痛風予防の5つのポイントとは | 痛風発作の原因から今日からできる予防法までを解説

ある日突然、足の関節が腫れ上がり、激しく痛む「痛風」。その名の通り、風が吹いただけでも痛むほどの激痛です。痛くて靴も履けず、サンダルを引っ掛けて病院を訪れる人もいます。「痛風」は、血液中の「尿酸」という物質が原因で起こる病気です。
痛風になってしまうメカニズムや、痛風にならないためには、普段の生活でどのような点に気をつけたらいいのかについて、正しい知識を持っていますか。
ここでは、まず痛風について正しく理解した上で、痛風発作予防につながる生活習慣について、5つのポイントに絞り解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01痛風は30歳代の男性に多い病気
  2. 02痛風になるメカニズム
  3. 03痛風とメタボは表裏一体!?
  4. 04メタボ以外に尿酸値を上げる要因
  5. 05痛風予防のために、日ごろの生活で心がけたい5つのポイント
  6. 06まとめ

痛風は30歳代の男性に多い病気

ここがポイント!

  • 痛風患者は年々増加している
  • 痛風発症のピークは以前50歳代だったのに今は30歳代
  • 痛風予備軍(高尿酸血症)の人は、痛風患者の10倍いる
  • 痛風は、生活習慣病の1つ
  • 痛風患者は圧倒的に女性より男性に多い

痛風は、昔の日本人にはまれな病気でした。日本人の患者数は、1960年~1970年代の高度成長期に一気に増え、いまやありふれた病気となっています。日本痛風・核酸代謝学会の「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」によると、痛風患者は現在、国内に30~60万人いると推定され、今もなお増え続けているとのことです。その理由は、主に生活習慣の欧米化であると言われています。厚生労働省によると、高尿酸血症の7割が、メタボリックシンドロームにもなっている可能性があるそうです。こういった経緯から痛風は、いまや立派な「生活習慣病」の1つとして位置づけられています。

痛風の原因は、「尿酸」という物質であると知られています。初めて痛みの発作を経験する前には、血液中の尿酸値が高い状態(7.0mg/dL以上)である「高尿酸血症」が長く続きます。つまり、高尿酸血症の人は「痛風予備軍」と言えます。厚生労働省によると、日本の高尿酸血症の人数はいま、500万人を超えているとのことです。痛風患者の実に10倍も、痛風予備軍が潜んでいるというのです。

以前痛風は、毎日ご馳走をたらふく食べ、お酒をたくさん飲むような中高年の人がなる「ぜいたく病」として知られていました。ところが食生活の欧米化にともない、痛風の発症年齢は徐々に早まってきています。かつては50歳代が発症年齢のピークだったのが、いまや30歳代までに下がっています。今や痛風は、若者でも当たり前に発症する病気となっているのです

また、痛風は女性より男性の方が圧倒的に多い病気です。その理由は、女性ホルモンに尿酸値をコントロールする働きがあるためと分かっています。しかし、食生活の欧米化により、近年、女性の痛風患者も増加傾向にあるほか、女性ホルモンの分泌が低下する閉経後の女性で急激に増加するということも分かっています。

男性は痛風を発症しやすい


高血圧症発症チェック

痛風になるメカニズム

ここがポイント!

  • 痛風の原因は、血中に増えすぎた「尿酸」
  • 尿酸は「プリン体」を体が利用した老廃物
  • 血中に溶け切れなくなった尿酸は「尿酸塩の結晶」になる
  • 「尿酸塩の結晶」を白血球が攻撃して、痛い関節炎(痛風発作)が起こる

ここでは、血液中に痛風の原因物質である「尿酸」が増え、痛風が発症するまでのメカニズムを説明していきます。

尿酸はわたしたちの体の中で毎日作られ、当たり前に存在している物質です。基本的に老廃物なので、腎臓でこし取られて尿に混ざり、体外に排泄されます。作られる量と排泄される量のバランスにより、体内で一定量に保たれています。尿酸は、「プリン体」という物質を体が利用した結果生じる最終産物です。食料品店やテレビCMで「プリン体〇%カット」という言葉をときどき耳にしますが、プリン体をカットした食品は、痛風のリスクが低いものとして売られています。

尿酸のもととなるプリン体の約2割は食べ物として取り込んだものですが、残りの大部分は、体の構成成分としてのプリン体です。具体的には死んだ細胞に含まれるDNAや、細胞のエネルギー源であるATPという物質などです。これらが不要になって分解されるときに、尿酸が作られます。

何らかの原因で体内の尿酸の量が増えて血液に溶け切れなくなると、尿酸はナトリウムという物質と「塩(えん)」を作り、結晶になります。作られた尿酸塩の結晶は、関節、腎臓、皮膚の下などに徐々に沈着していきます。関節に蓄積した尿酸塩は、種々の刺激によって関節から剥がれ落ちます。すると、体を守る「免疫」のシステムで活躍する「白血球」という細胞が、尿酸塩を敵(異物)とみなして攻撃します。この攻撃により、関節は炎症を起こし、痛風発作が起きるのです。
痛風発症のメカニズム

痛風とメタボは表裏一体!?

ここがポイント!

  • 痛風予備軍(高尿酸血症)の7割はメタボ
  • メタボの原因「内臓脂肪」は尿酸値を上げる
  • 過食や運動不足は、「高尿酸血症」「メタボ」両方のリスクを上げる

厚生労働省によると、痛風予備軍の約7割はメタボリックシンドローム(メタボ)の可能性があります。実は、メタボの原因である内臓脂肪の蓄積は、尿酸値の上昇を促進すると分かっています。
内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞から「遊離脂肪酸(ゆうりしぼうさん)」という物質が、たくさん分泌されます。遊離脂肪酸は血流に乗って肝臓にたくさん運ばれ、高脂血症の原因となる中性脂肪に変えられます。この中性脂肪を作る過程で、プリン体の代謝も促進され、尿酸がどんどん作られてしまうようになります。実際、血液中の中性脂肪が増えると尿に排泄される尿酸の量が増えることが確認されています。また、メタボが改善されると、尿酸値も改善されることが多いと知られています。

さらに、メタボと密接に関連する糖尿病も、高尿酸血症に結びつきます。また、過食や運動不足は、高尿酸血症とメタボとに共通の要因です。まさに痛風とメタボは表裏一体の病気だといえるでしょう。

メタボは尿酸値の上昇を促進してしまう

高血圧症発症チェック

メタボ以外に尿酸値を上げる要因

ここがポイント!

  • 遺伝的に尿酸値が上がりやすい体質の人や、高尿酸血症になる遺伝病の人がいる
  • 肉や海産物にはプリン体が多い。ただし食べ物として摂取したプリン体から作られる尿酸は全体の2割程度
  • アルコールは尿酸値を上げる。特にビールはプリン体が多い
  • ストレスも尿酸値を上げる要因となる

メタボ以外にも、尿酸値を上げる要因は複数分かってきています。ここでは、主なものを順番に説明していきます。
尿酸値を上げる要因.png

遺伝的要因

人によっては、尿酸値に及ぼす生活習慣の影響が強く出やすい遺伝的傾向を持っている場合があります。また、稀ではありますが、ある遺伝子に突然変異があり、尿酸代謝が正常に行われない人がいます。このような遺伝病をもつ人たちは、幼少期から高尿酸血症となります。

食事の内容

肉やレバーにはプリン体がたくさん含まれており、肉食は尿酸値の上昇につながります。一方で、メタボとはあまり関係がなさそうに思える海産物(魚介類、エビ、イワシなど)も、尿酸値の増加につながると、これまでの調査により分かっています。これに対し、野菜や乳製品は、痛風を減らすと考えられています。

とは言え、食べ物として摂取したプリン体から作られる尿酸は、全体の2割程度です。残りの8割の尿酸は、体内のプリン体を原料として作られたものです。食品中のプリン体に過度に神経質になるよりは、食事全体のバランスを考え、適度な運動をを行うことが大切です。

アルコール飲料

プリン体カットを売りにしたビールは、スーパーやコンビニのビール売り場に必ずと言ってよいほど置いてあります。プリン体は、アルコール飲料の中でも、特にビールに多く含まれています。そのため、プリン体がカットされたビールは、普通のビールよりは痛風には良いとされています。ただし、ビールが長期的に痛風を増やしたという研究報告はありますが、プリン体カットビールが痛風を減らしたという研究データはまだ発表されていません。

ウイスキー、ブランデー、焼酎などの「蒸留酒」には、プリン体はあまり含まれていません。ですが、実はアルコール飲料はどんな種類でも尿酸値を上げる要因になります。その理由は次の3つです。

・アルコールは、体内の尿酸産生を増加させる働きがある
・アルコールは、尿中に尿酸が排泄されるのを邪魔して尿酸を体内に留める
・アルコールには利尿作用があるので、体内の尿酸は濃縮される

お酒が好きな人が完全にお酒を経つのは難しいことかもしれませんが、アルコールと尿酸の関連性を知った上で、節度ある飲酒を心がけるのが、痛風予防の第一歩になります。

ストレス

ストレスと尿酸値との関連性は、まだ科学的にはっきりとは解明されていません。しかし、仕事が忙しく残業や不規則な生活が続いたり、精神的にストレスと感じることがあったりすると痛風発作を起こす人がいるため、ストレスは痛風発作の一因になっていると考えられます。

他の病気や薬の影響

腎臓の病気、血液の病気、がんなどで尿酸値が上がる場合があります。また、服用した薬やサプリメントの影響で尿酸値が上がる場合もあります。

痛風予防のために、日ごろの生活で心がけたい5つのポイント

ここがポイント!

  • 食生活を見直して肥満やメタボに気をつけよう!
  • アルコールはほどほどにしよう!
  • 水をこまめに飲もう!
  • 自分なりの方法でストレスを上手に発散しよう!
  • 日ごろから適度な運動習慣をつけよう!

ここまで、高尿酸血症を経て痛風になるメカニズムから尿酸値を上げる要因まで、痛風に関わるいろいろな事柄について説明してきました。これらを踏まえ、痛風予防のために、日ごろの生活で心がけたいポイントを5つにまとめました。

痛風予防のための生活のポイント

肥満やメタボを解消しよう!

肥満やメタボは、高尿酸血症や痛風と関連があります。肥満やメタボに該当する人は、まずは食生活を見直し、やせることが痛風予防への第一歩です。やせるためには、偏食や過食を避け、いろいろな食材を少量ずつよくかんでゆっくりと食べるのが大切になります。もちろん太っていない人も、健康維持のためにバランスの取れた食生活を心がけましょう。

アルコールはほどほどに!

ビールはもちろんですが、ビール以外のアルコール飲料も尿酸値を上げます。一度にたくさん飲みすぎない、一気飲みしない、ビールばかり飲まない、休肝日を設けるなど、自分でルールを決めて、適切な量の飲酒を心がけましょう

意識的にたくさん水を飲もう!

お酒による利尿作用や、ストレスによる過度の発汗、下痢などで体の水分が減ると、血液中の尿酸が濃縮され、尿酸値が高くなってしまいます。水は、季節を問わず、こまめに摂取するように心がけましょう

ストレスを上手に発散しよう!

ストレスを感じると痛風発作を起こすケースがしばしば見られることから、ストレスと痛風には関連性があると考えれています。
「ではストレス発散を」と一口に言っても、人によって性格やタイプは違いますし、方法はさまざまです。自分に合った方法で、うまくストレスと付き合っていきましょう。

適度な運動を心がけよう!

ウォーキングなどの有酸素運動は、痛風の大きな要因である肥満やメタボの解消につながるほか、ストレス発散にもつながります。また、厚生労働省は、全ての生活習慣病の改善につながるとして、国民に適度な運動を日常から行うための政策を立てています。その一環として、「アクティブガイド」という国民向けの身体活動のガイドラインを作り、「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」と呼びかけています。

高血圧症発症チェック

まとめ

ここでは、突然関節に激痛が襲う「痛風発作」について説明してきました。健康診断で尿酸値が高いと指摘された場合は、生活習慣を改善することや薬を服用することで、痛風発作は十分に予防可能です。しかし、今までお腹いっぱいになるまで食べていた好きな食べ物や、大好きなビールを我慢するのは簡単なことではありません。また、軽い運動であっても毎日継続するには努力を要します。生活習慣の改善は、すぐにできるものではなく、また継続するのも大変です。尿酸値が高いと指摘されたら、一人で悩まずに、医療機関を受診し、医師や看護師、栄養師などの医療スタッフに相談してみましょう。

参考

高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン|日本痛風・核酸代謝学会
e-ヘルスネット|高尿酸血症|厚生労働省
e-ヘルスネット|アクティブガイド|厚生労働省
痛風を知りたい方へ|痛風を知って痛風を予防しよう|公益財団法人痛風財団
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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