境界型糖尿病とは|食事や運動など生活習慣を改善して糖尿病の発症を防ごう

境界型糖尿病は、糖尿病と診断される前の段階のことです。境界型糖尿病の段階で、十分に生活習慣を改善する事ができれば、血糖値が下がり、糖尿病の発症を防ぐ事も出来ます。ここでは境界型糖尿病について、診断の基準値や血糖値を下げるための食事や運動で気をつけるポイントなどを解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01境界型糖尿病とは
  2. 02境界型糖尿病の診断基準とは
  3. 03境界型糖尿病の方はすぐに生活改善をしよう
  4. 04まとめ

境界型糖尿病とは

ここがポイント!

  • 境界型糖尿病は、正常型と糖尿病型の間の段階をいい、糖尿病予備軍とも呼ばれている
  • 高血糖状態が続くと、血管が次第にダメージを受け、動脈硬化を進行させる
  • 境界型糖尿病は、正常型よりも血糖値が高い状態であり、境界型の段階から動脈硬化は進行する

境界型糖尿病は糖尿病予備軍である

2型糖尿病は、過食や運動不足、肥満などの生活習慣が要因となり、徐々に血糖値が高くなり糖尿病を発症します。糖尿病を発症する過程で、正常型と糖尿病型の中間に位置しているのが「境界型」です。境界型糖尿病の血糖値は、正常値よりは高い数値です。今はまだ糖尿病を発症していない状態ですが、このままの生活を続けていると糖尿病になる可能性が高いのです。

糖尿病予備軍でも命に関わる病気のリスクは高い

厚生労働省による平成28年「国民健康・栄養調査」では、糖尿病と診断されていない糖尿病予備群が、日本国内に推計約1000万人いると報告されています。
「まだ、糖尿病ではないから大丈夫」と安心して良いわけではありません。境界型糖尿病は、糖尿病の発症リスクが健康な人よりも高いだけではありません。「動脈硬化」も、糖尿病予備群の段階から進行を始めているのです。

糖尿病予備軍

動脈硬化が引き起こす命に関わる病気

動脈硬化とは、血管の壁にプラークと呼ばれる脂肪が沈着して厚くなっていく状態です。
高血糖の人はプラークが出来やすく、やがて全身の血管がボロボロになってきます。動脈硬化は進行すると、「狭心症」「心筋梗塞」「脳梗塞」「閉塞性動脈硬化症」などといった、動脈硬化性疾患を引き起こしてしまうリスクを上げてしまいます。動脈硬化は時間をかけゆっくりと進行していくため、発症や進行の予防を十分に行うことが重要なのです。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016
高血圧症発症チェック

境界型糖尿病の診断基準とは

ここがポイント!

  • 境界型糖尿病は、正常域にも糖尿病域にも属さない血糖値を示す
  • 空腹時血糖値が「100~109mg/dL」の人も経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をすると境界型糖尿病がみつかることがあるため、「正常高値」と分類され「正常値」とは区別されている

境界型糖尿病は、糖尿病の検査結果が「正常型」と「糖尿病型」の間にある場合をいいます。ここでは、糖尿病の診断に用いられる「空腹時血糖値」と「経口ブドウ糖不可試験(OGTT)」が、どのくらいの値で診断されるのか解説していきます。

空腹時血糖値

空腹時血糖値とはその名前の通り、空腹の状態で採血をして測る検査です。
検査の当日の朝食を禁止し、水分摂取も水やお茶など、糖分が含まれていないものに限られます。この検査は、一般的な健康診断に含まれている採血項目です。

日本糖尿病学会の診療ガイドライン2016では、空腹時血糖値が「110~126mg/dL」の値の人を境界型糖尿病と分類しています。ただし、「100~109mg/dL」の人も経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をすると境界型糖尿病がみつかることがあるため、「正常高値」と分類され「正常値」とは区別されています。
空腹時血糖値が「境界型糖尿病」や「正常高値」に分類された場合には、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が行われる場合もあります。

<空腹時血糖値による境界型糖尿病の目安>
分類 空腹時血糖値
糖尿病 126mg/dL以上
境界型糖尿病 110~126mg/dL
正常高値 100~109mg/dL
正常値 100mg/dL以下

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)とは

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、一般的な健康診断などでは行われない検査方法です。この検査は、前日の夕食後から10時間以上の絶食をして、空腹の状態で採血をします。その後、ブドウ糖を水に溶かしたものを摂取し、一定時間を空けながら数回採血を行い、食後の血糖値の上昇とその後血糖値が正常値まで下がるかを調べます。この検査では、普段の血糖値は正常だが、食後のみ血糖値が上がるタイプの「隠れ糖尿病」を発見する事も出来ます。

<経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)検査の流れ>
1)前日の夕食後から、10時間以上の絶食が必要
2)次の日の朝(午前9時頃が推奨される)に、空腹時の状態で採血をする
3)ブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖液飲む
4)ブドウ糖を飲んだ直後、30分後、1時間後、2時間後と採血をしていく

糖尿病診療ガイドライン2016では、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が「140~200mg/dL」である場合に、「境界型糖尿病」と診断されると定義しています。経口ブドウ糖負荷試験は、医師が必要であると判断した場合にのみ実施されます。そのため、食後高血糖気になる方は、「内科」や「糖尿病内科」を受診して一度相談してみてはいかがでしょうか。

<経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による境界型糖尿病の目安>
分類 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値
糖尿病 200mg/dL以上
境界型糖尿病 140~200mg/dL
正常値 140mg/dL未満

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)をした方がいい人

経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)は、通常の健康診断では実施されない検査です。糖尿病の診断において、必要な場合にのみ医師の判断で実施されます。
糖尿病診療ガイドライン2016では、「空腹時血糖値110~125mg/dL」「HbA1cの値が6.0~6.4」の場合は、OGTT検査が強く推奨され、「空腹時血糖値100~109mg/dL」「HbA1c5.6~5.9」の場合も、家族に糖尿病の人がいたり、自身が肥満体形である場合などは、OGTT検査を行うことが推奨されています。

<経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)が推奨される場合>
強く推奨される場合 行うことが望ましい場合
空腹時血糖値 110~125mg/dL 100~109mg/dL
HbA1c 6.0~6.4 5.6~5.9
その他の要因 随時血糖値が110~125mg/dL 家族に糖尿病がいる、肥満体形

参考

糖尿病診療ガイドライン2016

境界型糖尿病の方はすぐに生活改善をしよう

ここがポイント!

  • 境界型糖尿病は、糖尿病の発症リスクが高い状態
  • 境界型糖尿病のうちに生活習慣を改善すれば、糖尿病の発症を防ぐ事ができる

生活習慣の改善で血糖値を改善する事が出来る

「糖尿病になったわけじゃないから、今は何も気にすることない」と過食や運動不足といった不摂生を続けていると、糖尿病は徐々に進行していきます。
糖尿病は自覚症状がほとんど無く、発症すると完治することは難しくなります。ですが、境界型糖尿病の場合は、生活習慣を十分に気をつけることで、血糖値を下げることが出来るのです。

境界型糖尿病:生活習慣改善法

血糖値改善方法①:食事

糖尿病にならないためには、毎日の食事を十分に気をつけることが重要になります。
食べ過ぎは血糖値の上昇に繋がるとわかっていても、実際どのくらいが自分の適正な食事量なのか把握できていない人も多いのではないでしょうか。
食べ過ぎを予防するためには、まずは自分の「適正体重」と「身体活動量」を知る事が必要です。

<適正体重>
適正体重は「22×身長(m)の2乗」で求められます。
例えば、170cmの標準体重は、1.7m×1.7m×22=63.58kgとなります。

<身体活動量>
身体活動量は、仕事の内容で1日どのくらいのカロリーを消費出来るかは変わります。
軽労作(デスクワークが多い職業など) 25〜30kcal/kg
普通の労作(立ち仕事が多い職業など) 30〜35kcal/kg
重い労作(力仕事が多い職業など) 35〜 kcal/kg

<適切な摂取カロリー>
適切な摂取カロリーは、「適正体重×身体活動量」で求められます
170cmでデスクワークの人の場合だと、30kcal×63.58kg=1907kca/1日となります。

糖尿病の食事については、糖尿病予防の食事とは|食事の注意点やおすすめレシピまでご紹介をご参照ください。

血糖値改善方法②:運動

運動をすると上昇した血糖値を下げることが出来、糖尿病の人は「運動療法」を治療に取り入れます。糖尿病の予防にも運動は効果的で、「有酸素運動」と「レジスタンス運動」を習慣的に行うことが厚生労働省のe-ヘルスネットでも推奨されています。

〈有酸素運動〉
「ウォーキング」「ジョギング」「サイクリング」「水泳」などの有酸素運動を、出来れば毎日、少なくとも週に3~5回行うことを目標にしましょう。1日20~60分、「ややきつい」と感じる程度で行うと高血糖に効果的とされています。

〈レジスタンス運動〉
有酸素運動に加えて、筋肉を鍛える「レジスタンス運動」を行うと、より血糖値の改善に効果があります。「腹筋」「スクワット」「腕立て伏せ」「ダンベル体操」などの運動を、週に2~3回有酸素運動と合わせて行うといいでしょう。
運動のポイントについて詳しくは【糖尿病予防の運動方法とは】今日からできる運動のポイントをご参照ください。

その他の目標値

血糖値以外にも、体重やコレステロールなど管理も重要になります。ここでは「糖尿病の治療ガイドライン2016-2017」に記載されている一般的な目標値をご紹介します。

HbA1c 6.0未満
標準体重の維持 BMI22前後(BMIとは肥満度を現す数値で[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出する)
血圧 130/80mmHg未満(家庭血圧で125/75mmHg未満)
LDLコレステロール 120mg/dL未満(冠動脈疾患があるときは100mg/dL未満)
HDlコレステロール 40mg/dL以上
中性脂肪(早朝空腹時) 150mg/dL未満
non-HDLコレステロール 150mg/dL未満(冠動脈疾患があるときは130mg/dL未満)

参考

糖尿病診療ガイドライン2016
国立循環器病研究センター|循環器病情報サービス
平成28年「国民健康・栄養調査」の結果|厚生労働省
糖尿病の食事|厚生労働省
糖尿病を改善するための運動|e-ヘルスネット
レジスタンス運動|e-ヘルスネット
高血圧症発症チェック

まとめ

糖尿病(2型)は慢性的な高血糖の結果、発症すると考えられています。境界型糖尿病は、正常型と糖尿病型の中間をいい、「糖尿病予備軍」とも呼ばれています。境界型糖尿病の段階で、生活習慣の改善を十分に行えば血糖値を下げ、糖尿病の発症を防止する事が可能です。糖尿病は一度発症すると、血糖値を下げる治療を続けなくてはなりません。生活の質を大きく落とす糖尿病特有の合併症リスクも高まります。健康な生活を続けるためには、糖尿病を発症する前の『予防』が最も重要なのです。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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