ブドウ糖(糖質)の推奨摂取量はどのくらいなのか | 日本やWHOの摂取基準を解説します

ブドウ糖は、脳の唯一のエネルギー源であり、生きる上で欠かせない栄養素です。しかし、多量に摂取すると、肥満や糖尿病など様々な病気の要因にもなります。2015年には、世界保健機関(WHO)が、砂糖などの糖類の推奨摂取量を従来の半分にまで引き下げています。ここでは、ブドウ糖の体内での役割、1日にどの程度摂取すれば良いのか、過剰に摂取するとどのような病気を引き起こすリスクがあるのかなど、ブドウ糖について詳しく説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ブドウ糖は脳のエネルギー源である
  2. 02糖質は1日でどのくらい摂取すれば良いのか
  3. 03ブドウ糖の過剰摂取は糖尿病やがんの発症リスクを高める
  4. 04まとめ

ブドウ糖は脳のエネルギー源である

ここがポイント!

  • ブドウ糖は脳や体の「エネルギー源」となる重要な栄養素
  • 食事から取り込まれた糖質は、体内で分解されて「ブドウ糖」になる
  • ブドウ糖は血液中に存在しており、血液中のブドウ糖の濃度を「血糖値」という

ブドウ糖とは

ブドウ糖とは、糖分の中の最も小さい単位である「単糖類」の一種です。ブドウ糖が、果糖やガラクトースなど、他の糖類のくっつく事で、乳糖やでんぷんなどが構成されています。ブドウ糖は、脳のエネルギー源であり、私たちが生きる上で欠かせない栄養素の一つです。
ブドウ糖とは

ブドウ糖は血液で全身に運ばれる

食事に含まれている「糖質」は、最終的には小腸で分解されて、糖質の最小単位であるブドウ糖になります。血液中のブドウ糖を血糖といい、血液中のブドウ糖の濃度を「血糖値」と言います。糖質は甘いものだけではなく、ご飯や麺類など「炭水化物」にも多く含まれています。

低血糖にはブドウ糖が効果的

ブドウ糖は、糖質の最小単位であり、糖質の中で最も吸収が早いとされています。そのため、糖尿病の薬物治療を受けている方のように低血糖を起こすリスクがある方は、ブドウ糖を携帯しておく事が推奨されています。糖尿病ではない人が、低血糖を起こす事は稀ですが、低血糖にはブドウ糖が効果的であると理解しておくと良いでしょう。
ちなみに、ブドウ糖がない場合には、甘いジュースやお菓子なども効果はあります。
糖尿病で薬物治療を受けている方や周りに糖尿病の人がいる方は、低血糖になるとどのような症状が現れるのか確認しておきましょう。
ブドウ糖は粉末やタブレットタイプなどがあり、ドラックストアなどでも購入することが可能です。糖尿病の治療をしている人は低血糖が起こった時のために、持ち歩くようにするといいでしょう。
低血糖の症状ついて詳しくは、低血糖の原因とは|眠気・めまいなどの症状は起きるのかをご参照ください。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
厚生労働省e-ヘルスネット|ブドウ糖
高血圧症発症チェック

糖質は1日でどのくらい摂取すれば良いのか

ここがポイント!

  • 炭水化物は糖質と食物繊維から構成されている
  • 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、一日に必要なエネルギー量のうち、炭水化物(糖質)からとる割合の目安を、18歳以上では50~65%と推奨している
  • 世界保健機関(WHO)では、2015年に遊離糖類の推奨摂取量を1日の総摂取カロリーの「5%以下」に抑える事を推奨すると記載したガイドラインを発表した

摂取した糖質は、体内で分解されて「ブドウ糖」になります。ここでは、糖質は1日どの程度摂取すれば良いのかを見ていきましょう。

糖質は炭水化物に含まれている

炭水化物は、エネルギー源になる糖質と体内の消化酵素で分解されない食物繊維で構成されています。そのため、食品に含まれている糖質量を確認したい場合には、炭水化物の欄を確認すると良いでしょう。最近では、炭水化物の欄が「糖質」と「食物繊維」に別れている場合もありますが、別れていない場合には食物繊維の数値も含まれている事を理解しておきましょう。

炭水化物の推奨摂取量とは

炭水化物は、タンパク質と脂質に並ぶ三大栄養素の一つであり、生きるためには欠かせない栄養素です。では、1日にどのくらいの炭水化物を摂取すれば良いのでしょうか。
厚生労働省が示す「日本人の食事摂取基準(2015年版)」によると、必要なエネルギー量のうち、炭水化物の割合は50~65%を目安に摂取する事が推奨されています
食生活の改善のために、食事バランスガイドを活用しよう
炭水化物だけでなく、体に必要な様々な栄養素をバランスよくとる事が重要です。食生活を見直したいけれど、バランスの良い食事内容がわからないという方は、厚生労働省と農林水産省が作成した「食事バランスガイド」を参考にすることをお勧めします。食事バランスガイドは、バランスの良い食事の参考として、1日に何をどれだけ食べたら良いのかが、イラストでわかりやすく解説されていますので、目を通して見てはいかがでしょうか。農林水産省の公式ホームページで確認する事ができます。

bp_12-10.png
(参考資料|農林水産省)

世界保健機関(WHO)が発表した「遊離糖類」の推奨摂取量

世界保健機関 は、「World Health Organization: WHO」といい「全ての人々が可能な最高の健康水準に到達すること」を目的として設立された国連の専門機関をいいます。
世界保健機関(WHO)は、2015年に肥満や虫歯などの予防を目的に「成人及び子どものための糖類の摂取に関するガイドライン」を発表しました。
このガイドラインでは、遊離糖類の摂取量を1日の総摂取カロリーの「10%未満」に抑えることを推奨しており、さらに砂糖小さじ6杯分である「5%未満」に抑えればより健康に良いとしています。ちなみに、遊離糖類とは「ブドウ糖、果糖などの単糖類やショ糖やスクロースなどの二糖類といった、加工調理で加えられるものや果汁など自然に存在する糖類」の事をいいます。

糖分の摂りすぎに注意が必要

砂糖小さじ6杯分とは、グラムにすると約25gです。例えば、甘い炭酸飲料では、500mlのペットボトルで「50g程度」砂糖が含まれているものもあり、この1本で既にWHOが推奨している「25g程度」の摂取目標量を超えてしまいます。また、「ノンカロリー」や「カロリーオフ」「糖質ゼロ」などと表示されている飲み物にも、実際はエネルギー量があり、糖分が含まれていることが多いです。水分を摂取する際には、水やお茶など糖分が含まれていないものをおすすめします。
糖分が高いものは、ジュースやお菓子だけではありません。料理の中には、砂糖を多く使用するものもあります。日本食はヘルシーなイメージがありますが、煮物や佃煮など甘辛い味付けの料理には砂糖が多く使用されている場合もあります
まずは、市販の飲み物や食品や調味料などには、「栄養成分表示」が裏側などに記載されていますので、カロリーや糖分量がどの程度含まれているのかチェックしてみましょう。

参考

日本WHO協会 糖類摂取量に関する新ガイドライン
厚生労働省e-ヘルスネット|嗜好飲料(アルコール飲料を除く)
厚生労働省|栄養表示基準に基づく栄養成分表示
厚生労働省|日本人の食事摂取基準
厚生労働省e-ヘルスネット|炭水化物 / 糖質
農林水産省

ブドウ糖の過剰摂取は糖尿病やがんの発症リスクを高める

ここがポイント!

  • 糖分の過剰摂取は、肥満になり、糖尿病を発症させる原因の一つ
  • 糖尿病は、がんの発症リスクを高めることがわかっている

糖分の過剰摂取は肥満や糖尿病につながる

肥満は「糖尿病」を発症する大きな要因の一つです。食べ過ぎや高カロリーなものや甘いものを過度に摂取するといった偏食をしていると、やがては肥満に繋がり、糖尿病になるリスクが高くなる事は明らかになっています。
食事をして血糖値が上昇すると、体内では膵臓から「インスリン」という血糖値を下げるホルモンが分泌されます。過度に糖質を摂取する食生活を続けていると、インスリンを分泌する膵臓が疲れてきて、インスリンが十分な量分泌出来なくなったり、インスリンが効きにくくなり、血糖値が下がらず高血糖状態が続く「糖尿病」になります。
肥満は「生活習慣病」です。糖尿病になるだけでなく、「動脈硬化」を進行させ「脳梗塞」や「心筋梗塞」といった恐ろしい病気にもつながります。生きるために必要な糖質ですが、摂取量には十分注意が必要です。

糖尿病はがんの発症リスクを高める

糖質の取りすぎが発症の要因になる「糖尿病」は、糖尿病特有の合併症や動脈硬化だけではなく、がんの発症リスクも高める事が明らかになっています
国立がんセンターの研究グループは、日本人の40〜69歳の男性46,548人、女性51,223人の合計97771人を対象に糖尿病とがんの関連について調査を行いました。
その調査では、開始から11年間で男性3,907人、女性2,555人が何らかのがんを発症したことをまとめ、糖尿病の既往がある人は、男性で1.27倍、女性で1.21倍もがんになるリスクが高くなることを論文に上げています。がんの中でも、特にかかりやすかったのは、男性では「肝がん」「腎がん」「膵がん」「結腸がん」「胃がん」、女性では「胃がん」「肝がん」「卵巣」がんという結果でした。この調査から、糖尿病は癌になるリスクを高める可能性があることがわかります。

糖分の過剰摂取が引き起こすリスク

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Inoue M et all.Diabetes mellitus and the risk of cancer: results from a large-scale population-basedcohortstudyinJapan2006
高血圧症発症チェック

まとめ

ブドウ糖は、脳や体のエネルギー源となり、私たちが生きていくための重要なエネルギーです。しかし、過剰に摂取し続けると肥満や糖尿病などの生活習慣病の発症に繋がります。糖質は、甘いものだけに含まれている訳ではありません。ご飯や麺類などの炭水化物にも豊富に含まれています。食品を購入する際には「栄養成分表示」を見て、どのくらいの糖分が含まれているのかチェックすることから、まずは始めてみてはいかがでしょうか。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ