【発毛効果とは】AGA治療に用いられる発毛剤や頭皮のツボの医学的根拠の有無まで

AGA(男性型脱毛症)の治療において最も期待される効果は、薄毛の改善、すなわち「発毛」です。

AGAの治療薬として用いられている発毛剤や飲み薬は全て、発毛効果が医学的に明らかであると証明されたものです。
一方で、ドラッグストアやインターネット通販などでは、発毛効果をうたった育毛剤、シャンプー、サプリメントなど、多くの商品を目にします。また、発毛のための頭皮マッサージなども紹介されているのを見かけますが、これらの効果は医学的に証明されているのでしょうか。

ここでは「発毛」に焦点を当て、そもそも発毛とは何なのか、育毛との違いは何かをまず確認した上で、発毛効果をうたったさまざまな商品や方法について、医学的根拠の有無を確認しながら解説をしていきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01AGA治療で期待される「発毛効果」について
  2. 02AGAの発毛治療について
  3. 03AGA治療用外用薬(発毛剤)と内服薬の種類、効果、注意点
  4. 04市販の「発毛シャンプー」は存在するのか
  5. 05発毛に有効なサプリメントはあるのか
  6. 06頭皮マッサージは発毛に効果的なのか
  7. 07まとめ

AGA治療で期待される「発毛効果」について

ここがポイント!

  • AGA治療に対して最も期待されている効果は「発毛」
  • 「発毛」とは、髪が生えていない毛穴から新しい髪の毛が生えること
  • 発毛効果が得られる「発毛剤」は、ミノキシジル配合の「リアップ」シリーズのみ

まずはAGA治療において実際にどのくらいの人が「発毛」を期待しているのか、また、発毛と育毛の違いは何なのかについて確認をしましょう。

AGA治療で最も期待されるのが「発毛」

男性型脱毛症診療ガイドラインの策定委員である大阪大学の板見智氏は、「AGAに対する悩み」「AGA治療に対する意識」に関して、2011年にインターネット上のアンケート方式によって実態調査を行いました。対象は、首都圏および関西圏に住んでいる20~59歳の男性で、薄毛に悩み何らかの対処を行った経験があるものの、医療機関での受診を躊躇している人たちに限定されていました。
調査の結果、「AGA治療にどのような効果を期待するか」に対して、回答を得られた770人のうち、最も多い47.5%が「髪の毛の本数が増える」と回答しました。つまり、「AGAの治療に対して、約半数の人が発毛を期待している」という結果が出たのです。2番目は「髪の毛のボリュームが増える(18.8%)」、3番目は「抜け毛が減る(14.5%)」でした。この結果から、AGA治療で最も期待される効果は「発毛」であると分かりました。

「発毛」と「育毛」の違い

「発毛」と同じくらい頻繁にAGA治療のキーワードとして登場するのが「育毛」です。それぞれの言葉の意味の違いを確認しておきましょう。
発毛 髪が生えていない毛穴から、新しい髪の毛が生えること
育毛 既に生えている髪の毛がより太く長く成長すること
発毛と育毛の違い

これらの言葉の違いから分かるように、発毛効果を得るためには、髪の毛の生えていない毛穴から新たに髪を生やす必要があり、既に生えている髪を育てる育毛効果を得るよりも強い効果が必要であると言えます。

育毛効果について詳しくは「育毛効果を最大化させるための実践法とは|AGA治療薬、市販の育毛剤、育毛シャンプーから食べ物まで医学的根拠の有無も解説」をご参照下さい。

「発毛剤」と「育毛剤」

発毛効果のある「発毛剤」として、商品の説明書に記載があるのは、今のところAGA治療用外用薬として認められている「ミノキシジル」という成分を含む、大正製薬のリアップシリーズだけです。リアップシリーズは「発毛剤・育毛剤」と記載して販売されています。それ以外の商品は、「医薬部外品」または「化粧品」として販売されている「育毛剤」です。発毛効果が得られるような宣伝文句が書かれていたとしても、そのような効果は医学的に認められていないと認識しておきましょう。

ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照下さい。

参考

  • 板見智. 医療機関への受診を躊躇している男性型脱毛症(AGA)対処者の実態調査. PROGRESS IN MEDICINE 31(8), 1995-2000 (2011)

脱毛症診断チェック

AGAの発毛治療について

ここがポイント!

  • 発毛治療は皮膚科、脱毛症専門外来、AGA専門クリニックなどで受けられる
  • 女性の薄毛を専門としたクリニックもある
  • 発毛効果のある治療法は「外用薬」「内服薬」「HARG療法」で、全て治療の継続が必要
  • 「外用薬」「内服薬」の1カ月の薬代は1万円前後
  • 治療を受けたからといって必ずしも全員が発毛効果を得られるわけではない

ここではAGAの発毛治療について、病院で受ける治療を中心に解説していきます。

発毛治療が受けられる病院

まずは、発毛治療を受けるための第一歩である「受診」をするために、AGA治療が受けられる病院を確認しましょう。

AGAは皮膚科が対象としている症状であるため、AGAの発毛治療は、基本的に病院の「皮膚科」で受けることが出来ます。近頃では、「脱毛症専門外来」「AGA専門クリニック」なども全国的に多く開設されており、こうした施設でAGAの専門的な治療を受けることが可能になってきています。

AGAの治療は「自由診療」であるため、料金は医療施設ごとに独自に設定されており、提供している治療法も施設によって異なります。受診を考えている場合には、事前に料金設定や行っている治療法などをホームページや電話などで確認しておくと良いでしょう。

女性の薄毛を専門とするクリニックもある

AGAは日本語で「男性型脱毛症」と言いますが、男性だけが発症する病気ではありません。女性も発症する場合があり、数は多くありませんが、最近では女性専門の脱毛症クリニックも開設されてきています。

女性の中には薄毛が恥ずかしいという思いから、病院を受診することに強い抵抗感を抱いている人もいます。また、女性のAGAは男性のAGAほどにはっきりとした原因がまだ解明されていないため、内服薬による治療が受けられないなど、治療法も男性のAGAとは異なる部分があります。
こうした背景から、女性でAGAが疑われる場合、もしも通える範囲にあれば、女性の脱毛症を専門としているクリニックを受診する方が、より安心して専門的な治療を受けることが出来るでしょう。


発毛治療にかかる費用~治療薬の費用を中心に

数あるAGAの治療法の中で「発毛効果」が医学的に認められており、診療ガイドラインの中でも推奨されているのは、「外用薬」および「内服薬」による治療です。ここでは、日本で製造販売が認可されているAGAの外用薬「ミノキシジル」と、内服薬「フィナステリド」および「デュタステリド」の3種類の薬を中心に、どの程度の費用が掛かるのかを見ていきましょう。

外用薬:ミノキシジル

ミノキシジルは、発毛効果が医学的に認められているAGAの治療用外用薬です。AGAの診療ガイドラインにおいて推奨されている外用薬中のミノキシジル配合量は「男性5%、女性1%」で、これらは、発毛効果と副作用の関連性から最も治療法として効果的であるとされている量です。
日本で製造販売が認可されているミノキシジル配合外用薬は、大正製薬の「リアップ」シリーズのみです。ここでは、男性用として販売されているミノキシジル5%配合の「リアップX5プラス」と、女性用として販売されているミノキシジル1%配合の「リアップリジェンヌ」に絞って、1カ月分の費用の目安をご紹介します。

まずはリアップ1本の価格です。
リアップX5プラス 本体価格7,048円(税抜き)
リアップリジェンヌ 本体価格5,239円(税抜き)

どちらも1本の内容量は60mLで、1日2回、1回1mLを使用するので、単純計算すると1本が1カ月分、つまり「外用薬」の場合は、「リアップ1本の価格≒1カ月の費用」となります。

内服薬:フィナステリド、デュタステリド

ここでは、2種類の内服薬にかかる、1か月分の費用の目安を紹介します。

内服薬1カ月分の費用目安
フィナステリド 6,000~7,000円程度
デュタステリド 9,000~1万円程度

薬代はかかり続ける

外用薬、内服薬ともに1カ月分の費用は、高くても1万円程度だと分かりました。この価格だけ見ると、経済的負担はそこまで高くないと考える人もいると思いますが、AGAの外用薬、内服薬による治療は、発毛効果が得られて薄毛が改善しても、薬を中断してしまうと脱毛が再開することが明らかになっているため、基本的に継続する必要があり、治療費は掛かり続けると心得ておきましょう。

3つのAGA治療法を併用される治療法もある

2010年版の診療ガイドラインには記載されていませんが、「HARG(ハーグ)療法」という治療法を外用薬、内服薬などの治療と併用して行っているクリニックもあります。HARG療法で使われる薬は「HARGカクテル」と言い、脂肪幹細胞培養中の上澄み液(抗炎症効果をもつサイトカインや成長因子を含む)を集め、凍結乾燥した生体タンパク質のことを指します。HARG療法はHARGカクテルを直接頭皮に注射することで、髪の毛の成長を促す治療法です。HARG療法は、月に1回のペースで行われます。通常は4~6回を1クールとしており、1クール終了後数カ月おきにフォロー注射を続けていきます。
しかし、HARG療法は内服薬(フィナステリド、ザガーロ)やミノキシジル外用に比べると医学的根拠が乏しく、男性型脱毛症のガイドライン(日本皮膚科学会)にも記載はありません

AGAの治療について詳しくは「【AGAの治療について】3つの治療方法・期間・薬の効果と副作用から保険適用まで網羅的に」、AGA治療にかかる費用について詳しくは「【AGAの治療にかかる費用】年間費用の相場を治療法別に比較~ジェネリック情報や確定申告についても」をご参照ください。

治療による発毛効果は100%ではない

AGAの外用薬、内服薬に発毛効果があることは医学的に証明されているとは言っても、治療をすれば誰でも必ず効果が得られるというわけではありません。

すべての病気の治療に共通して言えることですが、薬の効果には個人差があります。すぐに効果が現れて症状が改善する人もいれば、治療を続けても全く効果が現れない人もいます。
診療ガイドラインでは、薬による治療で効果が現れない人に対しては、自分の毛を移植する「自毛植毛」を行うことを、次の選択肢として推奨しています。AGAの治療を受けていく上では、医師と相談しつつ「自分に合った治療法」を見つけていくことも重要であると心得ておきましょう。

植毛について詳しくは「【自毛植毛によるAGA治療について】植毛後の経過、費用、メリット・デメリット、失敗例など幅広く解説」をご参照ください。

AGAの進行を止めるには頭皮ケア、外用薬、内服薬が最適です。そこから発毛へとつなげるには頭皮プラセンタ注射やHARG療法、ヘアフィラーなどの育毛メソセラピーが必要になります。

参考


AGA治療用外用薬(発毛剤)と内服薬の種類、効果、注意点

ここがポイント!

  • AGA治療用外用薬は「ミノキシジル」、内服薬は「フィナステリド」「デュタステリド」
  • 外用薬は、毛を作る「毛母細胞」を増やし、血流を改善して発毛効果を発揮している
  • 内服薬は、薄毛を引き起こす「DHT」を作る酵素の働きを妨げて発毛効果を発揮している
  • AGA治療薬の個人輸入は危険
  • 女性と未成年はAGA治療用内服薬を使用出来ない

ここでは、AGAの治療薬の種類と発毛効果を一覧表で確認した後に、購入・使用時の注意点を解説していきます。

薬の種類と効果

前の章で「発毛効果」のある治療薬とその費用について簡単に触れましたが、ここではそれらの薬の種類別に、効果・副作用・購入方法を表で確認していきましょう。

ミノキシジル

効果 ・毛を作る「毛母細胞」を増やす
・毛細血管を拡張して血流を改善する
髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する
副作用 <皮膚障害>
塗った部位の発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ
<その他>
頭痛、めまい、胸の痛み、心拍が速くなる、手足のむくみ
*5%配合薬の使用は男性のみ
購入方法 薬剤師が常駐している薬局・ドラッグストアなどで購入
*一般用医薬品(第1類医薬品)

フィナステリド

効果 ・薄毛を招く男性ホルモン「DHT」を作る酵素「2型5αリダクターゼ」の働きを抑える
副作用 <性機能不全>
性欲減退、勃起機能不全
*未成年と女性は使用出来ない
購入方法 医師に処方してもらい購入
*医療用医薬品

デュタステリド

効果 ・薄毛を招く男性ホルモン「DHT」を作る酵素「2型5αリダクターゼ」の働きを抑える
*1型5αリダクターゼの働きも抑える作用があるが、1型がAGA発症に関与しているのかは明らかになっていない
副作用 <性機能不全>
性欲減退、勃起機能不全
*未成年と女性は使用出来ない
購入方法 医師に処方してもらい購入
*医療用医薬品

「デュタステリド」は、日本では2015年にAGA治療薬としての製造販売が認可されたばかりの新しい薬で、フィナステリドと同じく、AGA発症の原因物質である「ジヒドロテストロン(DHT)」を作る酵素「2型5αリダクターゼ」の働きを抑える作用があります。フィナステリドよりも、新薬であるデュタステリドの方が、発毛効果が高いと示す研究結果も報告されています。

AGAの治療薬について詳しくは「AGA治療薬の効果と副作用|主な2種類の薬~ジェネリック薬情報や値段・通販・輸入薬などについて解説」をご参照下さい。

発毛効果のある薬はインターネットを介した個人輸入などで購入出来るのか

外用薬である「ミノキシジル」は「一般用医薬品」に分類されており、病院などで医師に処方してもらわなくても、本人の意思で購入出来ます。ただし、一般用医薬品の中でも、最も注意が必要とされる「第1類医薬品」に指定されているため、使用を考えて購入する際には必ず「薬剤師」による安全性の説明を受けるよう義務付けられています。そのためミノキシジル配合薬は、薬剤師が常駐している薬局やドラッグストアでのみ購入が可能です。
一方の、内服薬である「フィナステリド」「デュタステリド」は「医療用医薬品」に分類されており、使用するためには必ず医療機関を受診して医師の診察を受け、処方してもらう必要があります。
つまり、AGA治療薬は外用薬も内服薬も、使用を目的とした場合、インターネットを介した個人輸入などでは購入出来ないと言えます。

ところがAGAの治療薬を実際にインターネットで検索すると、「個人輸入」のサイトが複数表示されます。実は現在の日本には、こうした個人輸入を取り締まる法律がないため、注文をすると購入することが出来ます。しかし、AGA治療薬の個人輸入はとても危険な行為です。個人輸入した薬は本物かどうか判断することが出来ないため、にせ物の薬や薬品名は同じでも成分が異なる薬が送られてくる可能性が絶対にないとは言い切れません。米国食品医薬品局(FDA)では、インターネットなどで個人輸入すべきてはない医薬品の1つとして、AGA治療薬の「フィナステリド」を挙げています。安いから、簡単だからという理由で安易に危険行為を行わないよう注意してください。

女性と未成年は内服薬が使用出来ない~発毛効果が証明されていないため

前の章で、AGAの外用薬「ミノキシジル配合薬」は、配合濃度が5%と高いものは男性のみ使用出来ると解説しましたが、AGAの内服薬の使用は、全て男性に限られています。その最大の理由は、現在使用されている内服薬において、*女性と未成年に対する安全性と有効性の検証が行われていないからです。薬は、安全性と有効性が確認されて初めて使用が許可されるものなのです。
もう1つの大きな理由は、男性のAGAの場合、男性ホルモン(DHT)が発症に大きく影響するというメカニズムが明らかになっていますが、女性のAGAの発症メカニズムは、諸説あるものの、まだ明らかになっていないからです。AGAの内服薬は、DHTを作る酵素の働きを妨げることにより効果を発揮するので、もしも女性の場合、発症にDHTが関与していなかったら飲んでも意味がありません。
さらに、女性への内服薬の使用が禁止されている理由はもう1つあります。男性ホルモンの働きに影響するAGAの内服薬は、男の子を妊娠している女性が飲んだ場合に赤ちゃんの生殖器などの発育に影響を及ぼす恐れがあると考えられているためです。
「フィナステリド」の添付文書には、重要な基本的注意として「薬を妊婦には投与しないこと」「薬を分割したり砕いたりして飲まないこと」が記載されています。薬の成分は皮膚からも吸収されるので、妊婦が誤って薬の成分に触れる事故を防ぐための注意事項です。錠剤は表面がコーティングされているため、分割したり砕いたりしなければ、薬の成分に直接触れることはありません。AGAの内服薬を飲んでいる人は、特に女性の前ではこのような危険がある点に注意してください。

参考


脱毛症診断チェック

市販の「発毛シャンプー」は存在するのか

ここがポイント!

  • 発毛効果が医学的に証明されているシャンプーはない
  • 刺激の少ないシャンプーを使い正しい方法で洗うことが髪と頭皮の健康維持につながる

毎日使用するシャンプーに、もしも発毛効果のある商品があれば、これほど手軽な方法はありませんし、ぜひ使用したいと思う人は大勢いるでしょう。しかし、今のところ発毛効果が証明されているシャンプーはありません。現在日本で販売されているシャンプーには、「育毛効果」を宣伝しているものも多くありますが、「育毛効果」についても医学的に明らかな効果が証明された成分が含まれたシャンプーはありません。
一方で、シャンプーを用いた洗髪には、「頭皮を清潔に保つ」「血流を改善する」「髪の毛や頭皮の健康増進」などの目的や効果があります。シャンプーは、なるべく刺激の少ないものを選び、正しい方法で洗うことで、髪の毛や頭皮のダメージを最小限に抑え、健康な状態を保つようにしましょう。

正しいシャンプーの方法について詳しくは「育毛に重要な3つの方法|普段から試せる方法とは?~薬を使った方法、サプリや民間療法の医学的根拠についてなどについても」をご参照ください。

発毛効果が得られる食事はあるのか

ここがポイント!

  • 発毛効果が医学的に証明されている食べ物はない
  • 髪の毛や頭皮の健康を促進する栄養素はある
  • 髪の毛や頭皮も体の一部なのでバランスの取れた食生活を送ることは重要

 発毛効果が得られる栄養素はない

ある特定の栄養素を、通常の食事に加えて余剰に摂取することで、発毛・育毛効果が得られると医学的に証明されているものはありません。しかし、髪の毛や頭皮も体の一部なのでバランスのとれた食生活を心がけることで、髪の毛や頭皮の健康や成長をサポートすることは出来ます。

 髪の毛の良いとされる栄養素はある

髪の毛や頭皮の健康に大切な栄養素には、「タンパク質」「ビタミンB群」「亜鉛」などがあります。これから、それぞれの栄養素について簡単に説明して行きます。

タンパク質

髪の毛の約90%は、「ケラチン」というタンパク質からできており、髪の毛の元となる大切な栄養素です。タンパク質には「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」があります。文字通り、動物性タンパク質は肉、魚、卵、乳製品などから摂取でき、植物性タンパク質は大豆、お米、小麦などから摂取することが出来ます。また、タンパク質は髪の毛だけではなく、皮膚、筋肉、内臓など体のいろいろな部分を構成しており、生きる上で必要不可欠な栄養素であるとも言えます。

ビタミンB群

ビタミンB群には、「脂質・糖・タンパク質(三大栄養素)の代謝」や「エネルギー産生」を助ける働きがあります。先ほども説明したように、髪の毛は主にタンパク質で構成されているので、タンパク質の代謝を助けるビタミンB群の摂取は、皮膚や髪の毛の健康を維持する役割があります。ビタミンB群の中でも、レバーや卵などに多く含まれる「ビタミンB2」、かつおやさばに多く含まれる「ビタミンB6」、レバーやカレイに多く含まれる「ビオチン」は、その働きから特に髪の毛に良い栄養素とされており、日々の食生活の中で摂取したい栄養素です。

亜鉛

亜鉛は、タンパク質の合成に関与する酵素の構成成分の1つです。亜鉛を摂取することで、健康な髪の毛の健康や成長のサポートに繋がります。反対に、亜鉛が極端に不足すると「抜け毛」の原因になる場合もあります。亜鉛が多く含まれている代表的な食べ物に「牡蠣」があります。牡蠣が苦手な方は、赤みの肉やナッツ類などにも多く含まれていますので、献立に取り入れてみてはいかがでしょうか。


これらの栄養素を日々の食生活のなかで積極的に取り入れて、バランスの取れた食生活を送ることを心がけましょう。
薄毛を改善させる食事について詳しくは「【薄毛を改善する方法とは】食事・運動・マッサージなど日常生活で行える方法とその効果を徹底解説」をご参照ください。 

参考


脱毛症診断チェック

発毛に有効なサプリメントはあるのか

ここがポイント!

  • 発毛効果が医学的に証明されているサプリメントはない
  • 「髪の毛が生えてくる」と書いてあるサプリがあったとしたらそれは間違い
  • 間違った広告と正しい広告を普段から注意して見分けよう

発毛効果が医学的に証明されている「サプリメント」は、現在のところ開発されていません
先ほどお話ししたように、日本で発毛効果が認められている薬は、AGA治療薬である「ミノキシジル」「フィナステリド」「デュタステリド」の3種類と、診療ガイドラインには記載されていませんが多くの実績報告があるHARG療法に使われる「HARGカクテル」のみです。

サプリメントの広告で「髪の毛が生えてくる」というように、発毛効果があるかのような表現を用いている商品もありますが、それらの発毛効果は医学的に証明されているものではありません。消費者庁では、「人の身体を美化し、魅力を増し、容ぼうを変え、又は皮膚若しくは毛髪をすこやかに保つに資する効果」について嘘や消費者を誤認させる広告・表示を禁止しています。しかし、実際に発毛効果が証明されていない「育毛剤」や「サプリメント」の中には、禁止されているにも関わらず、あたかも効果が証明されているかのように記載されている商品もあります。
インターネットなどで見かける広告は、目立つものであっても、必ずしも正しい情報であるとは限りません。どのような商品に対しても言えることですが、購入する際には、注意深く本当の情報を得るように心がけてください。

参考


頭皮マッサージは発毛に効果的なのか

ここがポイント!

  • 頭皮マッサージによる直接的な発毛効果は今のところ医学的に証明されていない
  • しかし、頭皮マッサージによる血流改善は、間接的に発毛の手助けとなる
  • 過度な頭皮マッサージは頭皮にダメージを与える場合があるので、やり過ぎに気を付け

薄毛対策の商品として、頭皮マッサージ用のブラシなども販売されていますが、頭皮マッサージには、本当に発毛や育毛の効果があるのでしょうか。ここでは、頭皮マッサージの効果と方法について見ていきましょう。

マッサージは頭皮の血行促進につながる

育毛剤に、セットで頭皮マッサージ用の専用ブラシがついてくる商品を見かけます。薄毛に悩み、一度は手にした、または使用したことがあるという人もいるのではないでしょうか。

頭皮マッサージを行うことで、直接的に発毛・育毛効果があるという医学的証明は、今のところなされてはいません

一方で、髪の毛は、頭皮の毛細血管を通して、血液から必要な栄養や酸素を取り入れているため、頭皮マッサージを行うことは、毛細血管の血流改善につながり、引いては十分な栄養や酸素を髪の毛に届けることにつながります。つまり、頭皮マッサージは、間接的に発毛の手助けとなる効果を与えていると言って過言ではないでしょう。

花王株式会社は、頭皮マッサージが頭皮や髪の毛に与える影響を調べ、その結果を日本抗加齢医学総会で報告しました。それによると、日本人男女9人に「頭皮をほぐす、押す、さする、引き上げる、軽くたたく」の一連の頭皮マッサージを1日3回、6カ月間毎日行ってもらい、マッサージをしなかった15人と比較をしました。すると、頭皮マッサージを行っていたグループの方が、行っていないグループに比べて「髪の毛の密度」「髪の毛のハリやコシ」が増加しているという結果が得られました。この研究以外にも、アンファー株式会社とAGA専門クリニックの医師らの共同研究により、頭皮マッサージを24週間1日1回4分行うことで、髪の毛の太さが改善したという報告もあります。

これらの研究データは、いずれも比較人数がまだ少なく、また、国際的な医学専門誌での論文報告がなされていないため、今のところ「医学的に証明されている」と言えるほど明確な根拠にはなりませんが、頭皮マッサージが髪の毛や頭皮に良い効果をもたらす可能性は示されていると言えるでしょう。

頭皮マッサージの基本

頭皮マッサージの方法はいくつかあります。マッサージは基本的に頭皮や髪の毛を傷めないように指の腹を使って行います。指の腹を頭皮に押し当ててゆっくりと圧迫する、揉む、さするなどの方法で、マッサージを行っていきます。

生え際のマッサージ方法

AGAの症状の特徴は「額の生え際の後退」と「頭頂部の薄毛」です。頭頂部を含めた頭全体のマッサージ方法はイメージしやすいと思いますが、「生え際」をマッサージしたい場合にはどのように行えばよいのでしょうか。

生え際は次のような手順でマッサージしていきましょう。
1.人差し指と中指をもみ上げに当てます。
2.そこから生え際に沿って、人差し指と中指で圧迫しながら皮膚を上に引き上げていきます。
3.生え際の中央まで達したら今度は中央から頭頂部に向かって円を描くように圧迫していきます。
頭皮マッサージの手順
頭皮マッサージはストレス解消やリフレッシュにもつながります。ぜひ試してみましょう。

頭皮マッサージはすればするほど効果があるのか

頭皮マッサージは血行を改善し、間接的に髪の毛や頭皮に良い影響を与えます。しかし、過度なマッサージはかえって頭皮や髪の毛を傷める原因となります。マッサージはやり過ぎないように注意しましょう。

参考


脱毛症診断チェック

ツボの発毛効果は医学的に証明されているのか

ここがポイント!

  • ツボを刺激することによる発毛効果に、医学的根拠はない

東洋医学で血流改善の効果があると紹介されているツボがあります。しかし、ツボを刺激することにより発毛効果が得られるかどうかの検証はされていません。また、ツボの効果については、日本皮膚科学会が策定しているAGA診療ガイドラインにも載っておらず、現在のところツボを刺激することで発毛効果が得られる医学的根拠は乏しいと考えられます。

東洋医学で紹介されている血流を改善するツボについては、「育毛に重要な3つの方法|普段から試せる方法とは?~薬を使った方法、サプリや民間療法の医学的根拠についてなどについても」をご参照ください。

発毛抑制する生活習慣はあるのか

ここがポイント!

  • 「健康的な生活」が、間接的にAGA予防につながる

髪の毛の成長を妨げる生活習慣

喫煙や飲酒などの生活習慣によって、発毛が抑制される場合もあると言われています。髪の毛は体の一部なので、生活習慣が乱れていると髪の毛に十分な栄養や酸素が取り入れられず成長の妨げになることは考えられます。
偏った食事、運動不足、睡眠不足、喫煙、過度な飲酒などは、髪の毛だけでなく「生活習慣病」の原因ともなるのです。一度、自分の生活習慣を振り返ってみてはいかがでしょうか。

生活習慣を改善するためのポイント

生活習慣の乱れよって、髪の毛の成長を妨げる原因になる可能性はあると説明しました。そのため、生活習慣を改善することで髪の毛の健康や成長ををサポートすることは出来ます。
ここでは、髪の毛の成長をサポートするために、気をつけられる生活習慣のポイントを紹介します。

生活リズムを整える

生活リズムが崩れると、自律神経の乱れに繋がります。自律神経には体を活発に動かす「交感神経」と体をリラックスさせる「副交感神経」があります。この2つ自律神経は、互いにバランスと取り合っています。しかし、生活リズムが乱れると自律神経のバランスも崩れてしまうのです。自律神経の乱れによって「交感神経」が優位に働くと、血管が収縮し血行不良を起こします。頭皮が血行不良になると、十分な栄養や酸素が髪の毛に届かなくなり、髪の毛の成長に影響を与えてしまい、脱毛のリスクにつながります。生活リズムを整えるためには、睡眠時間をしっかりと取ることが重要です。快眠のポイントとしては、毎日同じ時刻に眠る、起床時に日光を浴びる、寝具を整える、就寝の2〜3時間前に入浴を行い体温を上げるなどがあります。不眠で悩んでいる方は一度試してみてはいかがでしょうか。

適度な運動を行う

運動不足が続くと筋肉が凝り固まってしまい、血行不良を起こします。厚生労働省の「eーヘルスネット」という健康情報サイトには「全身の筋肉を30分程度伸ばすストレッチを行うことで、副交感神経が活発になる」と記載されています。。副交感神経の働きが活発になると血管が拡がり、血液の流れが良くなります。ストレッチには「ヨガ」や「ピラティス」なども含まれています。ストレッチの効果には「血流改善」や「体の柔軟性を高める」だけではなく、心拍数を下げてリラクゼーション効果をもたらす事が明らかになってきています。ジョギングや筋トレなど体を動かす事が苦手な方は、ストレッチから初めてみてはいかがでしょうか。ストレッチを行う際に気をつけるべきポイントとして、「e-ヘルスネット」に記載されている、「ストレッチングを実施する際の5つの注意点」を紹介します。ストレッチを実施する際に、参考にしてみてください。

<ストレッチを行う際の注意点>
・ストレッチは20秒以上時間を掛けて伸ばす
・部位を意識して伸ばす
・痛みは筋肉を硬直させてしまうため、気持ち良いと感じる程度に伸ばす
・呼吸は止めずに、ゆっくりと深い呼吸を続ける
・目的に応じて、適切な部位を選択する


健康な髪の毛の成長をサポートとして、「食事」「睡眠」「運動」を意識して、規則正し
い生活リズムを整えるよう心がけていきましょう。
快眠のポイントについて詳しくは「【AGAの予防と対策】食事やシャンプーなどの日常生活で出来る対策から予防薬の情報までを解説」をご参照ください。

参考


脱毛症診断チェック

まとめ

AGA治療における「発毛」について、いろいろ見てきました。
「発毛効果」「育毛効果」をうたっている商品は多く市販されていますが、実際に発毛や育毛効果を医学的に証明されている成分はわずかであり、今のところ日本では、AGAの治療薬に指定されている薬「ミノキシジル」「フィナステリド」「デュタステリド」の3種類のみとなっています。
「ミノキシジル」は、医師の処方を受けなくても、薬局やドラッグストアで薬剤師による説明を受けた上で、自分の意思で購入・使用が出来ます。一方、「フィナステリド」「デュタステリド」は医師の処方が必要な薬であるため、いずれも医療機関を受診する必要があります。これらによる治療を考えている場合には、病院の皮膚科または脱毛症専門外来、AGA専門クリニックなどで医師に相談してみましょう。AGAの治療は自由診療であり料金設定や行っている治療法が施設ごとに異なります。医療機関を受診する前には事前に電話やインターネットなどで情報を確認しておくと安心でしょう。
市販の育毛剤、サプリメント、シャンプーの中には、発毛効果があるかのような宣伝が書かれているものもありますが、それらはあくまでも、「髪と頭皮の健康を保つ」という面から補助的に使うものです。直接的な発毛効果が期待出来るものではないと理解した上で購入・使用しましょう。
頭皮マッサージも、直接的に発毛に結びつくという効果は今のところ医学的に証明されていませんが、間接的に発毛を補助する可能性はいくつか示されています。頭皮マッサージはストレス解消やリフレッシュにもつながるので、行ってみると良いでしょう。ただし、やり過ぎは逆に頭皮にダメージを与える場合もありますので、適度に行うようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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