禁煙外来とは | まずは禁煙外来を知ろう。
ここがポイント!
- 禁煙外来は禁煙を希望している人を対象とした専門外来
- 禁煙治療の期間は12週間で、その間の決められたタイミングで5回受診をする
- 治療内容は、主に「禁煙補助薬の使用」と「医師や看護師とのカウンセリング」
「禁煙外来」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。それでは、「禁煙外来」とはいったいどのようなものなのか、知っていますか。
禁煙外来とは禁煙を希望している人を対象に、禁煙治療を行う専門外来です。基本的な禁煙治療は12週間をかけて行われ、その間の決められたタイミングに5回受診をします。
標準的な禁煙治療では、禁煙補助薬が使われます。禁煙補助薬は、禁煙中に、たばこを吸いたい気持ちになるのを抑える薬です。禁煙をすると、たばこに含まれる「ニコチン」という物質が、体に補充されなくなり、体内から徐々に抜けていきます。すると、ニコチンの減少に伴って、イライラや頭痛などの症状が出現します。禁煙補助薬には、そういったニコチン切れによって出現する「離脱症状」を抑える役割もあります。
5回の受診では、医師や看護師によるカウンセリングが行われます。カウンセリングでは、その人に最適な禁煙補助薬の種類を選んだり、使用中の禁煙補助薬の効果や副作用の確認などを行ったりします。それ以外にもカウンセリングでは、禁煙中にたばこを吸いたくなった場合、どのように対処をしていったら良いかのかなどについて話し合いを行います。
禁煙外来では、禁煙補助薬とカウンセリングによる治療を通して、禁煙を継続していくための治療とサポートを行います。

禁煙外来で健康保険を使うためには | 保険適用の条件とは
ここがポイント!
- 禁煙外来では、4つの条件を満たせば健康保険などを利用して治療できる
- ニコチン依存症のスクリーニングテストが5点以上で、「ニコチン依存症」と判定される
- ブリンクマン指数は1日の平均喫煙本数と喫煙年数を掛け合わせた数字である
- 保険適用で禁煙治療を受けた場合、1年間は再度禁煙治療を受けても保険適用とならない
病院や診療所で病気の治療を受ける場合、健康保険を利用すれば、治療費は一部を負担すればすみます。禁煙治療は数年前まで健康保険を利用出来ない治療であり、全額を自己負担しなければなりませんでした。しかし近年、喫煙の有害性が注目され、禁煙を求める風潮が高まって来たことを受け、2006年から4つの条件に当てはまる人を対象に禁煙治療の保険診療が可能になりました。
健康保険などを利用して禁煙治療を受けるための条件は次の4つです。
1)ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)が5点以上であること
2)ブリンクマン指数が200以上であること(35歳以上のみ)
3)直ちに禁煙を希望していること
4)禁煙をする意志があるということを、文書により宣言していること
それぞれの項目について詳しく見てみましょう。
1)ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)
ニコチン依存症のスクリーニングテストは、「ニコチン依存症」であるかどうかを判定するテストです。「はい」か「いいえ」で答える質問が10項目あり、そのうち「はい」が5個以上あればニコチン依存症と判定されます。2)ブリンクマン指数
ブリンクマン指数とは、喫煙が人体に与える影響を示した指標のことで、次の式に当てはめて計算されます。ブリンクマン指数=1日の平均喫煙本数×喫煙年数
保険適用を開始した当初は、健康保険で禁煙治療が受けられる人は、「ブリンクマン指数200以上」の人に限られていました。しかし、喫煙年数が少ない若年者では、ブリンクマン指数が200に満たない人が多いため、保険適用にならずせっかくの禁煙機会が奪われる若年者が多いという結果を生んでしまっていました。
この状況を改善するため、2016年からブリンクマン指数を保険適用の条件として考慮するのは35歳以上のみと変更されました。
3)直ちに禁煙することを希望している
禁煙外来は禁煙を始めようとする人を対象にしているため、保険適用の対象となるためにはこの条件が必須となっています。4)禁煙をする意志があることについての文書での宣言
禁煙外来を最初に受診した時に、医師から禁煙治療についての説明を受けます。説明を受け、禁煙治療について理解した上で、禁煙をする意志があれば、禁煙宣言書にサインをします。禁煙宣言書の内容は「◯月◯日より禁煙をすることを誓います」というようなものです。禁煙に失敗をしたからといって罰則などはありませんので、禁煙をしようという気持ちがあればサインしましょう。ここまで、禁煙治療を保険適用で受けるための条件を紹介しました。
以上の4つの条件に加えて、保険適用となるために注意すべきポイントがあります。それは、保険適用で禁煙治療を受けた場合、前回治療を開始した日から1年間は、再度禁煙治療を受けた場合に保険適用にならないという点です。この点も、覚えておくようにしましょう。
禁煙外来を受けるのに必要なお金 | 禁煙外来の費用の内訳
ここがポイント!
- 保険適用なしで禁煙治療を受ける場合、4万円〜6万5,000円程度かかる
- 保険適用ありで禁煙治療を受ける場合、1万3,000円〜2万円程度かかる
禁煙外来にかかる費用
禁煙外来では、どれくらい費用がかかるのでしょうか。禁煙治療をする場合、必要となる費用の項目について見ていきましょう。初診料や再診料
病院や診療所で受診する場合、原則として必要になる費用ニコチン依存症管理料
厚生労働省が定める条件に則った、禁煙治療をした場合にかかる費用院外処方せん料
禁煙補助薬を薬局で受け取るための処方せんにかかる費用調剤料・禁煙補助薬代
禁煙補助薬自体の費用と、それを調剤するための費用(院外処方の場合は薬局で支払う)禁煙治療を受ける場合、以上のような費用がかかります。
禁煙外来の費用の内訳
ここから、実際に禁煙治療を受けるために必要な金額を見ていきましょう。健康保険を利用せずに禁煙治療を受ける場合、治療費は合計で4万円〜6万5,000円ほどかかります。一方で健康保険などを利用した場合、1万3,000円〜2万円ほどで禁煙治療を受けることができます。
受診毎に必要となる金額も見てみましょう。
薬価の高いバレニクリンを使った場合で考えると、
1回目:約3,500円
2回目:約3,500円
3回目:約5,500円
4回目:約5,500円
5回目:約1,000円
となります。バレニクリンよりも安価なニコチンパッチを使っての治療の場合には、もう少し安くなります。参考にしてみてください。
禁煙治療にかかる費用と、喫煙にかかる費用の比較
1万3,000円や2万円で禁煙治療が受けられると考えた場合、安いと考えるか、高いと考えるかは人によって違うと思います。しかし、たばこにかかっている費用を考えてみましょう。
禁煙治療は12週間で治療を行っていきます。そのため禁煙外来を、健康保険を利用して受ける場合、12週間で1万3,000〜2万円かかると考えましょう。
一方で、禁煙治療を受けずに、1日1箱(440円とする)のペースで喫煙を続けた場合を考えてみましょう。たばこ代は、12週間で約3万7,000円かかるという計算になります。加えて、禁煙に成功した人ではそれ以降のたばこ代は一切かかりませんが、禁煙にチャレンジしなかった人は、喫煙し続ければし続けるほどたばこによる出費が増え続けていきます。
禁煙治療を受けて2万円かかったとしても、それで禁煙が成功すれば、その時点で喫煙を続けるよりも約17,000円分得をしていると考えることが出来、さらにそれ以降のたばこによる出費が一切無くなるのです。
