で求めることができ、BMIが25以上の場合には肥満と判定される。Body Mass Index。25未満を目指して減量しましょう。

運動
有酸素運動は、血圧を下げる効果がある事が明らかになっています。高血圧治療ガイドラインでは、血圧を下げるための運動方法として「適度な有酸素運動を1日30分以上、ほぼ毎日続ける事」を推奨しています。また、運動には血圧を下げるだけではなく、肥満や糖尿病糖尿病(とうにょうびょう)膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンという、血糖値を下げるホルモンの分泌が減少したり、効果が弱まったりすることで、血液中のブドウ糖濃度が高くなる状態をいう。β細胞が破壊され、インスリンの分泌がほどんどなくなる1型糖尿病と生活習慣病の一つである2型糖尿病の2つに分類される。にも効果的であると考えられています。
しかし、体力や病状に不相応な激しい運動は、かえって心臓に負担をかけてしまう場合もあります。どのような運動がふさわしいか、医師に相談して行うと良いでしょう。
具体的な運動方法については「【血圧を下げる3つの方法とは】食べ物・運動・薬について詳しくご紹介」をご参照下さい。

節酒
お酒は、飲むと一時的に血圧が下がり、脈拍が増加します。
しかし、長時間や過度な摂取は血圧を上げてしまう事が統計調査で明らかになっています。飲酒による血圧上昇の詳しいメカニズムは解明されていませんが、「血管の収縮」「交感神経が活発になる」「利尿作用によってミネラルバランスが崩れる」などの理由が考えられています。
そのため、高血圧治療ガイドラインでも「節酒」が推奨されています。アルコール摂取量は、20〜30mL以下(日本酒 1合,ビール中瓶 1本,焼酎半合弱,ウイスキー・ブランデーダブル1杯,ワイ ン 2杯弱)女性はその半分の10〜20mLが目安として、節酒を心掛けていきましょう。


禁煙
喫煙と血圧上昇の長期的な関連性は、明らかになっていません。しかし、喫煙をすると一時的に血圧が上昇する事が明らかになっており、高血圧の改善には禁煙も重要であると考えられています。また、喫煙は高血圧だけではなく脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)や肺ガンなど様々な病気の危険因子ですので、禁煙に取り組んでいきましょう。
禁煙をすると食事量が増えて、体重が増加してしまう方が多いので、食生活の改善も合わせて行う事がポイントです。


降圧薬治療開始後も生活習慣の改善は重要

高血圧は「生活習慣病」の一つであり、生活習慣の改善だけでも降圧効果が期待できます。そのため、降圧薬治療を始めてからも、食事や運動など生活習慣の改善は継続していく事が重要であると考えられています。また、生活習慣の改善は、高血圧だけではなく、心血管病や危険因子の合併を予防する観点から、病気がない人にも推奨されています。
病気によっては、生活習慣の改善で気をつけるポイントが異なる場合もあるので、主治医と相談しながら、生活習慣の改善に取り組んでいきましょう。

参考
高血圧治療ガイドライン2014

医師に高血圧の相談をしませんか?高血圧のお悩みを募集しています

高血圧の治療法②降圧薬治療

ここがポイント!

  • 「非常に血圧が高い」「生活習慣の改善を行っても、血圧が下がらなかった場合」などに降圧薬治療が開始される
  • 薬の力で血圧を下げる事で、心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)など命に関わる合併症を予防できる
  • 降圧薬にはいくつかの種類があり、年齢、血圧のレベル、その他病気の有無などから医師により判断される
  • 降圧薬治療の第一選択薬は「Ca拮抗薬」「ACE阻害薬」「ARB」「利尿薬」がある

降圧薬を開始するタイミング

高血圧は、生活習慣病の一つであり、まずは生活習慣の改善が重要になります。しかし、「非常に血圧が高い」「充分に生活習慣の改善を行っても、目標の数値まで血圧のコントロールが出来ない」場合には、命に関わる合併症を予防するためにも薬の力で血圧を下げる必要があります。
降圧薬を開始するタイミングや種類については、年齢、血圧レベル、その他の病気の有無などから、医師が判断します。単剤を少量で始める事が多いですが、状態によって薬の種類、量、服用する時間帯は異なります。必ず医師の指示に従い、自分の判断で量を変更したり、服用を中断したりしないようにしましょう。

高血圧の第一選択薬とは

高血圧の治療で、初めに処方される薬を「第一選択薬」といいます。
第一選択薬には、「カルシウム拮抗薬(Ca 拮抗薬)」「ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)」「ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)」「利尿薬」の4種類があります。これらの薬は、それぞれ血圧を下げる仕組みが異なります。ここでは、第一選択薬の効果を簡単に説明します。
降圧薬の第一選択薬

カルシウム拮抗薬(Ca 拮抗薬)
Caイオンが血管の細胞に取り込まれるのを抑制し、血管拡張作用をもたらすことで血圧が上がるのを防ぐ
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬
「レニン‐アンジオテンシン系」という血圧を上げる一連の仕組みの一部を阻害することで、血圧が上がるのを防ぐ
ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬
「レニン‐アンジオテンシン系」という血圧を上げる一連の仕組みの一部を阻害することで、血圧が上がるのを防ぐ
利尿薬
腎臓に働きかけて塩分と水分を多く排出する事によって、血液量を減らして血圧を下げる


降圧薬の効果についてもっと詳しく知りたい方は降圧薬(降圧剤)について|知っておくべき主な4種類と効果・副作用を解説をご参照ください。

参考

日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2014(pdf資料)

高血圧の治療期間とは

ここがポイント!

  • 降圧薬は、高血圧の原因を治療する薬ではない
  • 降圧薬により一時的に血圧を下げているだけなので、服用を中断すると再び血圧は高くなる
  • 降圧薬治療と並行して、生活習慣の改善に取り組んでいれば、薬の量を減らすことができたり、中止することができる
  • 高血圧の治療は長期に及ぶので、医師と相談しながら治療と向き合っていく事が重要である

「降圧薬は、ずっと飲み続けなくてはいけないのだろうか」
高血圧の治療を始めるにあたり、このような不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。
降圧薬自体は、高血圧の原因を治療する薬ではありません。降圧薬を飲むと、一時的に血圧が下がりますが、それは薬の効果によるものです。そのため、薬を中断すれば再び血圧が上がってしまいます。血圧が高い状態が続くと、合併症のリスクも高まりますので、結果的に薬を飲み続けて、血圧を低く保つ必要があるのです。

しかし、降圧薬の治療と並行して「生活習慣の改善」に取り組んでいれば、血圧が次第に下がり、薬を減らして上手にコントロールする事は可能であり、場合によっては中止できることもあります。高血圧治療は、医師に相談をしながら、根気強く治療と向き合うことが大切なのです。

参考

高血圧治療ガイドライン2014
国立研究開発法人国立循環器病研究センター|循環器病情報サービス
あなたに合わせた生活・食事指導で高血圧改善

高血圧の治療に掛かる費用

ここがポイント!

  • 降圧薬は医療保険が適用になるので、比較的経済的負担は少ない
  • 降圧薬の種類や服用する量によって治療に掛かる費用は異なる
  • 高血圧は長期的な治療が必要になるが、配合剤やジェネリック医薬品を選択する事で経済的負担を軽減する事は出来る

降圧薬は医療保険が適用される


高血圧の治療薬は、医療保険が適用されるので、比較的経済的負担は少ないです。しかし、長期的な服用が必要になるので、価格について不安な方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、高血圧の治療に用いられている5種類の主な降圧薬の価格を紹介します。


<主な降圧薬の価格>
種類 主な薬 薬価
Ca拮抗薬 ノルバスク 5mg 48.70円
ARB ニューロタン 25mg 66.10円
ACE阻害薬 レニベース 5mg 60.70円
利尿薬 ラシックス 40mg 14.00円
β遮断薬(αβ遮断薬) メインテート 2.5mg 61.00円

「薬価」とは、薬一錠あたりの価格のことです。窓口で実際に支払う薬代は、医療保険で3割負担の人なら、この薬価の3割分の自己負担になります。

高血圧の治療に掛かる費用は、これらの「薬代」だけではありません。その他にも、「診察代」として初診料又は再診料は、診察の度に掛かります。また、採血や心電図やレントゲンやエコーなどの「検査代」、医療機関までの「交通費」なども掛かります。

配合剤やジェネリック医薬品を選択するメリット

降圧剤は、「配合剤」や「ジェネリック医薬品」を選ぶ事で、治療に掛かる経済的負担を軽減する事ができます。

配合剤
配合剤とは「何種類かの薬の成分をひとつの薬の中に含ませた医薬品」のことです。
「配合剤」のメリットとしては、一回に飲む薬の数を減らす事が出来るため、単剤で処方されるよりも費用が比較的安くなります。また、飲み忘れ防止や薬の管理がしやすくなるというメリットもあります。降圧薬の配合剤は、細かい量の調整が難しいことなどもあり、日本高血圧学会が策定している「高血圧治療ガイドライン2014」では、治療の第一選択薬となっていません。飲んでいる薬の量や種類によって、選択できない場合もありますので、医師に相談してみると良いでしょう。

ジェネリック医薬品
ジェネリック医薬品とは「これまでに有効性や安全性が実証されている薬と同等の効果が得られる認められている薬」です。「後発医薬品」ともいい、「新薬(先発医薬品)」の特許が切れた後に、製造販売されています。先発品と比べて研究開発の費用が抑えられるため、先発薬よりも低い価格で販売されています。配合剤もジェネリック医薬品が登場し始めています。

高血圧の治療を受ける上で、経済的な不安を抱えている方は、医師と相談しながら配合剤やジェネリック医薬品も検討してみてはいかがでしょうか。

参考

今日の治療薬2016
後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用について厚生労働省

高血圧を治療している人におすすめの食事法

ここがポイント!

  • 外食やコンビニ食は基本的に「塩分」「カロリー」ともに多いため、注意が必要
  • 食品を選ぶ時には、「栄養成分表示」で「塩分含有量」や「エネルギー量」を確認しよう
  • DASH食DASH食(だっしゅしょく)血圧を下げるための欧米で考えられた食事法。カリウム・カルシウム・マグネシウム、食物繊維、タンパク質などを積極的に摂取し、脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの摂取を控える。は、「体にいい食事を通して血圧を下げる」という欧米で考えられた食事法
  • DASH食DASH食(だっしゅしょく)血圧を下げるための欧米で考えられた食事法。カリウム・カルシウム・マグネシウム、食物繊維、タンパク質などを積極的に摂取し、脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの摂取を控える。ではカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、タンパク質などの栄養素を積極的に取る
  • DASH食DASH食(だっしゅしょく)血圧を下げるための欧米で考えられた食事法。カリウム・カルシウム・マグネシウム、食物繊維、タンパク質などを積極的に摂取し、脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの摂取を控える。では脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの栄養素の摂取を控える

高血圧治療では、生活習慣の改善が重要です。
その中でも、食事は体を作る基礎となりますので、特に注意が必要です。ここでは、高血圧の方におすすめの食事方法についてご紹介していきます。

塩分の少ない食品を選ぼう

一人暮らしや自炊をしない方は、外食したり、コンビニを利用したりする方が多いのではないでしょうか。外食やコンビニ食は、塩分やカロリーが多い傾向にあります。また、食品添加物が豊富に含まれているものもありますので「栄養成分表示」をチェックする事をおすすめします

塩分量
塩分量は、栄養成分表示の『食塩含有量』もしくは『食塩相当量』の欄で確認する事が出来ます。もし、「食塩含有量」の記載がない場合には「ナトリウム量」を確認してください。ナトリウムは食塩の成分の一種であり、下記の計算式から食塩量を求めることが出来ます。
ナトリウム量=食塩量ではありませんので、注意しましょう!

ナトリウム量(g)×2.54=食塩量(g)

カロリー
カロリーに関しては「エネルギー量」の欄をチェックしましょう。
ラーメン、かけそば、焼きそば、焼き魚定食、天ぷら定食などは、「高塩分」「高カロリー」なため高血圧の人は控えた方がいいといえます。また、インスタントラーメンやレトルトカレーなどの加工食品や、ハンバーガーとフライドポテトのセットなどには塩分も多く含まれているため注意が必要です。
高塩分・高カロリーな食べ物の例

果物・野菜の積極的にとる

野菜を多くとることが健康のために良いと理解していても、日々意識をしなければ十分な摂取をすることができません。野菜や果物には「カリウム」という栄養素が多く含まれています。カリウムは、ナトリウムの排泄を促し、血液量を減らして血圧を下げる効果があります。ただし、カリウムは熱を加えたり水につけたりすると、栄養素が流れ出てしまいます。生で食べられる「果物」はおすすめですが、果物は果糖も豊富なので血糖値が高めの人は注意が必要です。

また、腎障害を伴う方には「カリウム」の積極的な接種は推奨できません。
「カリウム」は腎臓から排出されます。腎機能が低下し、カリウムの排泄が行われなくなると「高カリウム血症」を発症し、「不整脈」を起こす可能性があり非常に危険です。腎障害がある方は、必ず医師と相談の上、食生活の改善を行うようにしましょう。

魚を積極的にとる

さんまやいわしなどの青魚には「DHA」「EPA」という栄養素が多く含まれています。
DHAやEPAには、「動脈硬化を防止して心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。などを予防する効果」があるとされています。農林水産省では「1日にアジの開き1枚弱、サンマの塩焼き約半尾、サバの煮つけ半切れ前後、ブリ(ハマチ)刺身4~7切、カツオのたたき9切、焼き鮭半切~2切程度の魚の摂取」を推奨しています。

DASH食

DASH食DASH食(だっしゅしょく)血圧を下げるための欧米で考えられた食事法。カリウム・カルシウム・マグネシウム、食物繊維、タンパク質などを積極的に摂取し、脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの摂取を控える。とは、体にいい食事を通して血圧を下げる欧米で考えられた食事法です。
積極的に摂取することを推奨している栄養素は、「カリウム」「カルシウム」「マグネシウム」「食物繊維」「タンパク質」などです。
反対に、摂取を減らす栄養素は、「脂肪」「コレステロール」「飽和脂肪酸」などです。
日本高血圧学会が策定している「高血圧治療ガイドライン2014」にも、減塩・減量・運動・ 節酒にさらにDASH食DASH食(だっしゅしょく)血圧を下げるための欧米で考えられた食事法。カリウム・カルシウム・マグネシウム、食物繊維、タンパク質などを積極的に摂取し、脂肪、コレステロール、飽和脂肪酸などの摂取を控える。を組み合わせると、より降圧の効果があったと記載されています。
DASH食とは

血圧を下げる食材・飲み物について詳しくは【血圧を下げる食べ物】食材から飲み物・レシピ情報まで幅広く紹介をご参照ください。


参考

塩分を減らす食べ方がひと目でわかる 減塩のコツ早わかり|女子栄養大学出版部
国立研究開発法人国立循環器病研究センター|循環器病情報サービス
農林水産省 魚の栄養素について
日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2014(pdf資料)
Appel LJ et al. A clinical trial of the effects of dietary patterns on blood pressure. N Engl J Med. 1997; 336: 1117-24.
Sacks FM et al. Effects on blood pressure of reduced dietary sodium and the Dietary Approaches to Stop Hypertension(DASH) diet. N Engl J Med. 2001; 344: 3-10.

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ストレッチは高血圧に対して治療効果があるのか

ここがポイント!

  • ストレッチのみでの高血圧の治療効果は、医学的根拠は明らかになっていません。
  • 生活習慣の改善の一つとして有酸素運動などの「運動」は勧められている
  • 運動はややきついと感じる有酸素運動を、出来れば毎日30分以上行おう

日本高血圧学会が策定している「高血圧治療ガイドライン2014」でも、
高血圧の人には、生活習慣の改善の一つとして有酸素運動などの「運動」が勧められています。
血圧を下げるための運動法

厚生労働省のe-ヘルスネットには、高血圧を改善するための運動には「ややきつい」程度のウォーキングなどが推奨されています。高血圧の改善には、出来れば毎日30分以上継続して運動をする習慣を付けることがポイントです。ただし、激しい運動は控えるべき人もいるので、医師と相談するようにしましょう。ストレッチだけで高血圧を改善することは、医学的な証明がされていませんが、日常的に身体を動かすことは生活習慣の改善に効果的です。ストレッチは、特別な場所や道具を必要とする事なく比較的気軽に行えるので、普段運動をしない方はストレッチから始めて見てはいかがでしょうか。

血圧を下げる効果のある運動について詳しくは【血圧を下げる3つの方法とは】食べ物・運動・薬について詳しくご紹介をご参照ください。

参考

日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2014(pdf資料)
厚生労働省 e-ヘルスネット

まとめ

高血圧の治療は、生活習慣の改善と降圧薬の内服です。高血圧は生活習慣病の一つですので、生活習慣を改善する事で血圧を下げる効果が期待できます。具体的には、減塩・減量・運動・節酒・禁煙などです。血圧が非常に高い場合や生活習慣の改善を行っても血圧が下がらない場合には、降圧薬治療が開始されます。降圧薬にはいくつかの種類がありますが、年齢、血圧のレベル、その他の病気の有無から医師の判断で処方されます。降圧薬治療を開始しても、薬の効果で一時的に血圧を下げているだけなので、生活習慣の改善は継続していく必要があります。高血圧の治療は、長期になりますが、命に関わる合併症を予防するためにも、自分の病気としっかりと向きあっていく事が重要です。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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