【禁煙外来とは】病院でたばこをやめる方法について徹底解説

「たばこをやめたいと思っているけどなかなかやめられない。」
「禁煙したことがあるけれど、またたばこを吸い始めてしまった。」
このような経験に悩んでいる人もいるのではないでしょうか。今回は禁煙したい人の心強い味方、「禁煙外来」について紹介していきます。禁煙外来はどのような人が行くためにあるのか、禁煙外来ではどのような治療をするのか、費用はいくらかかるのかなど、禁煙外来について詳しく解説します。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01禁煙外来とは
  2. 02禁煙外来は誰でも受診できる
  3. 03治療はどのくらい続くのか
  4. 04禁煙外来で
  5. 05たばこをやめるためにかかるお金
  6. 06まとめ

禁煙外来とは

ここがポイント!

  • 「禁煙外来」は、禁煙を希望している人を対象とした専門外来
  • 喫煙者の約3割が禁煙したいと思っている
  • 禁煙外来に通うことで、禁煙の成功率が上がる
  • 禁煙外来は1994年から始まり、年々禁煙外来のある病院や診療所の数は増加してきている

禁煙外来とは

「禁煙外来」は、たばこをやめたいと考えている人に向けて、病院や診療所につくられた専門外来のことを言います。

厚生労働省の平成28年「国民健康・栄養調査」の結果によると、20歳以上で習慣的に喫煙している人の割合は 18.3%であり、男女別では、男性 30.2%、女性 8.2% でした。特に30~50 歳代 男性では、喫煙率が高く、約4割が現在習慣的に喫煙していることがわかっています。これほど多い喫煙者ですが、近年たばこが値上がりをし、また禁煙場所も増加しているので、喫煙者は肩身の狭い思いをしているのではないでしょうか。そういった影響もあってか、厚生労働省の調査の中に、1つ注目すべき結果がありました。それは、喫煙者の約3割がたばこをやめたいと思っているというものでした。たばこは吸っているけれど、やめたいと考えている人が約3人に1人いるというのです。非喫煙者から、「やめたいならやめればいいのではないか」という指摘が、いかにも聞こえてきそうな内容です。しかし、自力でたばこをやめようとチャレンジしても、禁煙に成功する割合はとても低いと言われています。このことから、多くの人が禁煙を希望しているにも関わらず、禁煙に成功できていないという現状が見えてきます。
たばこをやめたいのに、やめられない原因は、喫煙によって「ニコチン依存状態」になっているからだと分かっています。たばこを吸って、煙に含まれる有害物質の「ニコチン」が体内に常に入っている状態が続くようになると、いざ禁煙をしたときに体内のニコチンが少なくなり、体はニコチンを欲します。その結果、たばこを吸いたい気持ちが高まり、禁煙中と分かっていても結果的に吸いたいという強い気持ちに負けて吸ってしまう、それが「ニコチン依存状態」なのです。
厚生労働省が行った調査の結果からも、禁煙外来の効果は明らかになっています。禁煙治療を行った人の半数が、治療を終了した9カ月後も、続けて禁煙出来ているという結果がでており、いかに禁煙外来が有効であるかが分かります。
このように、禁煙外来は、「ニコチン依存状態から抜け出して、今度こそたばこをやめるためのサポートをしてくれるところ」なのです。

禁煙外来のこれまでと現状

禁煙外来は、1994年に日本で「ニコチンガム」が発売されたのをきっかけに、病院や診療所につくられ始めました。その後、たばこの有害性が社会的に強く言われ始めたことや、たばこの値上げなどによって、禁煙に対する社会的な需要が高まってきました。こういった背景のもとで、1996年に「ニコチンパッチ」、そして2008年に「バレニクリン」が、それぞれ禁煙補助薬として国内での販売・使用を許可され、禁煙治療の選択肢が広がりました。さらに、2006年には、条件を満たせば、禁煙治療は健康保険を使って受けられるようになりました。こうして自己負担額が減ったことで、経済的理由で足踏みしていた人たちも禁煙治療を受けやすい状況になってきています。このような流れによって、日本における禁煙外来の数は、年々増え続けています。

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禁煙外来は誰でも受診できる

ここがポイント!

  • 禁煙外来では、条件を満たせば健康保険を使って禁煙治療を受けることができる
  • 健康保険を使って禁煙治療を受けるには、4つの条件を満たす必要がある
  • 35歳以上の人は、ブリンクマン指数が200以上でないと健康保険を利用できない
  • 健康保険を利用するためには、禁煙をすぐに始めることと、禁煙治療に同意することが必要

禁煙外来は、少しでも禁煙しようという思いがある人なら誰でも受診することができます。しかし、注意しなければいけないのは、「健康保険を使って」禁煙治療を受けるためには、いくつかの条件を満たす必要があるという点です。

禁煙治療を受ける際に、健康保険が使えるのは以下の4つの項目の全てに当てはまる人です。

1)ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)が5点以上であること
 ※ニコチン依存症スクリーニングテスト:ニコチン依存症を判定するテスト
2)ブリンクマン指数が200以上であること(35歳以上のみ)
 ※ブリンクマン指数:1日の平均喫煙本数×喫煙年数
3)直ちに禁煙を希望していること
4)禁煙治療を受けることに、文章で同意していること

この4つの条件に当てはまらない場合は、健康保険が使えないので自費での治療になります。

禁煙治療の保険適用条件については、「禁煙外来の費用(禁煙治療の保険適用範囲など)」で詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。

治療はどのくらい続くのか

ここがポイント!

  • 健康保険を使って禁煙治療を受ける場合、12週間の治療期間内に5回受診する
  • 禁煙治療が12週間以上になった場合、超えた分の治療費は自費となる
  • 健康保険を使って禁煙治療を受けた場合、前回の治療開始日から1年間は再度健康保険を使った禁煙治療は受けられない

健康保険を使って禁煙治療を受ける場合、治療期間は12週間(3カ月間)で、その間に5回禁煙外来を受診します。具体的な受診のタイミングも決まっており、最初の受診からそれぞれ2週間あけて2、3回目の診察を受けます。続いて、それぞれ4週間あけて4、5回目の診察を受けます。薬は、それぞれの回に、次回の受診日までの分が処方されます。
12週間の禁煙治療が終了すると、それ以降は自力で禁煙を継続していくことになります。自分1人での禁煙に自信がないと思う人は、12週間を過ぎても禁煙外来に通院し続けることは可能です。その場合、薬が処方されず、カウンセリングやアドバイスのみになることもあります。また、健康保険が使えるのは12週間までなので、それ以降は自費で受診することになります。
さらに、健康保険で禁煙治療を受けた場合、治療を開始した日から1年間は再度健康保険を使って禁煙治療を受けることができません。そのため、1年以内に再度禁煙治療を受けるとしたら、自費になるという点に注意してください。

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禁煙外来で

ここがポイント!

  • 禁煙外来では「喫煙、禁煙状況の確認」「禁煙補助薬の処方」「カウンセリング」を行う
  • 1回目の受診ではニコチン依存度のチェック、禁煙開始日や補助薬の決定、カウンセリングなどを行う
  • 2〜5回目の受診では禁煙状況のチェック、薬の作用や副作用の確認、カウンセリングなどを行う
禁煙外来で行われる治療について見ていきましょう。
健康保険を使った禁煙治療では一般的に
(1)喫煙、禁煙状況の確認:ニコチン依存度、呼気一酸化炭素濃度の測定、問診など
(2)禁煙補助薬の処方
(3)禁煙に対するカウンセリング
などが行われます。

1回目の受診(初診)

ニコチン依存症のチェック
ニコチン依存症のスクリーニングテストを通して、ニコチン依存症かどうかを判定します。ニコチン依存症と診断され、条件を満たせば保険診療を受けられます。
・呼気一酸化炭素濃度の測定:息に含まれる一酸化炭素の濃さを確認します。一酸化炭素はたばこの煙に含まれる有害物質であり、濃度が高ければ高いほど体にとって有害です。専用の機器に息を吹き込むことで検査できます。
禁煙開始日の決定と禁煙宣言
医師から禁煙治療の流れについて話を聞き、禁煙を始める日を決めます。また「禁煙宣言書」にサインします。
禁煙補助薬の選択
禁煙補助薬には貼り薬と飲み薬があります。作用や副作用を聞いて、自分の喫煙状況や生活スタイルにあった薬を医師と相談しながら選択します。
禁煙に関するカウンセリング
喫煙を始めようと思ったきっかけや、これまでの禁煙経験などについて、医師や看護師と話し合いながら確認していきます。特に、これまで禁煙中にたばこを吸ってしまったエピソードや、生活の中でたばこを吸いたくなる場面について話し合うことが大切です。禁煙中はさまざまな誘惑があり、たばこを吸いたくなるときがあります。そのときにどう対処するのかを決めておくことで、禁煙の失敗を防ぐことができます。

2〜5回目の受診

禁煙状況について確認
前回受診した日から禁煙を続けて来られたかどうかを確認します。禁煙を始めると、呼吸がしやすくなるなど、禁煙によって体にもたらされる良い効果が少しずつ出てきます。禁煙を続けたことにより、こういった効果を感じられたかどうかを医師や看護師と振り返ります。一方で、もしも禁煙治療中にたばこを吸ってしまった場合、どういう場面だったのかを振り返り、「禁煙に関するカウンセリング」を行います。またニコチン切れ症状が出現していないかどうかの確認もしていきます。
禁煙補助薬の作用や副作用の確認
禁煙補助薬を使ってみて効果があったか、また副作用が出ていないかを確認します。もしも十分な効果が得られない、もしくは副作用が強く出ているなどの場合には、別の禁煙補助薬への変更も考慮します。
呼気一酸化炭素濃度の測定
禁煙をしていると、基本的には息に含まれる一酸化炭素の濃度が低下します。呼気一酸化炭素濃度を測定して、前回よりも濃度が低下しているかを確認します。低下していれば、禁煙を継続できているということが数値で確認できます。
禁煙に関するカウンセリング
禁煙中に再び喫煙をしてしまった人は、今度同じことが起こった時にどう対処するのかなどを話し合っていき、繰り返さないための対策を考えます。他にも不安なことがある場合は、カウンセリングで相談に乗ってもらえますので、遠慮せずに相談することをお勧めします。禁煙外来の医師や看護師は、多くの禁煙者を見てきているため、経験に基づいた良いアドバイスをしてもらえます。

たばこをやめるためにかかるお金

ここがポイント!

  • 自費で禁煙治療を受ける場合は、4万円〜6万5,000円程度かかる
  • 保険適用で禁煙治療を受ける場合は、1万3,000円〜2万円程度かかる
  • 保険適用で禁煙治療を受ける費用は、1日に1箱のペースで1〜2カ月吸った分のたばこ代と同じくらいである

禁煙外来では、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。
禁煙外来でかかる費用は、健康保険を使うかどうかで大きく変わってきます。また、使用する禁煙補助薬によっても変わります。

健康保険を使わず、自費で禁煙外来に通う場合、4万円〜6万5,000円程度かかります。一方、健康保険を使った場合、1万3,000円から2万円程度となります
「1万円以上かかるのはちょっと...」と思う人がいるかもしれませんが、たばこを吸い続けた場合と比較すると、実は安く済むのです。ちょっと計算してみましょう。
一般的なたばこを一箱440円とします。1日に1箱吸い続けたとして、1週間で約3,000円、1カ月で約1万3,000円です。そう考えると、たばこを約1カ月〜2カ月吸い続ける費用と、禁煙治療を受ける費用は同じくらいなのです。しかも禁煙治療の場合は、禁煙することができるので、それ以降のたばこの費用が必要なくなります。そう考えると、禁煙治療にお金を使う方が、結果的にお金の節約にもなるのではないでしょうか。

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まとめ

禁煙外来の対象者や治療の内容、治療にかかる費用などについて紹介しました。使用出来る禁煙補助薬の種類が増えたことや、保険適用の開始などにより、現在の日本には、禁煙をしたいと思っている人にとって絶好な状況がそろっています。

「この一本を吸ったらもうやめる」「来年からもう吸わない」と自分の意志だけで禁煙しようと試みて、何度も失敗している人は、禁煙外来で相談してみるのはどうでしょうか。たばこは肺だけでなく、心臓や脳をはじめさまざまな臓器に悪影響を与えます。そういった病気にかかってから病院に行くのではなく、病気になるのを予防するためにも、禁煙は大切です。一人では難しいと感じている方は、まずは気軽に禁煙外来を受診してみましょう。

参考

国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
ニコチン依存症管理料算定保険医療機関における 禁煙成功率の実態調査 報告書 |厚生労働省
禁煙治療ってどんなもの?|e-ヘルスネット|厚生労働省
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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