尿酸値に関係するプリン体とは |プリン体と尿酸値の関係から痛風発作までを解説

アルコール飲料のCMなどで「プリン体フリー」や「プリン体ゼロ」という言葉を聞いたことはありませんか。プリン体をわざわざ抜いたようなアルコール飲料が売り出されていると、「プリン体って体に入れない方がいいのかな」と、思っている方もいると思います。実は、プリン体は、私たちが生きていく上で重要な役割を担っている物質なのです。一方で、プリン体が体の中で増えすぎると、尿酸値が上がり痛風などの病気が生じることもあります。
ここでは、プリン体とはどういうものか、プリン体と尿酸の関係などについてわかりやすく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01プリン体とはなにか
  2. 02プリン体と尿酸の関係
  3. 03プリン体を多く摂りすぎることで生じる病気について
  4. 04血液中の尿酸値を正常に保つためには
  5. 05まとめ

プリン体とはなにか

ここがポイント!

  • 細胞の核に存在する核酸という物質は、遺伝情報を伝える「遺伝子」の本体
  • 核酸(DNAとRNA)は塩基・五炭糖・リン酸から出来ている
  • 塩基は、構造によって「プリン塩基」と「ピリミジン塩基」の2種類に分類される
  • プリン体とは「プリン塩基」という構造を持つ物質のこと

まず、プリン体とはどのようなものなのか、見ていきましょう。
人間の体は60兆個の細胞から出来ていると知られています。ほとんどの細胞の中には「核」があり、さらに核の中には、遺伝情報の保持や伝達などに関わる「核酸」という物質が入っています。
「核酸」は大きく「DNA」と「RNA」の2つに分けられます。「DNA」とは「デオキシリボ核酸(deoxyribonucleic acid)」のことです。DNAは、生物の設計図である遺伝情報保つ「遺伝子」の本体となる物質です。一方、「RNA」とは「リボ核酸(ribonucleic acid)」のことで、遺伝情報の伝達やタンパク質の合成などの際に働きます。
核酸は「塩基」「五炭糖」「リン酸」という物質から構成されています。この3つの構成要素が合わさってDNAやRNAが出来ています。DNAとRNAとでは、五炭糖の部分の構造が少し異なります。
プリン体が関係しているのは、3つの構成要素のうちの「塩基」の部分です。DNAは図のように、2本のDNAの鎖がらせんを描く「二重らせん構造」になっています。この二重らせん構造を取る際に、2本のDNAの鎖を、うまく合わさるようにつなぐ役割を担っているのが「塩基」という部分です。

DNAの塩基には「アデニン(A)」「グアニン(G)」「シトシン(C)」「チミン(T)」の4種類があります。RNAの塩基は、チミンのかわりに「ウラシル(U)」となっています。これらの塩基はその構造から、「プリン塩基」と「ピリミジン塩基」という2つのグループに分けられます。プリン塩基は「アデニン」と「グアニン」、ピリミジン塩基は「シトシン」と「チミン」、「ウラシル」です。図を見ると、プリン塩基とピリミジン塩基がそれぞれ特徴的な構造をしていることが分かります。
先ほどから、「プリン」という言葉がちらほら出てきていますが、そろそろプリン体の正体をお伝えしたいと思います。アデニンやグアニンのように、「プリン塩基」という構造を持つ物質の総称を「プリン体」と言います

高血圧症発症チェック

プリン体と尿酸の関係

ここがポイント!

  • 肝臓でプリン体が代謝されてできる最終産物が、「尿酸」
  • 「尿酸」は痛風の原因になる物質
  • 激しい運動でエネルギー源であるATPが大量に消費されると体内に尿酸が増える
  • プリン体を含む食品を食べると、尿酸が増える

健康診断などの血液検査で、「尿酸値」が高いと言われたことはありませんか。
「尿酸値」とは、血液中に尿酸という物質がどれくらい存在しているかを表す値です。ではなぜ尿酸の量を検査する必要があるのでしょうか。それは、尿酸が「痛風」を始めとすさまざまな病気の原因になるからです。そして、その尿酸はプリン体と大きく関係しているのです。
実は「尿酸」は、プリン体を分解することで出る最終産物です
体内の尿酸は「体内にあるプリン体から作られるもの」と「食べ物に含まれるプリン体から作られるもの」の2通りあります。体内で生成される尿酸のうち、約80%は「体内にあるプリン体から作られるもの」です。
では、体内でプリン体ができ、尿酸になるまでの3つの流れをご紹介していきます。

細胞の破壊による尿酸の生成

私たちの体の中では、日々古い細胞が壊され、新しい細胞に入れ替わる「新陳代謝」が行われています。古くなった細胞が壊される際に、細胞の中にある核も壊れます。先ほど説明したように、核にはDNAとRNAという「核酸」が含まれており、また、核酸には塩基としてプリン体が含まれています。そのため、古い細胞が分解されると、結果として体内にはプリン体が放出されることになります。放出されたプリン体は肝臓で分解され、老廃物である尿酸が生成されます

運動による尿酸の生成

私たちは、毎日食事をすることで、体を動かすのに必要な「エネルギー」を得ています。食べ物から取り入れたエネルギーは、消費される前に一度体内で貯蔵されます。体内でエネルギー源は「ATP」と呼ばれる物質になり貯蔵されます。「ATP」とは「アデノシン三リン酸」の略称で、「アデノシン」というのは、アデニン由来の物質です。アデニンは核酸を形成する塩基の1つで、プリン骨格を持つプリン体の1つであると先ほどお話ししました。したがって、「ATP」にもプリン骨格が含まれています。そうです、「ATP」もプリン体の1つなのです。「ATP」は体温維持などの生命活動や日常生活における運動、そしてスポーツを行うのに重要なエネルギー源となっています。
さてこのATPですが、生物が活動するためのエネルギーをATPから取り出した際に、ATPからリン酸が1つ外れ、「ADP(アデノシン二リン酸)」と言う物質になります。言い換えると、ATPがADPになることで、エネルギーが放出され、体内でエネルギーが生成されるのです。本来ADPは、分解された後に再びリン酸がくっつけられてATPへと再合成されます。そして活動するためのエネルギーを作るために再利用されます。この過程では、尿酸は体内で生成されることはありません。

しかし、激しい運動を行った場合、急激に大量のATPが必要となり、使われることになります。すると、ATPからエネルギーを取り出してADPになる速さが、ADPからATPへの再合成の速さを急激に上回ります。その結果、一部のADPはATPに戻ることなく、不用物として体内で分解される運命となります。ADPが肝臓で分解されると、尿酸が作られます。

食品の摂取による尿酸の生成

ここまでの2つの経路は、もともと体内にあるプリン体から尿酸が作られます。この2つ以外にも、プリン体は、食べ物から摂取される場合もあります。プリン体は細胞に含まれているものであるため、ほとんどの食べ物にもプリン体が含まれています。
食品によってプリン体の含有量は違います。プリン体を多く含む食品に挙げられているものには、レバーや白子、魚の干物などがあります。また、一部のアルコールにもプリン体は含まれています。

プリン体を多く摂りすぎることで生じる病気について

ここがポイント!

  • プリン体は分解されて、痛風など原因になる「尿酸」へ変化する
  • 尿酸値が上昇した状態が、「高尿酸血症」

プリン体は遺伝情報に関係しており、私たちが生きていくのに必要不可欠なものです。しかし最近、プリン体ゼロの飲み物などが売られていることからも分かるように、健康のためにプリン体の摂取を避けたい人もいるのです。これはどういうことなのでしょうか。
その答えは、プリン体が分解されて出て来る「尿酸」にあります。尿酸は常に一定量が体内に存在しています。しかし、プリン体を含む食品を多くとることで、体内で尿酸が急増したり、もしくは尿酸を排泄できにくくなったりすると、体内の尿酸の量が増加してしまいます。尿酸が体内に過剰に存在すると、さまざまな病気の原因になります。
血液中の尿酸が基準値以上になった病気を「高尿酸血症」と言います。「高尿酸血症」は、初期には特に症状が出ない場合がほとんどです。しかし、高尿酸血症の状態が持続、もしくは悪化すると、「痛風」や「腎障害」などの病気を発症するリスクがあります
痛風は、足などの関節に尿酸の結晶が蓄積することで痛みが生じる関節の病気です。蓄積した尿酸の結晶は、激しい動きなどがきっかけで剥がれてしまうことがあります。すると、炎症反応が起こり関節の激痛や腫れなどの症状が出ます。それが「痛風発作」と言われるものです。
また、血液中の尿酸が増えると、腎臓の機能が低下します。腎臓の機能が低下すると、尿酸を血液からこし取って尿の中に排泄するはたらきが十分ではなくなります。すると、血液中の尿酸が増えるという悪循環に陥り、最終的に腎臓病になってしまいます。
さらに、日本痛風・核酸代謝学会によると、尿酸が高い状態だと、「メタボリックシンドローム」や「高血圧」などになりやすいという研究報告も出ています。


プリン体の過剰摂取が引き起こす病気

高血圧症発症チェック

血液中の尿酸値を正常に保つためには

ここがポイント!

  • プリン体を多く含む食品の取り過ぎは、体内の尿酸を増やす
  • アルコールは「プリン体ゼロ」のものであっても、尿酸を増やすリスクがある
  • 水分を十分に取らないと、尿酸が十分に排泄できず、また尿酸が結晶化しやくするなる
  • 激しい運動は、大量のATPの分解によって、尿酸を多く作ってしまう

尿酸が増えすぎると、さまざまな病気につながってしまいます。では、体内の尿酸を増やしすぎないためにはどうすればいいのでしょうか。最後に、普段の生活で出来る、尿酸を増やしすぎない方法を紹介していきます。

プリン体を多く含む食品を避ける

プリン体はほとんどの食べ物に含まれています。体内で作られる尿酸の約20%は、食べ物から作られています。尿酸値の高い人が食事によってプリン体を多く摂取していると、尿酸値がより高くなってしまいます。そのため、プリン体を多く含む食品は取り過ぎないように注意しましょう。プリン体を多く含む食品に関しては、「尿酸値が高い人必見!プリン体の多い食品を知っておこう!」で詳しく説明してありますので、そちらもご参照ください。

アルコールを控える

アルコールは飲み過ぎないようにする必要があります。「プリン体ゼロのアルコール飲料なら飲んでもいいでしょう」と思う人もいるかもしれません。確かに、プリン体ゼロのアルコール飲料は、それ自体にプリン体は含まれていません。しかし、多くの人はアルコールを飲む時におつまみを食べていると思います。加えて、アルコール自体の代謝において、尿酸値を上昇させるため、プリン体が含まれていなくても過剰な飲酒は控えたほうがよいでしょう。

十分な量の水分を取る

プリン体が分解されて出来る尿酸は、主に腎臓でこし取られて尿の中に排泄されます。そのため、尿の排泄が少ないと、尿酸が十分に排泄できない可能性が出てきます。また、体内の水分量が少ないと、それだけ尿酸が濃縮されるため、尿酸が結晶になりやすくなります。このような状態にならないめにも、水分はこまめに摂るようにしましょう。特に夏場は、脱水に注意するようにしましょう。

激しい運動は避け、ゆっくりとした運動を行う

運動をした時に、プリン体の一種であるATPが使われることを説明しました。激しい運動をすると、大量のATPが使われてADPとなります。再合成に追いつかないADPは分解されて尿酸が作られてしまいます。また、激しい運動をすると「乳酸」という物質が作られます。「乳酸」が排泄されると、その代わりに尿中から排出されるはずだった尿酸が血液中へ再吸収されます。その結果、血液中の尿酸が増加してしまいます。
激しい運動とは「無酸素運動」のことです。例えば筋肉トレーニングや短距離走など、短時間に強い力が必要となる運動が無酸素運動に当てはまります。
それなら運動をしない方がいいのかというと、そうではありません。運動不足によって内臓脂肪が増えると、尿酸値を上げることにつながってしまうからです。運動は、ゆっくりとした呼吸で出来る「有酸素運動」が推奨されています。有酸素運動の例としては、ウォーキング、ジョギング、水泳、サイクリングなどがあります。


血液中の尿酸値を正常に保つためには

まとめ

プリン体がどのようなものなのか、理解していただけたでしょうか。痛風を気にしている人にとって「尿酸」や「プリン体」は悪いものというイメージがあると思います。しかし実際のところ、プリン体は人間が生きていくのに必要不可欠なものです。プリン体が体の中でどのような状態で存在しているのか、また、病気につながる尿酸とプリン体との関係はどのようなものなのかを正しく理解して、尿酸が増えすぎないような生活を心がけましょう。

参考

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン|日本痛風・核酸代謝学会
食事療法のすすめ方 高尿酸結血症・痛風の食事|東京都病院経営本部
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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