【痛風の予防法】尿酸値を下げる食事・運動・薬について徹底解説

痛風は「風が吹いただけでも痛い」という意味を持つほど、強い痛みを伴います。高尿酸血症と関連性のある生活習慣病の一つであり、予防には生活習慣の改善が重要です。ここでは、「痛風」を予防するための食事、運動、薬などについて解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01痛風は尿酸値が高いほど発症するリスクが高い
  2. 02痛風の予防法:食事編
  3. 03痛風の予防法:運動編
  4. 04尿酸値を下げる薬
  5. 05まとめ

痛風は尿酸値が高いほど発症するリスクが高い

ここがポイント!

  • 尿酸は「プリン体」という物質が、肝臓で代謝される際に作られる物質
  • 尿酸の産生と排出のバランスが崩れると、血液中の尿酸値が増加する
  • 尿酸値が7.0mg/dlを超えると、「高尿酸血症」と診断される
  • 痛風は、関節内に尿酸塩の結晶が蓄積し、激しい炎症を起こす状態をいう
  • 痛風発作を発症すると、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れ、激痛を引き起こす


痛風は、高尿酸血症と関連性が深く、尿酸値が高いほど発症リスクが高まるとされています。ここでは、痛風と尿酸値について解説していきます。

そもそも尿酸とは

尿酸とは「プリン体」という物質が、肝臓で代謝されることによって作られます。痛風は、プリン体の摂りすぎで発症するというイメージから、「プリン体カット」の食品もよく見かけますが、プリン体自体は決して悪いものではありません。私たちの細胞の核を構成する物質を作るために必要な成分なのです。そのため、必要なプリン体の70~80%が体内で作られています。
通常、プリン体は代謝され尿酸として体外に排出されます。しかし、尿酸の作られる量が過剰に増えたり、尿酸の排泄が上手く出来なくなったりすると、血液中に尿酸がたまり「高尿酸血症」を起こすのです。

「痛風発作」は尿酸が蓄積することにより起こる関節炎

高尿酸血症を発症し、血液中の尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が固まり結晶が出来やすくなります。尿酸の結晶は、体のさまざまな部位に蓄積されますが、関節内に尿酸塩の結晶ができて激しい炎症を起こす病気が「痛風」です。
痛風は痛風関節炎ともいい、ある日突然、足の親指の付け根などの関節が赤く腫れ、激痛を起こします。

尿酸値が高くなる原因とは

尿酸の産生と排出のバランスが崩れると、血液中に尿酸が増えてしまいます。その原因には、食べ過ぎ、過度な飲酒、ストレス、肥満などが原因であると考えられています。実際に、高尿酸血症の方の約70%がメタボリックシンドロームの可能性があると言われています。
また、高尿酸血症・痛風の治療ガイドラインによると「30歳以降の男性の30%以上が高尿酸血症を発症する」とが記載されています。厚生労働省が行った国民生活基礎調査でも、「痛風」で通院中と回答した人は増加傾向にあり、2004年では、1995年の調査に比べて2.1倍となっています。高尿酸血症や痛風は、誰もが発症する可能性がある身近な生活習慣病の一つなのです。

尿酸値の正常値を確認しよう

痛風発作は尿酸値が高いほど、発症リスクは高くなります。痛風を予防するためにも、まずは自分の尿酸値が高いのか低いのか把握することが重要です。尿酸値は、男女ともに7.0mg/dl以下が基準値とされており、これを超えるものを「高尿酸血症」とされます。

尿酸値が高いと、痛風発作の他にも、腎臓や尿路に沈着して「腎臓障害」や「尿酸結石」を起こすこともあります。これらの発症を防ぐためには、尿酸値を正常値まで低下させる必要があります。

参考

高血圧症発症チェック

痛風の予防法:食事編

ここがポイント!

  • 「プリン体」は尿酸の元になる物質であり、過剰に摂取すると痛風の発症リスクを高める
  • プリン体が多く含まれる食品の過剰摂取は控えよう
  • 動物の内臓系の食品や、魚介類、乾物、健康食品などにプリン体が多く含まれている
  • アルコールは、体内の尿酸産生の増加、利尿作用による尿酸の濃縮、尿酸の尿中への排泄を阻害する作用があり、尿酸値を上げる
  • プリン体の少ないお酒を飲んでも、アルコール自体に尿酸値を上げる作用があるので、飲み過ぎには注意しよう

痛風を予防するためには、尿酸値を下げる事が重要です。
ここでは、痛風を予防するための食事のポイントを紹介していきます。

プリン体を多く含む食べ物をは避けよう

「プリン体」は尿酸のもとになる物質で、食品にはプリン体を多く含むものがあります。痛風予防のためには、プリン体のを多く含む食品の過剰摂取は避けましょう。

プリン体が多い食品

  • レバーや白子などの動物の内臓系の食品
  • タラコ・ウニなどの魚卵系
  • エビ、イワシ、カツオなどの魚介類
  • かつお節、魚の干物、干し椎茸などの乾物
  • ビール酵母やクロレラなどの健康食品(プリン体を含むもの)
プリン体を多く含む食品について詳しくはプリン体の多い食品とは | プリン体を避けるべき理由について解説もご参照ください。

アルカリ性の食品をとろう

痛風や高尿酸血症を起こす人は、尿が「酸性」になりやすくなります。酸性尿になると、尿酸が溜まりやすく、「腎臓障害」や「尿酸結石」を併発しやすくなります。
尿をアルカリ化にさせるためには、ほうれん草やにんじんやキャベツなどといった「野菜」や、ひじきやわかめや昆布といった「海草類」などを積極的に摂取するようにしましょう。

日本痛風・核酸代謝学会による「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、アルカリ性食品の積極的な摂取が尿酸の排せつに有効であることも指摘しています。尿酸結石を予防するためにも、水分を十分にとることも重要です。1日2,000ml以上の尿量の確保を目指して、水分を摂取するようにしましょう。

牛乳には尿酸値を下げる効果がある

肉類・魚介類などの動物性食品は、プリン体を多く含み尿酸値を上昇させますが、乳製品の摂取量が多いと痛風発症を低下させることが期待できると考えられており、積極的な摂取が推奨されています。
しかし、乳製品の過剰な摂取は、カロリーを多く取り過ぎてしまい肥満に繋がりますので注意しましょう。

お酒の飲み過ぎはやめよう

アルコールには、体内の尿酸の産生を増加させる働きがあります。他にも、アルコールの利尿作用により尿酸が濃縮させる、尿中への尿酸の排泄を阻害するといった作用もあります。
この3つの作用により、アルコールを過剰摂取すると尿酸が上がるとされています。

また、アルコール自体の働きに加えて、お酒に含まれる「プリン体」の量も上乗せされます。プリン体が多いと言われている、ビールには大瓶1本で約50mg含まれています。
では、低カロリー・ノンカロリーやプリン体ゼロのビールならいくら飲んでも大丈夫かというと、そうではないのです。プリン体の量が少なくても、アルコール自体に尿酸値をあげる作用がありますので、飲み過ぎには注意が必要です。

参考


痛風の予防法:運動編

ここがポイント!

  • 適度な運動は肥満を解消し、尿酸値を下げる効果が期待できる
  • 激しい運動や急激な尿酸値の低下は、痛風発作を引き起こす可能性がある
  • ウォーキングなどの有酸素運動を、週3回程度で続けていこう
  • 体重管理は、BMI(肥満度を現す数値)で、25以下を目指そう

痛風は、生活習慣の改善によって発症を予防することが出来ます。
運動不足により内臓脂肪が増えて肥満になると、尿酸が過剰に作られてしまうので、「体重管理」が重要となります。

痛風の予防には有酸素運動の継続が効果的

適度な運動は肥満を解消するため、尿酸値を下げると言われています。一方で、運動習慣がない人が急に激しい運動をすると、尿酸値を上げてしまい風痛発作を引き起こす可能性があります。
そのため、適度な運動を継続して続けていくことが重要になります。週3回、ウォーキング程度の軽い有酸素運動を行いましょう。

減量をすると尿酸値が下がる

生活習慣の改善により体重が減少すると、尿酸値が下がることが明らかになっています。
日本痛風・核酸代謝学会による「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」では、体重管理の目標値をBMI(肥満度を現す数値)25以下としています。肥満体型の方は、痛風を予防するためにも減量を行いましょう。

BMIの求め方

BMIは[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出することが出来ます。
※例えば身長170cm、体重90kgの場合
90÷1,7÷1,7=約31→「肥満度2の判定」となります。
BMIの基準値

高尿酸血症や痛風を発症している方は急激な減量や運動に注意

すでに尿酸値が高く痛風を発症している人は、急激な体重減少や過度な運動は、かえって風痛発作を引き起こす可能性があルため注意が必要とされています。痛風発作時は、安静が第一となるため、運動を行ってもいいタイミングは主治医の指示に従うようにしましょう。
高血圧症発症チェック

尿酸値を下げる薬

ここがポイント!

  • 薬物療法を開始するタイミングは血清尿酸値が「9.0mg/dL以上」とされている
  • 血清尿酸値が8.0mg/dL以上でも、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどを伴う場合は薬物療法が考慮される
  • 尿酸値を下げる薬は、尿酸の産生を抑制する「尿酸産生抑制薬」と尿酸の排出を促進させる「尿酸排泄促進薬」の2種類がある
  • 薬の効果は一時的であり、食事や運動などの生活習慣の改善が最も大切である

食事の管理や運動を継続的に行っても、尿酸値が高い場合には「薬物療法」が開始されます。尿酸値を下げる薬は、大きく分けると、尿酸の産生を抑制する「尿酸産生抑制薬」と、尿酸の排出を促進させる「尿酸排泄促進薬」の2種類があります。

薬物療法が開始される目安とは

生活習慣の改善を行っても、尿酸値が下がらない場合には薬物治療が開始されます。尿酸値を下げることで、痛風関節炎の発症や再発の予防に繋がります。
薬物療法が開始される目安は、血清尿酸値が9.0mg/dL以上とされています。ただし、血清尿酸値が8.0mg/dL以上で、高血圧、虚血性心疾患、糖尿病、メタボリックシンドロームなどを伴う場合には、状況に応じて薬物療法の考慮が必要であるとされています。

尿酸値を下げる薬は2種類に分けられる

尿酸値を下げる薬には、尿酸の産生を抑える「尿酸産生抑制薬」と尿酸の排出を促進させる「尿酸排泄促進薬」の2種類があります。これらの薬は、高尿酸血症の症状や併発している他の疾患などによって使い分けられます。薬の効果で一時的に尿酸値が下がりますが、薬を飲むのをやめると再び尿酸値は上昇してしまいますので、医師の指示のもと用法用量を守って内服しましょう。


<尿酸降下薬一覧> 
一般名 商品名
尿酸産生抑制薬 ・プロベネシド
・ブコローム
・ベンズブロマロン
ベネシッド
パラミヂン
ユリノーム
尿酸排泄促進薬 ・アロプリノール
・フェブキソスタット
ザイロリック
フェブリク
    
薬物療法を継続することで、尿酸値を下げることはできますが、薬の力は一時的なものです。根本的な治療には、生活習慣の改善が最も大切です。薬を飲んでいる方も、これを念頭におき、食事や運動などの生活週間に気をつけましょう。

参考

  • 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版2010|日本痛風・核酸代謝学会

まとめ

痛風は、発作が起こると激しい痛みを伴います。他にも「腎臓障害」や「尿酸結石」「生活習慣病」など様々な病気を悪化させる場合もあります。日頃から、プリン体を多く含む食品を好む人や、運動不足の人は痛風になるリスクが高いでしょう。痛風予防のために、生活習慣の改善を心がけていきましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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