性器ヘルペスとは|原因・症状・診断・治療法について解説します

性器ヘルペスは、外陰部などに潰瘍や水疱が現れ、かゆみや痛みを伴う病気です。原因となる単純ヘルペスウイルスは、体内に侵入すると、神経に潜伏するため、一度感染すると再発する可能性が高いやっかいな性感染症の一つです。ここでは、性器ヘルペスの原因、検査、治療法などについて詳しく解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01ヘルペスとは
  2. 02性器ヘルペスは男女で症状が異なる
  3. 03性器ヘルペスの診断方法
  4. 04性器ヘルペスの治療法
  5. 05まとめ

ヘルペスとは

ここがポイント!

  • ヘルペス感染症は、「単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)」というウイルスに感染することで発症する
  • 単純ヘルペスウイルスには「HSV-1」「HSV-2」の2種類がある
  • HSV-1は口唇や上半身に感染しやすく、HSV-2は性器周辺に感染しやすい

単純ヘルペスウイルスの感染により発症する

単純ヘルペス感染症は、「単純ヘルペスウイルス(HSV)」というウイルスに感染することで、主に口周りや性器周辺に水ぶくれや浅い潰瘍などを形成する病気です。単純ヘルペスウイルスは、「HSV-1型」「HSV-2型」の2型に分けられます。

主に口唇ヘルペスと性器ヘルペスがある

単純ヘルペスウイルスの種類によっては、感染しやすい場所が異なります。HSV-1型は、口周りや上半身に感染しやすく「口唇ヘルペス」の原因となります。また、HSV-2型は性器周辺に感染しやすく「性器ヘルペス」の原因となります。しかし、この型による棲み分けは厳密なものではなく、性器ヘルペスの方から「HSV-1型」が検出されることも多くあります。

参考

単純ヘルペスウイルス感染症 |厚生労働省
ヘルペスと帯状疱疹 | 日本皮膚科学会
性器ヘルペスウイルス感染症 |NIID 国立感染症研究所

性器ヘルペスは男女で症状が異なる

ここがポイント!

  • 性器ヘルペスは「性行為」によって感染する「性感染症」の一つ
  • 男性は、包皮、冠状溝、亀頭などにかゆみや違和感を伴う1~2mm程度の小さな水疱が現れ、日数の経過と共に重症化する
  • 女性は、大陰唇、小陰唇、膣前庭部、会陰部に、浅い潰瘍や水疱が複数現れ、子宮頸管や膀胱などにも感染が拡大することも多い
  • 男女ともに、無治療の場合は治癒までに2~4週間程度要する

単純ヘルペスウイルスが、性器に感染した場合を「性器ヘルペス感染症」といいます。
ここでは、性器ヘルペスの症状について男女別に解説していきます。

性器ヘルペスは性感染症の一つ

性器ヘルペスは、「性行為」によって感染する「性感染症」の一つとされています。ヘルペスウイルスは粘膜から体内に侵入すると、知覚神経内に入り込み「神経節」という場所に潜伏します。性行為などがなくても、自分の体に潜んでいるウイルスが活性化することで再発します。
性感染症の主な3つの感染経路についてはSTD(性感染症)について知ろう|病気の種類や検査方法からパートナーへの感染を防ぐために出来ることまでをご参照ください。
性器ヘルペスの発症は、以下の3つに分けられます。

1)初発型:単純ヘルペスウイルスが初めて感染したことで生じる
2)非初感染初発:感染後発症せず潜伏していたウイルスが活性化し、症状が現れる
3)再発型:症状が落ち着いてから、再度同様の症状が現れる

性器ヘルペスは、他の部位のヘルペス感染症の比べて再発率が高いといわれています。

男性の症状

単純ヘルペスウイルスを保有しているパートナーと性行為を行ってから、2~10日間後に外性器に症状が現れるとされています。初めは、かゆみや違和感を伴う1~2mm程度の小さな水疱が現れます。3~5日経過すると、水疱が破れて浅い潰瘍になるため痛みを感じ、徐々に重症化していきます。特に、包皮、冠状溝、亀頭に現れ、発熱や倦怠感を伴う場合もあります。2~4週間で自然に治りますが、性行為などの刺激により再発を繰り返します。再発の場合には、初感染と同じ部位に症状が現れやすく、初感染時に比べると症状は軽く、1週間程度で治るとされています。
肛門性交の場合は、肛門周囲や直腸の粘膜に水疱が出現する場合もあります。

女性の症状

男性と同じく、性行為から2~10日の潜伏期間を経て発症します。大陰唇、小陰唇、膣前庭部、会陰部に、浅い潰瘍や水疱が複数現れます。女性の初発の場合は、比較的突然発症し38度以上の発熱を伴う場合もあるようです。また、性器の外側である「外陰部」だけではなく、子宮頸管や膀胱などにも感染が拡大することもあり、「急性型」と呼ばれます。女性も2~4週間程度で自然に治りますが、再発する可能性があり注意が必要です。再発の場合には、初感染と同じ潰瘍や水疱を1~数個できる、1週間以内に治るとされています。

参考

性感染症 診断・治療 ガイドライン2016(改訂版)PDF|日本性感染症学会

性器ヘルペスの診断方法

ここがポイント!

  • 症状が現れている部分の細胞を綿棒で採取し、原因となるウイルスがいるか調べる
  • 検査は症状が現れているときでなければ受けられないため注意が必要である

性器部分に水疱や潰瘍ができている場合には、性器ヘルペスを発症している可能性があります。性器ヘルペスは、ウイルス感染が原因ですので症状が現れている部分に、単純ヘルペスウイルスがいるかどうかを調べることで判断することができます。
その場で診断できる方法として、2015年に保険収載された迅速検査キットがあります(プライムチェック® HSV)。症状が現れている部位(水疱やびらん部)を綿棒で擦り取り、15分程度で診断が可能です。ただし、症状が現れている時でないと検査を受けることはできないので注意が必要です。その他の診断方法としては、血液検査があります。血液検査は、単純ヘルペスウイルスの抗体の有無を調べることができ、症状がない時でも検査可能です。抗体を調べることで、ヘルペスウイルスに感染しているかどうか確認できます。しかし血液検査は、初感染の回復期にならなければ陽性反応が出なかったり、再発の場合にはもともと抗体が陽性であるため、偽陰性や偽陽性の可能性がある検査です。また、検査に数日を要するため、その場で診断できるような検査ではありません。迅速検査や血液検査はいずれも保険が適応される検査です。経過や症状に合わせて、適切の組み合わせることが大切です。
性器ヘルペスかもしれないと感じる症状が現れた際に、早期に医療機関を受診すると良いでしょう。

参考

性感染症 診断・治療 ガイドライン2016(改訂版)PDF|日本性感染症学会

性器ヘルペスの治療法

ここがポイント!

  • ヘルペスウイルスが増えるのを抑制する「抗ヘルペスウイルス薬」が用いられる
  • 飲み薬と塗り薬があるが、重症の場合には点滴を行う場合もある
  • ウイルスは神経節という場所に潜伏するため、薬で完全に排除することはできない

抗ヘルペスウイルス薬が用いられる

性器ヘルペスの治療では、原因である単純ヘルペスウイルスが増えるのを抑制する「抗ヘルペスウイルス薬」が用いられます。抗ヘルペスウイルス薬には、飲み薬と塗り薬があります。重症の場合には、点滴を行う場合もあります。

治療を行っても再発を防ぐことはできない

抗ヘルペスウイルスによる治療を行っても、ウイルスは神経節という場所に潜伏するため、完全に排除することはできません。そのため、薬を飲んだり、点滴をしたりしても、体の中から完全に排除することはできず、再発を完全に防ぐことにはつながりません。

治療はパートナーの協力が重要

性感染症は、性行為により感染するため、パートナーも感染している可能性があります。性感染症と診断された場合には、必ずパートナーも検査を受けましょう。パートナーも感染していた場合には、同時に治療をしないと、再び感染してしまう危険性もあります。
そして、性感染症をうさない、もらわないためにも、性行為を行う際には必ずコンドームを使用しましょう。

参考

性感染症 診断・治療 ガイドライン2016(改訂版)PDF|日本性感染症学会

まとめ

性器ヘルペスは、単純ヘルペスウイルスに感染することで、性器に痛みを伴った潰瘍や水疱が現れます。無治療では治癒に数週間かかることがあり、治癒したとしても再発することが多い病気です。初発感染では、症状が強く出ることも多く、早期診断、早期治療が大切です。また、治療を行ってもウイルスを体から完全に排除することはできず、再発を完全に予防することはできません。重症化を防ぐためにも、症状が現れたら早めに医療機関を受診しましょう。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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