コレステロールと食事の関連性について|摂取基準や食事制限は必要あるのかなど

コレステロールには、「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」と呼ばれるものがあり、このバランスが崩れると動脈硬化を進行させる要因となるのです。ここでは、コレステロールと食事の関連について、食事制限は本当に必要なのか、「善玉コレステロール」と「悪玉コレステロール」とは何なのかなど解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01コレステロールの食事摂取基準とは
  2. 02コレステロールには善玉と悪玉がある
  3. 03食事制限でコレステロールは下げられるのか
  4. 04まとめ

コレステロールの食事摂取基準とは

ここがポイント!

  • 厚生労働省が作成した「日本人の食事摂取基準2015年版」に、コレステロールの摂取基準は記載されていない
  • 食事から摂取するコレステロールの40~60%程度が吸収されている
  • コレステロールの70%は、「糖」や「脂肪」を使って肝臓から作られる

ここでは、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」に沿って、コレステロールの食事摂取基準について解説していきます。

厚生労働省が定める摂取基準

厚生労働省は、「国民の健康の保持・増進」と「生活習慣病の発症・重症化予防」を目的として、日本人の1日に必要なエネルギーや栄養素量を示した「日本人の食事摂取基準2015年版」を作成しています。
『栄養バランスの良い食事』をしたくても、どの栄養素をどれくらい摂ったらいいのか、何を摂りすぎたらいけないのかわからない方は、厚生労働省の公式ホームページに載っているので参考にしてみてはいかがでしょうか。

コレステロール値の記載が無くなった

厚生労働省は、日本人の食事摂取基準2015年版から「コレステロール摂取の上限値を撤廃」し、ガイドラインから削除しています。食事で摂取するコレステロールと、血中コレステロール値の関連について、現時点では十分な研究結果が無いため、生活習慣病予防のための目標量を算定するのに、十分な科学的根拠が得られず、コレステロール値の摂取基準の記載は見送られました。

体の中でどのくらい吸収されるのか

たとえ、コレステロールが多い食事を摂ったとしても、すべて身体に吸収される訳ではありません。どのくらい吸収されるかというのは、遺伝的要因や代謝状態などが関連するため、人によって個人差が大きくありますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、摂取したコレステロールの40~60%程度が吸収されると示しています。

体内で作られるコレステロールが70%

コレステロールは、食事から摂取されるだけではなく、体内でも作り出されます。コレステロールは、「糖」や「脂肪」を使って肝臓で作られています。
コレステロール値の7割程度はこの肝臓から作られるため、コレステロールのみ制限した食事を努力したとしても、コレステロールが高くなることはあります。

また、食事でコレステロールを多く摂取すると、肝臓で作られるコレステロール量は減少し、逆に少なく摂取すると肝臓で作られるコレステロール量は増加することで、全体のコレステロール量のバランスを保ちます。

参考


高血圧症発症チェック

コレステロールには善玉と悪玉がある

ここがポイント!

  • HDLコレステロール(善玉コレステロール)は、過剰に増えたコレステロールを回収する
  • LDLコレステロール(悪玉コレステロール)は、過剰に増えると「動脈硬化」を進行させる
  • 動脈硬化が進行すると「心筋梗塞」や「脳梗塞」といった命に関わる合併症を引き起こすリスクを高める

コレステロールには、善玉と悪玉と呼ばれるものがあり、これらのバランスが乱れると「脂質異常症」となり、身体に不調を起こしていきます。まずは善玉と悪玉コレステロールの違いと基準値を確認しているいきましょう。

HDLコレステロールとLDLコレステロールの違い

HDLコレステロール

HDLコレステロールは、過剰に増えてしまったコレステロールを回収する働きをして、LDLコレステロールを減らすため、「善玉コレステロール」と呼ばれます。
HDLコレステロールが少なくなると、コレステロールを回収できなくなるため、コレステロール値が上昇してしまいます。

LDLコレステロール

LDLコレステロールは、肝臓で作られたコレステロールを体全体に運ぶ働きがあります。しかし、LDLコレステロールは、血液中に増えすぎると「動脈硬化」を進行させるため「悪玉コレステロール」と呼ばれます。

LDLコレステロールが増えるすぎると要注意

『コレステロールは身体に悪いもの』というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、コレステロールは細胞膜の構成成分であり、他にも様々なホルモンや胆汁酸を作る材料でもあり、生命の維持に必要な「脂質」の一つなのです。

しかし、LDLコレステロールは、血液中に増えすぎると血管の内壁に蓄積して固まり、「動脈硬化」を進行させる要因となり、そのまま放置してしまうと「心筋梗塞」や「脳梗塞」を引き起こすリスクを高めてしまいます。

コレステロールの基準値

LDLコレステロールが140mg/dl以上になると「高LDLコレステロール血症」、HDLコレステロールが40mg/dl未満の「低HDLコレステロール血症」と診断されます。高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症どちらも「脂質異常症」に分類され、動脈硬化を進行させるため適切な治療が必要になります。

<脂質異常症の基準値>
LDLコレステロール 140mg/dl以上 病名:高LDLコレステロール血症
HDLコレステロール 40mg/dl未満 病名:低HDLコレステロール血症

参考


食事制限でコレステロールは下げられるのか

ここがポイント!

  • LDLコレステロールを減らすためには、食事や運動といった生活習慣の改善が重要
  • 肉の脂身や内臓や皮・乳製品・卵黄・ラード・バターなどを控えよう
  • 大豆製品・海藻・野菜・きのこ・こんにゃくなどの食物繊維や、あじ・さんまなどの青魚を積極的に食べよう

高LDLコレステロール血症では効果的

高LDLコレステロール血症の人は、食事を見直すことで、コレステロール値を下げることが出来ます。
高くなったLDLコレステロールを減らすためには、食事や運動といった生活習慣の改善を行うことが優先されます。これらの改善を十分に行っても、LDLコレステロールが高値の場合には薬物療法が開始されます。

控えることが推奨される食品
脂質異常症の特に「高LDLコレステロール血症」の人は、コレステロールと飽和脂肪酸を多く含む肉の脂身・内臓・皮、乳製品、卵黄、ラード、バターといった動物性脂肪の摂りすぎは、LDLコレステロールを上昇させてしまいます。
他にも、 トランス脂肪酸を含む菓子類、加工食品の摂取は抑えるようにしましょう。
積極的に摂取したほうがいい食品
食物繊維は、コレステロールコレステロールの吸収を抑える働きがあるため、積極的に食べることが推奨されています。大豆製品、海藻、野菜、きのこ、こんにゃくなどには多くの食物繊維を含みます。
不飽和脂肪酸は、HDLコレステロールを下げずにLDLコレステロールを減らす働きがあり、あじ・さんまなど青魚に多く含まれるため、積極的に摂取しましょう。

日本動脈硬化学会は、コレステロールの摂取のみ制限しても高LDLコレステロールの改善は期待できないと記載しています。全体的にバランスの良い食事を摂ることが大切になり、伝統的な日本食のメニューを推奨しています。ただし、日本食は塩分が多く含まれるメニューが多いため、塩分量にも注意しましょう。

動脈硬化予防のための制限は必要ない

高血圧や糖尿病や喫煙習慣などといった、動脈硬化の危険になる要因がない人は、食事でコレステロールを特別制限する必要はありません。健康診断などを定期的に受けて、コレステロール値を正常範囲内にキープ出来るように管理していきましょう。

不摂生な食事は動脈硬化が進行するリスクを上げる

冒頭でも触れましたが、生活習慣病の発症・重症化予防を目的とする厚生労働省の「日本人の食事摂取基準2015年版」から、コレステロール摂取の上限値の掲載が無くなりました。しかしこれは、コレステロールを気にしなくていいという訳ではありません。
食事で摂取したコレステロールが血液中のコレステロール値に与える影響は、個人差が大きく、根拠となる具体的な数値が出せないためです。

そのため、コレステロールを気にせずいくらでも食べてもいいという訳ではなく、不摂生な食事を続けていると、動脈硬化や他の生活習慣病を進行させる要因となります。病気を発症していないからこそ、バランスの良い食事を摂りましょう。

参考

高血圧症発症チェック

まとめ

コレステロールは、約7割もが体内で作られているため、食事から摂取するコレステロールのみが高コレステロールになる原因ではありません。
しかし、遺伝や食生活などの何らかの原因により、LDLコレステロール値が高くなっている場合は、動脈硬化の進行を防ぐために食事を見直すことが必要になります。どのような食事に変えたらいいのかは、主治医や管理栄養士に相談してみるといいでしょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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