性器カンジダ症とは|どんな病気か正しく知って発症や再発を防ごう

性器カンジダ症という病気を耳にしたことはありますか。性器カンジダ症と聞くと性感染症(STD)というイメージが強いかもしれません。しかし、性器カンジダ症は他の性感染症とは異なる面があります。カンジダ菌は、人の皮膚や粘膜の常在する真菌であり、免疫力に低下などをきっかけにして、誰でも発症する危険がある病気なのです。特に女性への感染率が高く、多くの女性に感染経験があるといわれています。そんな性器カンジダ症について、その「原因」「症状」「検査」「治療」にまとめて説明していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01カンジダとは
  2. 02性器カンジダ症の症状
  3. 03性器カンジダ症の検査
  4. 04性器カンジダ症の治療と薬
  5. 05まとめ

カンジダとは

ここがポイント!

  • カンジダの正体は、真菌(カビ)
  • 性器カンジタ症の性行為での感染率は5~10%程度
  • 女性の5人に1人は性器カンジダ症を経験している
  • 性器カンジダ症の主な原因は免疫力低下、疲労、ストレス

カンジダ菌はカビの仲間である

性器カンジダ症の発症原因は、カンジダ菌の増殖です。カンジダ菌は「真菌」の一種であり、ジメジメした環境を好む「カビ」の仲間です。カンジダ菌は私たちの体のあらゆる場所に存在している菌(常在菌)で、通常は感染や炎症を引き起こす菌ではありません。しかし、風邪や過労などで免疫力が低下すると、性器カンジダ症を引き起こす原因となるのです。

性行為は感染原因の一つである

性器カンジダ症と聞くと、性感染症(STD)をイメージする人もいるかもしれませんが、性器カンジダ症の性行為による感染率は、感染者の10人から20人に1人(約5%〜10%)程度といわれています。
性感染症とは性行為により感染が拡大する感染症のことをいいます。「感染症法」という法律の中で規定されている性感染症は、「A型肝炎、B型肝炎、アメーバ症、HIV、梅毒、淋菌感染症、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマ」です。性器カンジダ症は、この中には含まれていません。

しかし、性器カンジダ症は明らかな性感染症ではないですが、性行為により感染が拡大する可能性がある疾患です。そのため、日本性感染症学会が「性感染症・診断・治療診断ガイドライン」で取り上げている性感染症には性器カンジダ症も含まれています。
性器カンジダ症は女性に多く、5人に1人が経験しているといわれています。その要因として、カンジダ菌が誰にでもいる常在菌であること、感染する年齢が赤ちゃんから高齢者まで幅広いとなどがあげられます。

なぜカンジダ症を発症してしまうのか

常在する真菌(カビ)であるカンジダ菌により、カンジダ症を発症してしまう原因は、免疫力の低下、ホルモンの変化、疲労、ストレス、体調不良などにより、カンジダ菌を含む常在菌のバランスが崩れるためだといわれています。特に体調不良や抗生物質・ステロイド剤の内服による免疫力の低下は、性器カンジダ症が発症しやすい状態だといわれています。

女性の膣内は、常在菌の1種である「乳酸桿菌(にゅうさんかんきん)」の自浄作用が働き、各常在菌の数のバランスが保たれています。しかし薬剤の影響や、ホルモンバランスの変化などにより、乳酸桿菌が死滅・減少して常在菌のバランスが崩れると、カンジダ菌の増殖が起こります。その結果、異常に増殖したカンジダ菌が原因となり、「性器カンジダ症」を発症するのです。

ホルモンバランスの変化には生理や妊娠も大きく影響しています。特に妊娠中は、ホルモンバランスが崩れ、体力の消耗が激しくなるため発症リスクも高くなります。

性器カンジダ症は、女性の場合は外陰部や膣内での発症が多く、膣内で発症する性器カンジダ症は、膣カンジダ症とも呼ばれます。また、膣内と外陰部の両方に症状がある場合を外陰膣カンジダ症とも呼びます。男性の場合は亀頭部の発症が多く見られ、包茎の男性は感染率が高いといわれています。

性器カンジダ症の症状

ここがポイント!

  • 性器カンジタの症状は、男女で異なる
  • 女性は、おりものの量が増えたり、白く濁ったヨーグルト状に変化したりする
  • トリコモナス膣炎や細菌性膣炎など、性器カンジタ症に似た症状を持つ疾患もあるので要注意

カンジダ症になると強い痒みが現れる

性器カンジダ症の症状は、男女で異なります。男性は、症状がでることは少ないと言われています。糖尿病などの病気があるかたは、陰茎(特に亀頭)のかゆみや違和感が現れることがあります。一方、女性の症状は自覚症状が現れやすく、痒みと帯下(おりもの)の増加が特徴的です。おりものの量が増え、その性状は白濁しています。酒粕状、粥状、ヨーグルト状、カッテージチーズ状と、様々な表現がされますが、ドロッとした、悪臭が少ない白いおりものは、性器カンジダ症の特徴的な症状です。
外陰部の症状は、痒みに加えて熱く感じる「灼熱感」や、「赤い腫れ」、「痛み」を伴う場合もあります。外陰部の症状も、性器カンジダ症の特徴といえます。類似する他の疾患では外陰部の変化は見られません

性器カンジダ症に似た疾患に要注意

性器カンジダ症によく似た疾患に、トリコモナス膣炎や細菌性膣炎があります。それらの疾患と性器カンジダ症の違いは「おりもの」の性状です。白濁しドロッとしたおりものが特徴である性器カンジダ症に対して、トリコモナス膣炎は泡状で緑黄色や膿状の性状で、強い悪臭が特徴です。細菌性膣炎では、水っぽく灰色な性状で、生臭いにおいが特徴です。

上記でも説明しましたが、外陰部の変化はトリコモナス膣炎や細菌性膣炎では見られません。まずは「おりものがどのような性状であるか」「痒みの部位はどこなのか」を見ることで、疾患の種類をある程度判断することができます。いつもと違う症状を感じたら、早期に医療機関を受診しましょう。

なぜ性器カンジダは女性に多いのか

性器カンジダ症が、女性に圧倒的に多い理由は、性器の構造の違いにあります。カンジダ菌は湿度の高いところで増殖しやすいという特徴があります。女性の膣内は湿度が高く、カンジダ菌の繁殖に適しています。
一方、男性の場合は女性ほどの湿度の高い環境がありません。しかし、包茎の場合、亀頭と包皮の間は湿度が高くなりやすく、繁殖に適した環境だといえます。そのため、包茎の人は通常の男性よりも性器カンジダ症のリスクが高いといえます。男性が性器カンジダ症にかかった場合は、亀頭部に強い痒みや腫れ、水疱形成などの症状が現れます。

性器カンジダ症は、ホルモンバランスや体力などの回復に伴い、弱っていた免疫力が改善したり、自浄作用が回復したりすれば、自然に症状が軽減する場合もあります。症状が慢性化すると、「おりもの」の量が減る場合もあります。しかし、おりものが減ったからといって性器カンジダ症が治ったわけではありません。適切な治療を行わなければ、炎症が慢性化し、再発を繰り返してしまいます。性器カンジダ症かもしれないと思ったら、病院へ行って検査をし、治療を行うことが大切です。

性器カンジダ症の検査

ここがポイント!

  • 検査には「鏡検法検査」と「培養法検査」がある
  • 検査キットを使用することで、自宅で検査を受けることも可能である
  • 性器に異常を感じた場合には、男性は泌尿器科、女性は婦人科を受診し相談しよう

性器カンジダの検査方法とは

性器カンジダ症の検査は、一般的に「鏡検法検査」と「培養法検査」の2種類があります。

鏡検法検査

1つ目の検査は、膣の中の細胞やおりものなどを直接顕微鏡で観察し、カンジダ菌の有無を確認する「鏡検法検査」です。この検査は、施設によってはその場で結果が分かる場合があるというメリットがあります。一方で、診断が難しく、習熟した技術が必要というデメリットもあります。また鏡検法検査の中には、「染色標本鏡検法」と呼ばれる、菌に色が付くような染色液で細胞やおりものを染めて診断をする方法もあります。

培養法検査

2つ目の検査は、「培養法検査」です。膣内の分泌物などを綿棒で採取し、カンジダ菌が繁殖しやすい特殊な栄養が入ったシャーレ(寒天培地など)を使ってカンジダ菌を培養します。カンジダ菌がいればこの培地で増殖するため、結果を見れば診断がつきます。痛みを伴う検査ではありませんが、判定までの時間は24時間〜48時間程度かかります。一般的にはこちらの検査が主に行われています。

検査キットを使用すれば自宅で検査を受けることも可能

インターネットなどで販売されている「検査キット」を使用すれば、自宅で検査を受けることができます。検査キット業者のホームページにアクセスし、申し込みをすれば、性器カンジダ症専用の検査キットが郵送されてきます。到着した検査キットの指示通りに自分で検査をおこない、検査キットを再度業者に郵送します。検査会社で行われる検査は、基本的には病院で行う培養法検査と同じです。性器カンジダ症の場合は、膣内分泌物で診断することができますので、検査の際に痛みはほとんどありません。

自宅で誰にも見られずに検査を受けられるメリットはありますが、郵送の期間を考えると、病院での検査に比べて結果が出るまでに時間が掛かってしまいます。そのため、結果的に治療を開始するまでの時間も長くなってしまいます。費用に関しても、病院での検査に比べて高額になります。

医療機関は何科を受診すれば良いのか

性器カンジダ症は、男性であれば泌尿器科、女性であれば婦人科で、診察、検査、治療をすることができます。病院での診察を希望する場合は、こちらの診療科への受診が推奨されます。また、性感染症専門の診療窓口を開いている医療機関もあり、こちらを受診することも可能です。

医療機関の受診や検査に、抵抗がある人もいるかと思います。ですが、早期の受診は、早期発見・早期治療につながります。少しでも症状に心当たりのある人は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

性器カンジダ症の治療と薬

ここがポイント!

  • 性器カンジダ症の治療には、抗真菌剤を用いる
  • 再発予防のためには、生活習慣の見直しが必要

カンジダ菌の治療には抗真菌薬が用いられる

真菌であるカンジダ菌の治療には、「抗真菌薬」が使用されます。
抗真菌薬とは、名前の通り真菌を退治する薬です。抗真菌剤の投与方法として、膣内へ直接挿入する「膣錠」や、内服薬、外陰部や亀頭部には外用薬(塗り薬)があります。通常は、膣錠や塗り薬が用いられ、症状が重症な場合などは、抗真菌薬の飲み薬(内服薬)を併用することもあります。治療を開始し、1週間後に症状が継続していようであれば、抗真菌薬治療を継続します。

医療機関で行われる膣洗浄とは

病院での膣カンジダ症の治療では、一般的に「膣洗浄」が行われます。
膣洗浄とは、文字通り膣内を洗浄することです。膣内で増殖したカンジダ菌を洗い流し、症状を鎮める効果があります。特に炎症が強い場合には、膣内を綺麗に洗浄してから膣状を挿入する治療が行われる場合もあります。

カンジダ症の治療薬は市販されている

性器カンジダ症の治療薬として、いくつかの種類が市販されています。これらは「第一類医薬品」に分類されており、薬剤師による薬の安全性に関する説明を受けることが義務付けられています。そのため、薬剤師が常駐しているドラッグストアでなければ購入することはできません。
また、市販されている抗真菌薬には病院で処方される薬と、ほぼ同じ成分が配合されています。そのため、「病院に行かずに治療ができる」と勘違いされる方もいます。しかし、これらの市販薬は「再発治療薬」という取り決めがされているのです。

再発治療薬とは

「再発治療薬」とは、過去に性器カンジダ症の診断や治療を受けた経緯がある人のみ購入できる薬です。初めての発症で、治療歴がないのであれば、市販薬でなく医療機関で診察、治療を受ける必要があります。
再発の場合に市販薬で対応できるというシステムは、非常に便利なシステムではあります。ただ、性器カンジダ症に類似している他の疾患もあります。性器カンジダ症と自己判断をしてしまい、他の疾患の発見や治療が遅れるなどの危険性もはらんでいます。安易に自己判断するのは避けましょう。

性器カンジダ症の再発を防ぐポイント

性器カンジダ症の再発率は40%以上ともいわれています。治療はもちろんですが、再発予防のために、生活習慣や食生活を見直すことで免疫力の低下を防ぐことができます。睡眠不足やストレスは、免疫力低下の原因となるので気をつけましょう。また、清潔な環境を整えることも大切です。通気性の良い下着でムレを防止し、濡れたり汚れたりした衣類はすぐに着替えるようにしましょう。

特に女性の場合は生理前のホルモンバランスの変化に伴い、膣内の環境が変化する場合があります。ピルなどの避妊薬を内服している場合もホルモンバランスを意図的に乱している状態ですので、こちらも注意が必要です。一度発症したということは、発症する原因あったということになります。性器カンジダ症を発症したときと同じ生活習慣を継続していると、再発のリスクも高いと考えられます。再発防止のために、ぜひ生活習慣を見直してみましょう。

性器カンジダ症が発症する原因を理解し、生活習慣を見直すことが予防につながります。日々の生活の中で、性器カンジダ症の対策をすることは決して難しいことではありません。規則正しい生活習慣を送りながら、体を清潔に保つように心がけていきましょう。

まとめ

性器カンジダ症は、性感染症(STD)といわれることもありますが、その原因やメカニズムは他の性感染症(STD)とは異なります。もちろん性行為でも感染の可能性がある病気には違いはありません。加えて再発率も非常に高い病気です。
発症や再発の予防のためにも性器カンジダ症に対して正しい知識を持ち、さらに対策を行うことが大切です。生活習慣の改善やバランスの良い食生活など、日常生活に少し気をつけるだけでも対策になります。免疫力の低下を防ぎ、周囲の環境を整えるだけでも、性器カンジダ症の発症、再発のリスクは大きく低下します。
自分自身の体を守るために、また大切な人を守るためにも、日頃から性感染症に対しての予防対策を実施していきましょう。

参考

性感染症 診断 治療 ガイドライン2016(改訂版)(pdf資料)|日本性感染症学会
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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