【初期脱毛とは】フィナステリドやミノキシジルによる治療初期に本当に起こるのかを解説

「初期脱毛」は、AGA(男性型脱毛症)治療薬を使用し始めたときに、外用薬・内服薬問わず副作用として起こり得る一時的な脱毛症状として、個人ブログやいくつかのAGA専門クリニックのホームページなどで紹介されています。それらのサイトでは「薬の効果が現れ始めた証拠」と書かれている場合も多く見受けられますが、果たして発毛効果が医学的に認められているAGA治療薬で本当に「初期脱毛」の副作用は現れるのでしょうか。ここでは「初期脱毛」の医学的根拠について、AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書を参照しながら確かめていきましょう。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01初期脱毛とは
  2. 02「初期脱毛」は本当に起こるのか
  3. 03AGA治療薬の添付文書に「初期脱毛」は記載されているか
  4. 04初期脱毛が生じる期間はいつ頃なのか
  5. 05初期脱毛はミノキシジルやプロペシア以外の薬でも起きるのか
  6. 06初期脱毛によって髪の毛がスカスカになる可能性はあるのか

初期脱毛とは

ここがポイント!

  • 「AGA治療薬による治療開始直後に起こる一時的な脱毛」とされている
  • 「外用薬」と「内服薬」の両方で起こるとされている

まずは「初期脱毛」がどのような症状として扱われているのかを確認しましょう。

AGA治療薬の副作用とされている「初期脱毛」

「初期脱毛」は、薬によるAGA治療を開始して間もなく起こる一次的な脱毛で、副作用の1つとされているようです。
髪の毛は、「毛周期」という成長サイクルを繰り返して生え変わっており、新しい毛が生えてくるためには、古い毛が抜ける必要があります。初期脱毛は、正常な毛周期に戻る過程で「それまで生えていたAGA特有の細くて短い毛が太い毛に生え変わるために抜ける症状であり、薬の効果が出始めている証拠」であると、いくつかのAGA専門クリニックのホームページなどに記載されています。
初期脱毛とは
毛周期について詳しくは「【AGAの原因について】原因物質「DHT」が薄毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまで」をご参照ください。

外用薬でも内服薬でも起こるとされている

AGA治療薬には、塗り薬である「外用薬」と飲み薬である「内服薬」などがあります。外用薬と内服薬は、発毛・育毛効果の仕組みが異なりますが、どちらの薬に対しても、初期脱毛が起こると解説しているサイトが存在します。つまり初期脱毛は、外用薬でも内服薬でも起こり得るとされているのです。

AGA治療薬について詳しくは「AGA治療薬の効果と副作用|主な3種類の薬~ジェネリック薬情報や値段・通販・輸入薬などについて解説」をご参照ください。
脱毛症診断チェック

「初期脱毛」は本当に起こるのか

ここがポイント!

  • AGAの診療ガイドラインには「初期脱毛」についての記載はない
  • 初期脱毛に関連した症状についても記載されていない

ここでは、AGAの診療ガイドラインに初期脱毛および関連症状についての記載があるかどうかを確認していきましょう。

「診療ガイドライン」とは、病気の患者さんやその治療に携わる医療者を支援する目的で系統的に作成された文書で、推奨される治療方針や、科学的根拠に基づいた重要な情報などについて記載されているものです。医師は必ずしも診療ガイドライン通りに病気の治療を行わなければならないわけではなく、ガイドラインにそうした強制力はありませんが、診療を行う上で、意思決定の際に、判断材料の一つとして利用することが出来るものという位置付けになっています。

AGAの診療ガイドラインは、2010年に日本皮膚科学会が策定したものが現行版として利用されています。
この診療ガイドラインには、「初期脱毛」やその関連症状について記載されている部分はありません。また、ガイドラインの参考文献として取り上げられている研究論文にも「初期脱毛」についての報告はありません。診療ガイドラインに記載されていないということは、初期脱毛は、少なくともガイドラインが作られた2010年までに、医学的に証明されたAGAの症状ではないと言えます。2017年3月現在も、初期脱毛についての研究論文はまだ報告されておらず、実際に初期脱毛について記載しているAGA専門クリニックのホームページにもその根拠となる研究論文についての記載は見当たりません。

薄毛治療を受けている20%くらいの方が、最初の2ヶ月くらいは抜け毛が増えた気がするとおっしゃいます。しかし、そのまま薄毛が進行することはありません。厳密にはわかっていませんが、弱い毛が先に抜けて奥から強い毛が出てくると言われています。

参考


AGA治療薬の添付文書に「初期脱毛」は記載されているか

ここがポイント!

  • AGA治療薬の添付文書に「初期脱毛」について記載はない
  • 薬の副作用であれば添付文書に記載されているはずなので、初期脱毛は副作用ではない

「初期脱毛」が起こるとされているAGA治療薬は、具体的に外用薬の「ミノキシジル」、内服薬の「フィナステリド」と「デュタステリド」です。これらのAGA治療薬の添付文書には、「初期脱毛」という言葉やそれに関連した症状についての記載はありません。
薬の「添付文書」とは、薬の用法・用量、薬の効果、副作用、使用上の注意などが記載されている説明書のことで、「薬事法」という法律によって、医薬品の製造会社が作成し、薬に必ず添付するように義務付けられています。薬の添付文書に記載されていないということは、「初期脱毛」が薬の副作用や薬が効く仕組みによって引き起こされている症状であるといった仮説には、医学的根拠がないと言わざるを得ません。

AGA治療用外用薬のミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照下さい。
フィナステリドについて詳しくは「【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説」をご参照下さい。
デュタステリドについて詳しくは「AGA新薬「ザガーロ」(デュタステリド)を徹底解説|正しい飲み方、効果、副作用、価格など~プロペシア(フィナステリド)との比較表付き」をご参照ください。

参考


脱毛症診断チェック

初期脱毛が生じる期間はいつ頃なのか

ここがポイント!

  • 初期脱毛に関連した症状について、AGAの診療ガイドラインや治療薬の添付文書には記載されておらず、明確な副作用とは言えない。
  • 複数のAGA専門クリニックのホームページでは、AGA治療薬を開始後、数週間〜2ヵ月の間で抜け毛の増加を自覚する人が多いと記載している

ここまでの章で解説してきたように、「初期脱毛」に関する症状は、AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書には記載されていません。そのため、初期脱毛はAGAに関連した症状やAGA治療薬の副作用として医学的に解明されていないのです。しかし、複数のAGA専門クリニックのホームページなどで初期脱毛についての解説がなされている事から、実際にAGA治療を受けている方の中には、初期脱毛に関連した症状が現れている方がいる可能性があります。また、初期脱毛は、すべての人に現れるわけでは無く、初期脱毛が生じる期間や脱毛の量も人それぞれ異なるようです。、AGA治療薬を開始して数週間〜2ヵ月の間で、抜け毛の増加を自覚する方が多いとも記載されています。よって、今後症例が集積されると、初期脱毛の病態がより明らかになることも考えらえます。

初期脱毛はミノキシジルやプロペシア以外の薬でも起きるのか

ここがポイント!

  • アロビックスという脱毛症の治療薬でも初期脱毛が生じる可能性がある、と解説しているAGA専門クリニックもある

初期脱毛が起きると言われている主な治療薬は、ミノキシジル配合の外用薬やフィナステリドを有効成分としたプロペシア、デュタステリドを有効成分としたザガーロの内服薬です。しかし、脱毛症の治療に用いられる薬は、これらだけではありません。
AGAのや円形脱毛症の診療ガイドラインにて、治療に用いても良いと評価されている治療薬に「塩化カルプロニウム」があります。塩化カルプロニウム単独の育毛・発毛効果の医学的根拠は十分ではありませんが、日本国内における膨大な診療実績があります。塩化カルプロニウムを有効成分とする外用薬には「アロビックス」があります。アロビックスは、フロジンという外用薬のジェネリック医薬品です。
「初期脱毛」について「アロビックスでも初期脱毛が生じる可能性があり、ミノキシジル配合の内服薬、フィナステリドやデュタステリドを有効成分とした内服薬以外でも生じる可能性がある」と解説しているAGA専門クリニックもあります。
しかし、アロビックス外用液の添付文書には、初期脱毛に関する記載は見当たらず、薬の作用や副作用によって起こる症状ということは医学的根拠は乏しいです。しかし、ミノキシジルと同様に、今後症例が蓄積された場合、塩化カルプロニウムによる初期脱毛の病態が明らかになる可能性はあります。

参考


脱毛症診断チェック

初期脱毛によって髪の毛がスカスカになる可能性はあるのか

ここがポイント!

  • AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書には初期脱毛に関連した症状についての記載は無い  
  • AGA専門クリニックのホームページには、初期脱毛の程度は個人差があり、通常の3倍程度抜け毛が増加したという事例が紹介されている
  • AGA治療薬の治療効果の評価には6ヵ月程度掛かるため、治療開始後に脱毛の症状が現れたとしても、治療を続けることでAGAの症状が改善する場合がある
  • AGAの治療中に脱毛が増えたと感じた場合には、かかりつけの医師に相談しよう

前の章でも解説していますが、「初期脱毛」はAGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書には記載されておらず、医学的解明はなされていません。そのため、初期脱毛によってどの程度の脱毛が生じるのかについても、詳しいことは明らかになっていません。

しかし、AGA専門クリニックのホームページには、「初期脱毛の症状が強く出た方に、一時的ではあるが普段の3倍程度に抜け毛が増加した」との記載も見受けます。また、初期脱毛は治療を始めたすべてのに方に起こるわけではなく、抜け毛の量にも個人差があるようです。
初期脱毛は医学的に解明されていない症状ではありますが、複数のAGA専門クリニックに初期脱毛に関する記載があることからも、実際に初期脱毛を体験している方がいることは事実ではないでしょうか。初期脱毛は、新しい髪の毛が生えてくるために古い髪の毛が脱毛している状態であり、薬が効き始めている証拠でもあるとされていますが、何れにしても治療中に脱毛が増えた場合にはかかりつけの医師に相談すると良いでしょう。また、脱毛の症状が落ち着くまで帽子などでうまく隠すのも一つの方法です。AGA治療薬は、治療の効果を評価できるまで最低でも6ヵ月掛かるとされています。初期に脱毛の症状が現れたとしても、その後AGA症状が改善する可能性もあります。医師とよく相談をして治療を進めていきましょう。

初期脱毛はフィンペシアなどの海外の薬でも報告されているのか   

ここがポイント!

  • 1週間~2か月程度の初期脱毛があると、説明しているインターネットサイトもある  

フィンペシアは、インドのシプラ社が製造販売しているプロペシアと同じ「フィナステリド」を有効成分としたAGA治療のための内服薬です。フィンペシアでも初期脱毛が生じる可能性があると説明しているインターネットサイトもあります。
しかし、そもそもフィンペシアは日本での製造販売が認可されておらず、有効性や安全性が明らかになっていない薬です。つまりフィンペシアについては、初期脱毛に関する症状に限らず、効果や副作用についてすら、国内で検証がなされていないのです。フィンペシアをインターネットの個人輸入代行サイトで購入する事は、とても危険な行為であることを心得ておきましょう。

脱毛症診断チェック

まとめ

「初期脱毛」は、AGAの治療薬を使用し始めたときに起こる一時的な脱毛としてAGA専門クリニックのホームページなどにしばしば記載されており、中には薬が効き始めた証拠だと解説されている場合もあります。
しかし、AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書には、「初期脱毛」という言葉やそれに関連した症状についての記載はありません。つまり、「初期脱毛」が薬の効果によって起きる症状、もしくは薬の副作用であるといった仮説に対する医学的根拠はないと言えます。
初期脱毛についての研究論文などは現在のところありませんが、一方で、実際に診療を行っている現場で見られている症状であるからこそ、クリニックのサイトなどに記載があるとも考えられます。ぜひ、今後の医学的解明を期待したいところです。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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