シックデイになったら|糖尿病なら知っておきたい定義や対策を解説します

シックデイとは、糖尿病の人が風邪などの体調不良で、食事を摂ることが出来ない状態をいいます。シックデイのときは血糖値のコントロールが乱れるので、糖尿病の方は正しい対処法を知っておく事が重要です。ここでは、シックデイの時に気をつけるべきポイントや対策などを解説します。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01シックデイとは
  2. 02シックデイの対策
  3. 03シックデイは入院が必要な場合もある
  4. 04まとめ

シックデイとは

ここがポイント!

  • シックデイとは、糖尿病の人が「発熱」「下痢」「嘔吐」「食欲不振」などにより、食事が摂れない状態のことをいう
  • 「インスリン拮抗ホルモン」が増えることで、食事を摂っていなくても、高血糖になることがある
  • シックデイのときは、血糖コントロールが乱れやすい

シックデイとは、糖尿病の人が「発熱」「下痢」「嘔吐」「食欲不振」などにより、食事が摂れない状態のことをいいます。このような体調不良の時は、「カテコールアミン」や「コルチゾール」などの血糖値を上げる作用があるホルモンの分泌が増えます。これらを「インスリン拮抗ホルモン」といい、食事をしていなくても血糖値を上昇させてしまうのです。

そもそも糖尿病の人は、インスリンが出なくなったり、または出ずらい状態になっています。インスリンは、血糖値を下げる効果のある唯一のホルモンです。インスリンが出なくなったり、量が足りなかったりすると、食事などで血液中に増えたブドウ糖を処理することが出来ず、血糖値を下げることが出来なくなります。そのため、シックデイになると、普段は血糖コントロールが上手に出来ている人も、血糖値が乱れやすくなるため、血糖値の変化には十分に注意が必要なのです。
糖尿病のメカニズムについては、【糖尿病とは】糖尿病予備軍になる前に糖尿病について正しく理解しようをご参照ください。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
高血圧症発症チェック

シックデイの対策

ここがポイント!

  • 食事が摂れなくても、インスリン治療は自己中断してはいけない
  • 糖尿病の内服薬を使用している場合は、担当の医師に確認しましょう
  • 脱水に注意するために、出来るだけ水分を摂取しましょう
  • 絶食を避けるために、お粥、麺類、ジュース、アイスクリームなど、食べやすいものを少しでも食べるようにしましょう
  • シックデイの時は、血糖コントロールが乱れやすいので、こまめに血糖値を測定しましょう

シックデイになったときは、正しい対策をとることが重要になります。
ここでは、シックデイになってしまったときの対策を確認しておきましょう。

インスリン治療は自己中断しない

シックデイで食事が取れない場合でも、「何も食べていないから、血糖値は上がらないだろう」という判断をして、インスリン注射を自己中断してはいけません。特に、1型糖尿病の方は、インスリンの分泌がほとんどないため、インスリン注射を中断すると極度のインスリン不足から、「糖尿病ケトアシドーシス」という急性合併症を引き起こすことがあります。糖尿病ケトアシドーシスは、高血糖と高度の脱水症状に陥るため、至急医療機関で適切な治療を受ける必要があります。また、重症になると意識障害や昏睡状態にもなる、危険合併症なのです。
→糖尿病ケトアシドーシスについて詳しくは「糖尿病ケトアシドーシス記事」をご参照下さい。

内服薬治療を受けている人は、対応を事前に主治医に確認しておこう

インスリン分泌促進薬
「SU薬」「グリニド薬」といったインスリン分泌促進薬を使用している場合は、食事が摂取出来ないときは調整が必要になるので、事前に担当の医師に確認するようにしましょう。
ここ見出し:糖吸収・排泄調整系
・糖の吸収を遅らせる作用がある「αグルコシダーゼ阻害薬」を服用している場合、下痢や嘔吐といった消化器症状が強いときには中止されることがあり、こちらも担当の医師に確認するようにしましょう。
インスリン抵抗性改善薬
インスリン抵抗性を改善する「ビグアナイド薬」「チアゾリジン薬」や、尿からの糖の排泄を促す「SGLT2阻害薬」は、シックデイの間は中止することがあるため、使用している人は、事前にどう対応するのか医師と相談しておきましょう。

水分を十分に摂る

食事が取れない状態であっても、十分な水分をとって、脱水に注意する必要があります。高血糖で脱水が進むと、「糖尿病性ケトアシドーシス」となり、意識障害や昏睡に陥ることがあります。嘔吐や下痢などの消化器症状が強いときは、脱水状態になりやすいので、意識して水分を多く飲むことが必要です。

食事は出来るだけ摂取する

食欲がないときでも、なるべく食事を工夫して食べるようにしましょう。
口当たりがよく消化のよい食べ物(お粥、麺類、ジュース、アイスクリームなど)で糖分を摂取し、絶食のないようにします。

自己血糖測定をこまめに行う

シックデイの時は、血糖コントロールが上手く出来なくなります。糖尿病の治療をしている人は、急激な高血糖や低血糖に注意が必要になります。3~4時間に1回程度を目安に、こまめに血糖値を測定して観察しましょう。

かかりつけの医師に連絡しよう

いつシックデイになるかはわかりません。シックデイのとき、どう対応するか事前に担当の医師と相談をしておくことが大切です。特に食事が摂れないほど体調不良を起こしている時は、医師と連絡をとり指示を受けるようにしましょう。

シックデイの対策

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016

シックデイは入院が必要な場合もある

ここがポイント!

  • 嘔吐や下痢が止まらず食事が全くできないときや、血糖値が「350mg/dL以上」のときは、入院による治療が必要なことがある

「ただの風邪だから」「すぐ治るだろう」などと思って、医療機関を受診しないでいると、命に関わる重症な状態になる場合があります。シックデイは、重症になると、入院が必要になることもあるのです。嘔吐や下痢が止まらず食事が全くできないときや、血糖値が「350mg/dL以上」で、血糖コントロールがしっかり出来ないときなどには、入院治療が必要となる場合があります。高熱があるときや、嘔吐や下痢などがひどく食事が摂れないといった体調不良の時は、医療機関を受診して医師の診察を受けるようにしましょう。

医療機関の受診が推奨される場合

具体的にはどの程度で医療機関を受診したらいいのでしょうか。
糖尿病の診療ガイドラインでは、以下の場合には、速やかに医療機関を受診することを推奨しています。

1)発熱、嘔吐や下痢といった消化器症状が強いとき
2)24時間にわたって食事が摂れていない又は、食事の量が著しく少ないとき
3)血糖値が「350mg/dL以上」のとき、尿中ケトン体高値のとき
4)意識障害が悪化してきているとき

糖尿病の状態や治療方法、年齢などによっても、対処は変わってきます。シックデイになったとき自分の場合はどうしたらいいか、悩むこともあるでしょう。シックデイになってしまったときにどうするべきかは、事前に主治医と話し合っておくといいでしょう。

シックデイで医療機関の受診が必要なとき

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
高血圧症発症チェック

まとめ

健康な人なら、発熱などで体調不良の時でも安静にすることで回復することがあります。しかし糖尿病の人は、体調不良の時は、血糖コントロールが上手く出来なくなるので、十分に注意することが必要です。シックデイの時は、早い段階で医師と連絡をとり、医療機関を受診するようにしましょう。また、シックデイになったときにどのように対応すべきか、事前に、具体的に主治医と話し合っておくといいでしょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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