ザガーロを徹底解説|AGAの内服薬であるプロペシアとの効果、副作用、薬価の違いなど

「ザガーロ」は「デュタステリド」を有効成分としたカプセル状のAGA治療用内服薬です。この薬は2015年に厚生労働省により製造販売が認可され、国内では2016年にGSK社から発売されたばかりの比較的新しい薬です。「プロペシア」を始めとした従来のAGA治療用内服薬「フィナステリド」に比べて、ザガーロの方が高い発毛効果を有すると示した論文報告もなされており、治療効果の高い新薬として期待されています。一方で、ザガーロの薬価はプロペシアに比べて高く、新薬であるためジェネリック医薬品も発売されていないことから、今のところザガーロの経済的負担はやや大きいと言えます。AGAの治療薬は飲み続ける必要があるため、薬を選ぶ上では経済的負担も重要なポイントになります。ここでは、ザガーロの効果、副作用、価格などについて、プロペシアとの比較を交えながら詳しく解説をしていきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01AGA新薬「ザガーロ」とは
  2. 02ザガーロはカプセル状の内服薬
  3. 03ザガーロの効果
  4. 04ザガーロの正しい服用方法と服用上の注意点
  5. 05ザガーロの効果を実感するまでには6ヶ月かかる
  6. 06ザガーロの副作用
  7. 07「初期脱毛」について
  8. 08ザガーロは成人男性専用の薬
  9. 09前立腺がん検診等で注意すべき点
  10. 10ザガーロの薬価
  11. 11ザガーロにジェネリック医薬品はあるのか
  12. 12ザガーロとプロペシア(フィナステリド)の比較表
  13. 13ザガーロとアボルブは同じ有効成分の薬
  14. 14まとめ

AGA新薬「ザガーロ」とは

ここがポイント!

  • デュタステリド含有量0.1㎎と0.5㎎の2種類がある
  • 日本では2015年に製造販売が認可され、2016年に発売されたばかりの新薬

まずは、デュタステリドを有効成分としたAGA新薬の「ザガーロ」とはどのような薬なのかを紹介していきます。

ザガーロはデュタステリドを有効成分としたAGA治療用内服薬

現在日本で認可されているAGA治療用の内服薬は「フィナステリド」または「デュタステリド」を有効成分とした2種類の薬だけです。薬には、薬に配合されている有効成分の名前である「一般名」と各製薬会社が製造販売している名前である「商品名」が付けられていますが、それぞれの一般名と商品名は、下の表の通りです。

日本で製造販売されているAGA治療用内服薬(2017年2月現在)
一般名(有効成分名) 商品名(販売元)
デュタステリド ・ザガーロ(GSK)
フィナステリド ・プロペシア(MSD)
・フィナステリド
(ジェネリック医薬品につき多数)

日本でザガーロの販売が開始された日

ザガーロは、英国ロンドンに本社を置くグローバル製薬会社であるグラクソ・スミスクライン(GSK)株式会社が開発した、「デュタステリド」を有効成分とするAGA治療薬です。日本では、2015年9月に厚生労働省による認可が下りたことで薬の製造販売が承認され、2016年6月にGSK社から販売が開始されました。
日本皮膚科学会によるAGAの診療ガイドラインは、2010年版が現行であるため、2015年に認可されたザガーロについての記載はありませんが、ガイドラインに記載のプロペシア(フィナステリド)と同じく発毛効果が医学的に証明されている薬です。

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ザガーロはカプセル状の内服薬

ここがポイント!

  • ザガーロは、「デュタステリド」を有効成分としたカプセル状のAGA治療用内服薬
  • カプセルは、噛んだり開けたりせずに服用すること

ザガーロは2種類ありデュタステリドの含有量が異なる

ザガーロは「淡橙色又は淡紅色不透明の長楕円形の軟カプセル剤」、つまりカプセル状の薬です。デュタステリドの含有量により2種類に分けられ、0.1㎎含有の「ザガーロカプセル 0.1mg 」はカプセルの色が淡橙色(だいだい色)、0.5㎎含有の「 ザガーロカプセル 0.5mg 」は淡紅色(ピンク色)と、色は異なりますが、形や大きさなどに違いはありません。ちなみに、同じAGA治療の飲み薬であるプロペシア(フィナステリド)はカプセルではなく錠剤です。
ザガーロカプセル
名称 ザガーロ® カプセル 0.1mg ザガーロ® カプセル 0.5mg
カプセル色 淡橙色 淡紅色
全長 約19.3mm 約19.3mm
厚さ 約6.6mm 約6.6mm
質量 599mg 599mg

ザガーロを内服する時の注意点

ザガーロのカプセルを開けて薬剤を取り出すことは危険です。カプセルから取り出した薬剤を服用した場合の安全性・有効性は保証されておりません。また、服用する際にカプセルを噛んでしまうと、カプセルの内容物が口腔咽頭粘膜を刺激する場合もあります。カプセルは、噛んだり開けたりせず内服しましょう。正しい内服方法については、後の章で詳しく説明します。また、ザガーロの有効成分は皮膚からも吸収されるため、妊娠中や妊娠する可能性がある女性や小児はカプ セルに触れないよう注意する必要があります。男性も保管場所などには、十分注意をしましょう。もしも、カプセルから漏れた薬剤に触れてしまった場合には、「直ちに石鹸と水で洗い流す」とザガーロの添付文書に記載されています。

フィナステリドの作用メカニズム、効果、費用などについて詳しく知りたい方は「【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説」をご参照下さい。

参考



ザガーロの効果

ここがポイント!

  • ザガーロはAGA原因物質の「DHT」を作る2型5αリダクターゼの働きを抑える薬
  • ザガーロは1型5αリダクターゼの働きも抑えるが、これが効果に影響するかは今のところ不明
  • 発毛効果はフィナステリド/プロペシアよりもデュタステリド/ザガーロの方が高いと示す研究結果がある

ここでは、ザガーロの発毛効果について、もう1つの内服薬である「プロペシア」と比較しながら確認をしていきましょう。

効果を見る前に簡単におさらい~AGA発症の仕組み

AGAの発症には、DHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンが深く関与しています。そのDHTとはどのようなものなのか詳しく知りたい人はAGAを引き起こす男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」とは~男性ホルモンに共通の役割とDHTの特徴からAGA治療薬がDHTを減らす作用の仕組みまで解説をご参照ください。

全ての毛の根元には、髪の毛を作る指令を出す細胞(毛乳頭細胞)があり、男性ホルモンが成長に影響する毛の場合、毛乳頭細胞の中に「アンドロゲン受容体(AR)」と「2型5αリダクターゼ」が存在しています。ARは、男性ホルモンと結びついて作用するタンパク質で、「2型5αリダクターゼ」は男性ホルモンの一種である「テストステロン」をDHTに変換する酵素です。

「テストステロン」がこうした毛の「毛乳頭細胞」の中に入ると、「2型αリダクターゼ」が働いてテストステロンをDHTに変換し、DHTは「AR」に結びついて、髪の毛の成長を左右する遺伝子に指令を出します。この指令が出されると、ひげや胸毛などの体毛は「成長因子」が誘導されて濃く太くなる一方で、前頭部や頭頂部の髪の毛は「抑制因子」が誘導されて細く短くなってしまいます。これがAGA発症の仕組みです。
DHTへの変換メカニズム
DHTに加えて、他に考えうるAGAの原因について【AGAの原因について】原因物質「DHT」が薄毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまでに詳しく記載されておりますので、ご参照ください。

2型5αリダクターゼを抑えて発毛効果を発揮

ザガーロ(デュタステリド)もプロペシア(フィナステリド)も、ともに「2型5αリダクターゼ」の働きを抑える作用により、作られる「DHT」の量を減らし、これが結果としてAGA症状の改善に繋がると証明されています。
AGA治療薬の作用

AGA治療薬による発毛効果やメカニズムについて詳しくは「【AGA治療における発毛について解説】治療薬としての発毛剤、発毛シャンプーやサプリ、マッサージなどの効果について~医学的根拠の有無まで」をご参照下さい。

ザガーロは2型だけでなく1型5αレダクターゼも抑える

ザガーロ(デュタステリド)もプロペシア(フィナステリド)の作用の大きな違いとして、ザガーロには、2型だけでなく「1型5αリダクターゼ」の働きを抑える効果もあるという点が挙げられます。2型は限られた部位の毛の毛乳頭細胞に存在するのに対し、1型は広く毛の皮脂腺に存在します。1型5αリダクターゼとAGA発症の因果関係については今のところ明らかにされていませんが、次で紹介するように、フィナステリドよりもデュタステリドの方がより発毛効果が高いと示した論文報告もあるため、1型もAGA発症に関与している可能性は無いとは言い切れません。

ザガーロはフィナステリドよりも発毛効果が高い

それでは、フィナステリドよりもデュタステリドを有効成分とするザガーロが効果的であると示した研究報告を見てみましょう。

ザガーロの製造販売を行っているGSK社の研究開発チームが日本を含めた複数の国の大学と共同で行った臨床研究の結果が論文報告されています。この研究では、対象となった20歳~50歳のAGA未治療の男性917人(うち日本人200人)を3つのグループに分けて、それぞれ「デュタステリド(0.02㎎、0.1㎎、0.5㎎)」「フィナステリド1㎎」「プラセボ薬(にせ薬)」を24週間毎日飲み続けてもらい、頭頂部への発毛効果を比較しました。薬の効果は、薬を飲み始める前の頭頂部円内(直径2.54cm)の毛髪数をベースラインとした毛髪数の変化で評価しました。その結果、24週間後の変化毛髪数の平均は以下の通りとなりました。

比較した薬 成分含有量 平均変化毛髪数(本)
デュタステリド(ザガーロ) 0.02mg +17.1
デュタステリド(ザガーロ) 0.1mg +63.0
デュタステリド(ザガーロ) 0.5mg +89.6
フィナステリド 1mg +56.6
プラセボ -4.9
頭頂部への発毛効果
この研究の結果から、一定量以上のデュタステリド(ザガーロ)を飲んだ場合の方が、フィナステリドに比べて発毛効果が高いことが分かりました。また、このとき、にせ薬を飲んでいたプラセボ群の毛髪数は減少しており、治療を行わないと症状が進行することも明らかになりました。

プロペシアで効果が不十分であったり、数年飲んでこれ以上効果が得られなくなった場合、ザガーロに変更したところ発毛が進んだ、さらなる効果を認めた、という声が多数あります。

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ザガーロの正しい服用方法と服用上の注意点

ここがポイント!

  • ザガーロは、1日1回、決まった時間に内服しましょう
  • 飲み忘れた場合、次回に2回分を一度に飲んではいけません
  • 飲む際に、カプセルを開けたり噛んだりしてはいけません
  • ザガーロの内服中および服用中止6カ月後までは、献血をしてはいけません


ここでは、添付文書(薬に関する情報が記載されている文書)に基づいて、「ザガーロ」の正しい服用方法と服用上の注意点を確認していきましょう。
服用上の注意点

服用方法

先ほどお話ししたように、ザガーロにはデュタステリド含有量が異なる「ザガーロカプセル0.1㎎」「ザガーロカプセル0.5㎎」の2種類があります。AGA治療をこれから始める人の場合、通常であればまず「ザガーロカプセル0.1㎎」が処方され、効果が出にくい場合には、医師の判断によって「ザガーロカプセル0.5㎎」に増量することがあります。
内服回数はデュタステリド含有量に関係なくどちらも1日1回です。ザガーロは、食事の影響を受けないため、食前や食後など、薬を飲むタイミングに指定はありません。したがって、1日1回自分で薬を飲む時間を決め、毎日同じくらいの時間に飲むようにしましょう。そうすることで、飲み忘れ防止につながり、また血液中の薬の濃度を一定に保つことが出来ます。

服用上の注意点

ザガーロに限らず、薬を飲む際には、医師に指示された用法用量をきちんと守らなければなりません。ここではザガーロの添付文書に記載の「用法・用量」に関連する注意点を確認していきましょう。

カプセルを噛んだり開けたりしない

ザガーロはカプセル状の薬です。口の中でカプセルを噛んだり開けたりすると、カプセルの内容物が口の粘膜を刺激する場合があるため、噛まずに飲みましょう。

献血をしてはいけない

ザガーロを飲んでいる間は献血することが出来ません。そのため、ザガーロ内服中は献血を避けるようにしてください。また、飲むのを中止した場合も、最後に飲んだ日から6カ月間は献血を行うことが出来ません。ザガーロを内服していた人は、献血に行く際いつまでザガーロを内服していたかを必ず申告しましょう。

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ザガーロの効果を実感するまでには6ヶ月かかる

ここがポイント!

  • 薬の効果を評価できるまでには、6ヶ月以上飲み続ける必要がある
  • 薬の効果は個人差があり、飲み続けても症状が改善されない人もいる

薬の効果が現れるまでの時間には個人差があります。ザガーロは、早ければ飲み始めてから約12週間で改善が認められる人もいますが、研究の結果から、薬が効いているかどうかを評価するためには6カ月以上続ける必要があるとされています。そのため、まずは毎日欠かさずに6カ月間飲み続けましょう。もちろん、途中で体に不調を来した場合には、薬の使用を中止し直ちに医師に相談しましょう。

6カ月以上飲み続けても効果が現れない場合には、他の選択肢も検討する

ザガーロを6カ月以上飲み続けても効果が現れなかった人は、それ以上継続しても効果が表れる可能性が低いと考えられます。AGAは、内服薬以外にもいくつか作用メカニズムの異なる治療法があるため、医師とよく相談をして今後の治療方針を検討していきましょう。

飲み忘れた場合には…

薬を飲み忘れた場合の対処法について、ザガーロの添付文書には記載されていません。一般的には、次の服用まで時間が空いている場合はすぐに飲むようにしましょう。次の服用時間が近い、あるいは来てしまった場合には、飲み忘れた分は追加で飲まず、次の1回分の量(1錠)を飲むようにしてください。飲み忘れたからと言って次の内服時間に2回分飲むような行為はしてはいけないとされています。薬の量が過剰になり、副作用や他の病気を引き起こす可能性があるためです。

ザガーロは「医療用医薬品」に指定されており、使用のためには必ず医療機関で医師による処方を受ける必要があるため、薬が処方された際に、飲み忘れた場合の対処法を主治医に確認しておくと安心でしょう。

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ザガーロの副作用

ここがポイント!

  • ザガーロの主な副作用は、勃起不全や性欲減退などの「性機能不全」
  • その他の副作用として、まれにかゆみや発疹などの皮膚症状や頭痛、めまいなどが起こる

ここではザガーロの服用により現れる可能性がある「副作用」について確認をしていきましょう。

主な副作用

ザガーロの開発の際に行われた国際的な研究では、対象者557人(うち日本人120人)中、95人(17.1%)に副作用が現われたと報告されました。出現した主な副作用とその出現率はそれぞれ「勃起不全4.3%」「性欲減退(リビドー減退)3.9%」「精液量減少(1.3%)」でした。日本人120人だけで見た場合、副作用が現れたのは14人(11.7%)で、主な副作用とその出現率は「勃起不全(5.0%)」「性欲減退(リビドー減退)5.8%」「射精障害1.7%」という結果でした。このように、ザガーロは副作用として主に「性機能不全」が現れる可能性があります

重大な副作用

命に影響を及ぼす恐れのある重大な副作用として、「肝機能障害」「黄疸」など肝臓に関するものが挙げられています。これらの副作用は、使用者からの自発的な報告であるか、もしくは海外からの報告のみで、薬の開発研究時には発生しなかったことから、添付文書には「頻度不明」と記載されています。どのくらいの割合で現れるか分からないとは言え、ザガーロを飲んでいる以上、肝臓に副作用が現れる可能性はゼロとは言えません。飲んでいて全身がだるい、疲労感がある、かゆみ、発熱、尿の色が濃くなるなど、肝機能障害に特徴的な変化を感じた場合には、薬の使用を中止して直ちに医師に相談しましょう。

その他の副作用

その他の副作用として、じんましん、むくみ、頭痛、めまい、腹部不快感などの症状が現れる可能性がありますが、頻度はまれです。

ザガーロの副作用一覧

ザガーロの添付文書に記載されている副作用の一覧表です。
頻度1%以上 頻度1%未満 頻度不明
過敏症 発疹 じんましん
アレルギー反応
掻痒感(かゆみ)
限局性浮腫(むくみ)
血管浮腫(むくみ)
精神神経系 頭痛
抑うつ気分
浮動性めまい
味覚障害
生殖系及び
乳房障害
性機能不全
・性欲減退(リビドー減退)
・勃起不全
・射精障害
乳房障害
・女性化 乳房
・乳頭、乳房痛み
・乳房不快感
精巣痛
精巣腫脹(はれ)
皮膚 脱毛症(主に体毛)
多毛症
消化器 腹部不快感 腹痛、下痢
その他 倦怠感(だるさ)
血中クレアチンホスホキナーゼ増加


ザガーロはプロペシアよりも副作用発現頻度が高い

プロペシアの添付文書には、プロペシアを使用した943人中、5人(0.5%)に副作用が認められ、主な副作用は、「性欲減退(リビドー減退)2名(0.2%)」「肝機能障害2名(0.2%」だったと記載されています。先ほどお示ししたように、ザガーロの副作用出現率は17.1%だったので、比較するとプロペシアよりザガーロの方が副作用出現頻度が高いと示されています。もちろん、副作用の出現率は人種による差や個人差が大きいため一概には言えませんが、統計的にはこのような結果が報告されているということを知っておきましょう。

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「初期脱毛」について

ここがポイント!

  • AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の添付文書に、「初期脱毛」という言葉や、それに相当する症状についての記載無い

初期脱毛はAGAの症状や治療薬の副作用ではない

AGAの治療を考えている人の中には、「初期脱毛」という言葉を聞いたことがあるという人もいるのではないでしょうか。
「初期脱毛」とは、AGA治療薬を使用し始めてから約1カ月後に抜け毛が増える症状と言われており、インターネットのサイトなどに、「初期脱毛は薬が効き始めている証拠である」と書かれているケースもしばしば見受けられます。
しかし、AGAの診療ガイドラインやAGA治療薬の「添付文書」には、「初期脱毛」という言葉や、それに相当する症状についての記載は一切ありません。つまり、薬の作用としても副作用としても「初期脱毛」はこれまでに報告されておらず、AGA治療において「初期脱毛」という症状が現れる可能性については医学的に証明されていないのが現状です

初期脱毛について記載している医療機関がある

複数のAGA専門のクリニックのホームページには、「ザガーロを内服することで、初期脱毛が起こる」と記載されています。実際に、ザガーロを服用している人の中には、「内服を始めて2週間~2ヶ月くらいで普段より脱毛の量が増え、3か月くらいで脱毛が落ち着いた」という症状を訴える人が多いようです。、そのため、「初期脱毛」は「AGA治療薬による治療開始直後に起こる一時的な脱毛」として紹介されています。

脱毛の量について「通常髪の毛は1日に100本程度抜けていますが、内服治療を開始して普段の倍近く抜けることもある」と記載しているAGA専門のクリニックもありました。
初期脱毛が起こるかは、個人差があり、症状が現れない人もいるようです。
「初期脱毛」について、医学的には解明されていません。しかし、複数のAGA専門クリニックがホームページで「初期脱毛」について記載していることからも、AGA治療を受けている方に起きている事実に間違いはありません。AGA治療中に「脱毛が増えた」「薬を続けても症状が改善しない」など少しでも不安に感じたら、医師に相談するようにしましょう。

初期脱毛の内容や、その医学的根拠について詳しくは「副作用の「初期脱毛」はフィナステリド(プロペシア)やミノキシジル(リアップ)による治療初期に本当に起こるのか~怖いと思う前に正しく理解しよう」をご参照下さい。

参考


脱毛症診断チェック

ザガーロは成人男性専用の薬

ここがポイント!

  • 女性と未成年に対してはザガーロの安全性と有効性が確認されていないため、使用が禁止されている
  • 男児を妊娠している女性がザガーロを取り入れると、男児の生殖器の発育に影響が出る恐れがある

ザガーロ(デュタステリド)は、成人男性への使用しか認められていません。ここでは、女性や未成年がザガーロを使用出来ない理由をお話しします。

その理由は、ザガーロの開発の際に行われる評価試験で、女性と未成年に対する安全性と有効性の確認が行われておらず、これらの確認が行われなくては薬の使用が許可されないからです。
また、女性の場合はさらに、男の子を妊娠しているときに「ザガーロ」を体内に取り入れてしまうと、赤ちゃんの生殖器の発育に影響を及ぼす恐れがあると考えられています。薬の成分は皮膚からも吸収されるため、直接触れないように注意する必要があります。添付文書には、カプセルから漏れた薬剤に触れてしまった場合には、直ちに石鹸と水で洗い流すよう記載されています

女性と未成年が使ってはいけないのはザガーロだけでなく、フィナステリドを有効成分とした薬も同様であるため、今のところ国内で許可されている内服薬によるAGA治療を行える人は、成人男性のみとなっています。

女性と未成年がAGA内服薬を飲んではいけない理由について詳しくは【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説に記載されていますのでそちらをご参照ください。

参考



前立腺がん検診等で注意すべき点

ここがポイント!

  • ザガーロを飲んでいると前立腺がんの腫瘍マーカーである「PSA」の値が半減する
  • 6カ月以内にザガーロを内服した人は、前立腺がんの検査時に必ずその旨を申告しましょう

ザガーロの有効成分であるデュタステリドは、前立腺がんの検査に用いられる「PSA」の数値に影響を与えます。ここではザガーロがPSA値に与える影響とその対応について解説をします。

前立腺がんマーカー「PSA」とは

ある種類のがんは、血液中に「がんがありますよ」という目印となる物質を増加させます。これを「腫瘍マーカー」と言い、前立腺がんでは血液中に腫瘍マーカー(前立腺がんマーカー)である「PSA」の値が増加します。早期がんでは症状がなくとも、PSAの値のみが異常を示すことが多く、前立腺がんマーカー「PSA」は早期発見の重要な指標となっています。

ザガーロ服用中はPSA値が下がる

ザガーロ服用中の注意点
ザガーロは「PSA」の値に大きな影響を与えます。
一般的に、血液中のPSAの基準値は4.0ng/mL以下ですが、この基準値を超える場合には前立腺がんの疑いがあると判断され、「前立腺生検」というさらに詳しい検査に進みます。ザガーロを飲んでいるとPSAの値が半分程度に下がってしてしまうことが分かっています。そのため、もし前立腺がんであったとしてもPSA値が正常範囲であると誤って判断され、見逃してしまう可能性が出て来ます。したがって、前立腺がん検査の時には、必ず「ザガーロ」を飲んでいることを申告する必要があります。
ちなみにザガーロに限らず、医療機関を受診した際には、必ず飲んでいる薬をすべて申告するようにしましょう。

服用を中止すればPSA値は元に戻るのか

ザガーロの添付文書には、「ザガーロの服用を中止すると、PSA値は6カ月以内に服用開始前の数値に戻る」と記載されています。

前立腺がんは、命に関わることもある病気です。正しい検査結果を得るためにも、ザガーロを内服している場合、または6カ月以内に飲んでいた場合には必ずその旨を申告しましょう。

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脱毛症診断チェック

ザガーロの薬価

ここがポイント!

  • ザガーロは医療保険が適用にならないため、医療機関ごとに自由に価格設定できる
  • 価格の目安は、1カ月当たり9,000円~1万円程度

AGA治療では、効果が認められている内服薬や外用薬であっても、公的な医療保険が適用されず「自由診療」に該当します。そのため、AGAの内服治療薬である「ザガーロ」も医療保険が適用にならず、国によって定められた薬価がないため、医療機関ごとに自由に価格が設定されています。とは言え、ある程度の相場はあり、ザガーロの価格の目安は1カ月当たり9,000~1万円程度で、年間にすると、10万8,000円~12万円程度の費用が掛かる計算になります。
自由診療は、治療に掛かる費用が全て自己負担になるので、医療保険が適用される治療よりも経済的負担が大きいです。また、ザガーロは「薬の効果が証明されるまでに、6ヵ月以上服用を継続する必要がある」ため、薬が効くかどうか調べるだけでも、ある程度の費用が掛かると考えられます。また、治療効果があり、症状が改善されたとしても、内服を継続しないと脱毛が再発することも明らかになっています。治療を続けていくためにも、自分の経済状況とよく相談した上で無理のない治療法を選択することも重要なポイントです。
薬代に加えて、通院費用や診察料が必要になる場合もあるため、ある程度の負担が掛かることを心得ておきましょう。

AGA治療にかかる費用の相場や、治療毎の費用の比較について詳しくは【AGAの治療にかかる費用】年間費用の相場を治療法別に比較~ジェネリック情報や確定申告についてもをご参照ください。

ザガーロにジェネリック医薬品はあるのか


ここがポイント!

  • ザガーロは、新薬で特許が切れていないため、ジェネリック医薬品が発売されていない(2017年8月現在)
  • ジェネリック医薬品とは、「先発品の特許期間が満了となった後に製造販売される、先発品と同等の治療効果が認められている薬」

薬の種類によっては、ジェネリック医薬品という「新薬(先発品)の特許期間が満了となった後に製造販売される、先発品と同等の効果が認められている薬」があります。ジェネリック医薬品は、先発品に比べると薬の研究開発費用が大きく抑えられるため、低価格に設定されています。そのため、AGA治療は医療保険が適用になりませんが、ジェネリック医薬品を選ぶことで、経済的負担をわずかながら軽減することはできます。しかし、「ザガーロ」は、日本で2015年に認可が下りたばかりの新薬で、まだ特許が有効なため、今のところジェネリック医薬品はありません

ちなみに、AGA治療薬のうち、現在国内でジェネリック医薬品が製造販売されているのは「フィナステリド」のみです。発毛効果と経済的負担を考慮しつつ、十分に医師と相談し納得いく治療法を選択していきましょう。

フィナステリドのジェネリック医薬品の効果などの特徴や費用などについて詳しくは【フィナステリド(プロペシア錠)の治療効果と副作用】AGA内服薬の基本情報からミノキシジル(リアップ)との併用、ジェネリック情報や輸入薬(フィンペシア・フィナロ)の使用についてまで幅広く解説をご参照ください。

参考



脱毛症診断チェック

ザガーロとプロペシア(フィナステリド)の比較表

ここがポイント!

  • ザガーロの方がプロペシアより発毛効果が高い
  • ザガーロの方がプロペシアより価格も高い

ザガーロとプロペシアを表で比べよう

AGA治療用内服薬「ザガーロ」と「プロペシア」の違いを表で見てみましょう。
商品名 ザガーロ プロペシア
一般名(有効成分) デュタステリド|フィナステリド
分類 医療用医薬品 医療用医薬品
販売会社 GSK社 MSD社
形状 カプセル剤 錠剤
承認取得日 2015年9月28日 2005年10月11日
ジェネリック医薬品 なし あり
発毛効果 プロペシアより高い ザガーロより低い
効果のメカニズム テストステロンをDHTに変換する「2型5αリダクターゼ」の働きを阻害
*「1型5αリダクターゼ」の働きも阻害する作用があるが、AGA症状改善との関係は証明されていない
テストステロンをDHTに変換する「2型5αリダクターゼ」の働きを阻害
用法 1日1回服用 1日1回服用
主な副作用 性機能不全
(性欲減退・勃起機能不全)
性機能不全
(性欲減退・勃起機能不全)
費用(1カ月) 9,000円-1万円程度 6,000円-1万円程度

ザガーロとプロペシアは似ている部分が多くありますが、大きく異なるのは効果と費用であると言えるでしょう。先ほどお話ししたように、ザガーロはプロペシアよりも発毛効果が高いという論文があります。また、プロペシアはザガーロより安価で、さらにジェネリック医薬品も複数販売されています。
治療法を考えていく際の参考にしてみてください。

ザガーロやプロペシアなどの内服薬に加えて、発毛効果が医学的に証明されているAGAの治療法について詳しくは【AGAの治療について】3つの治療方法・期間・薬の効果と副作用から保険適用まで網羅的にをご参照ください。

参考


ザガーロを通販で購入する事は出来るのか

ここがポイント!

  • ザガーロは医療用医薬品に分類され、医師による処方が必要なため通販で購入することは出来ない

ザガーロは「医療用医薬品」であり医師の処方が必要な薬なので、インターネットを介して購入することはできません。しかし、ザガーロと同じデュタステリドを有効成分としている薬を海外から個人輸入する形で、購入することはできます。
薬の個人輸入は、一般的な医薬品であれば一部の薬品を除き、法律で禁止されていないため、購入することは可能です。しかし、国内の正規品と違い、海外製品には品質や有効性及び安全性の確認がされていません。服用しても期待する効果が得られないだけでなく、有害な物質が含まれている可能性もあり健康被害につながることもあります。個人輸入した薬は、偽造品の可能性もあるため服用することは大変危険です。ザガーロの正規品は、病院の皮膚科やAGA専門のクリニックを受診し、医師に処方せんを発行してもらい、薬局で購入するしか方法がありません。ザガーロの服用を検討されている方は、必ず医療機関を受診し医師による診察を受けるようにしましょう。

参考


脱毛症診断チェック

ザガーロとアボルブは同じ有効成分の薬

ここがポイント!

  • 「アボルブ」は、ザガーロと同じデュタステリドを有効成分とした薬
  • アボルブは前立腺肥大症の治療にのみ処方される保険適用の薬

アボルブとザガーロの関係

「デュタステリド」を有効成分としている薬は、「ザガーロ」の他に「アボルブ」があります。アボルブは、ザガーロと同じGSK社により「前立腺肥大症治療薬」として開発された薬で、米国で2001年に承認されました。日本では少し遅れて、2009年に厚生労働省により承認されています。有効成分は「ザガーロ」と同じですが「アボルブ」は「前立腺肥大症」の治療薬として処方されるため、公的な医療保険が適用となります。一方で、「ザガーロ」は「AGA治療薬」として処方される薬なので保険が適用されないという違いがあります。
同じ「デュタステリド」でも、「アボルブは保険が効く前立腺肥大症の薬」「ザガーロは保険が効かないAGAの薬」というわけなのです。

有効成分は同じでも「前立腺肥大症」の薬

アボルブとザガーロの有効成分である「デュタステリド」は、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の産生を抑制する作用があります。。 そのため、アボルブを服用後に髪の毛が増えるといった副次的な効果が現れる場合があります。しかし、先程も解説しましたがアボルブは本来、前立腺肥大症の薬としての認可を受けている薬です。AGAの治療に用いられることが開発の際、想定されているものではありませんので、「前立腺が肥大していない方がアボルブを服用した場合の、有効性及び安全性は確認されていない」とアボルブの添付文書に記載されています。

海外で売られているデュタステリド

デュタステリドが有効成分であるという海外の薬が、AGA治療薬としてインターネットなどで売っているのを見かける場合もあると思います。しかし。海外の薬を個人輸入するのは大変危険です。前の章でも薬の個人輸入について説明しましたが、日本で売られていないということは、日本で認可されていない薬、つまり安全性や有効性が国内で確認されていない薬であることを意味しています。また、送られてきた薬が本当にその薬であるという保証もありませんし、個人輸入をして、自己判断で薬を飲むことで副作用が起きたり、新たな病気の原因になったりと健康被害を及ぼす可能性もあり、そうなったとしても全て自己責任です。AGA治療の飲み薬は、必ず医療機関を受診して医師に処方してもらいましょう。

AGA治療薬を個人輸入することの危険性について詳しくはAGA治療薬の効果と副作用|主な2種類の薬~ジェネリック薬情報や値段・通販・輸入薬などについて解説をご参照ください。

参考


まとめ

ザガーロは、発毛効果が医学的に証明されている新しいAGA治療用の内服薬で、その効果は従来薬の「プロペシア」に比べて高いと知られています。ザガーロの主な副作用は、勃起不全や性欲減退などの性機能不全で、プロペシアとほぼ同じですが、一方費用面では、プロペシアより価格が高く、新薬のためジェネリック医薬品がないという点で経済的負担が大きい薬です。また、ザガーロもプロペシアと同じく女性と未成年に対する安全性と有効性が証明されていないため、成人男性しか使用することが出来ません。これらを踏まえて、新薬「ザガーロ」を選択肢に入れつつ、医師と相談しながら治療法を選択していくのが良いでしょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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