【利尿剤とは】効果と副作用から、ダイエットに使用する危険性までを解説

利尿剤は、身体に溜まった余分な水分や塩分を尿と共に排出させる効果があります。塩分の多い食生活が高血圧の原因の一つであり、高血圧の治療には、「減塩」が大切なポイントになります。塩分を過剰に摂取すると身体の中に水分が溜め込まれ、血液量が増えることで、血圧が上昇します。
ここでは、利尿剤の効果や副作用、市販薬としてドラックストアなどで手に入れることができるのか、利尿剤にダイエット効果があるのかなどを解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01利尿剤とは
  2. 02利尿剤の副作用
  3. 03利尿剤は市販されているのか
  4. 04利尿剤をダイエットに使用するのは危険
  5. 05まとめ

利尿剤とは

ここがポイント!

  • 利尿剤は、高血圧の治療に用いられる薬の一つ
  • 利尿剤は尿の出をよくすることで、身体に溜まった余分な水分や塩分の排出を促す
  • 利尿剤には「サイアザイド系利尿剤」「サイアザイド系類似利尿剤」「K保持性利尿剤」「ループ利尿剤」などのタイプがある

利尿剤の主な効果

利尿剤は、高血圧の降圧治療に用いられる薬の一つです。利尿剤には、尿を増やして身体に溜まった余分な「水分」や「塩分」を排出させ、「血圧を下げる」「むくみや肺水腫肺水腫(はいすいしゅ)肺水腫は、毛細血管から血液が肺胞に滲み出すことで、酸素の取り込みが十分に行われず、呼吸困難に陥る状態をいう。ピンク色の泡状の痰が見られる場合がある。 肺には、肺胞という空気を取り入れるための小さな袋状の構造物がある。肺胞の周囲には、毛細血管が取り巻いており、酸素や二酸化炭素の交換が行われている。の改善」などの効果があります
高血圧治療ガイドライン2014によると、利尿薬は、特に高齢者、低レニン性高血圧、CKD合併高血圧、糖尿病糖尿病(とうにょうびょう)膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンという、血糖値を下げるホルモンの分泌が減少したり、効果が弱まったりすることで、血液中のブドウ糖濃度が高くなる状態をいう。β細胞が破壊され、インスリンの分泌がほどんどなくなる1型糖尿病と生活習慣病の一つである2型糖尿病の2つに分類される。など、塩分の影響を受けやすい高血圧の方に効果が期待出来ます。また、減塩することが困難な場合や、体液量が増加しむくみが出現している高血圧の方など治療の効果があまり得られない高血圧に対しても有用であると記載されています。

利尿剤にはいくつかのタイプがある

サイアザイド系利尿剤・サイアザイド系類似利尿剤の効果

サイアザイド系利尿剤は、降圧薬として使用されることが多く、腎臓にある遠位尿細管というところで、ナトリウムの再吸収を抑制することにより、尿の排出を増やして血液量を減少させる働きがあります。長期的な効果では、末梢血管抵抗を低下させることにより血圧を下げます。

K保持性利尿剤の効果

「低レニン性高血圧」に特に効果が期待され、治療抵抗性高血圧に対する降圧薬としても有効とされます。臓器を保護する効果があり、心不全や心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。後の予防が期待出来ます。他の治療薬と併用することで、「低カリウム血症」を予防する効果があります。

ループ利尿剤の効果

腎臓のヘンレ上行脚でナトリウムの再吸収を抑制し、余分な水分や塩分を排泄する効果があります。利尿作用は強いですが、血圧を下げる効果は弱いという特徴があります。ただし、腎機能を悪化させないので、腎障害がある場合には、降圧と体液量コントロールに適しています。

主な利尿剤一覧

ここでは、主な利尿剤を紹介していきます。


薬剤名 一般名(商品名)
サイアザイド系利尿剤 トリクロルメチアジド フルイトラン
ベンチルヒドロクロロチアシド ベハイド
ヒドロクロロチアジド ヒドロクロロチアジド
サイアザイド系類似利尿剤 インダパミド ナトリックス・テナキシル
メフルシド バイカロン
トリパミド ノルモナール
メチクラン アレステン
K保持性利尿剤/アルドステロン拮抗薬 スピロノラクトン アルダクトンA
エプレレノン セララ
トリアムテレン トリテレン
ループ利尿剤 フロセミド ラシックス・オイテンシン

利尿剤の他にも高血圧の治療の第一選択薬には、「カルシウム拮抗薬(Ca 拮抗薬)」「ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)」「ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)」などがあります。
高血圧の治療で使用される降圧薬について詳しくは降圧薬(降圧剤)について|知っておくべき主な4種類と効果・副作用を解説をご参照ください。

参考

高血圧治療ガイドライン2014|日本高血圧学会
国立循環器研究センター|循環器病情報サービス
厚生労働省e-ヘルスネット|高血圧
今日の治療薬2016
高血圧症発症チェック

利尿剤の副作用

ここがポイント!

  • 利尿薬の主な副作用は電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症など)である
  • 「高尿酸血症」「脂質及び糖代謝異常」「血栓形成」「内分泌異常」などが起こることもある
  • 利尿剤が合わないと感じたら、早めに主治医に相談しよう

利尿剤の主な副作用は電解質異常

利尿剤は、水分を排出するために塩分やカリウムの再吸収を抑制し、体外に排出する働きもあります。通常であれば、再吸収されるはずの電解質が失われるため、電解質のバランスが崩れて、「電解質異常(低ナトリウム血症、低カリウム血症、低マグネシウム血症など)」を生じやすくなります。また、その他に「高尿酸血症」「脂質及び糖代謝異常」「血栓形成」「内分泌異常」なども副作用として現れる可能性があります。

それでは、利尿剤のタイプ別に現れる可能性がある副作用をみてみましょう。
サイアザイド系利尿剤・サイアザイド系類似利尿剤の副作用
・高尿酸血症
・耐糖能低下
・顆粒球減少症
・皮膚炎、皮膚発疹
・アルカローシス
・高カルシウム血症
・低ナトリウム血症
・低マグネシウム血症
・低カリウム血症
・過敏症など
カリウム保持性利尿剤の副作用
・高カリウム血症
・低ナトリウム血症
・尿素窒素(BUN)上昇
・嘔気、嘔吐
・倦怠感
・(エプレノイン)CY阻害薬で血中濃度上昇など
ループ利尿剤の副作用
・低カリウム血症
・低クロール血症
・アルカローシス
・胃腸障害
・聴力障害
・顆粒球減少症
・紫斑症
・高尿酸血症
・耐糖能低下
・過敏症
・(ピレタニド)尿酸、血糖上昇が少ないなど

利尿剤の使用で体に異常を感じたら医師に相談

利尿剤を使用する場合、少量から様子を見ながら始めることが多いでしょう。薬を開始してから、何か体調に異変を感じる場合は早めに主治医に相談しましょう
高血圧の薬は、自己判断で使用を中止してしまうと、薬の効果で抑えられていた血圧が上昇してしまう可能性があります。自己判断でむやみに薬の量を変えたり、中止することは控えるようにし、まずは主治医に相談するようにしましょう。

腎臓の機能が低下すると尿が出なくなり透析が必要になることも

高血圧の状態が長く続くと、血管のダメージが蓄積されていき「動脈硬化」が進行していきます。血管は全身に張り巡らされているため、動脈硬化が進行すると全身に影響を及ぼします。
腎臓は、毛細血管が毛糸の玉のように網目状に集まっている「糸球体糸球体(しきゅうたい)腎臓にある毛細血管が毛糸の球のように丸まっているもの。血液のろ過をする役割があり、体に不要な老廃物、塩分などをボーマンのうへこし出すことで、血液をきれいにしている。」で、血液のろ過をして、不要な老廃物や塩分を尿として体外へ排出したり、体に必要な水分などの再吸収をしたりする働きがあります。そのため、腎臓の毛細血管が詰まると、腎機能が低下していきます。腎障害は、かなり進行しないと「むくみ」や「たんぱく尿」といった自覚症状が現れません。そのため、気づかないうちに進行し最終的には「腎不全」の状態に陥ってしまうのです。腎機能は、ある一定まで失われてしまうと回復することはないため、「透析治療」が障生涯にわたり必要になります。

高血圧の治療は、生活習慣の改善が重要

高血圧は、生活習慣病の一つといわれ、生活習慣の改善を継続していくことが重要になります。利尿剤のような降圧薬による治療では、薬の力で一定期間血圧を下げます。しかし、薬の効果が切れれば、再び血圧は上昇してしまいます。高血圧の治療の基本は、生活習慣の改善です。薬の力だけに頼るのではなく、「バランスの取れた食事」や「毎日の適度な運動」を心掛けて行きましょう。
血圧を下げる食べ物や運動について詳しくは【血圧を下げる3つの方法とは】食べ物・運動・薬について詳しくご紹介をご参照ください。

参考

高血圧治療ガイドライン2014|日本高血圧学会
今日の治療薬2016

利尿剤は市販されているのか

ここがポイント!

  • 利尿剤は「医療用医薬品」なので、市販薬の販売はない
  • 利尿剤の処方をもらうには、医療機関を受診し医師の診察が必要
  • インターネットで海外の薬を個人輸入することはやめよう

利尿剤は「医療用医薬品」なので、ドラックストアやインターネットなどで購入することは出来ません。医療用医薬品は、医療機関を受診して医師が病気の治療に必要と診断した場合に処方されます。利尿剤の他にも、血圧を下げる作用のある「降圧薬」は、医師の指示のもとで処方される「医療用医薬品」のみで、市販薬の販売はありません。

インターネットでは、海外の薬を個人輸入することが出来るサイトもあるようです。しかし、このようなサイトから購入した海外の薬は、日本国内において薬の有効性や安全性が検証されておらず、有害物質が含まれている可能性もありますし、有効成分が含まれていない偽造品である可能性もあり得るため、購入はリスクが伴います。また、医師・薬剤師による用法用量、副作用の説明も受けられません。薬についての情報も日本語で書かれていないため、飲み方を間違える危険などもあるのです。
利尿剤が必要な場合には、必ず医療機関で医師による診断を受けましょう。

参考

医療用医薬品と一般用医薬品の比較について|厚生労働省
医薬品等を海外から購入しようとされる方へ|厚生労働省
医師に高血圧の相談をしませんか?高血圧のお悩みを募集しています

利尿剤をダイエットに使用するのは危険

ここがポイント!

  • 利尿剤は病気の治療薬であり、ダイエット目的での使用は出来ない
  • 利尿剤は医療用医薬品のため、副作用が起こる可能性があり医師による管理が必要
  • 利尿剤をダイエット目的で使用することはやめよう

利尿剤は、病気を治療するためのものです。
最近では、インターネットを介して海外から利尿剤を個人輸入し、むくみの解消やダイエット目的で使用する方もいるようです。しかし、利尿剤は、医療用医薬品に指定されており、効果が期待出来る反面、「副作用」が起こる可能性を考慮しなければならず、医師による処方が必要な薬です。
利尿剤を自己判断で服用して、例えダイエットが成功しても、重篤な副作用により他の病気の治療が必要になる可能性があります。また、個人輸入した薬で生じた副作用の場合は、医薬品副作用被害救済制度という国からの救済制度を受けることは出来ません。
そのため、利尿剤を治療目的以外で使用することはやめましょう。

参考

医療用医薬品と一般用医薬品の比較について|厚生労働省

まとめ

ここでは、高血圧治療に用いられる治療薬の一つである「利尿剤」について解説してきました。利尿剤は、尿の出をよくすることで、体に溜まった余分な水分や塩分の排出を促し、血圧を下げる効果をもちます。むくみの解消にもつながることから、ダイエット目的で使用されるケースもあります。しかし、利尿剤は高血圧の治療薬であり、医療用医薬品です。医師の診察を受け、必要と判断された場合に処方される薬です。効果がある一方、副作用の危険性もあります。むくみ解消や体重減少のために使用できる薬ではないことを理解しましょう。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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