糖尿病に効果的なサプリはあるのか|配合成分から医学的に解説します

糖尿病に効果があるような宣伝がされているサプリメントが複数あります。しかし、サプリメントは、健康食品であり、医学的に認められている治療効果は乏しいです。また、糖尿病は「生活習慣病」の一つとされ、治療には食事や運動など生活習慣の改善が重要です。
また、血糖値を下げる薬も、病気の状態や合併症の有無などによって人それぞれ異なります。ここでは、糖尿病の人のサプリメントの摂取について、解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病に効果的なサプリメントはあるのか
  2. 02糖尿病の方におすすめのサプリ成分
  3. 03糖尿病の薬とサプリの併用には注意が必要
  4. 04まとめ

糖尿病に効果的なサプリメントはあるのか

ここがポイント!

  • 糖尿病の治療法は「生活習慣の改善」と「薬物療法」である
  • サプリメントは健康食品に分類され、医学的に証明された糖尿病への「治療効果」は乏しい
  • 「治療効果」が医学的に証明されているのは、医師から処方される「医療用医薬品」のみ

「血糖値に効果がある」と宣伝されているサプリメントがいくつか販売されています。これらを飲むことで糖尿病は改善するのでしょうか。ここでは、サプリメントの糖尿病への効果について解説します。

糖尿病は血糖値を下げることが治療

糖尿病は、血糖値を下げる「インスリン」というホルモンの分泌や効果に異常が現れ、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。高血糖状態が続くと、血管が次第にダメージを受けて、命に関わる合併症を引き起こすことがわかっています。そのため、糖尿病は、治療により血糖値を正常の範囲に保つことが重要です。

糖尿病の治療法は生活習慣の改善と薬物療法

糖尿病(2型糖尿病)は、生活習慣病の一つであり、発症には生活習慣の乱れが深く関与しています。そのため、糖尿病の治療は「生活習慣の改善」が重要です。軽度であれば、食事療法と運動療法で血糖コントロールをすることも可能です。飲酒や喫煙も、肥満や動脈硬化の悪化に繋がるため、控えることが必要になります。
これらの生活習慣の改善を十分に行っても、血糖値が下がらない場合や、重度の糖尿病の場合は、薬物療法の治療を開始し「内服薬」や「インスリン注射」の治療が行われます。

糖尿病の治療法

サプリメントに治療効果はない

『血糖値に効果的』などと宣伝されているサプリメントを見かけたことがあるでしょうか。サプリメントは、ドラッグストアやコンビニエンスストアやインターネットなどで、誰でも購入する事が出来ますが、サプリメントに医学的に証明された「治療効果」は極めて乏しいです。
サプリメントは、健康食品の一つに分類され、病気の治療を目的に使用される「医療用医薬品」とはまったく別物なのです。
血糖値を下げたり、尿から糖を排出する効果が医学的に証明されているのは「医療用医薬品」のみです。医療用医薬品は、厚生労働省より認可を受けており、医療機関で医師の診察を受けなければ処方されません。

また、サプリメントを飲んでいるからといって、自己判断で医師から処方された治療薬を止めてしまうのはやめましょう。サプリメントに医療用医薬品のような効果を期待して使用しないように、それぞれの特徴を理解することが必要です。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
「健康食品」のホームページ|厚生労働省
健康食品の正しい利用法(pdf資料)|厚生労働省医薬食品局食品安全部
高血圧症発症チェック

糖尿病の方におすすめのサプリ成分

ここがポイント!

  • サプリメントには治療効果を期待するのではなく、健康補助目的であることを心得ておく
  • 食物繊維には小腸での糖質の消化吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急激な上昇を抑える作用がある
  • ビタミンB1やビタミンB2などには糖質、脂質、たんぱく質の代謝を助ける働きが期待出来る
  • クロムは、糖代謝や脂質代謝を助ける働きが期待できる
  • しかし、どの成分も過剰に摂取すると、反対に身体に不調を起こすこともある

サプリメントは、健康食品に分類されます。治療効果はありませんが、健康をサポートする目的であると心得て使用すると良いでしょう。ここでは、体内環境を整え、間接的に治療をサポートすることが期待できるサプリメントの成分を紹介していきます。

糖尿病の方におすすめのサプリ成分

血糖値の急激な上昇を抑える成分

食物繊維

豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などの食材に多く含まれる「食物繊維」には小腸での糖質の消化吸収をゆるやかにして、食後の血糖値の急激な上昇を抑える作用があります。糖尿病診療ガイドライン2016でも1日「20g以上」の食物繊維を摂取する事が推奨されています。
食事を摂ると糖尿病でない人でも血糖値は上昇しますが、インスリンの作用によって食後速やかに血糖値が下がります。しかし、糖尿病の方はインスリンの作用が低下しているため、血糖値が高い状態が長時間続いてしまいます。食事の際に、食物繊維を一緒にとることによって血糖値の上昇を抑えることができます。

また、食物繊維には、血清コレステロールの増加を防ぎ、脂質を身体の外に排出する働きがあり、便通の改善や、肥満や脂質異常症の予防・改善の効果も期待されます。
通常の食生活で食物繊維を過剰に摂取することはほとんどありませんが、サプリメントで過剰に摂るとミネラルなどの吸収を妨げることもあり、摂取量には注意が必要です。

糖の代謝をサポートする成分

ビタミン

ビタミンには様々な種類があり、「ビタミンB1」や「ビタミンB2」などには糖質、脂質、たんぱく質の代謝を助ける働きが期待出来ます。「ビタミン」は、私たちが生きていくために欠かせない栄養素ですが、体内でほとんど作ることが出来ないため、食品から摂取する必要があります。野菜類や肉類や卵などに多く含まれますが、忙しくバランスの良い食を取ることが困難な場合には、ビタミン配合のサプリメントで補うのも一つの方法であるといえるでしょう。

インスリンの働きを高める「クロム」とは

クロムとは、「クロミウム」という生きるために必要な必須ミネラルの一つです。インスリンの働きを促進させることから、糖尿病への効果が期待されてきました。また、炭水化物、脂質、タンパク質の代謝にも直接的に関連していることが、いくつかの研究で報告されていますが、詳しい役割については明らかになっていません。また、「クロミウムが糖尿病の治療に有効である」という結論まで達している研究もありません。米国糖尿病協会は、血糖コントロールの改善をするために、クロムを常用しても、その効果を裏付ける医学的根拠は十分では無いと述べています。

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2015年版)
国立循環器研究センター|循環器情報サービス
食物繊維|e-ヘルスネット
クロミウム | 「統合医療」情報発信サイト

糖尿病の薬とサプリの併用には注意が必要

ここがポイント!

  • サプリメントは、薬との飲み合わせによって、薬の作用を過剰に強めたり、反対に阻害してしまう場合がある
  • 糖尿病治療を受けている方は、サプリメントを飲み始める前に、主治医に相談しよう

治療薬とサプリメントの併用は危険な場合がある

サプリメントと糖尿病の薬を併用することで、薬の作用を過剰に強めたり、反対に薬の作用を阻害してしまうことがあります。体に良い成分であっても、飲み合わせによっては症状を悪化させる可能性もあるので充分な注意が必要です。

糖尿病の人が摂取に注意が必要な成分

セレンの摂りすぎは2型糖尿病の発症リスクを上げる

セレンとは、魚、肉、小麦、大豆などに含まれるミネラルの一種です。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)では、セレンの1日の推奨摂取量を、成人男性は30(mg/日) 成人女性は25(mg/日)としています。セレンは、体に必要なミネラルですが、サプリメントなどにより、過剰摂取を続けると糖尿病の発症リスクが高まる可能性があります。

実際に、糖尿病診療ガイドライン2016では「血中のセレン濃度が高いと2型糖尿病のリスクが高くなる」という研究報告がいくつか紹介されています。
例えば、アメリカで行われた研究では、平均年齢63歳の糖尿病を発症していない方を対象に、「セレンサプリメント(200μg/日)を飲むグループ」と「セレンサプリメントの偽薬を飲むプラセボグループ(対象者には、セレンサプリメントと告げられています)」に分け、長期間服用後の2型糖尿病の発症率を比べました。
すると、セレンサプリメントを飲んでいたグループの方が、飲んでいなかったグループ(プラセボ群)に比べて、2型糖尿病の発症リスクが2.7倍上昇した、との結果が出たのです。

血糖値を下げることが期待できるサプリメント

糖尿病の治療薬は、血糖値を下げる効果があります。そのため、血糖値を下げる作用がある成分を含んだサプリメントを飲むことで、血糖値が下がりすぎてしまうことも考えられるのです。
また、血糖値は、食事量や運動量や体調などの影響も受けやすく、サプリメントを飲んでいなくても、血糖値が下がりすぎて「低血糖」を引き起こす可能性があります。
低血糖対策のために、日頃からブドウ糖か糖分の入ったジュース・お菓子などを用意しておきましょう。
低血糖について詳しくは、低血糖とは|眠気が生じるメカニズムなどを解説しますをご参照ください。

サプリメントを飲む時は主治医に相談をしよう

サプリメントの種類によっては、薬との飲み合わせでかえって身体に悪影響を及してしまう場合もあります。糖尿病に限らず、何かしらの病気で薬を飲んでいる方がサプリメントを飲む際には、事前に主治医に相談するようにしましょう。

サプリメントは腎臓に負担をかける場合がある

糖尿病は進行すると、糖尿病腎症という合併症します。腎機能が徐々に低下し、人工透析が必要になってしまう場合もあります。このような腎機能が低下している人は、サプリメントを過剰に摂取すると腎臓に負担をかける可能性もあるため、特に注意が必要です。腎機能が低下している人は、医師にサプリメントを使用して良いか必ず確認をしましょう。

サプリメントは腎臓に負担をかける場合がある

参考

日本糖尿病学会|糖尿病診療ガイドライン2016
健康食品の正しい利用法(pdf資料)|厚生労働省医薬食品局食品安全部
食物と薬の相互作用(サプリメント編)
国立循環器研究センター|循環器情報サービス
高血圧症発症チェック

まとめ

サプリメントは、明確な治療効果を期待するのではなく、あくまでも「健康補助」目的で使用するということを心得ましょう。また、薬との飲み合わせによっては、薬の効果を強めたり、阻害したりしてしまう可能性もあります。しかし、上手く取り入れていけば、不足している栄養素を簡単に補うことができる商品でもあります。サプリメントを飲む際には、主治医や管理栄養士などと相談をして、自分の体に合っているものを選ぶようにすると良いでしょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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