【産後高血圧とは】産後に血圧が上がる理由や治療法、授乳はできるのかについて解説します

産後に高血圧になる原因には、どのようなものがあるのでしょうか。高血圧は放置すると命に関わる合併症を引き起こす恐れがあります。産後は、家事や育児で忙しいですが、合併症予防のためにも生活習慣の改善や降圧薬による治療が必要です。ここでは、産後の高血圧の疑問について簡単に解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01産後に高血圧になる理由とは
  2. 02産後高血圧の治療法とは
  3. 03降圧薬を飲んでいても母乳はあげられるのか
  4. 04まとめ

産後に高血圧になる理由とは

ここがポイント!

  • 妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。とは「妊娠20週以降産後12週までに高血圧を発症した場合」をいう
  • 産後84日以上たっても高血圧やたんぱく尿などの症状が改善しない場合には、他の病気が隠れている可能性があり精査が必要
  • 出産や育児によるストレスで血圧が上がる場合もある

妊娠高血圧症候群の可能性がある

妊娠中は、もともと高血圧になりやすく妊婦さんの約20人に1人は「妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。」を発症するとされています。妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。とは「妊娠20週以降産後12週までに高血圧を発症した場合」をいいます。この病気は、妊娠中だけでなく産後12週まで含まれています。ただし、出産後12週までにはほとんどの方が改善するとされています。
そのため、日本妊娠高血圧学会では「産後84日以上たっても高血圧やたんぱく尿などの症状が改善しない場合には、他の病気が隠れている可能性がある」ので、詳しく検査することを推奨しています。

 他の病気が原因の二次性高血圧

高血圧には、他の病気が原因で血圧が上昇する「二次性高血圧二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)特定の病気が原因となり引き起こされる高血圧。原因となっている病気の精査や治療が必要。」があります。二次性高血圧二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)特定の病気が原因となり引き起こされる高血圧。原因となっている病気の精査や治療が必要。は、高血圧全体の10%程度であり、血圧の改善には原因となっている病気の治療が必要です。主な原因には甲状腺機能異常、副腎皮質ホルモン分泌の異常、高カルシウム血症、腎臓の疾患などがあります。

産後は血圧が上がりやすい

出産は、体力的にも精神的にも女性にとって大きな負担となります。産後、お母さんの体が出産前の状態に戻るまでの間は、血圧が上がりやすいと言われています。加えて、育児が始まりますので、精神的なストレスや、睡眠時間が短くなるなど血圧が上がりやすい状況が続くと言えるでしょう。

参考

妊娠高血圧症候群とは|日本産科婦人科学会
妊娠と高血圧 国立成育医療研究センター
あなたに合わせた生活・食事指導で高血圧改善

産後高血圧の治療法とは

ここがポイント!

  • 軽度であれば、降圧薬などは使用せず、食事や運動など生活習慣の改善のみで様子をみる場合が多い
  • 収縮期血圧収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)心臓が縮んで、全身に血液を送り出すときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最大の値のこと。160mmHg、拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。110mmHg以上の重度の高血圧の場合には薬による治療が開始される

妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。のほとんどは、出産後12週までに改善します。そのため、軽度であれば、降圧薬などは使用せず、食事や運動など生活習慣の改善のみで様子をみる場合が多いです。しかし、血圧によっては、降圧薬の治療が必要になるケースもあります。日本高血圧学会では、妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。の薬物治療開始の基準を「収縮期血圧収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)心臓が縮んで、全身に血液を送り出すときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最大の値のこと。160mmHg、拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。110mmHg以上」としています。
しかし、前の章でも開設しましたが、ほとんどの妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。は産後に自然と改善していきます。血圧が高い状態が長期間続く場合には、他の病気の可能性がありますので、一度かかりつけ医や専門医に相談しましょう。

参考

日本妊娠高血圧学会

降圧薬を飲んでいても母乳はあげられるのか

ここがポイント!

  • 授乳中でも使用が可能と考えられる降圧薬は複数ある
  • 合併症を防ぐためにも、医師と相談をしながら治療を進めていこう

日本では、以前授乳中の降圧薬の使用は原則禁止されていました。しかし、現在は薬の量や種類によっては、授乳中でも使用できる降圧薬があります。高血圧診療ガイドライン2014では、授乳中でも使用が可能と考えられる降圧薬がいくつか記載されています。授乳中でも使用できる降圧薬としては、Ca 拮抗薬のニフェジピン、ア ムロジピン、ACE 阻害薬のカプトプリル、エナラプリルなどがあります。
このように、産後も高血圧が持続し、重症の場合には状況に応じて降圧薬が処方される場合がありますが、授乳をすることは可能なので、命に関わる合併症を防ぐためにも、医師と相談をしながら治療を進めていくと良いでしょう。

参考

高血圧診療ガイドライン2014|日本高血圧学会(pdf資料)
医師に高血圧の相談をしませんか?高血圧のお悩みを募集しています

まとめ

産後も高血圧が続いている場合には、妊娠高血圧症候群妊娠高血圧症候群(にんしんこうけつあつしょうこうぐん)妊娠20週以降産後12週までに、初めて発症した高血圧をいう。タンパク尿を伴う場合には、妊娠高血圧腎症に分類される。妊婦の約20人に1人の割合で起こり、重症の場合子癇(しかん)、肝・腎機能障害、HELLP症候群などを引き起こす。やその他の病気が原因の二次性高血圧二次性高血圧(にじせいこうけつあつ)特定の病気が原因となり引き起こされる高血圧。原因となっている病気の精査や治療が必要。の可能性もあります。高血圧は放置すると命に関わる合併症を引き起こす恐れがあります。最近では、授乳中でも降圧薬が内服できるようになっていますので、医師と相談しながら治療を進めて行きましょう。

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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