高尿酸血症を放置してはいけない理由とは | 尿酸値が高いことで生じる痛風などの病気について

テレビなどで「痛風」に関する番組を見たことはありませんか。「どんな病気かよく知らなかいけど病名だけなら聞いたことがある」という人も多いでしょう。一方で「高尿酸血症」と言う言葉が聞いたことがあるでしょうか。「痛風」と「高尿酸血症」は、密接な関係があり、「高尿酸血症」が原因で「痛風」が生じるのです。「痛風」になると、関節に激しい痛みが生じ、生活に支障をきたすこともあります。痛い思いをする前に、「高尿酸血症」や「痛風」について正しく理解し、予防することが大切です。ここでは、高尿酸血症や痛風について、詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01高尿酸血症や痛風の人はどの位いるのか
  2. 02痛風の原因になる「高尿酸血症」とは
  3. 03関節に激しい痛みを伴う「痛風」について
  4. 04高尿酸血症を放置するとどうなるか
  5. 05まとめ

高尿酸血症や痛風の人はどの位いるのか

ここがポイント!

  • 痛風で通院している人は日本に約200万人おり、そのうち約95%が男性
  • 女性は、女性ホルモンの働きにより尿酸値が男性に比べて低い
  • 高尿酸血症の人は日本に約500万人いると言われている
  • 高尿酸血症の人も、痛風の人も、年々増加傾向にある

高尿酸血症と痛風について詳しく見ていく前に、日本でどれだけの人が高尿酸血症や痛風になっているのかをまず見てみましょう。

高尿酸血症、痛風ともに、発症する人の数は1960年代頃から右肩上がりで増えています。グラフにあるように、厚生労働省の統計によると、痛風で通院した人数は、1992年には約33.8万人、2001年には約70万人、2010年には約200万人でした。ここから、約10年間で痛風になる人数は、2倍以上に増えていることが分かります。痛風につながる高尿酸血症の人数も同様に増えてきています。高尿酸血症の人数は、なんと痛風の10倍以上、約500万人もいると言われています

日本痛風・核酸代謝学会の調べによると、1996年から2004年にかけて日本人の尿酸値は男女とも、また全年齢で上昇傾向にあったということが分かっています。先ほどの厚生労働省の統計データと併せて考えると、その後も上昇し続けているであろうことが予測出来ます。
それでは、一体どのような人が痛風になりやすいのでしょうか。
まず、性別に関して見てみましょう。痛風で通院している人約200万人のうち、約190万人は男性です。つまり痛風の人の約95%は男性なのです

痛風を発症している人の人数
なぜ男性が圧倒的に多いのでしょうか?
その理由は「女性ホルモン」です。女性が多く持つ女性ホルモンには、腎臓に影響して痛風の原因物質である「尿酸」の排泄を促す働きがあるのです。そのため、女性ホルモンが低下する閉経後は、女性でも痛風になる人がそれまでの年代に比較して増えます。

次に、痛風や高尿酸血症になりやすい年代に関して見てみましょう。痛風で通院している人数が最も多いのは60歳代です。次いで70歳代、50歳代という順になっており、痛風は比較的高齢の人に多いと分かっています。
しかしこの順番は、「通院をしている人」の順番です。働き盛りである30歳代、40歳代は受診率が低く、発症しても通院をしない人も大勢います。つまり、若い年代は実際の発症人数よりも通院者として記録に残っている人数が少なくなっている可能性があります。実際、2004年に日本で行われた調査では、痛風につながる高尿酸血症の人数は30歳代が1番多く、次いで20歳代、40歳代だったという結果が出ています。若者にとっても他人事ではない病気であることは間違いなさそうですね。

高血圧症発症チェック

痛風の原因になる「高尿酸血症」とは

ここがポイント!

  • 高尿酸血症は、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態である
  • 高尿酸血症は自覚症状がほとんどないため、改善する必要性を感じにくい
  • 高尿酸血症の原因には、食事、飲酒、激しい運動、ストレス、他の病気、薬剤の影響、遺伝などがある
  • 高尿酸血症の治療は主に「飲み薬」と「生活習慣の改善」で行われる

「高尿酸血症」の定義と症状

高尿酸血症とは、性別や年齢問わず、尿酸値が7.0mg/dLを超えた状態と定義されています。尿酸値は血液中に尿酸がどれだけ存在しているかを示す値であり、血液検査をすることで知ることができます。尿酸値が7.0mg/dLを超えると、血液中に尿酸が溶け切れず、溶け切れなかった分の尿酸は結晶化してしまいます。
高尿酸血症は痛みなどの自覚症状がないことがほとんどです。自覚症状がないため気付くことが難しいとも言えます。さらに厄介なことに、健康診断などで尿酸値が高いと指摘を受けていても、自覚症状がないため病気であるという意識を持ちにくいのです。すると、治療を受ける必要性や、生活を改善していく必要性を感じづらく、高尿酸血症の放置・悪化につながります。

高尿酸血症状とは

高尿酸血症の原因

高尿酸血症の原因は、大きく「遺伝的要因」と「環境的要因」の2つに分けられます。
遺伝的要因を示した例として、英国のノッティンガム大学の研究があります。この研究は、台湾の人を対象に行われました。調査の結果、両親や兄弟に高尿酸血症を発症した人がいると、いない人に比べて高尿酸血症の発症リスクが2倍に上昇しており、遺伝が痛風の発症に影響している可能性が示されました。
一方、環境的要因としては、1)食生活、2)飲酒、3)激しい運動、4)ストレス、5)他の病気の影響、6)薬剤の影響などが挙げられます。

食生活では、「プリン体」という物質の過剰摂取が原因となります。「プリン体」は尿酸のもとになる物質で、レバーや魚の干物などに多く含まれています。そういった食品を多く取っていると、体内の尿酸が増えます。また、高カロリーな食事も高尿酸血症の原因になります。なぜなら、高カロリーな食事は内臓脂肪の蓄積につながるからです。内臓脂肪の蓄積は、「プリン体」の分解を過剰にし、結果的に尿酸の産生を増やしてしまうのです。
飲酒も、アルコールの作用によって体内での尿酸の産生が増えます。加えてアルコールには尿酸の排泄を妨げる作用もあるため、尿酸値が上がります。
筋肉トレーニングなどの激しい運動ストレスも、尿酸の産生を増やす仕組みが働くため、尿酸値が上がってしまいます。
血液の病気や悪性腫瘍などの病気が原因となって高尿酸血症になることもあります。また、尿の排泄を良くする薬や、喘息、結核などの薬も尿酸値を上げる場合があります(薬剤性)。

高尿酸血症の分類

尿酸は「プリン体」という物質が肝臓で分解されることによって作られます。尿酸は、体にとって不要なので、腎臓で尿中に混ぜられて排泄されます。本来であれば、尿酸が作られる量と尿酸が排泄される量が同じくらいになるようにバランスが取られており、体内の尿酸量は一定に保たれます。しかし、先ほど挙げたような原因によって尿酸の作られる量が増えたり、尿酸の排泄が出来なくなったりすると、体内の尿酸が増えてしまいます。その結果、尿酸値が上昇して高尿酸血症になるのです。
高尿酸血症は、尿酸が通常よりも多く作られる「尿酸産生過剰型」、尿酸の排泄が十分に出来ていない「尿酸排泄低下型」、両者が混ざった「混合型」の3種類に分類されます。高尿酸血症の人の約10%が「尿酸産生過剰型」、約50〜70%が「尿酸排泄低下型」、約20〜30%が「混合型」であると知られています。

高尿酸血症の治療

高尿酸血症に対する治療は、基本的に「尿酸値を下げること」を目標に行われます。尿酸値を下げるため、主に「薬の服用」と「生活習慣の改善」を行うことになります。

「薬」に関しては、尿酸自体が出来すぎるのを抑える薬と、尿酸の排泄を促進する薬の2種類があります。
「生活習慣の改善」は、「食事習慣や飲酒習慣の改善」と、「運動の実施」がメインです。食事の改善では、プリン体を多く含む食品や、高カロリーな食事を控えるようにします。また、飲酒も出来るだけ控えるようにします。運動に関しては、定期的に運動をすることで内臓脂肪の蓄積を予防します。激しい運動は尿酸を増やしてしまうため、十分に酸素を取り入れながら行える「有酸素運動」が適切です。お勧めの運動としては、ジョギング、エアロビクス、サイクリングなどがあります。

関節に激しい痛みを伴う「痛風」について

ここがポイント!

  • 痛風は、尿酸値が高く、血中に溶け切れなくなった尿酸の結晶が関節内に蓄積して炎症を起こす病気
  • 足などの関節に痛み、腫れ、赤みが出現し、「痛風発作」と呼ばれる
  • 痛風発作出現時は、炎症や痛みを抑える薬を服用し、発作が治まったら高尿酸血症に対する治療が行われる

痛風は、「風が吹いただけでも痛い病気」と言う由来で命名された、と言われています。痛風はとにかく痛いというイメージがありますが、なぜ痛みが出てくるのでしょうか。痛みの原因も含め、痛風について説明していきます。

痛風の定義と症状

高尿酸血症が持続すると、尿酸が結晶化し、関節内に蓄積していきます。蓄積した尿酸の結晶が何らかの原因で関節から剥がれると、体を守るために存在する「白血球」という兵隊のような細胞が、尿酸の結晶を異物と判断して攻撃します。すると攻撃を受けた部分に、「炎症」が起こります。つまり、痛風は尿酸の結晶によって引き起こされる関節の炎症のことを指します。そのため「痛風関節炎」とも言われます。高尿酸血症で、関節内に尿酸の結晶があり、その部分に炎症反応が見られると「痛風」と診断されます
尿酸の結晶は、足や腕の関節、特に足の親指の付け根の関節に蓄積しやすいという特徴があります。それらの関節部分に炎症反応が起こり、痛み、腫れ、赤みが出現します。このような炎症反応が急激に強く出ることを「痛風発作」と言います。

「痛風発作」の多くは1〜2日間でピークとなり、2週間前後で軽快していきます。痛風発作に対して適切な治療を行わないで放っておくと、発作は何度も繰り返します。さらに、発作が起きる間隔も短く、発作の起きている期間も徐々に長くなってきてしまうのです。

痛風の原因

痛風の原因は、尿酸の過剰な蓄積です。痛風は、高尿酸血症の持続・悪化によって発症するため、具体的な原因は高尿酸血症とほとんど同じです。

痛風の治療

痛風に対する治療を見てみましょう。激しい痛みなどの症状を伴う「痛風発作」が出現している時は、とにかくまず痛みによる苦痛を取り除くことが重要です。そのため、関節の炎症や痛みを抑える薬が出されます。薬によって痛みは軽減されますが、それで治療は終わりではありません。なぜなら、痛風発作が治まっただけで、まだ尿酸が高い状態は続いているからです。尿酸が高い状態に対して治療をしないと再度「痛風発作」を起こす可能性があります。そのため、痛風発作が治ったら、次は高尿酸血症に対する治療を行っていきます

高血圧症発症チェック

高尿酸血症を放置するとどうなるか

ここがポイント!

  • 高尿酸血症を放置すると、痛風だけでなく腎障害、尿路結石などの病気も引き起こされる
  • 尿酸値が高いと、高血圧やメタボリックシンドロームのリスクも高くなる

高尿酸血症は、自覚症状がほとんどないため、治療が開始されにくく、また開始しても継続することが難しい病気です。それでは、高尿酸血症を放置すると、どのようなことが起こるのでしょうか。先ほど説明した「痛風」だけではなく、高尿酸血症に対して適切な治療を行わないと、尿酸値の上昇に伴い、他にもなりやすくなる病気があります。高尿酸血症によって生じる痛風以外の代表的な病気を説明していきます。
高尿酸血症を放置するとなりやすい病気

腎障害

高尿酸血症によって生じる病気に、「腎障害」があります。尿酸は腎臓で尿中に排泄されます。そのため、腎臓には常に尿酸を含む血液が通っています。血中で尿酸が増えて結晶化すると、腎臓の機能が障害されます。腎臓の機能低下は、尿酸の排泄低下を意味しています。つまり、体内に尿酸が蓄積しやすくなります。するとさらに腎機能は低下し、徐々に悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
さらに腎臓には、尿酸だけでなくその他の老廃物の排泄や、また水分量の調整などの重要な役割もあります。腎障害が生じると、十分に排泄出来なかったさまざまな老廃物が体に悪影響を起こすことになります

尿路結石

高尿酸血症が持続すると、「尿路結石」という病気を合併することがあります。尿酸値が高いと尿中にも尿酸が多く排泄されます。すると結晶化した尿酸が尿道などの尿の通り道を塞いでしまう場合があります。これが「尿路結石」です。高尿酸血症の人の尿は、尿酸によって酸性化しているため、結晶化した尿酸が溶けにくい状態です。そのため、尿路結石に対する治療では、尿酸を溶かす薬などを使います。

メタボリックシンドローム・高血圧

「メタボリックシンドローム」や「高血圧」という病気の名前はよく耳にするでしょう。しかし、それらが尿酸と関連していることを知っていますか。
日本痛風・核酸代謝学会によると、尿酸値が高い人ほど、メタボリックシンドロームになる人が多いと知られています。また、これまでの研究により、尿酸値と高血圧を発症するリスクには関連性があることが分かっています。つまり尿酸値が高いと、それだけ高血圧になる可能性が高いのです。先ほど、内臓脂肪の蓄積は尿酸の産生を促進するとお話ししました。内臓脂肪は、メタボリックシンドロームにも高血圧にも深く関わっています。生活習慣病は、このようにさまざまなメカニズムにより、複雑に関連し合っています。

まとめ

ここでは高尿酸血症について説明してきました。日本では、30歳代男性のうち約3割が高尿酸血症と言われているほど、ありふれた病気です。気になった人は、健康診断の結果をもう一度確認してみましょう。血液検査の項目で尿酸値が7.0mg/dL以上になっていませんか。当てはまっている人は、まずは生活習慣から見直してみましょう。生活習慣を改善する自信がない人や、検査結果がない、もしくはしばらく健康診断を受けてないという人は、早めに医療機関へ相談しましょう。
痛風は、きっかけもなく突然起こる病気ではありません。尿酸値を知ることによって予防できる病気です。痛風発作で痛い思いをする前に、定期的に尿酸値をチェックし、必要ならば、早めに病院へ行き、医師と相談して生活改善や薬の服用でしっかり尿酸値をコントロールしていきましょう。

参考

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版|日本痛風・核酸代謝学会
公益財団法人痛風財団
国民生活基礎調査|厚生労働省
Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.30 No,1 (2006) 高尿酸血症は増加しているか?-性差を中心に
New evidence that ‘gout’ strongly runs in the family. | The University of Nottingham
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ