中性脂肪が増えると何がいけないのか
ここがポイント!
- 中性脂肪が増えすぎると体脂肪として蓄積され、肥満の原因となる
- 肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病を引き起こす
- 中性脂肪の基準値は、50~149mg/dlであり、それを超えると高トリグリセライド血症と診断される
健康診断の血液検査の結果で「中性脂肪(TG)」という項目を、目にしたことはありますでしょうか。中性脂肪は、食品に含まれる脂質、体脂肪の大部分を占める物質のことをいい、一般的に「脂肪」と呼ばれているものです。
中性脂肪は、私たちが生きる上で重要なエネルギー源の一つですが、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると体脂肪として蓄えられ、肥満の原因となってしまいます。肥満は、高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病を引き起こすため、中性脂肪の増えすぎは健康に悪影響を与えると考えられています。
中性脂肪の基準値とは
中性脂肪の基準値は、50~149mg/dlとされています。中性脂肪の値が150mg/dlを超えると「高トリグリセライド血症」と診断されます。健康診断を受けた際には、中性脂肪がどのくらいの値か確認してみましょう。
中性脂肪が増える原因①食事
ここがポイント!
- 過剰にエネルギーを摂取すると、余った分が体脂肪として蓄積される
- 脂肪分の多い肉や魚、揚げ物などは避けて、脂肪分が少ない食品を選ぼう
中性脂肪が増える原因で最も重要なことは「食事」です。
中性脂肪は、肉・魚・食用油などの食品から摂取しています。ですから、脂肪分の多い食事ばかりをとっているとエネルギー過多になり、体脂肪として蓄積されてしまうのです。食事をとる際には、適切なエネルギー量、栄養バランスを考えるようにしましょう。
中性脂肪を増やさないための食事のポイント
脂肪分の多い食品の摂取は、取りすぎに注意が必要です。お肉を選ぶ際には、赤身肉やささみを選んだり、揚げ物は避けたりと脂肪分の少ない食品を選ぶようにしましょう。また、調理をする際に使用する食用油の量も減らしたり、植物性の油に変更したりすることも効果的です。中性脂肪を下げるための食事法について詳しく「中性脂肪を下げる食事法とは|下げる必要性や日常生活で気をつけられるポイントを解説します 」をご参照ください。
中性脂肪が増える原因②運動不足
ここがポイント!
- 中性脂肪は、運動不足により摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうことで増加する
- 中性脂肪を減らすためには、有酸素運動を毎日、少なくとも週に3日以上、30分以上継続することが重要
体脂肪が蓄積する原因は、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ってしまうためです。そのため、食事制限をしても運動不足により消費エネルギーが少ない場合には、体脂肪が減少しないばかりか増えてしまいます。
中性脂肪が基準値を超えると発症する「高トリグリセライド血症」は、脂質異常症の一つです。厚生労働省の健康情報サイト「e-ヘルスネット」では、脂質異常症を改善するための運動方法として、「できれば毎日、少なくとも週に3日以上、運動量は30分以上、運動強度は最大酸素摂取量の約50%(少しきついと感じる程度)の有酸素運動が一般的に勧められている」と記載されています。運動療法は、血液中の脂質量の改善効果が医学的に認められているのです。

中性脂肪が増える原因③ストレス
ここがポイント!
- ストレスは自律神経のバランスを崩し、中性脂肪を増やす原因になる
- ストレスの解消するためには、リラクセーション、運動、睡眠、友達との交流、趣味の時間を作るなど自分の好きなことを行うことが効果的
ストレスは自律神経のバランスを崩し、中性脂肪を増やす原因になると考えられています。
自律神経には、体を活発に動かす「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」の2種類がありますが、ストレス感じると、交感神経が活発に働いてしまうのです。交感神経には、食欲を抑える働きがある一方で、慢性的なストレスが続くと、ストレスホルモンの働きにより脂肪が溜め込まれやすくなります。ストレスを抱えている場合に、太る人や痩せる人がいるのはこのためです。
慢性的なストレスを感じていると、脳は危機的な状態であると錯覚し、栄養をため込もうとするのです。そのため、太りやすくなるだけでなく、ストレス解消のために甘いものを食べたり、お酒をたくさん飲んだりすることも中性脂肪が増える原因となります。