【血糖値の正常な数値とは】血糖値測定方法から、「血糖値が高い・低い」とどうなるのかまで徹底解説

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの働きが不十分になり、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。そのため、糖尿病の診断や治療では、血糖値が重要な指標となります。血糖値は、一定ではなく、常に変動しています。食事を摂れば上昇しますし、何も食べなければ低下します。ですから、糖尿病の治療では、食事療法や運動療法も治療として取り入れられているのです。
ここでは、身近だけど意外と知らない「血糖値」について、正常値、糖尿病と診断される値、血糖値を急激にあげない食べ方など詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01血糖値は血液中の糖分の値をいう
  2. 02血糖値の低い・高いの判断基準とは
  3. 03話題の血糖値スパイク(食後高血糖)とは
  4. 04血糖値を急激に上げない食べ方のポイント
  5. 05まとめ

血糖値は血液中の糖分の値をいう

ここがポイント!

  • 血糖値とは、血中に存在する「糖分(ブドウ糖)の濃度」のことである
  • 血糖値が上がると、膵臓から血糖値を下げる「インスリン」というホルモンが分泌される
  • インスリンは、血液中のブドウ糖を肝臓、筋肉、脂肪組織などに運ぶことで、血糖値を一定に保っている
  • 糖分を摂りすぎていたり、インスリンが不足していると、血糖値を下げることが出来ず糖尿病のリスクが上がる

血糖値とは

「血糖値が高めですね」と健康診断で指摘された経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
血糖値とは、「血中に存在する糖分(ブドウ糖)の濃度」の事です。炭水化物などを摂取すると、体内で消化吸収され血液中にブドウ糖として取り込まれます。そのため、血糖値は、食事をすると上昇し、その後徐々に下がっていきます。
通常は、食事をして血糖値が上がると、膵臓から「インスリン」という血糖値を下げるホルモンが分泌され、2時間程度で食前の値まで戻ります。インスリンは、血液中のブドウ糖を肝臓、筋肉、脂肪組織などに運ぶことで、血糖値を一定の濃度に保っています。

血糖値とは

インスリンが不足すると血糖値が上がる

糖尿病の方は食べた分の「糖」に対してインスリンの量が不足していたり、インスリンの機能が低下していたりして、正常に代謝出来ない状態なので、上昇した血糖値を下げることが出来ず、血糖値が高い状態が長く続き、血管が次第にダメージを受けてしまうのです。糖尿病を治療せずに放置しておくと、血管が次第に傷ついて、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症などの糖尿病特有の合併症を引き起こします。また、動脈硬化の進行を促進する事も明らかになっており、心筋梗塞や脳梗塞などの命に関わる病気の原因にもなります。
糖尿病の合併症について詳しくは糖尿病はなぜ放置してはいけないのか|怖い合併症について解説しますをご参照ください。

健康診断などで血糖値が高めだった方は、食事や運動など、日常生活を見直して改善する事をおすすめします。糖尿病は、一度発症すると血糖値を下げ続けなければならない病気です。発症する前に、しっかりと予防しておく事が重要なのです。
糖尿病予防の食事については糖尿病予防の食事とは|食事の注意点やおすすめレシピまでご紹介をご参照ください。
糖尿病予防の運動については【糖尿病予防の運動方法とは】今日からできる運動のポイントをご参照ください。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
血糖値|e-ヘルスネット 厚生労働省
高血圧症発症チェック

血糖値の低い・高いの判断基準とは

ここがポイント!

  • 血糖の正常値は、「空腹時血糖値が100mg/dL以下」
  • HbA1cの正常値は「4.6〜6.2%」
  • 「血糖」と「HbA1c」どちらも基準値を超えたら、糖尿病と診断される
  • 「血糖」が基準値を超えていて「糖尿病の典型的な症状」を確認できる場合も、糖尿病と診断される
  • 過去に糖尿病と診断されていたら、糖尿病として対応される

糖尿病を発症すると、インスリンの分泌量が減ったり、効果が弱まったりする事で高血糖状態が続くと説明してきました。では、どのくらいの値から「血糖値が高い」と言えるのでしょうか。ここでは、血糖値の正常値はどのくらいなのか、高血糖や低血糖の基準値などを確認して行きまししょう。

血糖値の正常値を知ろう

血糖値はどのくらいが正常なのでしょうか。「糖尿病治療ガイド2016-2017」では、空腹時血糖値の正常値の目安を「100mg/dL以下」と記載しています。「110~109mg/dL」も正常域には含まれますが、「正常高値」に分類され、糖尿病を発症するリスクが高く、「ブドウ糖負荷試験」という別の検査を受ける事が推奨されています。ちなみに、ブドウ糖負荷試験とは、空腹時血糖値と同じく糖尿病の診断に用いられる検査の一つです。ブドウ糖を摂取し、一定時間を空けながら数回採血をします。それらの血糖値の値から、糖尿病を発症しているかを判断します。

糖尿病は血糖値とHbA1cの数値で診断される

糖尿病になると、インスリンの分泌量が減ったり、インスリンの働きが弱まったりする事で、血糖値が高い状態が続きます。そのため、糖尿病の診断では「血糖値が高いかどうか」を検査します。検査は、採血で行われ「血糖値」と「HbA1c」という値を確認します。糖尿病と診断される基準値は、以下の表の通りです。

<糖尿病と診断される基準値>
血糖 空腹時≧126mg/dL
ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値≧200mg/dL
随時≧200mg/dL
HbA1c ≧6.5%

空腹時血糖値
検査当日の朝食を抜いて、空腹の状態で測定した血糖値
ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値
ブドウ糖負荷試験は「空腹時血糖値を採血後に、ブドウ糖75gを摂取し、30分後、1時間後、2時間後に採血し血糖値を測定する検査」であり、2時間値は文字通り2時間後の血糖値をいう
随時血糖値
食後に時間を決めない状態で測定した血糖値

「血糖値」と「HbA1c」がどちらも基準値を超えている場合は、初回の検査で「糖尿病」と診断されます。基準値を超えているのが血糖値のみでも、「糖尿病の典型的な症状が現れている(口渇、多飲、多尿、体重減少など)」もしくは「糖尿病性網膜症を明らかに発症している」場合には、初回で糖尿病と診断されます。

どちらかが基準値を超えている場合には別日に再検査をする

「どちらか一方のみ基準値を超えている場合」には、一過性に高血糖になっている可能性もあるで、別日に再検査が実施されます。再検査において、「空腹時血糖値」と「HbA1c」の両方、もしくは前回の検査で基準値を超えていなかった方の値が、基準値を超えていた場合に「糖尿病」と診断されます。それ以外は、「糖尿病の疑い」と判断され、3〜6ヶ月以内に再検査が行われます。

HbA1cは血糖値の平均値を表している

HbA1c(グリコヘモグロビン)とは、血中でブドウ糖と赤血球(ヘモグロビン)が結びついたものの値で、採血時の1~2ヶ月前の「平均血糖値」を表しています。血糖値は、検査前の食事や飲酒、その日の体調、時間帯などによって変動するのに対し、HbA1cは1~2ヶ月の平均値なので、それらの影響を受けず、糖尿病の診断において重要なHbA1cの正常値は「4.6〜6.2%」で、「6.5%」を超えると糖尿病を疑い、1ヶ月以内に「血糖値の測定」が必要になります。「血糖値」や「HbA1c」は、一般的な健康診断の採血の項目に含まれていることが多いです。

血糖値やHbA1cは、採血で簡単に調べる事ができるので、気になる方は健康診断を受けたり、医師に相談してみましょう。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
[日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017]

話題の血糖値スパイク(食後高血糖)とは

ここがポイント!

  • 血糖値スパイク(食後高血糖)とは、食後にすぐに血糖値の急上昇する状態をいう
  • インスリンの分泌量が減っていたり、働きが弱まっていたりする事が原因であると考えられている
  • 食後高血糖は、一般的な健康診断で行われる空腹時採血では、発見が難しい
  • 食後高血糖は、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)という検査で見つけられる

血糖値スパイクは食後高血糖をいう

血糖値スパイクとは「食後のみ血糖値が急上昇し、急降下する状態」をいいます。NHKの番組で特集されたのをきっかけに、広く知られるようになりましたが、正式な名称ではなく、「食後高血糖」の別称として使用されている場合もあるようです。

食後高血糖は隠れ糖尿病と呼ばれている

通常は、食事を摂取し血糖値が上昇しても、すぐにインスリンが分泌され、2時間以内に正常値まで戻ります。しかし、インスリンの分泌量が少なかったり、働きが弱まったりしていると、食後に血糖値が急上昇するため、2時間が経過しても血糖値が高い状態が続いてしまいます。これを、「食後高血糖」といいます。
食後高血糖の方は、糖尿病の発症リスクが高く、すでに予備群である疑いもあります。また、血糖値が高い状態が続くと、血管が次第にボロボロになり、「動脈硬化」を促進させ、「脳卒中」「心筋梗塞」などを引き起こす可能性もあります。
食後高血糖の怖さは、食後のみ高血糖になっているという点です。通常の健康診断では、「空腹時血糖値」を測定しているため、発見が難しく「隠れ糖尿病」とも呼ばれています。
食後高血糖とは

食後高血糖を見つける検査とは

隠れ糖尿病とも言われる「食後高血糖」を見つけられる検査に「経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」があります。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは、「ブドウ糖」が一定量含まれている飲み物を摂取した後、一定時間を空けて数回採血し、血糖値の変化から糖尿病であるか評価する検査です。この検査は、一般的な健康診断では行われない検査なので、隠れ糖尿病は見つかりにくいのです。

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)検査の流れ
1)前日の夕食後から、10時間以上の絶食が必要
2)次の日の朝に、空腹時の状態で採血をする
3)ブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖液飲む
4)ブドウ糖を飲んだ直後、30分後、1時間後、2時間後と採血をしていく

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)検査

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
食後高血糖|_e-ヘルスネット
高血圧症発症チェック

血糖値を急激に上げない食べ方のポイント

ここがポイント!

  • 炭水化物の食べ過ぎは、血糖値を上げるため控える
  • 食物繊維を多く含む食品から先に食べることで、血糖値の急上昇を避けることが出来る
  • ジュース、清涼飲料水には大量の糖分が含まれているため、水分補給は水やお茶にする

血糖値が急激に上昇すると、血糖値を下げるために多量のインスリンが分泌されます。インスリンには、血液中のブドウ糖を肝臓、筋肉などの細胞に取り込む働きがあるので、インスリンが多く分泌されるほど、糖分が溜め込まれ太りやすいと考えられています。
ここでは、急激な血糖値の上昇を防ぐために、気をつけられる食べ方のポイントを紹介していきます。
急激な血糖値の上昇を防ぐ食べ方のポイント

炭水化物を減らす

炭水化物は、「糖質」と「食物繊維」で構成されています。そのため、炭水化物である「ご飯」「パン」「麺類」「いも」などには、糖質が多く含まれており、摂取量が多すぎると、体内で処理が来ず、血糖値が上昇してしまいます。丼ものやラーメンなど、炭水化物に偏った食事は控え、主菜、副菜などバランスの取れた食事を摂るように心がけましょう。

食事の順番に気をつける

食事を摂る際には、食物繊維を多く含む食品から摂り、糖質が多く含まれている「ご飯」や「パン」は最後に食べるようにしましょう。糖質が低いものから摂取する事で、血糖値の上昇が緩やかになります。

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、食物繊維の1日の摂取目標は「18歳以上の方の場合、男性で1日20g、女性は18g以上」と記載されています。 
食物繊維は、「豆類」「野菜」「いも類」「海藻類」「きのこ類」「果物類」などに多く含まれています。しらたき・切り干し大根・ごぼう・たけのこ・ブロッコリー・モロヘイヤ・糸引き納豆・いんげん豆・あずき・おから・しいたけ・ひじきなど、食物繊維を多く含む食材を取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、果物も食物繊維を多く含みますが、「糖分」も多いので食べ過ぎてしまうと血糖値を上げてしまうので注意しましょう。

ジュース、清涼飲料水を控える

甘いジュースには、多くの「糖分」が含まれています。「ノンカロリー」「カロリーオフ」などと表示されている飲み物にも、実際はエネルギー量があり、糖分が含まれていることが多いです。市販の飲み物には、「栄養成分表示」が裏側などに記載されていますので、カロリーや糖分量をチェックしてみましょう。
また、水分補給には、水や糖分の含まれないお茶を選びましょう

参考

厚生労働省|日本人の食事摂取基準
厚生労働省e-ヘルスネット|食物繊維
厚生労働省e-ヘルスネット|嗜好飲料(アルコール飲料を除く)
厚生労働省|栄養表示基準に基づく栄養成分表示

まとめ

血糖値は、血液中のブドウ糖の濃度を表しています。糖尿病は、採血によって血糖値を検査する事で診断されます。血糖値が高い状態が続くと、次第に血管がダメージを受けて、命に関わる合併症を引き起こします。糖尿病にならないためにも、「血糖値」の上昇を抑えていく事が重要です。
血糖値の上昇には、食事が大きく影響します。糖尿病の人はもちろんですが、まだ糖尿病ではない人も「血糖値」を上げない食生活を心掛けていきましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ