【糖尿病の検査を知ろう】病院で行われる検査方法から自宅で出来る検査キットまでを紹介

糖尿病の検査では、主に血液中のブドウ糖の濃度である「血糖値」を調べます。糖尿病は、インスリンという血糖値を下げるホルモンの分泌や効果が低下することにより、血糖値が高い状態が続いてしまう病気なので、血糖値が診断の重要な指標となります。
糖尿病は自覚症状がほとんどないため、気づかない間に発症してたり、重症化している場合がある危険な病気です。また、一度発症すると血糖値を下げる治療を続けなくてはなりません。そのため、定期的に検査を受けて、糖尿病を発症する前もしくは早期に、自分の体の状態に気付く事が重要なのです。ここでは、糖尿病の検査について、糖尿病の診断に必要な検査項目、検査方法、血糖の正常値などを詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病の診断に必要な検査項目と方法とは
  2. 02尿検査でも糖尿病の可能性がわかる
  3. 03糖尿病の検査に掛かる費用
  4. 04自宅で出来る糖尿病の検査キットが販売されている
  5. 05まとめ

糖尿病の診断に必要な検査項目と方法とは

ここがポイント!

  • 糖尿病は、採血検査による「血糖」と「HbA1c」の値から診断される
  • 血糖の検査は、「空腹時血糖値」「随時血糖値」「経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」がある
  • 一般的な健康診断では、空腹時血糖値とHbA1cを調べており、両方とも基準値を超えていると「糖尿病」と診断される
  • 空腹時血糖値とHbA1cどちらか一方が超えている場合は、再検査が実施される

糖尿病は、血糖値を下げるホルモンの分泌が減少したり、効果が弱まったりして、血糖値が高い状態が続く病気なので、診断では血液中のブドウ糖の濃度を調べます。ここでは、糖尿病の診断に必要な検査項目について詳しく解説していきます。

血糖値は採血検査で調べられる

糖尿病の診断では、「血糖値」という血液中のブドウ糖の濃度が重要な指標となります。採血検査で調べられる「血糖値」には、「空腹時血糖値」「経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)」「随時血糖値」「HbA1c」の4つの種類がありますが、一般的な健康診断では、空腹時血糖値とHbA1cの検査が行われます。ここでは、それぞれがどのような状態の血糖値を示しているのか、説明していきます。

糖尿病の診断に必要な採決検査の項目

空腹時血糖値

空腹時血糖値は、検査当日の朝食を抜いて「空腹」の状態で採血した場合を言います。血糖値は、食事によって上昇し、その量や内容の影響も受けてしまうため、健康診断では主に「空腹時血糖値」の検査が行われています。ちなみに、空腹時血糖値の正常値は100mg/dL以下が目安とされています。

随時血糖値

随時血糖値とは、食後からの時間を特に決めずに、採血し測定した場合の血糖値をいいます。200mg/dl以上で、糖尿病の可能性があると判断されます。

経口ブドウ糖負荷試験

経口ブドウ糖負荷試験は、OGTT検査とも呼ばれ、一般的な健康診断などでは行われない検査方法です。検査の際に「ブドウ糖」を摂取して、食後の血糖値の上昇と、どのくらいで正常値まで下がるかを調べます。この検査では、普段の血糖値は正常だが、食後のみ血糖値が上がるタイプの「隠れ糖尿病」を発見する事も出来ます。

<経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)検査の流れ>
1)前日の夕食後から、10時間以上の絶食が必要
2)次の日の朝(午前9時頃が推奨される)に、空腹時の状態で採血をする
3)ブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖液飲む
4)ブドウ糖を飲んだ直後、30分後、1時間後、2時間後と採血をしていく

検査終了までの合間は、禁煙や運動を控える必要があります。
糖尿病のガイドラインでは、75gブドウ糖負荷試験2時間値が「140mg/dL以下」が正常値と記載されています。

経口ブドウ糖負荷試験が推奨される人とは

経口ブドウ糖負荷試験は、通常の採血検査では調べない検査方法と解説してきましたが、ではどんな人が経口ブドウ糖負荷試験をしたほうがいいのでしょうか。
日本糖尿病学会のガイドラインでは、「空腹時血糖値110~125mg/dL」「HbA1cの値が6.0~6.4」の場合は、糖尿病の疑いが強いため経口ブドウ糖負荷試験が強く推奨され、「空腹時血糖値100~109mg/dL」「HbA1c5.6~5.9」の場合も、家族に糖尿病の人がいたり、自身が肥満体形である場合などは、糖尿病になるリスクが高いため経口ブドウ糖負荷試験を行うことが望ましいと記載されています。

<OGTT検査が推奨される人>

強く推奨される場合 行うことが望ましい場合
空腹時血糖値 110~125mg/dL 100~109mg/dL
HbA1c 6.0~6.4 5.6~5.9
その他の要因 随時血糖値が110~125mg/dL 家族に糖尿病がいる、肥満体形

HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)

HbA1cとは、赤血球の中で全身に酸素を運ぶ役目の「ヘモグロビン」というたんぱく質と、血液中の糖(グルコース)が結合したものです。HbA1cは、血糖の「1~2ヶ月の平均値」を調べることが出来ます。血糖の検査は、採血をした時点の血糖値を調べる検査なので、検査の前の食事、運動、ストレス、睡眠不足、体調不良などの影響で血糖値に変動が起こる可能性があります。そのため、血糖の平均が調べられるHbA1cの値も、糖尿病の診断で重要になります。糖尿病のガイドラインでは、HbA1cの正常値は「4.6~6.2%」と記載されており、6.5%以上で糖尿病の可能性があると判断されます。

糖尿病の診断基準とは

糖尿病の検査は結果によって、「糖尿病」「糖尿病型」「境界型」「正常型」に分類されます。ここでは簡単に、糖尿病の判定基準を解説します。

下記の①〜④のいずれかが確認された場合には「糖尿病型」と診断されます。糖尿病型と診断されると糖尿病である可能性が高いため、後日再検査が実施されます。また、①〜③のいずれかと④の両方が確認された場合には、検査当日に「糖尿病」と診断されます。

①早朝空腹時血糖値:126mg/dL以上
②75gOGTT2時間値:200mg/dL以上
③随時血糖値:200mg/dL以上
④HbA1C:6.5%以上

一方で、下記の⑤および⑥の血糖値が確認された場合には、「正常型」と判定されます。
⑤早朝空腹時血糖値:110mg/dL未満
⑥75gOGTT2時間値:140mg/dL未満

また、「糖尿病型」「正常型」のどちらにも当てはまらない場合は、「境界型」と判定されます。境界型の方は、糖尿病に移行するリスクが非常に高い状態であると言えます。糖尿病は、一度発症すると血糖値を下げる治療を受け続けなくてはならない病気です。境界型と判定された場合には、すぐに生活習慣を見直して、食事に気をつけたり、運動をしたりと、糖尿病の予防に努めていきましょう。

血糖値について詳しくは【血糖値の正常な数値とは】血糖値測定方法から、「血糖値が高い・低い」とどうなるのかまで徹底解説をご参照ください。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
高血圧症発症チェック

尿検査でも糖尿病の可能性がわかる

ここがポイント!

  • 糖尿病を発症すると、上がりすぎた血糖値を下げるために尿中に糖分が排出される
  • 尿検査で「糖」が検出された場合には、糖尿病の可能性が考えられる
  • 「境界型糖尿病」や「初期の2型糖尿病」では尿糖が出ない場合もある
  • そのため、尿検査では糖尿病の確定診断はできず、必ず採血検査で調べる必要がある

一般的な健康診断では、「尿検査」が行われる場合が多いです。尿検査は、主に尿の中に「蛋白(タンパク)」「潜血」「糖分」などが混じっていないか調べる事で、病気の早期発見を目的として実施されています。

糖尿病では尿中に糖分が排出される

血糖値が高くなると、腎臓が尿と一緒に過剰な糖を排出します。そのため、尿検査で糖分が検出された場合には、糖尿病を発症している可能性があると考えられます。ただし、尿検査だけでは糖尿病を診断する事はできません。糖尿病の診断では、前の章で説明したように、「採血検査」によって血糖値やHbA1cを調べる必要があります。
また、尿糖は糖尿病以外にも腎機能障害や甲状腺機能異常などでも検出される場合があります。健康診断で異常があった場合には、必ず再検査を受けるようにしましょう。

尿に糖が出るメカニズム

糖尿病を発症していても尿糖が検出されないケースもある

糖尿病予備軍である「境界型糖尿病」や、初期の「2型糖尿病」では、尿糖が出ない場合もあります。尿検査で、糖が出ていなかったからといって、必ずしも安心できません。一方で、「腎性糖尿」という腎臓の尿細管細胞に何らかの異常がある場合は、血糖値が正常レベルにもかかわらず尿糖が排泄されることがあります。
そのため、糖尿病の診断の際には「尿糖」検査は適用されません。あくまでも、糖尿病の可能性を調べるための検査ですので、糖尿病かどうか正確な診断を行うためには、採血検査を受ける必要があります。

参考

[日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017]
一般社団法人 日本腎臓学会

糖尿病の検査に掛かる費用

ここがポイント!

  • 糖尿病の疑いや自覚症状がある場合、検査費用は「医療保険」が適用になるので経済的負担は少ない
  • 糖尿病は生活習慣病の一つであり、他の病気が隠れていないか、糖尿病の診断に必要な血液検査以外に、エコーやレントゲンなど複数の検査が行われる場合もある
  • 糖尿病の自覚症状がない場合、検査費用は全て自己負担となり、医療機関ごとに検査の項目と料金設定が異なるので事前に調べておく

健康診断で糖尿病の疑いと診断され、病院で「再検査」を受ける場合や、病気の自覚症状があり医師の診断により検査を受ける場合は、「医療保険」が適応になります。糖尿病の診断は、採血検査で行われますので、検査費用が掛かります。採血検査は、検査項目の数によって料金は変わります。また、糖尿病は「生活習慣病」の一つなので、診断をする際には、他にも病気が隠れていないか、エコー検査やレントゲン検査など、複数の検査を実施する場合もあります。検査項目が多いほど、費用は高くなりますが、医療保険が適用になるので、自費で行われる人間ドッグに比べると、経済的負担は少ないです。
糖尿病は、進行すると命に関わる合併症を発症する病気なので、疑いがある場合には早期に検査を受けるようにしましょう。

医療保険が適用になる糖尿病検査

糖尿病の自覚症状がない状態で、糖尿病の検査を受けたい場合の検査費用は全て「自費」となります。自費の場合、医療機関や健診センターごとに自由に価格を設定する事ができますので、施設によって価格が異なります。また、調べる項目も変わってきますので、必ず事前に検査項目と価格設定を確認する事をおすすめします。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
高血圧症発症チェック

自宅で出来る糖尿病の検査キットが販売されている

ここがポイント!

  • 「糖尿病の検査キット」を使うと、自宅に居ながら糖尿病の検査ができる
  • キットにある針を使い、指先から少量血液を採取して、あとは検査機関へ郵送するだけで後日結果を知ることが出来る
  • 簡易検査キットは、簡単に調べる検査であり、定期的な健康診断はしっかり受けよう

簡易検査キットでは糖尿病の可能性が調べられる

糖尿病の可能性を自分で調べる事が出来る簡易検査キットが、インターネットなどで販売されています。簡易検査キットには、針や消毒用のアルコール綿や絆創膏などの検査に必要な道具が全て入っています。一般的な簡易検査キットでは、自分で指先に検査用の針を刺し、小豆程度の少量の血液を採取する必要があります。採取した検体を検査機関に郵送すると、2週間程度で検査結果が届きます。病院にいく時間がない方や医療機関を受診することに抵抗がある方は、一度使用してみてはいかがでしょうか。しかし、あくまでも簡易検査キットのみで診断をする事はできません。簡易検査キットは、医師による診断は行われていません。簡易検査行なっていても、定期的な健康診断を受けることが推奨されています。糖尿病の疑いがある方、糖尿病の自覚症状が現れている方、正確な診断を受けたい方は、医療機関を受診して医師の診察を受けることをお勧めします。

定期的な健康診断を受けよう

簡易検査の病気の予防や早期発見を目的としている

自宅で出来る簡易検査キットでは、医師の診断が受けられる訳ではありません。そのため、そのような誤解を招かないように、厚生労働省は平成26年4月に「検体測定室に関するガイドライン」を定め、簡易検査を実施する機関に、「適切な衛生管理や検査機器の制度管理のあり方、厚生労働省への届出や利用者への受診の推奨」などを示し、簡易検査が安全に行割れるよう基準を整備しました。このように、厚生労働省から組み合わせ医療機器として承認されている商品もあるので、購入を検討されている際はそちらを確認してみてはいかがでしょうか。糖尿病の検査項目である「HbA1c」や「血糖」だけでなく、栄養状態・肝機能・脂質・腎機能・痛風なども幅広くチェック出来る検査キットもあります。

参考

検体測定室に関するガイドラインについて |厚生労働省
検体測定室等について|厚生労働省

まとめ

糖尿病は、ほとんど自覚症状が無いため、気づかないうちに病気が進行してしまっていることもあります。重度の糖尿病になって合併症を起こしてしまってから、やっと病気であると気付くのでは遅いのです。糖尿病は一度発症すると、血糖値を下げる治療を続けていかなくてはなりません。「糖尿病予備軍」の段階なら、生活習慣の改善によって血糖値を正常値まで戻すことが出来ます。自分の体の状態を知るためにも、少なくとも年に1度は、健康診断を受けるようにしましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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