コレステロールを下げる薬を飲む必要性はあるのか|効果と副作用から解説

コレステロールを下げる薬での治療が必要になるのは、どの程度の数値なのでしょうか。コレステロールが高めと健康診断などで指摘されてしまった人は、コレステロール値をどの程度にコントロールすることが必要なのか、自分は薬を開始する必要があるのか心配になりますよね。ここでは、コレステロールを下げる薬の効果と副作用から、飲む必要性がある人はどのような人なのか解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01コレステロール薬を飲む基準とは
  2. 02コレステロール薬の種類と効果
  3. 03コレステロール薬の主な副作用
  4. 04コレステロール薬と認知症との関連性
  5. 05コレステロール薬は飲む必要があるのか
  6. 06まとめ

コレステロール薬を飲む基準とは

ここがポイント!

  • 高コレステロール血症の場合、食事療法や運動療法を行っても十分な効果が認められなければ、薬による治療が開始される
  • 脂質異常症では、コレステロール値の「管理目標値」があるが、あくまでも目標であり薬物療法の開始の明確な基準ではない

コレステロールが高いと指摘されても、なるべく薬は飲みたくないと考えている人も多いのではないでしょうか。自分はコレステロール薬を飲む必要があるのか、まずはコレステロール薬の治療が開始されるのはどの程度なのか確認していきましょう。

基本の治療は生活習慣の改善

コレステロール値は、生活習慣の改善で、低下させることが出来ます。健康診断などで医師からコレステロール値が高いと言われたら、まずは食生活を見直したり、運動を習慣的に行ったり、喫煙をする人は禁煙をするといった「生活習慣の改善」から治療を始めます。

日本動脈硬化学会によると、コレステロールが異常値になる「脂質異常症」には管理目標値が示されています。コレステロール値が、動脈硬化疾患のリスクが高い基準値に当てはまる人は、生活習慣の改善やコレステロール薬の使用が考慮されます。

管理目標は大きく分けると、主に生活習慣の改善による治療を行う「一次予防」と、薬物療法も考慮される「二次予防」に分けられます。一次予防の中でも数値により、低リスクから高リスクまで分けることが出来ます。目標となるコレステロールの数値は年齢や性別、病歴などによって変わってきます。以下の表が、脂質異常症の管理目標値となりますので、まずは自分の数値と見比べて、自分がどのリスクに該当するのか確認してみましょう。

しかし、これは薬物療法の治療開始の明確な基準値ではありません。薬の開始のタイミングは人それぞれ変わってくるため、コレステロール薬が開始されるタイミングは、かかりつけの医師の診察で判断されます。

早期から薬物療法が行われる場合もある

コレステロール値が高い場合、基本的には生活習慣の改善を十分に行うことが重要になります。狭心症や心筋梗塞といった「冠動脈疾患」を発症したことがある人は、より動脈硬化疾患のリスクが高くなるため、生活習慣の改善とともに早期の薬物療法が考慮されます。一次予防に当てはまる人でも、「糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、非心原性脳梗塞、末梢動脈疾患(PAD)」のいずれかがある場合では、動脈硬化疾患のリスクが高くなるため、早期の薬物療法が考慮されます。

参考

日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス
国立循環器病研究センター|循環器情報サービス
高血圧症発症チェック

コレステロール薬の種類と効果

ここがポイント!

  • LDLコレステロールを主に下げる薬には、「スタチン」「小腸コレステロールトランスポーター阻害薬」「陰イオン交換樹脂」「プロブコール」などがある

ここでは、コレステロール薬にはどのようなものがあるのかみていきましょう。

LDLコレステロールを主に下げる薬


スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
肝臓で、コレステロールの合成酵素であるHMG-CoA還元酵素を阻害することで、コレステロール合成を抑え、LDLコレステロールや中性脂肪を低下させる
商品名:メバロチン、リポバス、ローコール、リピトール、リバロ、クレストールなど
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
小腸でコレステロールが豊富な胆汁酸の再吸収を抑制することにより、コレステロールを低下させる
商品名:ゼチーア

陰イオン交換樹脂
腸内でコレステロールが豊富な胆汁酸と結合して、コレステロールを便中に排泄させ、低下させ、コレステロールの胆汁酸への異化を促進して、LDL受容体を増やす。
商品名:クエストラン、コレバインなど

プロブコール
LDLコレステロールを胆汁酸として排出させたり、LDLコレステロールの酸化を抑えたりする
商品名:シンレスタール、ロレルコ

参考

日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス
日本動脈硬化学会|Q&A

コレステロール薬の主な副作用

ここがポイント!

  • 使用する治療薬によって、消化器症状など様々な副作用が起こる可能性がある
  • 医師や薬剤師の指示通りに服用し、少しでも体調がおかしいと感じたらかかりつけの医師の診察を受けましょう

薬はその効果の反面、副作用が起こらないように、使用には十分な注意が必要になってきます。ここでは、先ほど紹介したコレステロール薬の主な副作用をみていきましょう。

LDLコレステロールを主に下げる薬の副作用


スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)
消化器症状、筋肉痛や脱力感などミオパチー様症状、 肝障害、認知機能障害、空腹時血糖値およびHbA1c値 の上昇、間質性肺炎など
高齢者や甲状腺機能低下症の人は、骨格筋の細胞が融解、壊死することにより、筋肉の痛みや脱力などを生じる「横紋筋融解症」に注意が必要
小腸コレステロールトランスポーター阻害薬
消化器症状、肝障害、CK値上昇など

陰イオン交換樹脂
便秘や腹部膨満といった消化器症状、肝障害、CK値上昇など
脂溶性ビタミン・ジギタリス・ワルファリン・プラばスタチンの吸収障害があるため、風用の時間をずらす必要がある
プロブコール
消化器症状、QT延長に伴う心室性不整脈、肝障害、CK値上昇など
可逆性のQT延長や消化器症状など

副作用が起こったら、すぐにかかりつけ医に相談しよう

処方された薬は、医師や薬剤師の指示通りに服用することが大切です。しかし、コレステロール薬を飲み始めて、少しでも体調が普段と違うなど、おかしいと感じたら、薬が合っていなかったり、副作用を起こしている可能性もありため、すぐにかかりつけ医に相談するようにしましょう。

参考

日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス
日本動脈硬化学会|Q&A
今日の治療薬2016
高血圧症発症チェック

コレステロール薬と認知症との関連性

ここがポイント!

  • 「コレステロール」がアルツハイマー病や血管性認知症といった認知症に関連しているという報告がある
  • しかし、コレステロール薬と認知症の関連性については、一定の見解は得られていない

認知症は加齢やアルコール依存などによって、発症するリスクが上がります。
コレステロール薬として使用する「スタチン」の副作用に、認知症があるとする報告を見かけます。しかし一方で、スタチン投与により認知症の発症リスクが減ったとする報告もあるようです。スタチンは、LDLコレステロールを下げ、脳卒中の発症を抑制する効果も期待できるため、脳卒中関連認知症の発症を減少させる可能性があるとされています。

認知症には様々なタイプがあり、「コレステロール」がアルツハイマー病や血管性認知症といった認知症に関連しているという報告もあるようですが、今の段階では、コレステロール薬と認知症の関連性については、まだ一定の見解は得られていないといえます。

参考

e-ヘルスネット|認知症
MeyerJSet all.Cardiovascular and other risk factors for Alzheimer's disease and vascular dementia.2000 Apr

コレステロール薬は飲む必要があるのか

ここがポイント!

  • 遺伝的にコレステロールが高くなる家族性高コレステロール血症の場合は、生活習慣の改善のみでの治療が困難なこともあり薬物治療が必要
  • 動脈硬化のリスクが高い場合は、薬による治療が必要になる
  • 薬物療法を開始しても、生活習慣の改善は続けていかなくてはならない

家族性高コレステロール血症の場合は、薬による治療が必要になることがある

コレステロールが高くなる原因は生活習慣だけではありません。不摂生な食生活をしていなくても、遺伝的にコレステロールが高くなる人がいます。「家族性高コレステロール血症」は、小児期から発症することがあり、軽症のケースでは、500人に1人以上もの確率で発症するのです。
家族性高コレステロール血症は、冠動脈疾患を発症するリスクが高くなります。血液中のLDLコレステロールを肝臓で処理できないか処理する能力が低いため、コレステロールが高くなるため食事に気をつけることが重要です。しかし、生活習慣の改善だけでコントロールが難しく、主にスタチンによる薬物療法が開始されます。

動脈硬化のリスクが高い場合は、薬による早期の治療が必要

食事療法や運動療法を十分に努力しても、コレステロール値が改善しない場合、動脈硬化疾患の進行予防のために薬物療法による治療が必要になる場合があります。
動脈硬化は、血管内に「プラーク」と呼ばれるコレステロールや脂肪が固まることで、血液が流れにくくなったり、詰まらせたりしてしまいます。そのため、LDLコレステロールを低下させることで、動脈硬化性疾患を減少させることができます。

あくまでも生活習慣の改善が治療の基本となる

しかし、薬さえ始めればもう安心というわけではありません。あくまでも治療の基本となる生活習慣の改善を続けながら、薬物療法を併用していきます。

参考

日本動脈硬化学会|動脈硬化性疾患予防のための脂質異常症治療のエッセンス
日本動脈硬化学会|家族性高コレステロール血症
日本動脈硬化学会|-脂質異常症治療のQ&A-
高血圧症発症チェック

まとめ

コレステロール値が高いと言われても、多くの人の場合はすぐに薬による治療が必要になるわけではありません。コレステロール値を下げるためには、まずは食事や運動といった生活習慣の改善をすることが重要になります。動脈硬化は何も自覚症状がないまま進行していきますが、重篤な病気に進行してしまう前に対処することが大切です。コレステロール値が高い人は、まずは医療機関を受診し、医師の診察を受けましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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