【糖尿病でもお酒は飲めるのか】糖尿病とアルコールの関連性について解説します

糖尿病になったらまったくお酒が飲めなくなるというわけではありません。合併症が無く、血糖コントロールが上手に出来ている場合は、「適量」のお酒を飲むことに対しての制限がないことがほとんどです。
ここでは、糖尿病とお酒の付き合い方について、適量とはどの程度のことなのか、糖質が少ないお酒の種類、糖尿病の方が飲酒する場合に気をつけるべきポイントなどをわかりやすく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病でもお酒を飲んでいいのか
  2. 02糖質が低いお酒の種類とは
  3. 03糖尿病の方がお酒を飲む際の注意点
  4. 04適度な飲酒は糖尿病発症リスクを下げる
  5. 05まとめ

糖尿病でもお酒を飲んでいいのか

ここがポイント!

  • お酒の作用やアルコールの代謝に伴って血糖値に影響を与えるため、糖尿病では飲酒は控えることが推奨される
  • 糖尿病でも血糖コントロールが良好で合併症がない場合などでは適度の飲酒は出来る
  • 病気の程度などによっても適量は変わるため、飲酒量は主治医と相談する
  • 多量飲酒は肝臓や膵臓に障害を及ぼす原因となるため、推奨されない

飲酒量が適量であれば飲んでも良い

糖尿病になったからといって、お酒が全く飲めなくなるわけではありません。
血糖コントロールが上手に出来ていて、合併症がない場合は、お酒やつまみの量に注意した適度な飲酒であれば良いとされています。

糖尿病診療ガイドライン2016には、純アルコールにて「1日20~25gまで」の量が目安としています。20gとは具体的に、日本酒 1合,ビール中瓶 1本,焼酎半合弱,ウイスキー・ブランデーダブル1杯,ワイン グラス2杯弱程度です。
ただし、すべての人が20gが適量というわけではありません。重度の糖尿病の場合や、肝臓に疾患がある場合、合併症がある場合などでは禁酒となるため、どのくらいお酒を飲んでいいかは、具体的な量については主治医に確認するようにしましょう。

多量の飲酒は要注意

お酒を飲むことが許されているからといって、適量を守らず多量のアルコールを摂取することは危険です。多量飲酒は、肝臓や膵臓に障害を及ぼす原因となり、血糖コントロールをより困難なものにさせてしまいます。そのため、糖尿病の方の多量飲酒は避けるべきであると考えられています。糖尿病の進行防止のためにも、医師と相談しながら節度ある飲酒を心掛けましょう。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
厚生労働省e-ヘルスネット|アルコールと糖尿病
厚生労働省e-ヘルスネット|アルコールのカロリー
日本WHO協会 糖類摂取量に関する新ガイドライン
高血圧症発症チェック

糖質が低いお酒の種類とは

ここがポイント!

  • ビールや日本酒などの「醸造酒」は、麦や米などの穀物が原料となっているため、糖質が多い
  • ウイスキーや焼酎などの「蒸留酒」は、糖質はないがアルコール度数が高い
  • 梅酒やリキュール類などの「混成酒」は、果実や糖分を追加していているため糖質が多い

お酒売り場に行くと、多くの種類のお酒が売られています。お酒に含まれているアルコール自体には、糖質は含まれていません。しかし、お酒の種類によっては主原料が炭水化物であったり、果汁や砂糖が加えられているものも多いです。アルコール量は適量を守っていても、気づかないうちに糖質やカロリーを取りすぎて、糖尿病を悪化させてしまう危険性もあります。

ここでは、「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒(再成酒)」に分けて糖質の低いお酒について解説していきます。

醸造酒

醸造酒は、麦や米などの穀物が原料となっているため、「糖質」が多く含まれています。そのためカロリーも高いものが多く、糖尿病の人は飲み過ぎに注意が必要です。

<主な醸造酒>
・ビール
・日本酒
・ワイン
・紹興酒など

蒸留酒

蒸留酒は醸造酒を加熱して蒸発させ、その蒸気を冷やして「蒸留」するため、その過程で原料の糖質が抜けています。糖質は無いなのでとてもヘルシーに感じますが、アルコール度数は高く、カロリーがゼロというわけではないので、飲み過ぎには注意が必要です。

<主な蒸留酒>
・ウイスキー
・焼酎
・ブランデー
・ウォッカ
・テキーラ
・ラムなど

混成酒(再成酒)

混成酒とは、醸造酒や蒸留酒に果実や糖分を追加したものです。
そのため「糖質」が多く、カロリーが高いものが多く糖尿病の人は飲み過ぎに注意が必要です。

<主な混成酒(再成酒)>
・梅酒、果実酒
・リキュール類など

糖質が低いお酒とは

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016

糖尿病の方がお酒を飲む際の注意点

ここがポイント!

  • お酒を購入する際は「栄養成分表示」を確認して、糖質やエネルギー量が低いお酒を選ぶようにしよう
  • おつまみでカロリーを摂りすぎないように、豆腐、枝豆など糖質や脂質やが少ないものを選ぼう
  • 「スルホニル尿素薬(SU薬)」や「インスリン注射」による糖尿病の治療をしている人は、低血糖を起こしやすい
  • ビグアナイト薬は飲酒により「乳酸アシドーシス」を起こし、意識障害の危険があるため禁酒が必要
  • 寝酒は睡眠の質が悪くなり、糖尿病の悪化や冠動脈疾患といった病気を発症するリスクが増える

糖尿病になっても、適量を守ればお酒を楽しむことは出来ます。
ここでは、糖尿病の方やお酒を飲む際に注意したいポイントを解説します。

糖質やカロリー(熱量)が低いお酒を選ぶ

前の章で解説したように、お酒は種類によって糖質量が異なります。お酒を購入する際は、裏側にある「栄養成分表示」を確認するようにしましょう。栄養成分表示の中で、糖質やカロリー(熱量)に注意をしてお酒を選ぶようにしましょう。
最近では、「糖質ゼロ」と宣伝されている商品が増えていますので、そちらを利用しても良いでしょう。
しかし、ゼロと宣伝されていても、全く糖質が入っていないわけではありません。
消費者庁の「食品表示法に基づく栄養成分表示のためのガイドライン」には、食品100g、飲料100mlあたり糖質が0.5g未満であれば糖質ゼロと表示できると記載されています。糖質ゼロだからといって、飲みすぎないように注意しましょう。

おつまみ選びにも気を使おう

お酒を飲むと食欲が増進しますので、おつまみを食べ過ぎてしまう場合もあります。唐揚げやポテトフライなどの油で調理されたおつまみや、ごはんや麺類やピザなどの炭水化物、スナック菓子などは控えましょう。
例えば、厚生労働省のe-ヘルスネットでは、低脂肪で高たんぱくな豆腐、枝豆、イワシ、鶏肉などがお酒のおつまみとして紹介されています。
糖尿病の人は食事の管理を充分に学ぶことが必要です。お酒のおつまみにどのようなものがいいのかについても主治医や管理栄養士によく相談するようにしましょう。

低血糖を起こす場合もある

糖尿病の治療中の人は、お酒を飲むと「低血糖」を引き起こす危険があります。特に「スルホニル尿素薬(SU薬)」「インスリン注射」による治療をしている人は、低血糖を起こしやすいので、お酒については事前に主治医と確認しておきましょう。

糖質やカロリーを気にして、食事を摂らないでお酒だけ飲むことも、低血糖を引き起こす要因となります。糖尿病治療中の人の低血糖は、重症ならば命に関わる、注意べき状態です。低血糖の時は、速やかにブドウ糖や砂糖の入ったジュースなどを摂取するようにしましょう。低血糖について詳しくは、低血糖とは|眠気が生じるメカニズムなどを解説しますをご参照ください。

ビグアナイト薬を使用している人は、過度なアルコール摂取は禁忌

ビグアナイト薬は、インスリンの効きを良くすることで血糖値を低下させる効果があります。ビグアナイト薬を使用している人は、飲酒により肝機能における乳酸の代謝が低下して「乳酸アシドーシス」を起こし、意識障害を起こす危険があるため、過度なアルコール摂取は禁忌とされています。
糖尿病で飲酒に注意しないといけない人

寝酒は睡眠の質を下げてしまう

寝る前にお酒を飲むと睡眠の質が悪くなることが分かっています。
良質な睡眠が摂れないでいると、生活リズムが乱れて生活習慣病が悪化するリスクが増えることがわかっています。糖尿病の悪化だけではなく、心筋梗塞や狭心症などの冠動脈疾患といった病気を発症リスクも増えるので、寝酒は控えるようにしましょう。

お酒と一緒に水も飲もう

お酒には利尿作用があり、尿の量と回数が増えます。水分を補給しないと脱水になってしまうため、お酒を飲むときは適度に水も飲むようにしましょう。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
厚生労働省e-ヘルスネット|アルコールと糖尿病
厚生労働省e-ヘルスネット|飲酒のガイドライン
消費者庁|栄養成分表示を活用しよう
厚生労働省|「栄養表示基準に基づく栄養成分表示」
高血圧症発症チェック

適度な飲酒は糖尿病発症リスクを下げる

ここがポイント!

  • 糖尿病の人は多くの場合「節酒」や「禁酒」が推奨されている
  • しかし、適度な飲酒は2型糖尿病の発症リスクを下げたという研究報告が複数ある
  • ただし、過度な飲酒は健康に悪影響を与えるため適量を守ることが必要

適度なお酒は、2型糖尿病の発症リスクを低下させることが複数の研究で報告されています。これらの報告は、糖尿病診療ガイドラインや厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」にも記載されています。
実際に、デンマークで成人男女7万6,484人を対象に飲酒量と2型糖尿病の発症について調べた研究では、お酒を全く飲まない人よりも、週にアルコールを男性では168g飲んでいる人の方が43%、女性では208gを飲んでいる人で58%、発症リスクが低下するという結果がでています。
このように、適度な飲酒が糖尿病の発症リスクを下げる可能性はありますが、あくまでも統計上であり、原因は明らかになっていません。
そのため、糖尿病診療ガイドラインでも、日本人は厚生労働省の定める1日20~25g程度までが適当であるとしています。

適度な飲酒は糖尿病の発症リスクを下げる

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
Holst C et al.Diabetologia. Alcohol drinking patterns and risk of diabetes: a cohort study of 70,551 men and women from the general Danish population.2017 Oct;60(10):1941-1950.

まとめ

糖尿病になったらお酒は止めなければいけないと思いますよね。しかし、糖尿病の人でも、適量であればお酒を飲むことも出来ます。お酒が好きな人は、無理をして禁酒をしてストレスを貯めるよりは、まずは主治医とお酒とどう付き合っていくか相談してみましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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