肥満症は治療が必要な病気|肥満の原因や主な5つの治療法について解説

肥満症は、肥満が原因もしくは関連した健康障害が生じており、減量をする必要がある病気をいいます。自分が肥満かどうかは、BMIという体格指数を用いて確かめることができます。肥満は、あらゆる生活習慣病の要因になるだけでなく、体重増加により膝や股関節などにダメージを与える場合もあります。ここでは、肥満症について原因から治療法までを簡単に解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01肥満症は治療が必要な病気である
  2. 02肥満症の原因とは
  3. 03肥満症の治療法
  4. 04まとめ

肥満症は治療が必要な病気である

ここがポイント!

  • 肥満は、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)が25以上のものをいう
  • 肥満症は、肥満が原因、あるいは関連した健康障害が生じており、減量が必要とされる状態
  • BMIが35以上の方は、「高度肥満症」と呼ばれ、診断や治療が必要である

肥満と肥満症の違い

肥満と肥満症は、言葉は似ていますがそれぞれ違う意味があります。
日本肥満学会が策定している肥満症診療ガイドライン2016では、肥満と肥満症を以下のように定義しています。

肥満

脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI=体重(kg)÷身長(m)×身長(m))が25以上のもの

肥満症

肥満症とは、肥満に起因ないし関連する健康障害を合併するか、その合併が予測される場合で、医学的に減量を必要とする病態をいい、疾患単位として取り扱う

上記のように、肥満は一定以上脂肪が蓄積している状態をいいますが、肥満症は、肥満が原因、あるいは関連した健康障害が生じており、減量が必要とされる状態をいいます。

肥満症の診断基準に必須の健康障害とは

肥満症の診断には、肥満により何らかの健康障害が生じていることが条件とされています。

<肥満症の診断基準で必須な健康障害>

①耐糖能異常
②脂質異常症
③高血圧
④高尿酸血症状・痛風
⑤冠動脈疾患・心筋梗塞・狭心症
⑥脳梗塞・脳血栓症・一過性脳虚血発作
⑦非アルコール性脂肪性感疾患
⑧月経異常・不妊
⑨閉塞性睡眠時無呼吸症候群・肥満低換気症候群
⑩運動疾患:変形性関節症(膝・股関節)・変形性脊髄症・手指の変形関節症
⑪肥満関連腎臓病

肥満度の分類

肥満の目安であるBMI(体格指数)では、25以上が「肥満」とされています。肥満は、数値によって肥満度1~肥満度4に分けられています。BMIが35以上の方は「高度肥満症」と呼ばれ、診断や治療が必要であるとされています。自分の体格指数はどのくらいなのか、一度確認してみてはいかがでしょうか。

<肥満度の分類>
BMIの基準 判定
18,5未満 やせ
18,5~24,9 ふつう
25,0~29,9 肥満度1
30,0~34,9 肥満度2
35,0~39,9 肥満度3
40,0~ 肥満度4

参考

肥満症診療ガイドライン2016|日本肥満学会
高血圧症発症チェック

肥満症の原因とは

ここがポイント!

  • 肥満の主な原因は、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れである
  • 過度な飲酒は、体重増加のリスクを上昇させる
  • 肥満の要因には、生活習慣の乱れ以外にも遺伝や性ホルモンが関連している

肥満症の原因は生活習慣の乱れ

肥満の主な原因は、脂肪の蓄積であり、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れが原因となります・ここでは、肥満と関連があるとされている生活習慣について紹介します。

食生活

摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余ったエネルギーは脂肪やグリコーゲンとして内臓や皮下に蓄えられていきます。糖質の摂取が多い、タンパク質の摂取が少ない、早食いなどは肥満と関連していると考えられています。

飲酒

少量〜中等量の飲酒は、お酒を飲まない方と比べても、それほど体重増加のリスクを上昇させません。しかし、過度な飲酒は、体重増加のリスクを上昇させることが明らかになっています。35歳未満の若い女性の場合、お酒を飲まない方に比べて、1日アルコール30g(缶ビール2本程度)以上飲んでいる方は8年間で体重増加リスクが1.64倍であったという研究報告もあります。お酒を飲む方は、お酒と一緒におつまみも大量に食べているケースがあり、肥満になりやすいのです。

運動不足

摂取エネルギーが多くても、消費エネルギーを増やすことで肥満は予防することが出来ます。定期的な運動と食生活の改善には、肥満予防効果が認められています。また、座っている時間と体重増加には関連があり、デスクワークの方は体重増加リスクが高いと考えられています。

遺伝や性ホルモンも関連している

肥満の要因として、生活習慣の乱れ以外にも遺伝的要因や性ホルモンが関連していると考えられています。肥満に関連する遺伝子は複数見つかっており、調べることで肥満になりやすい「体質」であるを確かめることができるサービスもあります。また、加齢により性ホルモンの分泌が減少することで、体脂肪がつきやすくなることも明らかになっています。

参考

肥満症診療ガイドライン2016|日本肥満学会

肥満症の治療法

ここがポイント!

  • 肥満症治療の基本は、食事療法や運動療法などの生活習慣の改善である
  • 肥満症では「食行動質問票」「グラフ体重日記」「30回咀嚼法」などの行動療法が実施される場合もある
  • 食事、運動、行動療法を実施しても、減量効果が得られなかった場合には薬物療法が実施される場合もある
  • 「胃バイパス手術」「スリーブ状胃切除術+十二指腸スイッチ術(スリーブバオパス術)」「スリーブ状胃切除術」「胃バンディング術」などの外科的治療を行うケースもある

肥満症では、食事や運動などの生活習慣の改善が治療の基本となります。また、それだけでは改善されない重度の肥満症の場合には、薬物療法や外科治療が行われる場合もあります。ここでは、それぞれの治療法について簡単に解説して行きます。

食事療法

食事療法は、肥満症治療の基本であり最も重要です。体重減少には、摂取エネルギーを減らすことが最も効果的です「肥満症」と「高度肥満症」でそれぞれ食事エネルギーの算定基準が異なります。1日に摂取するエネルギーのうち、50~60%を糖質、15~20%をタンパク質、20~25%を脂質することが一般的です。また、短期間であれば糖質を40%程度に抑える糖質制限が行われる場合もあります。

一日の摂取エネルギーの算定基準

<肥満症:25≦BMI<35>
・25kcal×標準体重(kg)以下
・3~6ケ月で、現在の体重から3%以上の体重減少を目指す
<高度肥満症:BMI≧35>
・20~25kcal×標準体重(kg)以下
・その他合併症等に応じて、現在の体重から5~10%の体重減少を目指す

食事療法の補助となるフォーミュラ食とは

フォーミュラ食とは、糖質や脂質を抑え、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどを豊富に含んだ必須栄養調合食品をいいます。減量の際に必要なタンパク質の確保や不足しがちなビタミン・ミネラルの補充をすることができるため、肥満症食事療法の補助食品として用いられる場合があります。

運動療法

運動療法は、減量効果だけでなく、肥満に合併する生活習慣病の発症予防にも効果があります。食事療法を併用し、体重の3%~5%の減量を維持することで、糖質・脂質代謝、血圧の改善が期待できます。運動する時間があまり取ない場合には、自転車通勤に変えたり、やや速足で歩いたりするなど。日常の生活活動を増やすように意識しましょう。

行動療法

肥満症の方は、食事内容に偏りがあったり、回数が多かったりと食事行動に問題がある場合が多いです。そのため、体重や食事内容について自分で記録をとることで、自分のどこの問題があるのかを考え、その結果に基づいて生活習慣や食習慣を修正していきます。

肥満症の行動療法では、食行動に関する質問に答えることで問題を客観的に把握するための「食行動質問票」、体重を毎日記録しグラフ化することで、なぜ痩せたのか、なぜ増えたのかを見直すための「グラフ体重日記」、食べ物を30回咀嚼してから食べると決めることで早食いや味覚の回復、満腹感覚の改善などを目的とした「30回咀嚼法」などが実施されます。

薬物療法

食事療法、運動療法、行動療法を行っても、十分な減量効果が得られず、合併症の改善が見られない場合には薬による治療が行われる場合もあります。肥満症治療薬は、内臓脂肪を減らすことで、健康障害や心血管病の予防を目的として使用されす。

外科治療

肥満症の治療では、「胃バイパス手術」「スリーブ状胃切除術+十二指腸スイッチ術(スリーブバオパス術)」「スリーブ状胃切除術」「胃バンディング術」など、手術を実施し外科的治療を行う場合があります。生活習慣の改善や薬物療法など、内科的な治療を行っても減量効果が得られなかった方が対象となりますが、BMIの値だけでは手術適応か判断することはできません。気になる方は、肥満症外来などを受診し、医師に相談すると良いでしょう。

参考

肥満症診療ガイドライン2016|日本肥満学会
東京都病院経営本部
高血圧症発症チェック

まとめ

肥満症と肥満の違いを理解していただけたでしょうか。このように、肥満症は健康障害を生じている状態であり、さらに悪化させないためにも減量を行う必要があるのです。減量では、食事療法が最も効果的です。自分の生活習慣を見直し、早期に肥満症を改善することで、重大な合併症を予防することができます。太り過ぎの方は、今日から生活習慣の改善を意識しましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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