【血圧サージとは】気づかぬ間に血圧を急上昇させる原因と対策について解説します

「血圧サージ」というワードを耳にしたことはあるでしょうか。
血圧サージとは、何の前触れもなく突発的にに血圧が急上昇する状態をいいます。血圧の急激な変動は、血管を傷つけるため、心血管病や脳卒中の発症リスクを高まります。「血圧サージ」という言葉は、しっかりと定義された医学用語ではありませんが、最近ではNHKのテレビ番組で取り上げられたことをきっかけに、以前よりも注目されるようになりました。ここでは、そもそも血圧サージとは何か、血圧が急激に上がってしまう原因、血圧サージを防ぐ方法などについて解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01血圧サージとは
  2. 02血圧サージが起きる原因とは
  3. 03血圧サージは命に関わる
  4. 04血圧サージを防ぐ方法
  5. 05まとめ

血圧サージとは

ここがポイント!

  • 血圧サージとは、血圧が急激に上昇してしまう症状のこと
  • 血圧の急上昇は、身体の様々な血管や臓器に大きな負担となる
  • 高血圧と診断されてない人も、「仮面高血圧」であれば突然重症化することもある

血圧が急上昇する「血圧サージ」

私たちの血圧は、朝起きてから睡眠までの1日の中で緩やかに変動をしています。ところが、何かが引き金となり、急激に血圧が高くなる状態を「血圧サージ」と言います。「血圧サージ」という言葉は、しっかりと定義された医学用語ではありませんが、最近ではNHKがテレビ番組で取り上げられるなど、一般の方の注目も集まっています。
血圧サージは、血圧が急激に変化するため、身体の様々な血管や臓器には大きな負担となり、高齢者や動脈硬化が進んでいる方などは、脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)や心血管病の発症リスクを高めると考えられています。

血圧サージは、高血圧でない人も起こる

血圧サージは、急激な血圧の上昇をいいますので、血圧が正常の方でも起こる可能性はあります。『私は高血圧ではないから、血圧サージに注意する必要がない』とは言い切れません。また高血圧は、ある程度進行していても自覚症状がほとんど起こらない病気です。そのため、気づかないうちにあなたも「高血圧」になっている可能性が無いとは言い切れないのです。

参考

あなたに合わせた生活・食事指導で高血圧改善

血圧サージが起きる原因とは

ここがポイント!

  • 血圧サージは、早朝や夜間といった時間帯に起こることが多い
  • モーニングサージを引き起こす原因は「加齢」「起立性高血圧」「血管スティフネスの増大」「寒冷」「精神・ 身体的ストレス」「アルコール」「喫煙」などがある
  • 「閉塞性睡眠時無呼吸」を併発している高血圧の人は、夜間や早朝に「血圧サージ」を起しやすい

血圧が急上昇する原因は

血圧サージは、早朝や夜間に起こることが多いとされています。
日本高血圧学会の高血圧治療ガイドライン2014には、朝方に血圧が急激に上昇する「モーニングサージ」を引き起こす原因として、「加齢」「起立性高血圧」「血管スティフネスの増大」「寒冷」「精神・身体的ストレス」「アルコール」「喫煙」などが上げられています。
これらの血圧を急上昇させる原因をなるべく避けるよう注意することが必要になります。

睡眠時無呼吸症候群も「血圧サージ」を起こすリスクを高くする

寝ている間に一時的に呼吸が止まってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」を併発している高血圧の人は、夜間や早朝に「血圧サージ」を起しやすい特徴があります。閉塞性睡眠時無呼吸は肥満の方に出現しやすいと言われています。

持続気道陽圧(CPAP)療法で降圧効果が期待できる

夜間や早朝の血圧サージを防ぐためには、閉塞性睡眠時無呼吸の治療を行う必要があります。空気を送り出すマスクを着装して眠る「持続気道陽圧(CPAP)療法」を行うと降圧効果が期待でき、夜間の血圧サージは低下します。
睡眠時に「ひどいイビキ」「呼吸停止」といった症状がある場合には、「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」の可能性があるため、循環器科や呼吸器科、睡眠外来がある医療機関などを受診しましょう。

参考

血圧サージは命に関わる

ここがポイント!

  • 血圧の急激な変動は血管を傷つける
  • 心臓の血管が傷つけば「狭心症」「心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。」「大動脈瘤」などの「心血管病」のリスクが上がる
  • 脳の血管が傷つけば「脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。」や「くも膜下出血くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)脳動脈瘤という血管の膨らみが破れて、出血することで起こる。脳の髄膜は3層構造になっており、中間のくも膜と脳の間で、出血が起こった場合にくも膜下出血と呼ばれる。突然の激しい頭痛で発症する。」などの「脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)」のリスクを高めるが上がる

心血管病や脳卒中のリスクを高める

血圧の急激な変動が長期的に繰り返されると、血管は次第にダメージを受けていきます。心臓の血管が傷つけば「狭心症」や「心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。」「大動脈瘤」などの心血管病、脳の血管が傷つけば「脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。」「脳出血」「くも膜下出血くも膜下出血(くもまくかしゅっけつ)脳動脈瘤という血管の膨らみが破れて、出血することで起こる。脳の髄膜は3層構造になっており、中間のくも膜と脳の間で、出血が起こった場合にくも膜下出血と呼ばれる。突然の激しい頭痛で発症する。」などの「脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)」のリスクを高めてしまいます。

早朝に血圧が高くなる人は要注意

一般的に血圧は、朝に活動を始める時間帯で血圧が上がり始め、夜の就寝後にゆっくり血圧が下がっていきます。
血圧の日内変動.png

しかし、「早朝高血圧早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)診察室血圧は、高血圧の基準値を超えていないが、早朝に家庭で測定した血圧が収縮期血圧135mmHg以上/拡張期血圧85mmHg以上の血圧をいう。このタイプの場合、夜間から早朝にかけて、血圧が上昇する。」は、診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。が140/90mmHg未満で正常範囲内であるにも関わらず、朝起きた時の平均血圧が135/85mmHg以上の場合をいいます。

2003年に自治医科大学の研究グループによって、日本人約2万1千人を対象に、心血管病や脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)の発症リスクの比較した研究が実施されました。結果として、血圧が正常域の人に比べて、血圧が高い人方は1.46倍、日中は正常であるが朝にだけ血圧が高い人(早朝高血圧早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)診察室血圧は、高血圧の基準値を超えていないが、早朝に家庭で測定した血圧が収縮期血圧135mmHg以上/拡張期血圧85mmHg以上の血圧をいう。このタイプの場合、夜間から早朝にかけて、血圧が上昇する。)の方は2.47倍、発症リスクが高いことがわかりました。※参考に記載している論文です
早朝高血圧早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)診察室血圧は、高血圧の基準値を超えていないが、早朝に家庭で測定した血圧が収縮期血圧135mmHg以上/拡張期血圧85mmHg以上の血圧をいう。このタイプの場合、夜間から早朝にかけて、血圧が上昇する。」には、夜間の時間帯から血圧が高く早朝高血圧早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)診察室血圧は、高血圧の基準値を超えていないが、早朝に家庭で測定した血圧が収縮期血圧135mmHg以上/拡張期血圧85mmHg以上の血圧をいう。このタイプの場合、夜間から早朝にかけて、血圧が上昇する。へ移行するタイプと、朝方に血圧が急激に上昇するタイプがありますが、どちらのタイプでも発症リスクを高める可能性があるとの結果報告もされています。

つまり、同じ高血圧でも朝に血圧があがる方が、命に関わる合併症を発症しやすいのです。そのため、早朝に血圧が急激にが上がるモーニングサージが危険視されているのです。

参考

医師に高血圧の相談をしませんか?高血圧のお悩みを募集しています

血圧サージを防ぐ方法

ここがポイント!

  • 高血圧の方は、減塩、体重管理、節酒、禁煙などを行い、生活習慣を改善する
  • 血圧サージを確かめるには、自宅の血圧計で1日に何度か血圧を測定する習慣をつける
  • 起床後トイレに行ってから1時間以内に、2回血圧を測定し、その平均を記録する
  • 寒暖差は血圧サージの原因になるため、なるべく寒暖差を減らす工夫をする

高血圧の人は降圧治療が重要

高血圧を発症している方は、降圧治療を十分に行うことが大切です。「塩分」の取り過ぎや、運動不足などによる「肥満」、「過度な飲酒」「喫煙」などは、血圧を上げる要因です。降圧薬は、薬の力で一時的に血圧を下げますが、薬の効果が切れれば再び血圧は上がってしまいます。そのため、血圧を下げていくためには、生活習慣の改善をしなければならないのです。

1日に何度か血圧を測定してみる

1日の血圧の変動を把握しておくことも重要です。医療機関では、日中に測定することがほとんどです。医療機関では、正常な血圧でも、朝や夜に高くなっている可能性もあります。また、自分に血圧サージが起きているかどうかを確かめることもできます。高血圧の診断を受けていない方も自宅で血圧を測定してみてはいかがでしょうか。

早朝高血圧を確かめるには血圧を2回測定しよう

特に、朝は血圧サージが起きる危険性が高いです。朝起きてトイレに行った後1時間以内に血圧を2回測定し、2回の平均値を記録していきましょう。平均値が、家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。の基準値を超える日にちが多い場合には、早朝高血圧早朝高血圧(そうちょうこうけつあつ)診察室血圧は、高血圧の基準値を超えていないが、早朝に家庭で測定した血圧が収縮期血圧135mmHg以上/拡張期血圧85mmHg以上の血圧をいう。このタイプの場合、夜間から早朝にかけて、血圧が上昇する。の可能性が高いです。
記録をつけたノートを持参して、医療機関を受診しましょう。
正しく血圧を測るコツは【正しい血圧測定法とは】血圧計の種類別に測定の原理から正しい手順をご紹介も一緒に参考にしてください。

寒暖差に注意する

寒い時には、血管は収縮し血圧が上昇します。例えば、家の中でも寒い脱衣所から熱いお風呂に入るなどは、寒暖差には要注意です。先に、部屋を暖めてから移動するなどの工夫をして、血圧が急激に上がらないよう気をつけましょう。

参考

まとめ

「血圧サージ」という言葉は、しっかりと定義された医学用語ではありませんが、最近ではテレビ番組で取り上げられるなど注目も集まっています。「血圧サージ」と呼ばれる血圧の急上昇は、心血管病や脳卒中脳卒中(のうそっちゅう)脳卒中は、脳内の血管が破れたり詰まったりして、神経細胞が障害される病気をいう。脳の血管が詰まる「脳梗塞」、脳の血管が破れる「脳出血」「くも膜下出血」に分類される。脳卒中により年間約11万人が死亡しており、国内の死因割合で4位となっている。(平成27年度)のリスクを高める危険があります。普段の血圧が正常な方でも、血圧サージが出現している可能性はあります。まずは、血圧をこまめに測定する習慣をつけることが、自分自身の血圧の変動を知るポイントです。
また、睡眠時に一時的に呼吸がとまってしまう「閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)」の人は、夜間や早朝の血圧サージが出現しやすいと言われています。睡眠時に「ひどいイビキ」「一時的な呼吸停止」といった症状がある方は、医療機関に相談してみましょう。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ