コレステロールが高いと何がいけないの|その原因から体に与える影響までを徹底解説

コレステロールが高くなる要因には、過食や運動不足など生活習慣の乱れがあります。生活習慣の乱れにより発症する生活習慣病の増加は、日本でも社会問題になっており、それらを示す指標の一つである「コレステロール値」は、健康診断や人間ドックでチェックされている項目の一つです。ここでは、コレステロールが高いことが身体に与える影響について解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01コレステロールが高くなるのはなぜ
  2. 02コレステロールが高いと何がいけないの
  3. 03コレステロールを下げるには
  4. 04コレステロール値は高い方が長生きできるのか
  5. 05まとめ

コレステロールが高くなるのはなぜ

ここがポイント!

  • コレステロールは、身体にとって必要な「脂質」の一つである
  • コレステロールは、糖質や脂肪が多い食品の摂りすぎで上昇する
  • 閉経により「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌が減ることで、血液中のLDLコレステロールが増えることがある

健康診断などで、コレステロール値が高いと指摘されたことはありませんか。
ここでは、コレステロール値が高くなる原因を解説します。

コレステロールとは

コレステロールは、人間の体内に存在している「脂質」の一つです。細胞膜、ホルモン、胆汁酸を作る材料でもあり、生命の維持に必要な物質です。そのため、コレステロールは増えすぎたり、減りすぎたりすると、体に悪い影響が及ぶ可能性があります。

善玉コレステロールと悪玉コレステロール

コレステロールは、「HDLコレステロール」と「LDLコレステロール」の2種類に分けられます。LDLコレステロールは、血液中に増えすぎると血管の内壁に蓄積して固まり、「動脈硬化」を進行させる原因となり、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクを高めてしまうため、悪玉コレステロールと呼ばれます。HDLコレステロールは、血液中のLDL(悪玉)コレステロールを回収する働きをするため、善玉コレステロールと呼ばれています。

コレステロールが高くなる原因

食べ物

コレステロールは、3割程度が食事から取り入れられ、7割程度は肝臓で「糖」や「脂肪」から合成されています。そのため、コレステロールが多い食品を控えていても、糖や脂肪を過剰に摂取すると、コレステロール値は高くなってしまいます。

過度なお酒

お酒を飲むと、「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」が増加します。
HDLコレステロールは、動脈硬化に関係する「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」を回収してくれるため、適量であればお酒は身体に良い効果もあると言えます。

しかし、飲み過ぎはカロリーオーバーとなり肥満に繋がり、生活習慣病を促進してしまう可能性があります。厚労省の提唱する飲酒量の目安は、一日あたり男性は純アルコールで20g(日本酒1合程度)女性はその半量程度までとされています。
また、お酒を飲むときに、おつまみを食べ過ぎてしまうと、さらに肥満につながります。揚げ物や炭水化物など、脂っこくてカロリーが多いメニューは避けて、ヘルシーなメニューを選び、食べ過ぎないことも大切になります。

女性ホルモンが影響する

コレステロールと女性ホルモンには関連性があり、女性は閉経すると、脂質の代謝に深く関わる「エストロゲン」という女性ホルモンの分泌が減るため、血液中のLDLコレステロールが増えるとされています。

遺伝

遺伝的にコレステロールが高くなる場合があり、「家族性高コレステロール血症」と呼ばれます。
家族性高コレステロール血症の特徴は、生まれた時からLDLコレステロールが高く、心筋梗塞や脳梗塞などの「早発性冠動脈疾患」に関わる病気になりやすいとされています。家族性高コレステロール血症の場合、小児期から動脈硬化が進行することもあるため、早期の診断と治療が必要になります。

下記の項目を2つ以上満たす場合に「家族性高コレステロール血症」と診断されます。
  • LDLコレステロールが180 mg/dL 以上
  • 手首、膝、肘などに、皮膚黄色腫というできものが現れる
  • 2親等以内の家族に、家族性高コレステロール血症あるいは、早発性冠動脈疾患の人がいる

参考

高血圧症発症チェック

コレステロールが高いと何がいけないの

ここがポイント!

  • 血液中のコレステロール値が過剰に増えると「脂質異常症」になる
  • LDLコレステロールが増えると、「動脈硬化」を進行させる
  • 動脈硬化が進行すると、脳血管障害や心臓病を引き起こすリスクが高くなる

脂質異常症を発症する

脂質異常症とは、血液中の「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」と「HDLコレステロール(善玉コレステロール)」のバランスが崩れて、血液中のコレステロール値が異常をしめす状態です。脂質異常症は血液中の脂肪値が高い状態であるため、以前は「高脂血症」と呼ばれていました。

脂質異常症は、総コレステロール値を参考とし、LDLコレステロール、中性脂肪のいずれかが高いか、HDLコレステロールが低いことがその診断基準となります。

<脂質異常症の基準値>
LDLコレステロール 140mg/dl以上
HDLコレステロール 40mg/dl未満
中性脂肪 150mg/dl以上

動脈硬化が進行する

血液中の「LDLコレステロール(悪玉コレステロール)」が増えすぎると、血液の流れが悪くなり、やがてコレステロールが血管の内壁に蓄積して固まっていくことで、動脈硬化が徐々に進んでいきます。動脈硬化は、「心血管病」や「脳血管障害」といった突然死のリスクがある病気の原因になります。

心血管病

心臓の血管で動脈硬化が進行して、心臓の動脈が狭くなり血液が流れにくくなると、「狭心症」となり、発作や胸の圧迫感を感じるようになります。
血栓が詰まり完全に血液が流れなくなると、「心筋梗塞」を起こします。心筋梗塞が起こってしまうと突然死となりやすく、たとえ命を取り留めたとしても、重大な後遺症を残す可能性があるため、すぐに医療機関で治療を受ける必要があります。

脳血管障害

脳の血管で動脈硬化が進行すると、脳の血管に「血栓」という血液の塊が詰まり「脳梗塞」を引き起こし、血管が破裂すると「脳出血」を引き起こします。「脳血管障害」は、命を脅かすだけでなく、重大な後遺症が残る場合が多く、早期治療が必要な病気です。

参考


コレステロールを下げるには

ここがポイント!

  • 肉類などの動物性脂肪を控え、LDLコレステ ロールを減らす効果がある青魚や大豆製品を積極的に食べよう
  • 1日30分、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を週180分以上続けよう
  • 生活習慣の改善で十分な効果がみられない場合には、LDLコレステロールを下げる薬が使用される

健康診断などで「コレステロール値が高い」と指摘された人は、動脈硬化の進行を予防するためにも、生活習慣の改善を行い、コレステロール値を下げることが大切です。
ここでは、どうすればコレステロール値を下げることが出来るのか解説していきます。

食事を見直す

コレステロールが多い食べ物といえば、卵をイメージする人も多いのではないでしょうか。確かに卵黄にはコレステロールが多く含まれており、コレステロールが高い人は控えるべきです。しかし、コレステロールが多く含まれる食べ物は卵だけではありません。
肉類や、ラードやバター、乳製品などといった動物性脂肪食品には、血中コレステロールを上げる作用のある「飽和脂肪酸」が多く含まれるため、取り過ぎには注意が必要です。

反対に、あじ・さんま・サバなどの青魚には、DHAやEPAなどの「不飽和脂肪酸」が含まれており、HDLコレステロールを下げずにLDLコレステロールを減らす効果があります。
他にも、コレステロールの吸収を抑える働きがある大豆製品や野菜類や海藻類などは積極的に食べるようにしましょう。

運動を習慣的に行う

運動をすると、HDLコレステロールを増加させることが出来ます。善玉コレステロールであるHDLコレステロールには、LDLコレステロールを減らす働きがあるため、動脈硬化の予防にも繋がります。

コレステロールが高値で「脂質異常症」と診断されている人は、1日30分くらいのウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を行うようにしましょう。「ややきつい」と感じる程度で、週180分以上行うことが厚生労働省のe-ヘルスネットで推奨されています。ただし、治療中の病気がある人は、運動が悪影響することもあるので、主治医と相談してから行うようにしましょう。

薬物療法

生活習慣の改善で十分な効果がみられない場合や、他の病気がある場合には薬によりコレステロールを下げる治療が行われます。ただし、薬の効果は一時的です。根本的に、コレステロールを下げるためには、食事療法や運動療法など生活習慣の改善を継続する事が重要です。

参考

高血圧症発症チェック

コレステロール値は高い方が長生きできるのか

ここがポイント!

  • コレステロールが高い方が長生き出来るわけではない
  • 日本動脈硬化学会は「国内外で、コレステロールが低いと様々な病気の死亡率などが高く見えることがあるのは、追跡調査における「見かけ上の関係」に過ぎない」と結論付けている
  • 日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドラインでは、コレステロール値が高いほど虚血性脳卒中の危険度は高まることが記載されている

コレステロール値は低い方が、がんや脳卒中(特に脳出血)の死亡率が高くなるという情報が、一部メディアで取り上げられています。ただし、これは『コレステロール値は高くても大丈夫』『コレステロールが高い方がむしろ長生き出来る』という意味ではありません。

日本動脈硬化学会は、「国内外で、コレステロールが低いと様々な病気の死亡率などが高く見えることがあるのは、追跡調査における「見かけ上の関係」に過ぎない」と結論付けており、コレステロール値が低いために死亡率が高くなるのではなく、がんや重度な肝疾患などの病気がある人は、その病気が影響してコレステロール値が低くなるためと考えられています。

他にも、日本脳卒中学会の脳卒中治療ガイドライン2009によると、コレステロール値が高くなるほど虚血性脳卒中の危険度は高まることが記載されています。コレステロールの低下により脳卒中のリスクを低下させるため、コレステロール値が高い人は治療が必要であることが推奨されています。コレステロールを含む脂質が高い状態が、さまざまな疾患の原因になることは明らかです。コレステロール値が高いほど、長きできるわけではなく、生活習慣を見直したり、薬物療法を行うことで適正な値を維持していくことが大切です。

参考

まとめ

コレステロールは高くなっても自分で気づくことはありません。そのため、定期的に血中コレステロール値をチェックすることが大切です。コレステロールが異常値であるのに放置してしまっていると、動脈硬化が進行し合併症を併発するリスクが高くなります。コレステロールは、一般的な健康診断などの血液検査で調べることが出来るので、年に1回は検査を受けるようにしましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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