【高血圧緊急症とは】早期治療が必要なその危険性や症状について徹底解説

高血圧は、国内で約4,300万人が発症していると推定されています。
多くの高血圧は生活習慣病の一つであり、誰もが一度は耳にした事がある病気でしょう。高血圧と聞くと、単に血圧が高いだけと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。高血圧は「高血圧緊急症」という命に関わる病態に進行する場合もあるのです。
ここでは、あまり知られていない『高血圧緊急症』について、どのような症状が現れるのか、原因となる病気や治療法など高血圧治療ガイドラインに沿って詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01高血圧緊急症の診断基準
  2. 02高血圧緊急症の原因となる病気とは
  3. 03高血圧緊急症の治療法とは
  4. 04まとめ

高血圧緊急症の診断基準

ここがポイント!

  • 高血圧緊急症とは、直ちに血圧を下げる治療を行う必要がある状態
  • 高血圧緊急症は、血圧が「180/120 mmHg 以上」に上昇することによって、脳・心・腎・大血管などの標的臓器に急性の障害が生じ進行しうる

高血圧緊急症の定義

「高血圧緊急症」は、血圧が高度に上昇するだけでなく、脳・心臓・腎臓・大血管などに急性の障害が生じ、直ちに降圧治療を受けなければ命に関わる危険な状態のことをいいます。

日本高血圧学会が策定している「高血圧治療ガイドライン2014」には、高血圧緊急症について『単に血圧が異常に高いだけの状態で はなく,血圧の高度の上昇(多くは180/120 mmHg 以上)によって,脳,心,腎,大血管などの標的臓器 に急性の障害が生じ進行する病態』であると記載されています。

ここまで説明したきたように、「高血圧緊急症」は血圧の値だけで診断される訳ではありません。血圧が先ほどの基準を越えていても、急性あるいは進行性の臓器障害がなければ「切迫症」と診断され、内服薬による降圧治療が行われる場合が多いです。そのため、病院では高血圧緊急症か切迫症なのか迅速な判断が必要になります。

高血圧緊急症の症状

高血圧の自覚症状はほとんどなく、血圧が高い事に気づかない場合が多いです。しかし、高血圧緊急症では、伴う臓器障害によって様々な症状が現れます。ここでは、高血圧緊急症を発症した際に、現れる可能性がある症状をいくつか紹介します。

<高血圧緊急症で見られる症状の一部>

症状 考えられる病態
悪化する頭痛、悪心悪心(おしん)吐き気、胸のむかつきなどの症状をいう。、嘔吐、意識障害、けいれんなど 高血圧脳症高血圧脳症(こうけつあつのうしょう)急激な血圧上昇により、脳への血流調節が上手に行われず、必要以上の血液が脳に流れ込む。脳の血液量が増加することで、脳がむくみ圧迫された状態をいう。脳出血、意識障害などを引き起こし、最悪の場合死に至る。
眼底出血、乳頭浮腫など 急性網膜血管障害
狭心症、肺水症、呼吸困難、息切れなど 左室負荷
 
高血圧性脳症は、急激または著しい血圧の上昇によって、脳の血流の調節機能が上手く働かなくなり、必要以上の血液が脳に送り込まれ、血液量が増加し脳が圧迫されむくんでしまう状態をいいます。
高血圧性脳症は最も重篤な緊急症で、適切に治療されなければ、脳出血、意識障害、昏睡などが起こり、最悪の場合死に至ります。症状としては、悪化する頭痛、悪心悪心(おしん)吐き気、胸のむかつきなどの症状をいう。、嘔吐、意識障害、けいれんなどが現れます。

これらは一部であり、臓器障害が起きる場所によって現れる症状は異なります。また、一般の方が病態の判断をするのは困難ですし、とても危険です。血圧が高い方で、少しでも体に異常を感じた場合には「高血圧緊急症」の可能性がある事を理解し、すぐに医師の診察を受けるようにしましょう。

血圧上昇が中等度でも迅速な降圧治療が必要なケース

血圧の上昇が基準値を超えていなかったとしても、妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。の人が子癇子癇(しかん)妊娠20週行こうに初めて起きた痙攣(けいれん)発作をいう。また、てんかん、脳炎、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいう。妊娠中から分娩後も発症する可能性があり、ほとんどは妊娠高血圧症候群の方である。子癇は、脳がむくむ脳ヘルニアを引き起こし、母子ともに命に関わる状態に陥る場合もある。(しかん)」(けいれん発作)を起こしている場合や、「急性糸球体糸球体(しきゅうたい)腎臓にある毛細血管が毛糸の球のように丸まっているもの。血液のろ過をする役割があり、体に不要な老廃物、塩分などをボーマンのうへこし出すことで、血液をきれいにしている。腎炎による高血圧脳症高血圧脳症(こうけつあつのうしょう)急激な血圧上昇により、脳への血流調節が上手に行われず、必要以上の血液が脳に流れ込む。脳の血液量が増加することで、脳がむくみ圧迫された状態をいう。脳出血、意識障害などを引き起こし、最悪の場合死に至る。」「大動脈解離大動脈解離(だいどうみゃくかいり)大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっている。何らかの原因で中膜が裂け、血液が外膜と内膜の間に流れ込み、縦方向に大動脈が裂けてしまう状態をいう。などでは、高血圧緊急症と同じく、早急に降圧治療が必要になります。
これらの病気に関しては、後の章で詳しく説明します。

参考

高血圧治療ガイドライン2014
今日の治療薬2016
高血圧症発症チェック

高血圧緊急症の原因となる病気とは

ここがポイント!

  • 「高血圧緊急症」の原因となる病気は、脳血管障害、肺水腫肺水腫(はいすいしゅ)肺水腫は、毛細血管から血液が肺胞に滲み出すことで、酸素の取り込みが十分に行われず、呼吸困難に陥る状態をいう。ピンク色の泡状の痰が見られる場合がある。 肺には、肺胞という空気を取り入れるための小さな袋状の構造物がある。肺胞の周囲には、毛細血管が取り巻いており、酸素や二酸化炭素の交換が行われている。を伴う急性左心不全、急性冠症候群急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)心臓に血液を送る冠動脈が塞がることで、起こる症状をいう。不安定狭心症や心臓発作など。、急性大動脈解離大動脈解離(だいどうみゃくかいり)大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっている。何らかの原因で中膜が裂け、血液が外膜と内膜の間に流れ込み、縦方向に大動脈が裂けてしまう状態をいう。子癇子癇(しかん)妊娠20週行こうに初めて起きた痙攣(けいれん)発作をいう。また、てんかん、脳炎、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいう。妊娠中から分娩後も発症する可能性があり、ほとんどは妊娠高血圧症候群の方である。子癇は、脳がむくむ脳ヘルニアを引き起こし、母子ともに命に関わる状態に陥る場合もある。(しかん)、悪性高血圧、褐色細胞腫褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)主に副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に出来る腫瘍であり、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンの総称)を過剰に分泌する。高血圧、体重減少、頻脈、多汗、高血糖、頭痛など多彩な症状がある。のクリーゼなどがある。
  • 迅速に降圧しないと、命に関わることがある

高血圧緊急症は単に血圧の数値が高いだけの状態ではなく、脳、心臓、腎臓、大血管などの重要な臓器に障害が生じ進行している病態を言います。
高血圧緊急症の原因になる病態として、「脳血管障害」「肺水腫肺水腫(はいすいしゅ)肺水腫は、毛細血管から血液が肺胞に滲み出すことで、酸素の取り込みが十分に行われず、呼吸困難に陥る状態をいう。ピンク色の泡状の痰が見られる場合がある。 肺には、肺胞という空気を取り入れるための小さな袋状の構造物がある。肺胞の周囲には、毛細血管が取り巻いており、酸素や二酸化炭素の交換が行われている。を伴う急性左心不全」「急性冠症候群急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)心臓に血液を送る冠動脈が塞がることで、起こる症状をいう。不安定狭心症や心臓発作など。」「急性大動脈解離大動脈解離(だいどうみゃくかいり)大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっている。何らかの原因で中膜が裂け、血液が外膜と内膜の間に流れ込み、縦方向に大動脈が裂けてしまう状態をいう。」「子癇子癇(しかん)妊娠20週行こうに初めて起きた痙攣(けいれん)発作をいう。また、てんかん、脳炎、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいう。妊娠中から分娩後も発症する可能性があり、ほとんどは妊娠高血圧症候群の方である。子癇は、脳がむくむ脳ヘルニアを引き起こし、母子ともに命に関わる状態に陥る場合もある。(しかん)」「悪性高血圧」「褐色細胞腫褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)主に副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に出来る腫瘍であり、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンの総称)を過剰に分泌する。高血圧、体重減少、頻脈、多汗、高血糖、頭痛など多彩な症状がある。のクリーゼ」などがあります。

「高血圧緊急症」の原因になるこれらの病気について、簡単に解説していきます。

高血圧緊急症の原因となる主な病気

脳血管障害

脳血管障害とは、脳の血管が破れたり、詰まったりする事で起こる病気です。
血管が詰まり脳に血液が送られず障害が起こるものが脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。、脳の血管が破れ出血する事で起こるものが脳出血、くも膜下出血くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)脳動脈瘤という血管の膨らみが破れて、出血することで起こる。脳の髄膜は3層構造になっており、中間のくも膜と脳の間で、出血が起こった場合にくも膜下出血と呼ばれる。突然の激しい頭痛で発症する。といいます。脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。では、顔や腕が片側だけ麻痺したり、ろれつが回らず上手く話せなくなったりします。また、脳出血やくも膜下出血くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)脳動脈瘤という血管の膨らみが破れて、出血することで起こる。脳の髄膜は3層構造になっており、中間のくも膜と脳の間で、出血が起こった場合にくも膜下出血と呼ばれる。突然の激しい頭痛で発症する。では、突然強い頭痛症状が現れる場合が多いです。

肺水腫を伴う急性心不全

血圧が著しく高いと、心臓の機能に負担がかかり、肺水腫肺水腫(はいすいしゅ)肺水腫は、毛細血管から血液が肺胞に滲み出すことで、酸素の取り込みが十分に行われず、呼吸困難に陥る状態をいう。ピンク色の泡状の痰が見られる場合がある。 肺には、肺胞という空気を取り入れるための小さな袋状の構造物がある。肺胞の周囲には、毛細血管が取り巻いており、酸素や二酸化炭素の交換が行われている。を伴う急性心不全・急性冠症候群急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)心臓に血液を送る冠動脈が塞がることで、起こる症状をいう。不安定狭心症や心臓発作など。が起こります。肺水腫肺水腫(はいすいしゅ)肺水腫は、毛細血管から血液が肺胞に滲み出すことで、酸素の取り込みが十分に行われず、呼吸困難に陥る状態をいう。ピンク色の泡状の痰が見られる場合がある。 肺には、肺胞という空気を取り入れるための小さな袋状の構造物がある。肺胞の周囲には、毛細血管が取り巻いており、酸素や二酸化炭素の交換が行われている。を生じた高血圧性左心不全は、直ちに治療を開始する必要があり、発症すると、呼吸困難や息切れなどの症状が現れます。

急性大動脈解離

血管は、外側から外膜・中膜・内膜の3層構造になっています。大動脈解離大動脈解離(だいどうみゃくかいり)大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっている。何らかの原因で中膜が裂け、血液が外膜と内膜の間に流れ込み、縦方向に大動脈が裂けてしまう状態をいう。は、一番内側の内膜に何らかの理由で裂け目が生じ、そこから中膜に血液が入り込み、大動脈が引き裂かれた状態のことをいいます。突然、胸や背部に激痛が生じるという特徴があります

子癇(しかん)

子癇子癇(しかん)妊娠20週行こうに初めて起きた痙攣(けいれん)発作をいう。また、てんかん、脳炎、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいう。妊娠中から分娩後も発症する可能性があり、ほとんどは妊娠高血圧症候群の方である。子癇は、脳がむくむ脳ヘルニアを引き起こし、母子ともに命に関わる状態に陥る場合もある。とは、妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。の妊婦に起こる全身のけいれん発作です。てんかんなど、他に痙攣発作を起こす明らかな基礎疾患のないことが確認されます。けいれん発作が出現している妊婦さんは、血圧が異常高値ではなくても、治療が開始されます。
妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。について詳しくは「【妊娠高血圧症候群について】定義・治療法・帝王切開の必要性などを解説」をご参照下さい。

悪性高血圧

拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。(下の血圧)が120-130 mmHg以上で、腎機能障害が急速に進行し、放置していると全身症状が急激に増悪し、心不全、高血圧性脳症、脳出血などの命に関わる病気を発症する。特徴として、進行性の腎機能障害によって、血圧が上がってしまうという悪循環があります。高血圧の病歴が長い方に起こりやすく、内服薬の中断や、発症早期から血圧が高い方、長期にわたる身体的、精神的負荷が悪性高血圧の発症に関与すると言われています。

褐色細胞腫のクリーゼ

褐色細胞腫褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)主に副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に出来る腫瘍であり、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンの総称)を過剰に分泌する。高血圧、体重減少、頻脈、多汗、高血糖、頭痛など多彩な症状がある。という副腎にできる腫瘍から分泌させる「カテコラミン」と呼ばれるホルモンの過剰分泌により、急激な血圧上昇が生じる病気を、褐色細胞腫褐色細胞腫(かっしょくさいぼうしゅ)主に副腎(腎臓の上にある小さな臓器)に出来る腫瘍であり、カテコールアミン(アドレナリン・ノルアドレナリン・ドパミンの総称)を過剰に分泌する。高血圧、体重減少、頻脈、多汗、高血糖、頭痛など多彩な症状がある。クリーゼと呼びます。発症すると、頭痛、悪心悪心(おしん)吐き気、胸のむかつきなどの症状をいう。、頻脈、胸痛、動悸などの初期症状が現れます。

高血圧の方で、激しい頭痛、胸痛、背部痛、吐き気、動悸、息切れなど少しでも体に異常を感じた際は「高血圧緊急症」を発症している可能性があるという事を念頭におき、すぐに病院を受診するようにしましょう。

参考

高血圧治療ガイドライン2014
妊娠高血圧症候群管理ガイドライン2009
大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン2011
日本内科学会雑誌|褐色細胞腫クリーゼ

高血圧緊急症の治療法とは

ここがポイント!

  • 高血圧緊急症は迅速な対応が必要な上、重症化しやすいため「入院治療」が原則とされる
  • 急速に降圧を行うと、組織に必要な血流が送られなくなり、虚血性障害をを起こす危険性があるため慎重に降圧する
  • 高血圧緊急症の治療で使用される注射薬は、「血管拡張薬」「交感神経抑制薬」が使用される
  • 注射薬で初期降圧目標まで血圧が下がったら、経口薬での治療へ切り替える

高血圧緊急症は原則入院治療が必要

高血圧緊急症は、早急に降圧治療を受けなければ重症化し命に関わる危険な状態です。そのため、入院治療が原則とされています。高血圧緊急症と診断されたら、原則的には点滴による降圧剤の投与が開始され、徐々に血圧を下げていきます。必要以上に血圧を下げすぎると、かえって病態が悪化してしまう場合があるので、集中治療室などで血圧管理をしながら、治療が行われる場合があります。
高血圧緊急症の治療法

高血圧緊急症の降圧目標
一般的な降圧目標は『はじめの1時間以内は前値の25%以上は降圧させないようにし、その後の2~6時間で160/100~110mmHg程度の降圧をする』と高血圧治療ガイドラインに記載されてています。
しかし、「大動脈解離大動脈解離(だいどうみゃくかいり)大動脈は、内膜・中膜・外膜の3層構造になっている。何らかの原因で中膜が裂け、血液が外膜と内膜の間に流れ込み、縦方向に大動脈が裂けてしまう状態をいう。」「急性冠症候群急性冠症候群(きゅうせいかんしょうこうぐん)心臓に血液を送る冠動脈が塞がることで、起こる症状をいう。不安定狭心症や心臓発作など。」「以前には血圧が高くなかった例での高血圧性脳症(急性糸球体糸球体(しきゅうたい)腎臓にある毛細血管が毛糸の球のように丸まっているもの。血液のろ過をする役割があり、体に不要な老廃物、塩分などをボーマンのうへこし出すことで、血液をきれいにしている。腎炎や子癇子癇(しかん)妊娠20週行こうに初めて起きた痙攣(けいれん)発作をいう。また、てんかん、脳炎、脳血管障害、薬物中毒を原因としないものをいう。妊娠中から分娩後も発症する可能性があり、ほとんどは妊娠高血圧症候群の方である。子癇は、脳がむくむ脳ヘルニアを引き起こし、母子ともに命に関わる状態に陥る場合もある。など)」などでは,治療開始の血圧レベルおよび降圧目標値も低くなるとされています。

高血圧緊急症に用いられる注射薬

ここでは、高血圧緊急症の治療に使用される、主な注射薬について解説していきます。

高血圧緊急症に使用される注射薬は、一般的に「血管拡張薬」「交感神経抑制薬」が使用されます。血管拡張薬は、血管を拡張させることで降圧作用を発揮します。交感神経抑制薬は、交感神経系に働きかけて血圧を下げる作用があります。

高血圧緊急症に経口薬(飲み薬)は用いられるのか

先ほど解説したように、高血圧緊急症の治療は、点滴で降圧剤を投与する非経口的的治療が原則的には行われます。初めに、点滴で血圧を徐々に下げていき、「初期降圧目標」まで血圧が下がったら、注射薬での治療から経口薬での治療へ切り替えていきます。

高血圧の降圧薬治療は、病気の原因を治すものではなく、あくまでも薬の力で一時的に血圧を下げ続け、心血管病などの命に関わる合併症を予防をする事が目的です。ですから、症状がないからと行って、通院や薬を自己判断で中断する事はやめましょう。定期的な診察や検査を受け、血圧コントロールをしっかりと行う事で、高血圧緊急症のような命に関わる事態に陥る可能性を少しでも減らす事が出来ます。

参考

高血圧治療ガイドライン2014
今日の治療薬2015
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まとめ

高血圧緊急症は、単に血圧が高いだけではありません。ここまで説明してきたように、心臓、脳、腎臓、大血管などの重要な臓器に障害が生じ進行しうる状態で、直ちに降圧治療を受けないと命に関わる危険なこともあります。血圧が高い人は、少しでも体に異常を感じたら、無理はせず主治医に相談したり、医療機関を受診しましょう。このような、命に関わる状態を招かないためにも、日頃から生活習慣の改善や血圧管理に取り組む事が重要です。高血圧の診断を受けていない人も、気づかないうちに発症している場合もありますので、定期的に血圧測定をする習慣を身につけるようにしましょう。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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