糖尿病にならないための対策とは|食事・運動・サプリなどの予防法をご紹介

糖尿病にならないためには、どのような対策を取れば良いのでしょうか。日本人の糖尿病の95%以上を占める2型糖尿病は「生活習慣病」の一つであり、食事や運動など生活習慣の乱れが原因で、発症する事が明らかになっています。糖尿病は発症すると命に関わる合併症を防ぐためにも、治療を続けなければならない病気です。糖尿病にならないためにも、日頃から食事や運動などを通して生活習慣を改善していく必要があります。ここでは、糖尿病の予防や進行防止に効果がある、食事や運動方法などの対策について詳しく説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病にならないための対策①食べ物/飲み物
  2. 02糖尿病にならないための対策②運動
  3. 03糖尿病にならないための対策③サプリ
  4. 04まとめ

糖尿病にならないための対策①食べ物/飲み物

ここがポイント!

  • 2型糖尿病は生活習慣病の一つであり、カロリーの取りすぎや偏った食生活が原因になる
  • 糖尿病を予防するためには、自分の適切なエネルギー量を知り、栄養素をバランスよく摂取する事が重要
  • カロリーを減らすために、過剰な食事制限を行うと体内の栄養素バランスが崩れたり、食事を摂取した時に血糖値の急上昇を招いたりするため危険である
  • 甘いジュースやアルコールには、糖分が多く含まれているので、ジュースは水やお茶に変更し、アルコールは1日20g程度にしよう
  • 純アルコール20gは、日本酒 1合,ビール中瓶 1本,焼酎半合弱,ウイスキー・ブランデーダブル1杯,ワイン グラス2杯弱程度である

2型糖尿病は生活習慣病の一つであり、生活習慣の乱れが発症原因になります。そのため、糖尿病を発症している人だけでなく、糖尿病を発症していない人も予防対策として、自分の食生活を見直して行く必要があります。ここでは、糖尿病にならないために食事を選ぶポイントや適正な食事量について説明していきます。

食べ物で気をつけるポイント

糖尿病予防のためには、「カロリーを摂りすぎない事」が重要です。食べ過ぎや偏った食生活は、肥満の原因となり糖尿病だけでなくその他の病気のリスクも高めます。特に、普段から外食やコンビニ食を利用している人は、知らず知らずのうちに1日に必要なエネルギー量を超えているかもしれません。しかし、カロリーを取らなければ良いという訳ではありません。減量のために、過度な食事制限をしているとかえって血糖コントロールが乱れ、悪影響を及ぼす場合があります。そのため、自分にはどのくらいのエネルギー量が必要なのかを知り、そのエネルギー量をバランスよく取る事がポイントなのです。
糖尿病にならないための食事の注意点.png

栄養素をバランスよく摂る

エネルギー量だけではなく、食事では生きるのに必要な栄養素をバランス良く摂取する必要があります。カロリーを取りすぎていなくても、栄養素が偏っていると、体はバランスを保てなくなり、体調が崩れてしまいます。食事では、「糖質」「タンパク質」「脂質」のバランスに注意し、「ビタミン」「ミネラル」の摂取も心掛けていきましょう。
また、「糖質」「タンパク質」「脂質」は、必要な栄養素ですが、過度に摂取すると、糖尿病になるリスクが上がります。ガイドラインでは、炭水化物(糖質)を50~60%、タンパク質を20%以下、残りを脂質として摂取する事が推奨されています。

脂質・タンパク質を制限する理由

脂質の中でも、おもに動物性の脂肪に多く含まれる「飽和脂肪酸」は、摂取量が多すぎると血中LDLコレステロールが増加し血管の壁が固くなって、動脈硬化や肥満の原因となります。「飽和脂肪酸」は、肉類の脂身や鶏肉の皮・ラード・バター・乳脂肪・ココナッツミルクなどに多く含まれています。また、豆・卵・肉・魚に多く含まれるタンパク質は、摂取量が多すぎると腎臓に負担をかけてしまい、糖尿病の合併症の一つである「糖尿病腎症」のリスクが上がるとされています。

炭水化物(糖質)を制限する理由

炭水化物(糖質)は、ご飯、パン、麺類、いも類、果物などに多く含まれています。炭水化物(糖質)は、体に取り込まれると「ブドウ糖」となり、脳などのエネルギーになります。摂取量が多すぎると、体内で「ブドウ糖」が処理出来ず血糖値が上昇し、肥満や生活習慣病の原因となります。しかし、炭水化物のみを極端に制限することは、長期的に「食事療法」が必要な糖尿病の治療では、推奨されないとガイドラインに記載されています。

食物繊維は糖尿病の予防や改善に有効な栄養素

食物繊維の多い野菜を先に食べることで食後の血糖値の上昇を抑え、血清コレステロールの増加を防ぎ、整腸作用により便通を改善する効果があるとされています。1日20g以上の食物繊維を摂取する事が推奨されています。食物繊維は、豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などに多く含まれています。

では、実際どのようなメニューを選べばいいのでしょうか。日本糖尿病協会の「糖尿病療法のための食品交換表」では、以下の食事の例が紹介されています。単にメニューを組み合わせるために、「80kcal=1単位」として、様々な食品が紹介されているので「食生活改善」の参考にするといいでしょう。

<1600kcalの食事の例>
朝食:白米と麦が1:1の麦ごはん、納豆とオクラ、ほうれんそうとしめじ入りのみそ汁、ごぼうとにんじんととこんにゃくのきんぴらごぼう、オレンジ
昼食:白米、卵スープ、豚ロースの生姜焼き、付け合わせにトマト・ブロッコリー・レタス、さやいんげんのごま和え、
夕食:白米、マグロ(赤身)とたいのさしみ、生あげの炊き合わせ、なすときのこの炒めもの、きゅうりの三杯酢
間食:牛乳、りんご

適切なエネルギー量を知ろう

カロリーを摂りすぎないよう注意するためには、自分の適切なエネルギー量を知る事が必要です。1日に必要な適正なエネルギー量(カロリー)は、「エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量」で算出できます。
まずは、「標準体重」と「身体活動量」の計算方法についてそれぞれ見ていきましょう。

標準体重

標準体重や肥満度は、BMIという体格指数を用いて調べる事が出来ます。
標準体重の求め方

BMI(体格指数)=体重(kg)÷{身長(m)×身長(m)}で算出できます。日本肥満学会では、BMIの指数22を最も病気にかかりにくい「標準体重」と定めています。ですから、標準体重を調べたい場合には、170cmの人の場合、『1.7(身長)×1.7(身長)×22(BMI指数)=63.58(kg)』で算出されます。

また、肥満度を調べたい人の場合、170cm80kgであれば、80÷(1.7×1.7)=27.68なので「肥満1」と判定されます。BMI指数が25を超えると肥満とされ、糖尿病や高血圧など生活習慣病の発症リスクが高まる事が明らかになっています。BMIが25以上の人は、BMI25以下を目指しましょう。

<BMI指数>
BMIの基準 判定
18.5未満 低体重
18.5~25未満 普通体重
25~39未満 肥満1
30~35未満 肥満2
35~40未満 肥満3
40以上 肥満4

身体活動量

身体活動量は、1日どのくらい仕事で身体を動かしているかで判断出来ます。
身体活動量の目安.png
・軽労作(デスクワークが多い職業など)   25〜30kcal/kg
・普通の労作(立ち仕事が多い職業など)   30〜35kcal/kg
・重い労作(力仕事が多い職業など)     35〜 kcal/kg

性別、年齢や合併症などによって、目標とする適正量は違ってきますが、
例えば170cmでデスクワークの人で、エネルギー摂取量の目安を算出すると、
170cmの標準体重が、1.7m×1.7m×22=63.58kg
デスクワークの場合の摂取カロリーの目安が、 25〜30kcal/kgになので、
30kcal×63.58kg=1907kca/1日となります。

いかがでしたでしょうか。自分に適切なエネルギー量を知る事で、食事にも気をつける事が出来ますよね。一度、調べて見てはいかがでしょうか・

1日の食事の回数

カロリー制限をするために、食事回数を減らしてはと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。朝食を抜くと午前中の血糖値が低く、昼食後に一気に血糖値が上がってしまいます。このような、急激な血糖値の変化を防ぐためにも、「1日3食」に分けて食事をすることが推奨されています。血糖コントロールには食事のタイミングも大切です。食事をとる時間が不規則にならないよう、心掛けていきましょう。

飲み物で気をつけるポイント

血糖値が高くなると、体は正常な濃度に戻そうとして糖を尿から排出させます。そのため、尿の回数が多くなり、喉が渇くため水分を多く飲むようになります。

糖分の多い飲み物は控える

ジュースやスポーツ飲料などの甘い飲み物には、多くの糖が含まれています。日常的にジュースなどを飲むと、血糖値の上昇やメタボリックシンドロームのリスクが高くなります。水分補給には、糖分の含まれていない、水やお茶を選ぶようにしましょう。

飲酒は適量を心掛ける

アルコールも糖質を含んでいるため、飲み過ぎると血糖値が上昇してしまいます。
厚生労働省は、メタボリックシンドロームの予防のため「適度な節酒を推奨」しています。推奨量としては、純アルコールにで1日20g程度とされており、さらに週に2日間の休肝日を入れる事が重要だとされています。
純アルコール20gの目安量.png
ちなみに、日本酒 1合,ビール中瓶 1本,焼酎半合弱,ウイスキー・ブランデーダブル1杯,ワイン グラス2杯弱程度です。ただし、肝臓に疾患がある場合や、合併症がある場合は禁酒となります。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016
糖尿病の食事|厚生労働省
脂質異常症|e-ヘルスネット
たんぱく質|e-ヘルスネット
炭水化物|e-ヘルスネット
食物繊維|e-ヘルスネット
炭水化物|農林水産省
日本糖尿病協会「糖尿病療法のための食品交換表」第7版
高血圧症発症チェック

糖尿病にならないための対策②運動

ここがポイント!

  • 運動は肥満やインスリン抵抗性の改善効果があり、糖尿病の改善や生活習慣病の予防に効果的である
  • 「有酸素運動」を出来れば毎日、少なくとも週に3~5回、1日20~60分、「ややきつい」と感じる程度の運動を行うと血糖値の改善に効果がある
  • 「有酸素運動」と「レジスタンス運動」を組み合わせるとより効果的である
  • 有酸素運動はウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの全身運動
  • レジスタンス運動は腹筋、スクワット、腕立て伏せ、ダンベル体操などの一般的に筋トレと呼ばれる強い負荷を掛ける運動

運動には、内臓の肥満細胞を小さくし、肥満の改善効果があります。また、脂肪組織から分泌されているインスリンの働きを妨害する物質の分泌量が減少するため、筋肉や肝臓の糖の処理能力が改善し、血糖値を安定させる効果もあります。このような効果から、運動は「運動療法」として糖尿病の治療にも用いられていますし、生活習慣病予防の観点からも重要であるとされています。
ここでは、糖尿病の予防対策として、どの程度運動を行えば良いのかを解説していきます。

最も効果的なのは有酸素運動である

有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの全身運動のことです。糖尿病診療ガイドラインでは、有酸素運動を行うと「血糖コントロール」「インスリン抵抗性」「心肺機能」「脂質代謝」を改善すると記載されています。1日20~60分、「ややきつい」と感じる程度で行うと糖尿病の改善に効果があります。運動の頻度としては、出来れば毎日、少なくとも週に3~5回は運動する習慣をつけましょう。

例えばウォーキングだと、1回15~30分を1日2回行うと、約1万歩歩くことが出来、160~240kcalのエネルギーを消費すると、「日本糖尿病学会の糖尿病治療ガイド2016~2017」に記載されています。

筋トレでも糖尿病対策になるのか

腹筋・スクワット・腕立て伏せ・ダンベル体操などの一般的に筋トレと呼ばれる強い負荷を掛ける運動を、「レジスタンス運動」といいます。週に2~3回「有酸素運動」と同時に「レジスタンス運動」を行うと、より糖尿病に効果があるとガイドラインでも推奨されています。
糖尿病を予防するための運動.png

運動に制限がある場合もある

糖尿病を予防するためには、ややきつい程度の運動が効果があり「継続」して取り組むことが大切です。しかし、持病を持っている方は運動に制限が設けられている場合もあります。生活習慣病の予防に、運動はとても重要ですが、通院しているような病気がある方は
、必ずかかりつけの医師と相談をしながら、運動をするようにしましょう。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016

糖尿病にならないための対策③サプリ

ここがポイント!

  • サプリメントに医学的に証明された「治療効果」はない
  • 「治療効果」が医学的に証明されているのは「医療用医薬品」のみ

サプリメントはあくまでも、食事で摂りきれない栄養を補助的に摂取することを目的としています。
血糖値に効果があると宣伝されている商品が、ドラッグストアやコンビニエンスストアやインターネットなどで誰でも購入する事が出来ますが、サプリメントには医学的に証明された「治療効果」はありません。
血糖値を下げたり、尿から糖を排出する効果が医学的に証明されているのは「医療用医薬品」のみです。医療用医薬品は、医療機関で診察を受けなければ処方されません。
糖尿病は人によって、症状や程度が違い使用される薬も様々な複雑な病気です。糖尿病の場合は、まずは医師の診察を受けてサプリメントの使用について相談してみるのがいいでしょう。

参考

「健康食品」のホームページ|厚生労働省
健康食品の正しい利用法(pdf資料)|厚生労働省医薬食品局食品安全部
高血圧症発症チェック

まとめ

血糖値が高い状態を放置していると合併症を引き起こし、最悪の場合「失明」「透析」「足の切断」などの取り返しのつかない状態を引き起こすこともあります。糖尿病と診断される前なら「食生活」の改善や「運動」などの生活習慣の改善に十分に取り組むことで、血糖値を正常な状態まで下げることも出来ます。
糖尿病の人も生活習慣を改善し、血糖コントロールすることで、合併症の予防をし健康な人と変わらない生活を送ることが出来ます。担当の医師や栄養師のアドバイスを参考に、食事や運動に取り組んでいきましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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