高血圧の診断基準を知ろう|自分の血圧は正常な数値か確認しよう

高血圧は、ほとんど症状が現れないにも関わらず、「動脈硬化」という病気が確実に進行していく病気です。動脈硬化は血管がぼろぼろになっていく病気で、進行するとある日突然、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる怖い病気を発症する恐れがあります。そのため、高血圧は「サイレント・キラー(静かな殺人者)」という別名を持っており、取り返しのつかないことになる前に発見して、血圧を下げる治療をしていくことがとても重要です。
あなたは、現在の自分の血圧がどのくらいの数値であるか把握していますか?また、その数値が高血圧なのかそうでないのか、判断が出来ますか?
高血圧の基準を知らなくては、血圧を測定しても、高いのか低いのかを判断することが出来ません。ここでは、高血圧の基準値を中心に、今日から出来る高血圧の改善法までを確認していきましょう。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01高血圧の基準値
  2. 02年齢別の血圧正常値割合
  3. 03高血圧によって引き起こされる怖い病気
  4. 04今日から出来る高血圧の改善策
  5. 05おわりに

高血圧の基準値

ここがポイント!

  • 高血圧の基準値は、測定条件によって若干数値が異なる
  • 病院で測定する「診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。」における高血圧の基準値は140/90mmHg以上
  • 家で決まった時間に測定する「家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。」における高血圧の基準値は135/85mmHg以上
  • 普段の生活を送りながら14~30分間隔で24時間測定する「24時間行動下血圧」における高血圧の基準値は130/80mmHg以上

日本には、高血圧の人が大勢います。厚生労働省が行った「平成26年患者調査」では、高血圧で治療を受けている人数は、約1,010万人にも及ぶと分かりました。また、厚生労働省は一般向けの健康情報サイト「e-ヘルスネット」によると、治療を受けていない人や自分が高血圧だと気が付いていない人も含めると、高血圧の人口は約4,000万人、つまり日本人の約3人に1人と推定されています。
高血圧はほとんど自覚症状がないため、知らないうちにあなたも「高血圧」になっている可能性も、無いとは言い切れないのです。

それではどうしたら高血圧に気付けるのでしょうか。その答えは、「定期的に血圧を測定すること」です。
しかし血圧を測定しても、その値が高いのか低いのか、判断が出来なくては意味がありません。それを判断するために、高血圧の「基準値」というものが、日本高血圧学会により決められています。

日本の高血圧の基準値は、世界の基準を基にして定められています。時代とともに新たな医学的知見が明らかになり、そうした根拠を基に高血圧の基準値も定期的に見直されて変化してきました。こうした背景から、高血圧の基準値は今後も変わる可能性があるため、最新の基準値を知ることが大切です。現在の最新の基準値は「高血圧治療ガイドライン2014」に記されています。

それでは、具体的に基準値を確認していきましょう。
現在の高血圧の基準値は、測定条件によって若干異なった数値に設定されています。
対象となっている測定条件は、「診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。」「家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。」「24時間自由行動下血圧24時間自由行動下血圧(にじゅうよじかんこうどうかけつあつ)自動血圧計を24時間装着し、15~30分間隔で血圧を測定する。早朝、日中、夜間など、限られた時間の血圧情報が得られるため、医療機関でのみ血圧が高くなる白衣高血圧の診断に有用である。」の3通りです。
それぞれの測定条件と基準値は、次の通りです。

診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。は病院で測定する血圧で、主に医師や看護師などの医療者が測定します。診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。による高血圧の基準値は、140/90mmHg以上です。

家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。は、自宅で毎日同じ時間に測定した血圧です。家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。による高血圧の基準値は、135/85mmHg以上です。

24時間行動下血圧は、普段通りの生活を送りながら15~30分間隔測定した血圧です。血圧の変動が大きく、診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。では高血圧の診断が難しい人に適用されます。24時間自由行動下血圧24時間自由行動下血圧(にじゅうよじかんこうどうかけつあつ)自動血圧計を24時間装着し、15~30分間隔で血圧を測定する。早朝、日中、夜間など、限られた時間の血圧情報が得られるため、医療機関でのみ血圧が高くなる白衣高血圧の診断に有用である。による高血圧の基準値は、130/80mmHg以上です。
血圧の測定条件による分類
一般的に測定されるのは「診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。」と「家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。」ですが、最近では通院で月に1~2回程度しか測定しない「診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。」よりも、家で継続して測定した「家庭血圧家庭血圧(かていけつあつ)家庭で測定した血圧をいう。家庭血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧135mmHg以上かつ/または拡張期血圧85mmHg以上をいう。診察室血圧よりも基準が低い。近年では、家庭血圧の測定値が診断や治療でも重要視されている。」の結果の方が、真のその人の血圧を反映しているとして重要視されています。

※高血圧の基準値についてもっと詳しく知りたい人は「【血圧の正常値を知ろう】20代と70代の正常値や平均値は同じなのか」をご参照ください。

参考


あなたに合わせた生活・食事指導で高血圧改善

年齢別の血圧正常値割合

ここがポイント!

  • 成人の血圧正常値(診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。)は「140/90mmHg未満」
  • 正常値の範囲でも高い順に「正常高値血圧正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)収縮期血圧130~139/拡張期血圧85~89mmHgの血圧。正常域血圧の中で、最も心血管病のリスクが高く、高血圧を発症する確率も高い。」「正常血圧正常血圧(せいじょうけつあつ)収縮期血圧120~129mmHg/拡張期血圧80~84mmHgの血圧。正常な血圧である。心血管病の発症リスクは、至適血圧<正常血圧<正常高値血圧<高血圧の順で低い。」「至適血圧至適血圧(してきけつあつ)収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満の血圧。心血管病の発症率が正常血圧よりも低く、高血圧の発症リスクも低い。 」の3つに分類される
  • 子どもの高血圧の基準値は年齢や性別によって異なる
  • 高齢者の血圧の平均値は成人全体の平均値より高い
  • その理由は、高齢者の血管では動脈硬化が進行しているため

先ほど、高血圧の基準値が測定条件によって若干異なると解説しました。高血圧の基準値や血圧の正常値は、年齢によっても多少異なります。そのため、自分の年齢における正常値の範囲を知る必要があります。

まずは一般的な成人の血圧正常値について見ていきましょう。

〇成人における血圧の正常範囲
成人における血圧の正常範囲(診察室血圧診察室血圧(しんさつしつけつあつ)医療機関で測定した血圧をいう。診察室血圧の高血圧の基準は、収縮期血圧140mmhg以上かつ/または拡張期血圧90mmHg以上。)は、「至適血圧至適血圧(してきけつあつ)収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満の血圧。心血管病の発症率が正常血圧よりも低く、高血圧の発症リスクも低い。 」「正常血圧正常血圧(せいじょうけつあつ)収縮期血圧120~129mmHg/拡張期血圧80~84mmHgの血圧。正常な血圧である。心血管病の発症リスクは、至適血圧<正常血圧<正常高値血圧<高血圧の順で低い。」「正常高値血圧正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)収縮期血圧130~139/拡張期血圧85~89mmHgの血圧。正常域血圧の中で、最も心血管病のリスクが高く、高血圧を発症する確率も高い。」の3つに分類されています。
至適血圧至適血圧(してきけつあつ)収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満の血圧。心血管病の発症率が正常血圧よりも低く、高血圧の発症リスクも低い。 120/80mmHg未満
正常血圧正常血圧(せいじょうけつあつ)収縮期血圧120~129mmHg/拡張期血圧80~84mmHgの血圧。正常な血圧である。心血管病の発症リスクは、至適血圧<正常血圧<正常高値血圧<高血圧の順で低い。 120~129/80~84mmHg
正常高値血圧正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)収縮期血圧130~139/拡張期血圧85~89mmHgの血圧。正常域血圧の中で、最も心血管病のリスクが高く、高血圧を発症する確率も高い。 130~139/85~89mmHg

高血圧治療ガイドラインによると、正常範囲の中でも、最も低い「至適血圧至適血圧(してきけつあつ)収縮期血圧120mmHg未満/拡張期血圧80mmHg未満の血圧。心血管病の発症率が正常血圧よりも低く、高血圧の発症リスクも低い。 」が、高血圧の合併症である心血管病を最も発症しにくく、次いで「正常血圧正常血圧(せいじょうけつあつ)収縮期血圧120~129mmHg/拡張期血圧80~84mmHgの血圧。正常な血圧である。心血管病の発症リスクは、至適血圧<正常血圧<正常高値血圧<高血圧の順で低い。」「正常高値血圧正常高値血圧(せいじょうこうちけつあつ)収縮期血圧130~139/拡張期血圧85~89mmHgの血圧。正常域血圧の中で、最も心血管病のリスクが高く、高血圧を発症する確率も高い。」の順に発症しにくいと示されています。また、血圧が高血圧の基準値に近いほど、一生のうちに高血圧を発症する確率が高いことも分かっています。
血圧値の分類

小児(子ども)の血圧の目安

成人における血圧の正常範囲が確認出来たところで、次に、小児(子ども)の血圧の目安について見ていきましょう。
子どもの血圧は、成人に比べて低い傾向があります。子どもの血管は若く弾力性に富み、また、子どもは血液量も少ないので血圧が高くなりにくいためです。高血圧治療ガイドラインでは、小どもにおける血圧の正常範囲については触れていませんが、子どもの高血圧の基準値については明記しています。

下の表のように、幼児は「120/70mmHg以上」、小学校低学年は「130/80mmHg以上」、小学校高学年は「135/80mmHg以上」、中学校男子は「140/85Hg以上」、中学校女子は「135/80Hg以上」、高校生は「140/85Hg以上」が、それぞれ高血圧の基準値とされています。
子どもでも、この基準値を超えた場合には高血圧の治療をしていくことになります。生活習慣ではなく他の病気が原因で血圧が高くなっている可能性もあるので、子どもの血圧が高い場合には早めに病院で検査を受けるようにしましょう。

子どもの高血圧の基準値
年代 収縮期血圧収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)心臓が縮んで、全身に血液を送り出すときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最大の値のこと。(mmHg) 拡張期血圧拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)心臓が縮んだ後もとの大きさになり、全身から血液が戻るときに血管にかかる圧力。血圧を測定した時の最小の値のこと。(mmHg)
幼児 ≧120 ≧130
小学生(低学年) ≧70 ≧80
小学生(高学年) ≧135 ≧80
中学生男子 ≧140 ≧85
中学生女子 ≧135 ≧80
高校生 ≧140 ≧85

高齢者の血圧の目安

次は高齢者について見ていきます。
年齢を重ねるごとに血管は、弾力性を失い硬くなっていきます。さらに血管の壁も厚くなり、やがて血液の通り道が狭くなる「動脈硬化」という状態になっていきます。動脈硬化は、年齢とともに進行していきます。動脈硬化が進行すると、心臓が血液を全身に送るためにより強い力が必要となり、血圧が上がります(「【高血圧の原因】塩分・アルコール・運動不足などで血圧が上がるメカニズム」を参照)。つまり、高齢になるほど動脈硬化が進み、それに伴い血圧の平均値は高くなることが分かっています。
血圧の平均値が上がっても、高血圧の基準値は変わらないこともあり、年齢を重ねるほど高血圧の人の割合は高くなっていきます。高血圧治療ガイドラインには、65歳~74歳の約66%、75歳以上では約80%以上もの人が高血圧と推定されていると記載されています。

参考


高血圧によって引き起こされる怖い病気

ここがポイント!

  • 高血圧により、血管が次第にダメージを受けて動脈硬化が進行する
  • 高血圧によって動脈硬化が進行すると「心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。」「脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。」などの命に関わる合併症が引き起こされる

高血圧の基準値や年齢による血圧の目安などを確認してきたところで、今度は、なぜ高血圧は早期に発見して血圧を下げていく治療を行う必要があるのかを見ていきましょう。
血圧とは、血液が流れるときに血管の壁を押す圧力のことを言います。つまり、血圧が高いということは「血管の壁に強い圧力が掛かっている」ということです。常に強い圧力にさらされている血管は、そのダメージから少しずつ傷付いていきます。血管に傷が付くと、その部分に脂質が付きやすくなります。するとさらにその周辺の細胞が反応することにより、血管の壁は少しずつ盛り上がっていきます。この部分を中心に、やがて血管は硬くなり、血液の通り道も狭くなって「動脈硬化」に至るのです。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。などの命に関わる病気を発症する可能性が高まります。つまり、高血圧は放置しておくと命の危険を招く恐れがある状態と言えます。そのために、日頃から高血圧の予防や改善をすることがとても重要なのです。

※もっと詳しく知りたい人は「【高血圧とは】高血圧の原因から予防法まで幅広く解説」をご参照ください。
動脈効果の仕組み


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今日から出来る高血圧の改善策

ここがポイント!

  • 高血圧の主な原因は、塩分とカロリーの取り過ぎなので、改善のために減塩・減カロリーを心がけよう
  • 体から余計な塩分を排泄するのを助ける「カリウム」が豊富なほうれん草、バナナなどを食べよう
  • 「ややきつい」程度に感じる強さで、軽いジョギング、水泳などの有酸素運動を毎日30分以上続けよう
  • 運動が苦手で習慣がなかった人は、まずは洗車や掃除など、生活の中で体を動かす量を増やしてみよう
  • お酒は飲み過ぎないように気を付けよう

最後に、今日から出来る高血圧改善のポイントを4つご紹介します。
高血圧を改善するポイント

1)「減塩・減カロリー」を心がけよう

塩分とカロリーの取り過ぎは、血圧を上げる主な原因として知られています。塩分を取り過ぎると体内の塩分濃度を薄めるために体は水分を溜め込み、その結果血液量が増えて血圧が上がります。また、高カロリーな食事を続けると肥満になります。肥満は正常体重に比べ高血圧になりやすいことが統計学的にも示されています。
(詳しくは「【高血圧の原因】塩分・アルコール・運動不足などで血圧が上がるメカニズム」を参照。)

そのため、高血圧予防のためには減塩・減カロリーを普段から心がけましょう。

高血圧予防のために、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は男性8.0g未満、女性7.0g未満です。みそ汁やラーメンの汁を飲み干さない、料理を作る際に調味料をしっかり計測する、調味料は減塩タイプのものを使う、漬物や加工品など塩分量の多い食品を控えるなど、日々の生活で減塩を心がけましょう。

また、肉の脂身やバターなどに含まれる「飽和脂肪酸」という成分は、高カロリーからの肥満につながります。飽和脂肪酸の取り過ぎにも気を付けましょう。
(詳しくは「【高血圧とは】高血圧の原因から予防法まで幅広く解説」を参照。)

2)カリウムの豊富な食材を食べよう

塩分の取り過ぎを解消してくれるミネラルに「カリウム」があります。「カリウム」は塩分(ナトリウム)の排泄を促し、血液量を減らすことで血圧を下げる働きがあります。そのため、高血圧予防のためには、カリウムの豊富な食材を食べるように普段から心がけましょう。
カリウムは、ほうれん草、かぼちゃ、たけのこ、とうもろこしなどの「野菜」と、アボカド、バナナ、メロン、みかん、いちごなどの「果物」に多く含まれています。カリウムは熱に弱く水に溶けやすいので、カリウムを取りたい場合、野菜や果物はなるべく生で食べるようにしましょう。
(詳しくは「【血圧を下げる食べ物】食材から飲み物・レシピ情報まで幅広く紹介」を参照。)

3)1日30分以上、毎日有酸素運動を行おう

適度な有酸素運動の継続は、高血圧予防の鍵となるポイントの1つです。
「ややきつい」と感じる程度の強さの有酸素運動を定期的に(出来れば毎日)、30分以上を目標として行いましょう。合計で1日に30分以上であれば、10分以上の運動を2,3回に分けても良いとされています。まとまった時間が取れない人は、分けて運動するなど工夫をしてみましょう。

有酸素運動は、ウォーキング、軽いジョギング、水泳、自転車などが良いとされています。一方で、普段あまり運動をしていない人がこれらの運動を急に始めると体に与える負担が大きいため、そのような人は、まずは生活の中で体をたくさん動かすことから始めるようにしてみましょう。例えば、1駅手前で降りて歩いて帰る、洗車をする、掃除をする、自転車で買い物に行く、子どもと遊ぶなど、日常生活の中でも意識すれば体を動かす機会はたくさんあります。高血圧予防のために、今日から生活の一部を少しずつ変えていってみましょう。

(詳しくは「【高血圧とは】高血圧の原因から予防法まで幅広く解説」を参照。)

4)お酒は飲み過ぎないように注意

お酒は一時的に血圧を下げる作用がありますが、継続して飲み過ぎていると高血圧につながります。お酒が血圧を上げる詳しいメカニズムについては未だ明らかになっていませんが、これまでの研究により「血管の収縮が高まる」「交感神経が活発になる」「利尿作用によってミネラルバランスが崩れる」などが原因として考えられています。
厚生労働省では、節度ある適度な飲酒量は、1日平均「純アルコールで20g以下」としています。
純アルコール20gは、「ビール中瓶1本」「日本酒1合」「酎ハイ(7%)350mL1缶」「ウイスキーダブル1杯」に相当します。みなさんは日頃どのくらいのお酒を飲んでいますか?1日に酎ハイを2缶飲んだり、日本酒を1合以上飲んでしまう人は要注意です。さらに、女性の場合は20gの半分~3分の2程度の量に留めることが推奨されています。お酒はほどほどに楽しみましょう。

(詳しくは「【高血圧の原因】塩分・アルコール・運動不足などで血圧が上がるメカニズム」を参照。)

参考


おわりに

高血圧の基準値は、140/90mmHg以上です。自分の血圧がどのくらいの値か分からないという人は、この機会に家庭や病院などで血圧を測定して基準値と比べてみましょう。
血圧が高い状態を放置していると、動脈硬化が促進されて心筋梗塞心筋梗塞(しんきんこうそく)心臓に必要な酸素や栄養素を送る血管が、詰まったり、血管径が細くなることで、送られる血液量が減り、心臓を動かす筋肉が死んでしまった状態。典型的な症状としては、締め付けられるような胸の痛みが30分以上持続する。高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や喫煙が危険因子とされている。脳梗塞脳梗塞(のうこうそく)脳の血管が詰まったり、細くなったりして、必要な酸素や栄養素が送られず、脳の細胞が死んだり、障害を受けてしまう状態。障害された脳の部位によって、様々な症状(麻痺や意識障害なぢお)が起こる。などの命に関わる重篤な合併症を引き起こす可能性があります。「血圧が高いけれど、特に症状も現れていないから大丈夫だろう」と放っておかずに、高血圧の人は病院を受診して適切な治療を受けましょう。
血圧が正常範囲であっても高血圧の基準値に近い場合には、一生のうちに高血圧を発症しやすいと知られています。高血圧の予防や改善のために、今日から適切な食事、運動、節酒などを心がけていきましょう。

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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