尖圭コンジローマとは|原因・症状・治療・予防について

尖圭(せんけい)コンジローマは、性感染症(STD)の一つです。性行為またはその類似行為により感染し、自覚症状を感じにくいことが特徴です。国立感染症研究所によると、尖圭コンジローマの感染者は年々増えてきていて、徐々に女性の占める割合が高くなってきているとされ、決して他人事ではない病気です。ここでは、尖圭コンジローマの原因、どのような経路で感染し、どういった症状がでるのか、その治療法・予防法について解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01尖圭コンジローマとは
  2. 02尖圭コンジローマはうつるのか
  3. 03尖圭コンジローマはイボが特徴的な症状
  4. 04尖圭コンジローマの治療法
  5. 05まとめ

尖圭コンジローマとは

ここがポイント!

  • 尖圭コンジローマは、性行為などにより「ヒトパピローマウイルス(HPV)」に感染することにより発症する
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)には100種類以上の型があり、尖圭コンジローマの原因となるのは、主に「HPV6型」「HPV11型」

ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因

尖圭(せんけい)コンジローマとは、梅毒、性器ヘルペス、性器カンジダ症、性器伝染性軟属腫、ケジラミ症といった「性行為感染症(STD)」の一つです。

国立感染症研究所によると、日本では尖圭コンジローマは、年間10 万人あたり30 人程度の発症しています。1999年4月以降、他の性感染症と同様感染者は増えてきていて、徐々に女性の占める割合が高くなってきているとされています。

尖圭コンジローマは、主に性行為などにより「ヒトパピローマウイルス(HPV)」に感染することにより発症します。ヒトパピローマウイルスは、珍しいウイルスではなく、生涯でほとんどの女性が感染するとも言われています。ヒトパピローマウイルスに感染しても、ほとんどが自覚症状もなく、身体の持つ異物を排除しようとする免疫力の働きで、ウイルスが自然に排除されると言われています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)にはたくさんの型がある

ヒトパピローマウイルス(HPV)は、100種類以上の型があります。この全ての型が尖圭コンジローマの原因となる訳ではありません。
「尖圭コンジローマ」の原因となるのは、主に「HPV6型」「HPV11型であり、時に「HPV16型」の感染でも尖圭コンジローマの原因になる可能性があります。

HPVはがんの発症にも関与している

「日本性感染症学会の尖圭コンジローマガイドライン2008」によると、外陰部の尖圭コンジローマを発症している人の約40%では、子宮頸部に病気を併発することがあるとされています。

尖圭コンジローマは、良性の腫瘍なので、自然に治癒することも多い疾患になりますが、原因のHPV型によっては、悪性へと進行することもあることから、注意深く経過観察することが必要になります。HPVは、子宮頸がん以外にも、外陰がん、中咽頭がん、肛門がん、腟がん、陰茎がんなどにも関連があるとされています。

子宮頸癌のリスクの高い型とは

全てのパピローマウイルスの型が、子宮頸がんの原因になるわけではありません。子宮頸癌の発症に関与するHPVの型は、下図のように高リスク型、中間リスク型、低リスク型に分けられています。
高リスク型でも特にリスクが高いとされているのが、HPV16・18・31・33・35・52・58型になります。

<子宮頸癌のリスク>
子宮頸癌になるリスク ヒトパピローマウイルス(HPV)の型
高リスク型 16・18・31・33・35・39・45・51・52・56・58・59・68・73・82
中間リスク型 26・53・66
低リスク型 6・11・40・42・43・44・54・61・70・72・81・89

参考

日本性感染症学会誌|性感染症診断・治療ガイドライン2016
NIID 国立感染症研究所|尖圭コンジローマ
慶應義塾大学病院KOMPAS|ヒトパピローマウイルス(HPV)感染

尖圭コンジローマはうつるのか

ここがポイント!

  • 尖圭コンジローマの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)は、性行為またはその類似行為によって感染する
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染しても尖圭コンジローマの発症には、数週間から3カ月程度かかる
  • 感染予防には、性行為の際にコンドームを使用することが大切になる

尖圭コンジローマは、「性行為感染症(STD)」の一つと解説してきましたが、ここでは他人に感染する危険について確認していきましょう。

性行為により感染する

尖圭コンジローマは、性行為またはその類似行為によって、ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することで発症します。皮膚や粘膜から感染し、性器周辺にイボなどが生じるとこがありますが、自分で感染していることに気づいていないということも多く、知らないうちにパートナーに感染させてしまうことがあります。

感染してから発症するまでの期間

ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染から尖圭コンジローマの発症には、数週間から3カ月程度かかるといわれています。感染してから発症までの潜伏期が長いことや、自分でも気づかないうちに感染していることも多いため、感染を特定できないということも多くなります。

感染を予防するためにできること

尖圭コンジローマは、性行為などにより肌が接触することで、ヒトパピローマウイルス(HPV)が皮膚や粘膜の微小な傷から侵入し感染します。感染を予防するためには、性行為の際にコンドームを使用することが大切になります。コンドームでカバーできない広範囲に尖圭コンジローマの感染がある場合は、コンドームだ けで完全に予防することは出来ません。湿疹などの皮膚炎がある場合は、治療し清潔に保っておくことも感染予防には重要です。

治っても再発するとこともある

尖圭コンジローマは、治癒しても3ヶ月以内に25%も再発することがあることが、「日本性感染症学会の尖圭コンジローマガイドライン2008」に記載されています。治ったからと勝手に通院をやめないで、医師の指示に従って受診を続けるようにしましょう。自分が完治してもパートナーが治っていない場合は、また感染してしまうことになり、パートナーと共に治療をしていくことも大切になります。

参考

日本性感染症学会誌|性感染症診断・治療ガイドライン2016
NIID 国立感染症研究所|尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマはイボが特徴的な症状

ここがポイント!

  • 尖圭コンジローマを発症すると性器周辺にイボが出来る
  • 自覚症状を感じないまま発症している場合もある

尖圭コンジローマの特徴的な症状

尖圭コンジローマは、淡紅色ないし褐色な、乳頭状、鶏冠状の先のとがった特徴的なイボが出来ますが、自覚症状を感じないまま発症している場合も多く、自分自身で病気に気づくことが難しいこともあります。まれにイボが巨大化した場合や、発症した部位により、違和感や痛みやかゆみといった症状を感じることもあります。

イボが好発する部位

・男性の場合
男性では陰茎の亀頭部、冠状溝、包皮内外板、陰嚢部に症状が好発します。

・女性の症状
女性では大小陰唇、会陰、膣前庭、膣、子宮頸部に症状が好発します。
他にも、男女ともに、肛門及び周辺部、尿道口にも出現します。

参考

日本性感染症学会誌|性感染症診断・治療ガイドライン2016
NIID 国立感染症研究所|尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマの治療法

ここがポイント!

  • 症状などにより、外用薬による治療または、外科的治療が行われる
  • 特に自覚症状がなくても検診を定期的に受けよう

日本性感染症学会の性感染症診断・治療ガイドライン2016によると、尖圭コンジローマの治療方法には、外用薬を塗布する薬物療法と外科的療法があります。ここでは、いくつかある治療法についてそれぞれ解説していきます。

液体窒素による凍結療法

液体窒素で凍らせた綿棒を、数秒間いぼに接触させて凍らせ壊死させる。
一度で完治するわけではなく、1~2週間ごとに消失するまで繰り返し治療する。

外用薬治療

イミキモドクリームを週に3回就寝前にイボに直接塗り、起床時に石鹸で洗い流す。
イボの消失までは比較的時間がかかる。

電気焼灼

局所麻酔を行い、イボを電気メスにて焼灼する。

レーザー蒸散術

局所麻酔を行い、炭酸ガスやホルミウムレーザーにて蒸散させる。
治療による周辺組織の損傷が少なく患者負担が軽い。

インターフェロン局所注射

特に難治性の場合に行われることがあるが、医療保険外の治療となる。

参考

日本性感染症学会誌|性感染症診断・治療ガイドライン2016
NIID 国立感染症研究所|尖圭コンジローマ
慶應義塾大学病院KOMPAS|ヒトパピローマウイルス(HPV)感染

まとめ

ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染することにより発症する「尖圭コンジローマ」という性感染症について解説してきました。尖圭コンジローマは、性行為の経験がある女性であれば、過半数以上が生涯のうちに一度は感染しているとされている身近な性感染症の一つです。自覚症状を感じにくいため、定期的に検診などに行き、検査をすることが自身にとってもパートナーにとっても大切です。
Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

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