高尿酸血症には3つのタイプがある
ここがポイント!
- 痛風は、尿酸値が高い状態が続き、尿酸の結晶が関節内に沈着することで生じる炎症
- 高尿酸血症は「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」「混合型」の大きく3つに分けられる
- 治療中にタイプが変化する場合があり、尿酸排泄低下型に尿酸産生過剰型の要因が加わることが比較的多い
尿酸はプリン体が代謝される際に作られる物質
痛風は、尿酸値が高い状態が続くことで、関節内に尿酸の結晶が沈着し、炎症が起こることで発症します。尿酸は、プリン体が体内で代謝される際に産生される物質です。私たちの体には、通常約1,200mgの尿酸プールがあり、1日700mgの尿酸が作られています。このうち、約500mgは尿中に排出され、残りの約200mgは汗や消化液などとして排出されています。高尿酸血症の3つのタイプとは
尿酸値が7.0mg/dLを超えると、男女ともに「高尿酸血症」と診断されます。尿酸値が高くなるタイプは「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」「混合型」の大きく3つに分けられています。これらのタイプは治療中に変化することも知られており、尿酸排泄低下型に尿酸産生過剰型の要因が加わることが比較的多いです。そのため、治療効果が弱まっている場合には、2週間ほど薬を中断し、タイプに変化がないか確認する場合もあります。参考
- 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版

肥満も尿酸値を上げる原因になる
ここがポイント!
- 肥満の方は、尿酸の産生が増えたり、排出が減ったりするため尿酸値が上がりやすい
- 高尿酸血症で肥満体型の方は、減量が効果的である
尿酸は、プリン体が代謝される際に作られるため、プリン体の取りすぎが尿酸値の上昇に深く関係していることは広く知られています。
しかし、尿酸値が上がる原因は「プリン体」だけではありません。高尿酸血症の方は、肥満体型が比較的多く、その理由として、内臓脂肪が増えるとインスリンの尿酸の産生が増えたり、インスリン抵抗性により尿酸の排出が低下したりするため、尿酸値が上がりやすいと考えられています。そのため、肥満体型の方が尿酸値を下げたい場合には、減量が効果的です。
参考
- 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版
牛乳は痛風予防に効果があるのか
ここがポイント!
- 乳製品には、尿酸の排出を増やす効果があると考えられている
- 牛乳は、低脂肪のものを1日200ml程度取ることがおすすめ
痛風を予防するには、尿酸値を下げる必要があります。乳製品には、尿酸の排出を増やす効果があると考えられています。
2014年に発表された、Choiらによる、4万7140人の痛風を発症していない男性を対象に12年間追跡調査した結果によると、乳製品の摂取量が多い集団は少ない集団に比べて、痛風の発症率が0.6倍だったことがわかりました。
このように、乳製品の摂取は痛風予防の効果が期待できるのです。
牛乳はどのくらいの量を飲めば良いのか
牛乳は、脂肪分が多く含まれています。痛風予防効果があるからと、脂肪分が豊富に含まれた牛乳を多量に飲んでいては、かえって肥満に繋がってしまいます。牛乳を選ぶ際には、無脂肪や低脂肪の商品を選ぶようにしましょう。また、厚生労働省の食事バランスガイドによると、乳製品の1日の推奨摂取量は、牛乳で200ml程度とされています。ですから、脂肪分の少ない牛乳を1日200ml程度取ることを意識すると良いかもしれません。
参考
- 高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第2版
- 牛乳・乳製品|e-ヘルスネット
