【尿酸とは】痛風を引き起こす高尿酸血症の基準値やメカニズムを解説します

健康診断などで「尿酸値が高い」と指摘されたことはありませんか。血中の尿酸値が高いとさまざまな病気を引き起こしやすくなります。その代表的な病気が「痛風」です。「尿酸が溜まると痛風になる」、と言うことはよく言われているので聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。しかし、痛風以外にも尿酸値が高いと生命を左右するような病気になる可能性もあります。危険な病気になるのを防ぐためにも、尿酸についての知識を身につけることが大切です。尿酸の正体から、尿酸値の基準、尿酸値が高くなる仕組み、さらに尿酸が高いことでどんなことが起こるのかなどについて解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01そもそも「尿酸」とはどのようなものか
  2. 02尿酸値はどれくらいが正常値なのか
  3. 03尿酸値が上がるメカニズム|「産生と排泄のバランス」の崩れについて
  4. 04高尿酸血症が引き起こすさまざまな病気
  5. 05まとめ

そもそも「尿酸」とはどのようなものか

ここがポイント!

  • 尿酸は、体の中で「プリン体」が分解されて出来たもの
  • 尿酸が体で作られるのは「新陳代謝」「エネルギー消費」「プリン体を含む食品摂取」の3パターン
  • 尿酸は生きていく上で体から出る「ゴミ」のようなものであり、主に尿中に排出される

尿酸は、体の中で「プリン体」という物質が分解されて出来る最終産物です。老廃物である尿酸は、主に尿中に排泄されます。尿酸のもととなる「プリン体」は、細胞の中にある「核」という部分に含まれており、遺伝子の本体である「核酸」という物質の一部です。また、細胞がエネルギー源として使う「ATP」もプリン体です。またプリン体を含む食品を食べることによっても体内にプリン体は取り込まれます。
尿酸は次の3つの過程によって作られます。

1)細胞の新陳代謝により放出されるプリン体から作られる

人間の体は約60兆個の細胞からできています。それぞれの細胞には核があり、その中には遺伝情報を伝える「核酸」という物質が入っています。核酸は、DNAやRNAとも呼ばれており、その一部が「プリン体」で出来ています。体では絶えず新陳代謝が行われ、古い細胞が新しい細胞に入れ替わっています。古い細胞が死ぬ際、「核酸」が壊れます。すると、その一部であった「プリン体」が放出されます。その「プリン体」が分解され、尿酸が作られます。

2)運動によるエネルギー消費によって作られる

私たちは体を使って活動をする時、体内のエネルギー源である「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質を使います。この「ATP」もプリン体の一種です。本来であればエネルギー消費の時に「ATP」が使われ「ADP」という物質に変化したとしても、再度「ATP」となってエネルギー源として再利用されます。しかし、急激な運動などで「ATP」が急に多量に使用されて「ADP」がたくさん蓄積すると、「ATP」への再合成が間に合わなくなります。すると「ADP」は分解されます。ADPもプリン体なので、分解されると最終的に尿酸になります。

3)食品に含まれるプリン体から作られる

食品にはプリン体を多く含むものがあります。例えばレバーなどの内臓や、いくらなどの魚卵、干物などがそうです。こういった食品を多く食べると、体内にプリン体が多量に取り込まれます。尿酸はプリン体が分解されて出来る物質であるため、結果的に尿酸も多く作られることになります。
1)と2)の過程は体内で産生されたプリン体、3)は体外から取り込んだプリン体ということになります。テレビなどのメディアでは、多くの場合、プリン体を含む食品の摂取による尿酸値への影響が大きく取り上げられます。しかし実際、体の尿酸の大部分は、体内で作られています。また、尿酸を排泄する経路は、主に尿と消化管がありますが、約2/3は尿から排出されます

尿酸が出来るメカニズム

高血圧症発症チェック

尿酸値はどれくらいが正常値なのか

ここがポイント!

  • 尿酸の基準値は男性3.8〜7.0mg/dL、女性2.3〜7.0mg/dL
  • 女性ホルモンは尿酸の排泄を促すため、尿酸値は男性の方が高くなりやすい傾向がある
  • 尿酸値が7.0mg/dL以上になると、血中に尿酸の結晶が出来やすくなる


血液検査の項目にある「尿酸値」とは、血液中の尿酸の濃度のことです。
尿酸値の基準値は、男性が3.8〜7.0mg/dL、女性が2.3〜7.0mg/dL程度とされています。
尿酸値の基準値

尿酸値は一般的に男性の方が高めです。これは、女性ホルモンである「エストロゲン」に、尿酸の排泄を促す作用があるためです。女性でも閉経後はエストロゲンの分泌が減少するため、尿酸値が高くなって行く傾向にあります。男女ともに尿酸値が7.0mg/dLを超えると、尿酸が血液にこれ以上溶け切れない状態になります。すると、溶け切れなかった尿酸が結晶となって、関節など体のさまざまな部分に蓄積して行きます。後で詳しくお話ししますが、尿酸の結晶は痛風などの病気を招きます。尿酸値が7.0mg/dLを超える状態が続いた場合、「高尿酸血症」と診断され、なんらかの治療介入が必要になることが多いです。
一方、尿酸値が低いことで生じる病気もあります(低尿酸血症)。明確な基準値はありませんが、血液中の尿酸値2.0mg/dL以下が一つの基準とされており、尿中への尿酸の排出の亢進が原因と考えられています。低尿酸血症の人では、運動後に腎障害や尿路結石が起こる場合があります。

尿酸値が上がるメカニズム|「産生と排泄のバランス」の崩れについて

ここがポイント!

  • 尿酸は、「産生」と「排泄」でバランスをとりながら、体の中に常に一定量存在している
  • 何らかの原因によって産生量が増えたり、排泄量が減ったりすると、尿酸値が高くなる
  • 尿酸のバランスが崩れる原因には、食事、飲酒、激しい運動、肥満、基礎疾患、薬剤性などがある

尿酸は体で作られる量と、尿などから体外に排出される量との間でバランスを保ちながら、常に体内に一定量存在しています。通常、尿酸は体内に約1200mg存在し、そのうちの約700mgが毎日入れ替わっています。何らかの原因によって尿酸の産生量と排泄量のバランスが崩れると、尿酸が体内に溜まっていき、尿酸値が上昇してしまいます。
###尿酸値が高くなるタイプ
尿酸値が高くなるタイプには、次の3つがあります。

尿酸値が高くなる3つのタイプ
1)尿酸産生過剰型:尿酸の排泄量は正常だが、産生量が多いタイプ
2)尿酸排泄低下型:尿酸の産生量は正常だが、排泄量が少ないタイプ
3)混合型:尿酸の産生量が多く、排泄量が少ないタイプ

次に、尿酸量のバランスが崩れる原因を見てみましょう。尿酸の産生量が増えたり、排泄量が減ったりする原因は複数あります。

<尿酸の産生が過剰になる原因>

プリン体の多い食事、食べ過ぎ、飲酒、激しい運動、肥満、遺伝的要因、ストレス、薬剤性、基礎疾患(甲状腺疾患、悪性腫瘍など)

<尿酸の排泄が減少する原因>

遺伝的な腎臓での尿酸排泄能力の低下、飲酒、激しい運動、肥満、腎臓の病気、薬剤性など

このように、複数の原因によって、体内の尿酸量のバランスが崩れます。それでは、主な原因となる「食事」「飲酒」「運動」のそれぞれによって尿酸値が上がるメカニズムを見てみましょう。

食事と尿酸値

プリン体が多く含まれる食品を食べると、それだけ多くのプリン体が体内に入ります。尿酸はプリン体が分解されて出来るため、プリン体が多く体内に入るほど尿酸値も上がります。また、いくらバランスの取れた食事であっても、食べ過ぎは内臓脂肪の増加につながります。内臓脂肪が多いと、食後の血糖値の急上昇を抑えるホルモンである「インスリン」が効きづらくなります。すると体はインスリンが足りないと判断して大量に分泌するため、高インスリン血症となります。高インスリン血症になると、腎臓での尿酸の排泄量が低下し、尿酸値の上昇につながります。

飲酒

アルコールが体内で分解される時に尿酸が作られます。また、アルコール代謝の際にできる乳酸には、体内に尿酸を蓄積させる作用があります。さらにアルコール飲料、特にビール類には尿酸の元になるプリン体が多く含まれているものがあります。これらの理由から、飲酒は尿酸値を上昇させる原因となっています。

運動と水分

適度な運動は肥満を解消するため、尿酸値を下げると言われています。一方で、運動習慣がない人が急に激しい運動をすると、尿酸値を上げてしまう場合があります。これは先ほど説明したように、激しい運動で急激にエネルギーを消費すると過剰にATPが使われてしまうからです。その結果、プリン体であるADPが多量に発生し、それが分解されることで尿酸値が上がってしまうのです。さらに、運動よって汗をかくと、水分が抜ける分、血液に含まれる成分の濃度が上がるため、その分尿酸の濃度も上がってしまうリスクがあります。

高血圧症発症チェック

高尿酸血症が引き起こすさまざまな病気

ここがポイント!

  • 痛風は、尿酸の結晶が足の関節などに蓄積して起こる
  • 尿酸の排泄を担う腎臓では、尿酸の結晶が出来やすく、出来た結晶は腎臓の機能低下を招く
  • 尿酸値は高血圧、メタボリックシンドローム、肥満などと関連している
  • 高尿酸血症の人は心臓病や脳卒中などで死亡するリスクが高い

尿酸値が高い状態が続くと、さまざまな病気にかかりやすくなります。中でも関連性の高い痛風、尿路結石、腎障害について、それぞれ見ていきましょう。

高尿酸血症状が引き起こす病気

痛風(痛風発作)

尿酸値が高い状態が続くと尿酸の結晶が出来やすくなります。尿酸の結晶は、体のさまざまな部位に蓄積します。それが「痛風」です。
高尿酸血症の人の中には、「痛風発作」を起こして初めて、尿酸値の高さに気づく人も多くいます。
「痛風発作」とは、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れ、激痛を伴う状態です。痛風発作は夜中から朝方にかけて起こりやすく、また足の親指の付け根など、血流が少なくて冷えやすい場所で起こりやすいと知られています。「痛風発作」は、尿酸の結晶が体内に蓄積しているだけでは起こりません。尿酸の結晶は、ストレスや激しい動きなどの原因で、それまで蓄積していた関節からはがれ落ちます。すると、体内をパトロールしている免疫細胞である「白血球」が、その結晶を「異物」と判断して攻撃し、炎症反応が起こります。この炎症により、腫れや痛みが起こるのです。
厚生労働省の調査によると、痛風で通院をしている人は平成7年で約42万人、平成16年で約87万人、平成19年で約160万人でした。痛風による通院者数は年々増加、しかも急増していることが分かります。

尿路結石

尿路結石とは、腎臓、膀胱、尿道などの尿が通過する場所に、石のような塊である「結石」が出来る病気です。体内の尿酸が増加すると、尿が酸性になっていきます。尿が酸性になると結石が出来やすくなります。結石のできる場所によっては、腰からおなかにかけて激痛が起こることがあります。痛風の人の約10%〜30%に尿路結石が見られるとされています。

腎障害

体の中で、尿酸の結晶が最も蓄積しやすいのは、関節ですが、次に蓄積しやすい場所が腎臓です。腎臓は血液をろ過して尿を作る役割があるため、尿酸の排泄にとっても、重要な役割を担っています。そのため、腎臓の機能が低下してしまうと、尿酸の排泄も低下してしまいます
腎臓で尿が作られる際に、血液は濃縮されます。血液が濃縮されると、尿酸の濃度も高くなるため、腎臓は他の臓器に比べて尿酸の濃度が高くなっています。そのため、腎臓では尿酸が結晶になりやすいという特徴があります。尿酸の結晶が腎臓に溜まると、腎臓の機能が低下します。腎機能が低下すると、尿酸の排泄が十分に出来ず、尿酸が蓄積します。するとさらに腎機能障害が進行する、というような悪循環に陥ります。治療をせずに悪化していくと、慢性腎臓病や腎不全などの病気にもつながってしまいます。

高尿酸血症が関連するその他の病気

国内外の研究により、尿酸値が高いと、痛風、尿路結石、腎障害以外にも、さまざまな病気を起こしやすいことが、分かって来ています。いくつかの研究の成果を見てみましょう。
まずは尿酸と高血圧に関してです。鳥取大学大学院医学系研究科の研究グループは、男性では尿酸値が5.4mg/dL、女性では4.3mg/dL以上から高血圧を合併する割合が増加してきていると報告しました。この結果から尿酸値が高いと高血圧になりやすくなることが分かりました。
次は尿酸とメタボリックシンドロームおよび肥満の関係です。米国ボストン大学の研究グループは、尿酸値が高いほど、メタボリックシンドロームである人の割合が高くなるという結果を報告しました。メタボリックシンドロームは動脈硬化を悪化させ、心臓病や脳卒中などの病気を招きます。さらに同研究グループは、人の肥満度を表す指数のBMIが高いほど、高尿酸血症である人の割合が高くなることも報告しました。
さらに、日本の大手食品会社の発表によると、高尿酸血症の人の死因で1番多いのが心筋梗塞などの心臓病、2番目に多いのが脳卒中となっています。これはメタボリックシンドロームの人がなりやすい病気と重なっており、ここからも、尿酸とメタボリックシンドロームの関係について間接的に示されていると考えられます。

まとめ

あなたは自分の尿酸値を知っていますか。国内で日本人を対象に行われた研究によると、日本の30歳代男性の約3割が高尿酸血症であると報告されています。また、最初にお示ししたように、高尿酸血症・痛風にかかっている人数は、年々増加傾向にあります。
痛風発作はその漢字の通り、風が吹いても痛いほどの激痛を伴います。そうなるともちろん、日々の生活に支障を来してしまいます。また、尿酸が高い状態が続くと、痛風だけでなく腎臓や肥満にも影響し、最終的には生命を左右するような病気につながる場合もあります。
尿酸値は、体の危険を知らせてくれるサインです。そのサインを見逃すことなく、日頃の生活習慣を見直してみましょう。

参考

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン
公益財団法人痛風財団
日本生活習慣病予防協会
統計表|厚生労働省
高尿酸血症は増加しているか?-性差を中心に(pdf資料)
Serum uric acid is associated with carotid plaques: the National Heart, Lung, and Blood Institute Family Heart Study. J Rheumatol. 2009 Feb;36(2):378-84

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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