HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは|正常値から糖尿病型に分類される基準値まで徹底解説

HbA1c(ヘモグロビンA1c)という検査項目を、健康診断の採血結果などで目にした事があるでしょうか。HbA1cとは、糖尿病を発症しているかどうか、調べるために必要な検査項目の一つです。なぜ、血糖値だけではなく「HbA1c(ヘモグロビンA1c)」も調べる必要があるのでしょうか。ここでは、HbA1cとは具体的に何を表している数値なのか、HbA1cの正常値、糖尿病と診断される基準値などを詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは
  2. 02HbA1cはいくつが正常値なのか
  3. 03HbA1cの糖尿病の基準値はいくつなのか
  4. 04日本のHbA1cの基準値は、2012年にNGSP値に変更された
  5. 05まとめ

HbA1c(ヘモグロビンA1c)とは

ここがポイント!

  • HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、採血検査前の1~2ヶ月間の血糖値の平均を示す
  • 血糖値の平均を反映するので、検査前の食事などに左右されない
  • HbA1cは、赤血球の中にあるヘモグロビンとグルコース(血糖)が結合したもの
  • HbA1cは、糖尿病を診断するために必要な検査項目の一つである

採血検査で、「HbA1c」という項目を目にしたことがあるでしょうか。一般的な健康診断にも、検査項目の一つとして入っている場合が多いです。ここでは、HbA1cが何を表す値なのかを具体的に解説していきます。

HbA1cは糖分とヘモグロビンが結合したもの

HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、採血検査で調べる事ができる検査項目の一つで、「採血検査前の約1~2ヶ月間の血糖値の平均」を反映します**。
HbA1cは、赤血球の中にある「ヘモグロビン」という全身に酸素を運ぶ役目のたんぱく質と、血液中の糖(グルコース)が結合したものをいい、別名「糖化ヘモグロビン」とも呼ばれています。血糖値が正常の方の場合、ヘモグロビンの約90%は糖と結合していません。しかし、血糖値が高い状態が続くと、ヘモグロビンと糖分が結合しやすくなります。結合したとしても、血糖値が下がれば自然と離れますが、高血糖が約1~2ヶ月間続くとヘモグロビンと糖分の結びつきがより強くなります。また、血糖値が高いという事は、血管内に糖分がたくさんある状態ですので、たくさんのHbA1cが出来るのです。

つまり、HbA1cが高値の場合、血糖値が高い状態が続いているという事になり、糖尿病が強く疑われるというわけです。高血糖状態が続くと、糖尿病特有の合併症(糖尿病神経症・糖尿病網膜症・糖尿病腎症)の発症や「動脈硬化」のリスクが高くなることがわかっています。HbA1cが高めの方は、食事や運動など食生活の見直しをしたり、定期的に検査を受ける事をおすすめします。
糖尿病の合併症について詳しくはこちらをご参照ください糖尿病はなぜ放置してはいけないのか|怖い合併症について解説します

血糖値は、「今の」血液中の糖分濃度

血糖値は、採血をした時点の血糖の値をいいます。そのため、HbA1cとは違い、食事や運動、ストレス、不眠、風邪などの影響で変動します。食後であれば、誰でも血糖値は高くなります。採血検査時に血糖値が高くても、一過性の高血糖の可能性もあります。そのため、糖尿病の診断では、明らかに糖尿病の自覚症状や合併症を発症していない限り、「HbA1c」と「血糖値」両方の数値から判断します
血糖値とHbA1cの違い

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
高血圧症発症チェック

HbA1cはいくつが正常値なのか

ここがポイント!

  • HbA1cの正常値は、4.6~6.2%の範囲である
  • HbA1cは、赤血球寿命に影響されるため、「鉄欠乏状態」「出血」「溶血性疾患」「肝硬変」などにより数値が変動する場合もある
  • 他の糖尿病の検査項目として、「尿糖」「グリコアルブミン(GA)」や、「1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)」などがある

糖尿病の治療ガイドラインによると、HbA1cの正常値は4.6~6.2%の範囲であると記載されています。
HbA1cの正常値.png
糖尿病の診断では、血糖値とHbA1cが両方とも基準値を超えていると、初回の診察で「糖尿病」と診断されます。健康診断を受けた際には、HbA1cの項目を皆さんも意識してチェックして見てはいかがでしょうか。前の章でも解説しましたが、HbA1cは、採血検査前の約1~2ヶ月間の血糖の平均を表している数値ですので、血糖値のように食事や体調に左右されず、血糖の状態をより正確に把握するために有効な情報であると言えます。

ちなみに、HbA1cの値は、赤血球寿命に影響されることがあり、糖尿病以外の病気でも変動する事があります。例えば、貧血などで鉄欠乏状態の場合にはHbA1cは高値を示し、回復してくると低めの数値になります。他にも、出血、溶血性疾患、肝硬変、異常ヘモグロビン症などでも数値が変動するので、原因が糖尿病とは限りません。そのため、糖尿病の診断をする際には、「血糖」や「尿糖」「グリコアルブミン(GA)」や、「1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)」などの他の検査を複数併用する場合もあります。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017

HbA1cの糖尿病の基準値はいくつなのか

ここがポイント!

  • HbA1cの場合「6.5以上」だと「糖尿病型」に分類される
  • HbA1cの検査単独では糖尿病と診断されないため、必ず「血糖」の検査をする

糖尿病は、主に「血糖」「HbA1c」の2つの値から診断されます。ここでは、糖尿病と診断されるHbA1cの基準値について、糖尿病の診断フローに沿って解説していきます。

HbA1cが基準値以上だと、「糖尿病型」に分類される

「空腹時血糖値・ブドウ糖負荷試験(OGTT)値・随時血糖値」のいずれかの値と、「HbA1c」の値の両方が基準値を超えている場合に、初回で「糖尿病」と診断されます
しかし、どちらか一方の場合は「糖尿病型」に分類され、糖尿病の自覚症状や明らかな合併症を発症していない限りは、後日再検査が実施されます。
ここでは、それぞれの検査項目の基準値をみていきましょう。

糖尿病型と診断される基準値

HbA1cだけ基準値を超えている場合

HbA1cが基準値を超えていたとしても、血糖の値が基準値を超えていなければ、糖尿病型に分類され、糖尿病とは診断されません。しかし、糖尿病の可能性が高いため、別の日に「血糖値」の再検査をする必要があります。再検査は、なるべく1ヶ月以内に受ける事が推奨されています

血糖値のみ基準値を超えている場合

血糖値しか基準値を超えていなくても、「糖尿病の典型的な症状が現れている(口渇、多飲、多尿、体重減少など)」、もしくは「糖尿病性網膜症を明らかに発症している」場合には、初回で「糖尿病」と診断されます。どちらの症状も現れていない場合には、「糖尿病型」と判断され、1ヶ月以内に再検査を受ける事が推奨されています。

再検査でも糖尿病と診断されない場合は「糖尿病の疑い」に分類される

どちらか一方のみ基準値を超えている場合には、一過性に高血糖になっている可能性などもあるため、別日に再検査が必要と説明しました。再検査において「血糖値」と「HbA1c」の両方、もしくは前回の検査で基準値を超えていなかった方の値が、基準値を超えていた場合に「糖尿病」と診断されます。それ以外は「糖尿病の疑い」と判断され、3~6ヶ月以内に血糖値とHbA1cの再検査が実施されます。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
高血圧症発症チェック

日本のHbA1cの基準値は、2012年にNGSP値に変更された

ここがポイント!

  • 日本では、「JDS値」の表記方法が使われてきたが、2013年にほとんどの国で使われていた「NGSP値」に変更された
  • 「JDS値」と「NGSP値」では 0.4%HbA1cの数値に誤差がある

HbA1cは、2012年4月に国際基準である「NGSP値」が導入されました。導入以前は、「JDS値」という、日本独自の基準を用いていました。しかし、JDS値は、NGSP値よりも表記上0.4%低い事から、医療現場の混乱を招くとされ、国際基準に統一する事が医師会や厚生労働省らによって決められました。
そのため、2012年4月以前のHbA1cの数値は、JDS値の可能性あることを心得て置くと良いでしょう。
ちなみに「JDS値」を「NGSP値」に換算したい場合には、以下の式で行う事ができます。

<JDS値とNGSP値の換算方法>
NGSP値(%)=JDS値(%)×1.02+0.25(%)
JDS値(%)=NGSP値(%)×0.980-0.245(%)

例えば、HbA1c(JDS)6.6(%)の(NGSP)の値を求めたい場合は、HbA1c(JDS)6.6(%)×1.02+0.25(%)=HbA1c(NGSP)7.0%(小数点第二位四捨五入)となります。

日本のHbA1c基準値の表記方法


参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017

まとめ

ここでは、糖尿病の検査である「HbA1c」について説明してきました。
「HbA1c」は、採血前1~2ヶ月間の血糖値の平均を反映するので、直前の食事などには影響を受けにくく、数ヶ月単位での血糖の状態を把握することができます。糖尿病は、自覚症状がほとんど無いため、気づかない間に進行していきます。発症すれば、合併症を防ぐために血糖値を下げる治療を続ける必要があります。ですから、まずは糖尿病にならないために、生活習慣を見直し、年に一度は健康診断などで、「HbA1c」や「血糖」を測定することをお勧めします。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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