脂肪肝の治療法はあるのか|生活習慣の改善法や治療薬の有無などについて

脂肪肝の治療は、生活習慣の改善が基本となります。「脂肪肝」とは、肝臓に脂肪が溜まってしまっている状態のことをいいます。最近では食生活の欧米化などに伴って、「肥満」の人の割合も増えてきて、脂肪肝になる人も多くなってきています。
ここでは、脂肪肝を改善するための治療法について、気を付けるべき生活習慣や治療薬について、解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01そもそも脂肪肝とは
  2. 02脂肪肝の治療方法とは
  3. 03脂肪肝の状態により薬による治療を行う
  4. 04まとめ

そもそも脂肪肝とは

ここがポイント!

  • 脂肪肝とは、肝臓に内臓脂肪が溜まっている状態
  • 日本消化器病学会によると、成人の10~30%、すなわち1,200~3,600万人が非アルコール性の脂肪肝・脂肪性肝炎になっている
  • 肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、脂肪肝になっても自覚症状を感じにくい

肝臓に脂肪が溜まっている状態

脂肪肝とは、その名前の通り、肝臓に脂肪が溜まっている状態をいいます。
通常、食事から摂取された「脂肪」や「糖」は、肝臓で分解されて、脳や身体を働かせるエネルギーになりますが、過度な食べ過ぎや脂質の多い食生活では、その分解が追いつかなくなり、「中性脂肪」として肝臓(特に肝細胞)などに蓄えられてしまいます。

脂肪肝をそのまま放置していると、肝臓の機能が低下していき「肝炎」や「肝硬変」「肝癌」などに進行していくリスクが高くなります。日本消化器病学会によると、成人の10~30%、すなわち1,200~3,600万人が非アルコール性の脂肪肝・脂肪性肝炎に当てはまるとされていて、男性の方が発症する頻度が高い傾向があります。

肝臓に脂肪が溜まる主な要因

脂肪肝は進行すると肝機能が低下したり、炎症を伴う肝炎を発症したりします。それらは、過度の飲酒が原因による「アルコール性肝障害(ALD)」とメタボリックシンドロームが要因となる「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」に分けられます。

更に、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、症状が軽く改善しやすい「単純性脂肪肝(NAFL)」と炎症を引き起こす「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」に分けられます。、特に、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は、進行すると「肝炎」や「肝硬変」と進行させるため早期の治療が重要とされています。

肝臓は自覚症状が現れにくい

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、脂肪肝や肝炎を起こしてもほとんどの場合、何も自覚症状を感じることはありません。健康診断などで行った血液検査で、GOT、GPT、γ-GTPといった肝機能の値を指摘されて、始めて異常に気付くことがほとんどです。

しかし、健康診断などで、脂肪肝や肝機能異常を指摘されても、自覚症状が特に無いので放っておいているなんて人はいないでしょうか。
脂肪肝は、初期の状態なら生活習慣の改善を気を付けることで元の健康な肝臓に改善することが出来ます。重篤な状態にまで進行してしまう前に、脂肪肝の早期発見と治療が重要なのです。

参考

NAFLD/NASH診療ガイドライン2014 - 日本消化器病学会
脂肪肝、脂肪性肝炎とはどんな病気?日本消化器病学会
高血圧症発症チェック

脂肪肝の治療方法とは

ここがポイント!

  • 暴飲暴食や偏った食事は、肥満に繋がり脂肪肝になるリスクを上げる
  • 糖質(炭水化物)、脂質の過度な摂取は控え、1日3食バランスよく食べることが重要
  • アルコールによる脂肪肝は、断酒をすることで改善する
  • 糖尿病、脂質異常症、高血圧を合併している場合は、それぞれの治療を行う

脂肪肝の治療は、「生活習慣の改善」が重要になります。早期の段階で、生活習慣の改善に十分に取り組むことで、脂肪肝を改善することが出来ます。ここでは、どのような改善をするべきかご紹介していきます。

生活習慣の改善①食生活の見直し

脂肪肝はお酒の飲み過ぎだけが要因となるわけではありません。暴飲暴食や偏った食事によるエネルギーの取りすぎが、中性脂肪の蓄積に繋がるのです。減量により脂肪肝が改善することも明らかになっています。
減量するためには、摂取エネルギーよりも消費エネルギーを多くする必要があります。まずは、自分の適切なエネルギー量を確認してみましょう。

適切なカロリー(エネルギー量)に控えよう

適切なエネルギー量は、「エネルギー摂取量=標準体重×身体活動量」で算出できます。標準体重は、「標準体重(kg)=身長(m)×身長(m)×22」で算出でき、身体活動量は、日常の活動量によって以下の3タイプの目安とされています。

身体活動量の目安.png
例:身長が160cmで、立ち仕事の人の場合
160cmの標準体重が、1.6m×1.6m×22=56.32kg
摂取カロリーの目安が、 30〜35kcal/kgになり、
35kcal×56.32kg=1971kca/1日となります。
自分が1日に必要なエネルギー量がどの程度なのか確認してみましょう。

糖質(炭水化物)の過度な摂り過ぎを控えよう

糖質(炭水化物)は食事全体の50%~60%以内にすることが、日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドラインで推奨されています。糖質(炭水化物)は、主食になるご飯、パン、麺類や、いも類、果物などに多く含まれています。また、清涼飲料水やジュースには、糖分が多く含まれているため控えるようにし、水分補給には、水か甘くないお茶を選びましょう。

脂質の摂り過ぎを控えよう

脂質の過剰摂取は、脂肪肝になるリスクを上げるため、肉類が中心の食事は控えるようにしましょう。特に、飽和脂肪酸(肉などの動物性脂肪、パーム油などの植物油脂に多く含まれる)、ω-6脂肪酸(大豆油やコーン油などの植物油に多く含まれる)、コレステロール(卵や動物性脂質に多く含まれる)は控えることが推奨されています。

1日3食、バランスよく食べよう

食事の摂り方でも、脂肪肝を改善することが出来ます。肥満の人は食事の回数が不規則で、一度にまとめて食べてしまっていることがあります。朝昼夜と1日3食の食事を摂ることで、急激な吸収を抑えることが期待できます。
また、夕食の時間が遅かったり、夜食を摂ると、脂肪が溜まりやすくなり肥満にも関係するため、入眠前2時間以内の食事は控えるようにしましょう。

生活習慣の改善②運動を習慣的に行う

運動不足の人は、エネルギーの消費量が少ないため、食事で摂った糖質や脂肪が消費されず、体内に蓄積されてしまいます。脂肪肝の改善には、ウォーキング、サイクリング、軽いジョギングといった「有酸素運動」を1日30~60分程度、週3~4回のペースで行うことが推奨されています。
ただし、呼吸器や循環器系疾患の合併症がある人や、高血圧や糖尿病などといった病気の治療をしている人は、運動療法を始める前に必ず主治医に確認をするようにしましょう。

生活習慣の改善③断酒をする(アルコール性の場合)

アルコールによる脂肪肝は、断酒することで、2~4週間で改善することがあります。しかし、改善後また飲酒を再開すると肝硬変に進む危険があるため注意が必要です。

また、体内に入ったアルコールは、胃や腸から吸収されてほとんどが肝臓で分解されるので、飲酒量が多く長年飲酒習慣がある人ほど、肝臓の負担は大きくなります。日本消化器病学会のNAFLD/NASH診療ガイドラインによると、エタノール換算で「男性30g/1日以上」「女性20g/1日以上」の飲酒で、アルコール性肝障害の発症リスクが上がるとされています。

原因となる病気の治療

脂肪肝を併発しやすくなる原因の病気がある人は、まずはその病気の治療を行うことが優先されます。糖尿病、脂質異常症、高血圧、メタボリックシンドロームなどがある人は、特に脂肪肝になりやすいとされています。適切な治療を受け、脂肪肝を進行される危険因子を無くすことが重要です。

参考

NAFLD/NASH診療ガイドライン2014 - 日本消化器病学会
厚生労働省e-ヘルスネット|アルコールと肝臓病
農林水産省 脂質による健康影響
厚生労働省e-ヘルスネット|食物繊維の必要性と健康

脂肪肝の状態により薬による治療を行う

他の病気を併発している脂肪肝の場合には、それぞれの疾患に対して薬物療法を行う場合があります。ここでは、主な例について紹介していきます。

糖尿病を合併している場合

「インスリン抵抗性」は、脂肪肝に影響を与えるとされています。食生活や運動療法を含めた生活習慣の改善を十分に行っても、糖尿病の改善が困難な場合は薬物治療が開始されます。特に、インスリン抵抗性改善薬である「チアゾリジン誘導体」は、NASHに対する肝機能改善効果が認めらています。

高脂血症をが合併している場合

高脂血症や高コレステロール血症は、「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)」になるリスクを上げるため、生活習慣の改善で効果がみられない場合には薬物治療が行われます。
脂質改善薬の「スタチン」、PPARαのリガンドである「フィブラート」、オメガー3系不飽和脂肪酸の「イコサペンタエン酸」などが使用されます。

脂肪性肝炎を合併している場合

脂肪肝に、炎症を起こす肝炎を起こしている場合は、炎症を抑える治療が行われます。
糖尿病合併例では「チアゾリジン誘導体」、高脂血症合併例では「HMG-CoA還元酵素阻害薬」や「エゼチミブ」、高血圧合併例では「ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗剤)」を使用することで、肝機能改善の効果が認められています。また、カテキンなどのポリフェノールを含む緑茶、ビタミンEなどの抗酸化剤の使用も推奨されています。

参考

NAFLD/NASH診療ガイドライン2014 - 日本消化器病学会
脂肪肝、脂肪性肝炎とはどんな病気?日本消化器病学会
高血圧症発症チェック

まとめ

脂肪肝は、食事や運動に気を付けて肥満を解消したり、禁酒を実行したりなど、原因を取り除くことによって改善することが出来ます。人間ドックや健康診断などで、脂肪肝や肝機能値の異常を指摘された方は、「特に今は症状がないから、病院に行かなくてもいい」と自己判断せずに、まずは気軽に医療機関を受診しましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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