糖尿病の初期症状とは|血糖値の変化で起こりうる症状について解説します

糖尿病の初期は、自覚症状がない場合が多く、気づかないうちに進行しているケースもあります。また、糖尿病は放置しておくと、高血糖状態が続き次第に血管がダメージを受けて、命に関わる合併症を引き起こします。こうした合併症を防ぐためにも、糖尿病の早期発見・早期治療が重要です。ここでは、糖尿病を発症した場合に現れる症状について詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病の初期症状とは
  2. 02糖尿病になるとなぜ痩せるのか
  3. 03糖尿病が進行すると起こる症状
  4. 04糖尿病の症状に眠気はあるのか
  5. 05まとめ

糖尿病の初期症状とは

ここがポイント!

  • 糖尿病は初期症状がほとんどないため、気づかない間に進行してしまうことがある
  • 糖尿病は、進行すると「多尿」「口渇」「多飲」「体重減少」などの症状が起こる

糖尿病の初期症状はほとんどありませんが、進行すると自覚症状が現れるようになります。ここでは、どのような症状が糖尿病のサインなのか確認していきましょう。

糖尿病が進行すると起こりうる症状

2型糖尿病は、初期症状はほどんどありませんが、高血糖の状態が長期間続き、糖尿病が進行していくと徐々に自覚症状が現れるようになります。現れる自覚症状には、「尿の量と回数が多い」「喉が乾きやすく水分を多く摂る」「体重減少」などがあります。
2型糖尿病は「インスリンの分泌量が減る」または「インスリンの効果が弱まる」ことで、体内の血糖値が上昇します。体は、血糖を水分と共に尿から排出させて正常な値に戻そうとするために尿の量が多くなり、体内の水分量が減るため、喉が渇き水分を多く摂るようになるのです。また、糖分が細胞や臓器に吸収されず、尿と共に排出されてしまうため、必要なエネルギーを摂取できず、体重が減少してしまいます。
糖尿病の症状
糖尿病は、初期症状がほとんどないため、これらの症状を自覚した場合、すでに糖尿病が進行した状態である可能性もあります。気になる症状がある方は、一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。

急激に症状が悪化し昏睡状態に陥る場合もある

糖尿病では、「糖尿病ケトアシドーシス」という急性に発症する合併症があります。インスリンが極端に不足していたり、インスリンの働きを妨害するホルモンが多量に分泌されたりした場合に、生じる可能性があります。インスリンが不足すると、細胞や臓器が必要な糖分を取り込めなくなるため、代わりに脂肪を分解し始めます。脂肪の分解の際に「ケトン体」が同時に作られ、血中にケトン体が増加する事でケトアシドーシスを引き起こすのです。

糖尿病性ケトアシドーシスは、インスリンがほとんど分泌されない1型糖尿病に多くみられますが、高血糖の2型糖尿病にもみられる場合があります。症状としては、急激に喉が乾く、多飲、多尿、体重減少、意識障害があり、腹痛や悪心などを伴う場合もあります。急激に発症し数日で昏睡状態になる事もあり、至急の治療が必要です。
1型糖尿病について詳しくは1型糖尿病について|発症原因から症状、最新の治療法までを解説をご参照ください。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016
高血圧症発症チェック

糖尿病になるとなぜ痩せるのか

ここがポイント!

  • 糖尿病が悪化してインスリンが出にくくなる、または働きが悪くなると、「体重の減少」の症状が現れる
  • インスリンの作用が弱くなると、体のエネルギーとなるはずだった糖が、尿として排出されてしまうため、体重は減っていく

2型糖尿病は一般的に「肥満」が原因となることが多いため、「糖尿病=太っている人」というイメージを抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、一方で糖尿病の症状には「体重減少」があります。
インスリンには、血液中にある糖分を細胞や臓器に運ぶ働きがあり、この働きによって血糖値を下げています。そのため、「インスリン」の働きが悪くなると、食事からとった「糖」をエネルギーとして代謝が出来なくなり、体内の血糖値が増加するのです。そして、糖尿病が進行すると体のエネルギーとなるはずだった糖が、尿として排出されてしまうため、体が栄養不足となり体重が減ってしまうのです。
糖尿病の悪化による体重減少糖尿病を発症していない方でも「たくさん食べているのに、最近体重が減ってきた」と感じる場合には、糖尿病の可能性もあります。不安な方は、一度医療機関を受診し、医師に相談する事をおすすめします

参考

糖尿病診療ガイドライン2016

糖尿病が進行すると起こる症状

ここがポイント!

  • 糖尿病特有の合併症の「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」を起こしやすい
  • 「動脈硬化」が進行し、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などを発症するリスクが上がる
  • 合併症の予防には、適切な「治療」や「生活習慣の改善」を十分に行うことが重要

糖尿病の怖さは、高血糖状態が続き、血管がダメージを受け、命に関わる合併症を発症する事です。ここでは、糖尿病の進行によって起こる症状について、簡単に説明して行きます。

糖尿病に三大合併症

糖尿病には、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症という3つの特有の合併症があります。どの合併症も高血糖状態が続き、毛細血管が傷つくことが原因で引き起こされます。では、それぞれどのような症状が現れるのか見て行きましょう。

糖尿病性神経障害

末梢の毛細血管がダメージを受ける事で、感覚・運動神経が鈍くなり「末梢神経障害」が生じます。これにより、足先が痺れたり感覚が鈍くなったりして、重症化すると怪我から感染を起こし、組織が腐って死んでしまう「壊疽」を起こす場合もあります。

糖尿病性網膜症

目の内側にある網膜には毛細血管があり、高血糖状態が続く事で毛細血管が詰まったり、出血したりします。また、血管が詰まり網膜に必要な酸素や栄養素が届かないと、体は「新生血管」という新しい血管を作り出し栄養や酸素を届けようとします。この新生血管は、通常の血管よりも脆く出血しやすいです。糖尿病性網膜症は、眼底出血や網膜剥離を引き起こす場合もあり、最悪の場合失明する危険もあります。

糖尿病性腎症

腎臓は、毛細血管が球状に集まって出来た「糸球体」という部分で、血液を濾過し、老廃物や不要な水分を体外に尿として排出しています。しかし、高血糖の状態が続くと、糸球体もダメージを受け、腎機能が低下し血圧の上昇やむくみなどの症状が現れます。さらに腎障害が進行すると腎不全になり、透析や腎移植が必要になることもあります。

動脈硬化が進行する

糖尿病は、動脈硬化を進行させる事が明らかになっています。動脈硬化とは「血管が硬くなり、弾力性が失われた状態」をいいます。動脈硬化が進行すると、血管の内側にコレステロールや脂質が付着して「プラーク」というコブを作ります。プラークが破れると血栓が出来、「心筋梗塞」や「脳梗塞」などを引き起こします。糖尿病は、糖尿病特有の合併症だけでなく、こうした命に関わる病気の原因ともなるのです。

糖尿病が進行すると起こる症状.png

合併症を予防するために

血糖値が高いと診断されているにも関わらず、自覚症状がないからといって放置する事はとても危険です。初期の糖尿病は、自覚症状がほとんど現れないため、症状が現れた時にはすでに合併症を発症しているなど進行している状態の可能性があります。ですから、早期から適切な治療や管理を行い、命に関わる合併症を予防する事が重要なのです。糖尿病でない方も、年に一度は健康診断を受けたり、生活習慣の改善に取り組んだりしてはいかがでしょうか。

参考

日本医師会|糖尿病治療のエッセンス
国立循環器病研究センター|循環器情報サービス
高血圧症発症チェック

糖尿病の症状に眠気はあるのか

ここがポイント!

  • 低血糖を起こすと、眠気の症状が現れる
  • 動悸・発汗・脱力などの低血糖症状があり、少なくとも血糖値が「70mg/dL」以下の場合、低血糖と診断される
  • 低血糖を起こしたら、速やかにブドウ糖か糖分の入ったジュース・お菓子などの摂取が必要

糖尿病の薬は、血糖値を下げる効果があるので、血糖値が下がりすぎて「低血糖」を起こす危険性もあります。低血糖になると現れる症状の一つに「眠気」があります。ここでは、どのくらい血糖値が下がると低血糖症状が現れるのか解説します。

低血糖の症状

一般的に低血糖とは、動悸・発汗・脱力などの低血糖に起因する症状があり、少なくとも「血糖値が70mg/dL以下」の時に診断されます。
血糖値が「55mg/dL」程度まで下がると、アドレナリンの分泌により「発汗」「動悸」「悪心」「空腹感」などの交感神経症状が現れことが多く、さらに、「50mg/dL」程度まで血糖値が下がると、「眠気」「脱力」「めまい」「疲労感」「集中力低下」などが現れる場合があります。
低血糖の症状

低血糖に注意しよう

糖は脳のエネルギー源で、急激な血糖値の低下は、意識レベルが下がり倒れてしまう危険があります。低血糖の症状を感じたら、速やかにブドウ糖やジュース・お菓子などから糖分を摂取するようにしましょう。また、低血糖はインスリンが効きすぎていたり、いつもより食事量が少ないとき、運動量が多いときなどに起こしやすくなるので注意が必要です。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016

まとめ

糖尿病は、初期症状がほとんど現れない病気です。そのため、自覚症状を感じるということは、その段階ですでに糖尿病が進行している可能性があります。糖尿病は発症すると完治が困難な病気です。血糖値が上がり始めの初期の段階で、適切な対処をすることが合併症予防にも重要になります。年に1度は、健康診断を受け、自分の体の状態を把握するようにしましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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