糖尿病の教育入院について|目的・治療内容・入院費用などを解説します

糖尿病の教育入院は、糖尿病について正しい知識を学び、自己管理に取り組んでいくことで、高血糖の改善と合併症の発症や進行の予防を目的に行われています。糖尿病は進行していくと、「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」といった合併症を起こすリスクが高くなっていきます。
ここでは、糖尿病の教育入院の、目的・治療内容・費用などについて解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病の教育入院の目的
  2. 02糖尿病の教育入院の内容
  3. 03糖尿病の教育入院でかかる費用
  4. 04まとめ

糖尿病の教育入院の目的

ここがポイント!

  • 糖尿病と診断されたら、まずは病気のことを十分に理解することが大切
  • 日々の通院ではカバーしきれないことも、教育入院でなら時間をとって十分に理解を深めることが出来る
  • 「糖尿病を発症した人」「自己管理が上手くできていない人」「健康診断で高血糖を指摘された人」などが教育入院の対象になる

ここでは、糖尿病の教育入院の目的や、対象となる人について解説していきます。

糖尿病は自己管理が重要

糖尿病と診断されたら、血糖値を下げる治療が開始されます。しかし、計画的に治療を進めていくために、まずは糖尿病という病気のことを十分に理解することが重要になってきます。

「わざわざ入院して指導を受けなくても」と思う方もいるかもしれませんが、糖尿病は一度発症すると、完治することが難しく、長期にわたり血糖コントロールを続ける必要があります。糖尿病について正しい知識をつけることは、今後病気と付き合っていく上でとても大切なことなのです。

日々の通院ではカバーしきれない、糖尿病の詳しい知識や投薬の管理、生活の中で注意することなども、教育入院でなら時間をとって、医師だけではなく様々な専門家から話を聞くことができ、十分に理解を深めることが出来ます

教育入院の対象となる人

教育入院は「糖尿病を発症した人」が、糖尿病の治療について指導を受けるだけのものではありません。「なかなか血糖値が下がらず、自分自身での血糖コントロールが難しい人」や、「糖尿病についてもっと勉強したい人」「健康診断で高血糖を指摘された人」なども参加することが出来ます。

糖尿病教育入院の対象となる人

教育入院では、医師や看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師などのスタッフから、自分に合った適切なアドバイスを受けることが出来るので、今後の自己管理のモチベーションが上がることも期待できます。

「食事も気をつけていて、運動も行っているのに、なかなか血糖コントロールが上手くいかない」といった悩みを抱えている人も多くいるのではないでしょうか。なかなか良い結果がみえてこないと、このやり方を続けていいのか不安になったり、自己管理のやる気自体が無くなってしまうこともあります。教育入院に興味がある人、自分もやってみたほうがいいと感じた方は、まずは担当医に相談してみましょう。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
高血圧症発症チェック

糖尿病の教育入院の内容

ここがポイント!

  • 退院後も続けていける「食事」や「運動」の方法を管理栄養士や理学療法士から指導を受ける
  • 糖尿病の治療のための「内服薬」の管理や「インスリン治療」の方法の指導を受ける
  • インスリン治療をする人は「自己血糖測定(SMBG)」が必要になり、測定器の使い方の指導を受ける
  • 「糖尿病特有の合併症」の危険性を理解し、発症や進行予防を行う

糖尿病の教育入院は、医師だけでなく、看護師、管理栄養士、理学療法士、薬剤師などのスタッフがサポートをしていきます。今後も継続していけるような、糖尿病の治療をしていく上で必要な様々な指導を受けます。

食事療法

糖尿病の人は、十分に食事の管理をしていく必要があります。
「適正体重」「適正エネルギー量」に合わせて、過食にならないように食事量を計算します。入院中は医師の指示で摂取カロリーが決まります。入院中の食事について、「少ないな」という印象を受ける人もいるかもしれません。しかし、過食は糖尿病や肥満の悪化につながるため、この入院食を今後の摂取カロリーや食べる量の目安として、食生活に役立てていきましょう

「栄養バランスの良い食事」を摂るために、教育入院中は「管理栄養士」と一緒に自分で続けていける食事のメニューを考えます。バランスの良い食事をするためには自炊がおすすめされますが、調理が困難な人は、「糖尿病の人向けの宅配食」という選択もあります。

運動療法

運動は血糖値を下げるために有効な手段です。しかし、一概にどの運動量を決めることが出来ません。それは、「高齢の方」は激しい運動は出来ないことや、「糖尿病性神経障害」を発症している人は足に痛みがある場合などがあり、運動が逆効果となってしまう人もいるからです。

糖尿病の運動療法、血糖値を下げる効果が証明された治療の一つです。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳などの「有酸素運動」や腹筋、スクワット、腕立て伏せ、ダンベル体操などの「レジスタンス運動」が糖尿病の運動療法で推奨されています。
医師からの適切な指示を受けてから、一人一人に合わせた無理のない運動を「理学療法士」などから指導を受けることもあります。

内服薬、インスリン治療

糖尿病の治療薬は、様々な種類の薬があり、糖尿病の状態によって医師が薬を選択します。薬によって飲むタイミングや、効果が現れる時間などが違ってきます。
1型糖尿病の人や、2型糖尿病で「インスリン」が枯渇している人は、インスリンを自分で注射する治療が必要になります。始めてインスリン注射をする人は、看護師からインスリンの単位の理解と、正しい打ち方の指導を受けます。

初めてインスリン注射をする人は、「自分で注射なんてできるのかな」と不安に思うことがあるでしょう。正しいて手順やコツなどを看護師と何回も練習することで、退院後も安心して自分自身でインスリン治療を続けていくことが出来るようになります。

自己血糖測定(SMBG)

糖尿病の人は血糖値を下げるための治療をしますが、インスリンが効きすぎてしまうと、「低血糖」を起こしてしまいます。低血糖を起こすと最悪の場合意識障害を起こし、倒れてしまうこともあるため十分に注意が必要になります。

血糖コントロールを上手に行うためには、こまめな血糖測定が必要になります。血糖測定は専用の「自己血糖測定セット」を使用すれば、医療機関にわざわざ行かなくても自分自身で測定することが出来ます。

血糖値は自分自身で手軽に測定できますが、間違った方法で行うと、正しい数値が測れないこともあります。そのため教育入院では、血糖測定器を正しく使えるようになるまで練習を行います。

糖尿病性合併症を起こさないために

糖尿病は進行すると、合併症を引き起こすリスクが高くなり、合併症は重症化すると命の危険もある怖い病気です。
「糖尿病性神経障害」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」は、糖尿病の三大合併症と呼ばれています。この他にも、高血糖は「動脈硬化」を進行させるため、「脳梗塞」「心筋梗塞」といった血管障害のリスクも上がります。
合併症について理解し、発症を予防し進行を防ぐためには血糖コントロールが重要になります。糖尿病の教育入院では、合併症を起こしていないか検査をし、発症予防のための十分な指導が行われます。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
日本糖尿病学会|糖尿病治療ガイド2016~2017
順天堂大学医学部付属 順天堂医院
埼玉大学 内分泌・糖尿病内科
国立循環器研究センター病院
愛知医科大学病院

糖尿病の教育入院でかかる費用

ここがポイント!

  • 教育入院は医療保険が適用になるが、教育入院の費用は医療機関によって決められる
  • 医療機関ごとの日数やプログラムによって、料金は大きく変わるため、おおよその費用は医療機関に問い合わせをしよう

教育入院は医療保険が適用になる

教育入院の費用は、医療機関によって異なります。また、教育入院に決められた日数などは無く、医療機関によって数日~数週間と入院日数には差があります。いくつかの医療機関のホームページを見てみると、「2泊3日」「1週間」「2週間」のプログラムで行っている医療機関が多いようです。
日数やプログラムによって、料金は大きく変わりますが、3割負担の人で約4万円~15万円程度の費用が掛かります。医療機関に問い合わせると、教育入院に掛かるおおよその費用は確認することが出来るので、気になる人は電話などで問い合わせてみることをおすすめします。

教育入院は医療保険が適用になる

どうしても入院が出来ないという人は糖尿病教室へ

「教育入院」は糖尿病の人にとって、推奨されているプログラムですが、「仕事が連続で休めない」「子どもを預けられない」など、それぞれの事情で入院の予定を立てるのがどうしても難しいという人もいるでしょう。

「糖尿病教室」という言葉を見みかけたことはことはないでしょうか。
定期的に糖尿病専門のセミナーを開催している医療機関があります。糖尿病の知識を深めるきかっけになるだけでなく、同じ糖尿病の治療をしている患者さんたちと情報交換が出来たり、医師や看護師とも近い距離感で相談などが出来る貴重な機会になります。もし通院している医療機関で「糖尿病教室」などが行われていたら、参加してみるのもいいでしょう。

参考

日本糖尿病学会|診療ガイドライン2016
杏林大学医学部付属病院
北里大学北里研究所病院
高血圧症発症チェック

まとめ

糖尿病は一度発症すると、適切な血糖をコントロールし続ける必要がありますが、しっかりとした治療を行い、上手に血糖コントロールが出来れば健康な人と変わらない生活を送ることができます。
糖尿病の治療は長期にわたるため、治療に対して不安になったり投げやりになることもあるでしょう。一人で抱え込まないで、糖尿病の専門のチームと一緒に治療をしていくことで、病気のことをより深く理解し、モチベーションを維持することもできます。糖尿病の教育入院を行っている医療機関は多くあります。興味のある方は、主治医に相談してみましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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