糖尿病は人工透析の原因1位である|人工透析に掛かる費用やならないために出来ることまでを解説

糖尿病は進行すると、糖尿病特有の合併症を引き起こします。
糖尿病性腎症は、その中の一つであり、腎臓の血管がダメージを受けることで腎機能が低下していく病気です。腎臓の機能は一度失われると二度と回復しないため、腎不全まで進行すると透析治療が必要になるのです。ここでは、糖尿病による腎障害と透析について詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01糖尿病は人工透析の原因の第1位である
  2. 02なぜ糖尿病で人工透析が必要になるのか
  3. 03人工透析ではどのくらいの費用が掛かるのか
  4. 04まとめ

糖尿病は人工透析の原因の第1位である

ここがポイント!

  • 糖尿病性腎症は人工透析の原因疾患の第1位で、4割以上を占めている
  • 日本透析医学会が調査している2016年の「わが国の慢性透析療法の現状」によると、国内で透析を受けている人は、約33万人いる

糖尿病特有の三大合併症の一つである「糖尿病性腎症」は、進行すると腎不全に陥り、人工透析が必要になります。日本透析医学会が調査している2016年の「わが国の慢性透析療法の現状」によると、国内で透析を受けている人は、32万9,609人でした。

また、新たに透析が必要になった方の原因疾患の調査では、糖尿病性腎症が最も多く43.2%という結果で、次いで、慢性糸球体腎炎が16.6%、腎硬化症が14.2%でした。かつては、慢性糸球体腎炎が原因疾患の1位でしたが、糖尿病性腎症の増加により、1998年に順位が入れ替わりました。その後も、2009年あたりまで増加の一途を辿っていましたが、ここ数年は横ばいで経過しています。
このように現在では、人工透析の導入が必要な方の4割以上は、糖尿病が原因なのです。

新たに透析治療が必要になった方の原因疾患

参考

わが国の慢性透析療法の現状|一般社団法人 日本透析医学会
高血圧症発症チェック

なぜ糖尿病で人工透析が必要になるのか

ここがポイント!

  • 糖尿病は血糖値が高い状態が続くため、血管が次第にダメージを受けて動脈硬化を進行させる
  • 腎臓の糸球体がダメージを受けるとろ過する機能が低下し、糖尿病性腎症を発症する
  • 糖尿病性腎症は進行すると腎不全に陥るため、人工透析を行い血液をろ過する必要がある

なぜ、糖尿病で人工透析が必要な状態になってしまうのでしょうか。
ここでは糖尿病のメカニズムからその理由について解説します。

糖尿病は動脈硬化を進行させる

糖尿病は、血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌に異常をきたし、血糖値が高い状態が続いてしまう病気です。血糖値が高い状態が続くと、次第に全身の血管がダメージを受けてしまい動脈硬化が進行します。

腎臓の血管も動脈硬化が進行していく

腎臓には、糸球体という毛細血管が毛玉のように網目状に集まっている部分があります。この糸球体には、血液をろ過し不要な老廃物や塩分を尿として体外に排出したり、必要な水分を再吸収したりする働きがあります。しかし、糖尿病の進行により糸球体がダメージを受けると、ろ過機能が低下し「糖尿病性腎症」を発症してしまうのです。

糖尿病性腎症は初期では自覚症状がほとんどない

糖尿病性腎症は、進行の度合いにより5つのステージに分けられますが、初期段階ではほとんど自覚症状が現れません。むくみ、全身倦怠感、貧血などの自覚症状が現れる頃には第4期まで進行している場合がほとんどです。腎臓の機能は、一度失うと二度と回復することはありません。そのため、第5期まで進行してしまった場合には、人工透析を行い腎臓の代わりに、定期的に血液をろ過し続けなければならないのです。

糖尿病腎症について詳しくは【糖尿病性腎症とは】ステージごとの症状や治療法から人工透析まで解説をご参照ください。

参考

糖尿病診療ガイドライン2016
CKD診療ガイドライン2013|日本腎臓学会(pdf資料)

人工透析ではどのくらいの費用が掛かるのか

ここがポイント!

  • 人工透析にかかる費用は1人あたり1年間で500~600万程掛かる
  • 医療費助成制度を受けることができ、負担額は1ヶ月あたり1万円が上限となる

人工透析とは

前の章でも解説しましたが、人工透析には腎臓の代わりに血液をろ過する役割があります。人工透析には「血液透析(HD)」と「腹膜透析(CAPD・APD)」の2種類があります。
血液透析
血液透析は、血管を透析の機械に繋いで、血液を体外に取り出しろ過する方法です。血液透析は、たくさんの血液を取り出す必要があるため、シャントと呼ばれる動脈と静脈を結びつけた血液量の多い血管を手術により作る必要があります。血液透析は、週に3回程度、1回につき4~5時間程かかります。費用は、1ヶ月あたり約30万円かかります。
腹膜透析
腹膜透析は、腹部に管を通して透析液を注入し、腹膜を介して不要な老廃物や塩分を透析液に移動させることで、血液を浄化させる方法です。腹膜透析の場合、透析液の交換を患者さん自身で、1日に2~4回程行う必要があります。医療機関に行かなくても透析治療が受けられることはメリットですが、自分で行う必要あるため感染などのリスクがあったり、長年の使用はできないため最終的には血液透析か腎移植などの他の方法を選択しなければいけなかったりすることを理解した上で選択することが重要となります。費用は1ヶ月あたり、約40-50万円かかります。

人工透析にかかる費用とは

人工透析にかかる費用は、1人あたり1年間で500~600万程度掛かります。しかし、これらの費用を患者さんが全て負担しなければいけない訳ではありません。透析治療の場合には、医療助成制度を利用
することが出来ますので、実際に負担する金額は1ヶ月あたり1万円程度となります(患者さんの所得により異なりますが、上限は2万円)。詳しく知りたい方は、医療機関やお住まいの区市町村に相談することおすすめします。

参考

血液透析について|東北大学病院(pdf資料)
透析治療にかかる費用|一般社団法人 全国腎臓病協議会
高血圧症発症チェック

まとめ

ここでは、糖尿病の合併症の1つである糖尿病性腎症が進行した場合に必要になる人工透析について説明しました。腎機能が低下し人工透析が必要になると、体への負担が大きくなり、生活の質がとても低下します。しかし、糖尿病になったからといって、必ずしも糖尿病性腎症が生じるわけではありませんし、人工透析が必要になるわけではありません。糖尿病の治療をしっかり行い、適切に血糖をコントロールすれば、腎障害は予防できるのです。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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