医療用かつらについて|AGAや円形脱毛症の場合に保険適用になるのかなどを解説

円形脱毛症やがんなどで闘病中の人は、病気そのもの、および抗がん剤などによる治療そのものの苦しさに加えて、髪の毛が抜けてしまうことに対するつらさも感じます。医療用かつら(ウィッグ)は、そうした人々の日常を少しでも豊かにし、前向きに治療をしていこうという気持ちを手助けするアイテムになり得ます。実際にAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症の診療ガイドラインでは、薬による治療効果が現れなかった人や、治療効果が得られるまでの人に対してかつらの使用が推奨されています。
今では医療用かつらの位置付けがはっきりとし、品質基準が定められていますが、数年前まではまだ明確でなかったため、現在でも「医療用かつら」とうたっているにも関わらず、使用目的がおしゃれ用であるものや品質が悪いものも出回っています。
ここでは医療用かつらにについて、おしゃれ用との違いから、毛質・性別・年齢による特徴の違い、購入方法や費用の目安などまで、幅広く解説をしていきます。品質基準を満たし、かつ自分に合う医療用かつらを選択出来るように、医療用かつらについて正しく理解しましょう。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01医療用かつらとは
  2. 02医療用かつらの髪の材質とその特徴
  3. 03男性用・女性用・子ども用医療用かつらの特徴
  4. 04医療用かつらの購入方法
  5. 05医療用かつらの値段の相場
  6. 06医療用かつらは医療費控除や保険適用の対象となるのか
  7. 07へアドネーション:髪の毛の寄付について
  8. 08まとめ

医療用かつらとは

ここがポイント!

  • 医療用かつらは、病気や治療などによって脱毛した人が使用するかつら
  • おしゃれ用かつらとの一番の違いは「JIS規格」の有無
  • JIS規格に適合している医療用かつらはより安全に長期間使用出来る
  • 医療用かつらの中にもJIS規格を取得していない商品があるためMedウィッグマークを確認しましょう

かつら(ウィッグ)には主に「医療用」と「おしゃれ用」がありますが、医療用かつらとはどのようなものなのか、両者の違いを確認しながら見ていきましょう。

医療用かつらとは

「医療かつら」とは、一般的に円形脱毛症などの病気や抗がん剤の治療などによって脱毛した場合に使われるかつらを指します。数年前まで、医療用かつらには明確な位置付けや品質基準がなかったため、しばしば粗悪なかつらが医療用として出回っており、品質基準を設けることが課題でした。こうした品質改善を求める流れを受け、医療用かつらに「JIS規格」という品質基準を定めるに至りました。

JIS規格とは

「JIS規格」とは、「日本工業規格」の略語で、さまざまな物や事柄について主務大臣(対象となる物事を担当する省庁の大臣)が、「工業標準化法」という法律に基づいて効率性、公平性、安全性などが確保出来るように策定した標準的な決まりです。私たちの身近には接着剤、ノート、電池などJIS規格を持つものが数多く存在していますが、例えば接着剤のJIS規格では接着の強度、耐久性、塗布性、材料に対する影響などが定められています。JIS規格があることによって、消費者が安全に製品を使用することが可能になるのです。

医療用かつらのJIS規格

医療用かつら及び附属品に対しては、2015年4月20日に経済産業省によりJIS規格が承認・制定され、これにより明らかな品質基準が設けられました。医療用かつらのJIS規格番号は「JIS S 9623」です。
JIS規格により医療用かつらは、例えばネット部やスキンベース部など直接肌に触れる部分についてパッチテストを行って、皮膚への刺激の強さが一定基準以下であることを確かめるように定められています。また、有害物質ホルムアルデヒドがかつらから出ないかどうかの試験や、洗濯や汗に対する耐久性の試験なども、定められた方法により行われ、品質基準を満たしているかどうか確認されます。
医療用かつらの構造
JIS規格が設けられたことで、医療用かつらは直接皮膚に付けて使用しても安全であり、また洗濯や汗などに強いため長期間使用することが出来るかつらであると保証出来るようになりました。

おしゃれ用との大きな違い

「おしゃれ用かつら」と言われるものは、基本的にJIS規格を満たしていません。使用する対象者も、病気や治療によって脱毛した人だけではなく、イベントなどでヘアスタイルを変えたい人や、日によって雰囲気を変えたいという人などまで広範囲であるため、かつらの構造や使いやすさよりも、ファッション性により重点を置いている商品が多いと言えます。
もちろん、全てのおしゃれ用かつらの品質が医療用に対して劣るというわけではありません。医療用、おしゃれ用どちらであっても、それぞれの商品が持つ性能や特徴を確認して、目的に合ったものを購入することが大切です。

医療用かつらの見分け方

医療用とおしゃれ用のかつらの違いが分かったところで、次はJIS規格を満たした医療用かつらを見分ける方法を見ていきましょう。

JIS規格は、規格を満たさない商品は「医療用かつら」という名称を付けることを禁止するものではないため、医療用かつらと宣伝・販売されているかつらの全てがJIS規格を満たしているわけではありません

医療用・おしゃれ用かつらとJIS規格の有無
医療用かつら ・JIS規格を取得している商品
・JIS規格を取得していない商品(※購入の際に要確認)
おしゃれ用かつら ・JIS規格を取得していない商品

品質が保証された医療用かつらの購入を希望する場合は、JIS規格に適合しているかどうかを確かめましょう
JIS規格を取得しているかどうかは、日本毛髪工業協同組合(Med認証部会)が、JIS規格で規定されている試験に通った商品だけに表示を許可している「Medウィッグマーク」を確認します。
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出典:日本毛髪工業協同組合

参考



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医療用かつらの髪の材質とその特徴

ここがポイント!

  • 人毛かつらは本物の髪の毛を使っており、見た目や手触りが自然
  • 人工毛かつらは合成繊維を使っており、形の持続性や耐久性が良く値段も安い
  • 人毛と人工毛を合わせたミックス毛かつらもある

医療用かつらに使われる髪には「人毛」と「人工毛」の2種類があります。それぞれどのような特徴があるのか、メリット・デメリットを含めて見ていきましょう。

人毛

人毛とは本物の人間の髪の毛です。そのため、人毛かつらは見た目や髪の毛に触れた時の手触りが自然であるという特徴があります。特に部分的なかつらの場合は、かつらと自分の髪の毛との境目が目立たないというメリットがあります。一方で、本物の髪の毛なので、日光に当たったり、カラーリングなどを行ったりすることによって色あせてくるという面もあります。また、人の髪の毛を集めるのにコストがかかるため、かつらの値段も人工毛と比較すると高くなっています。

人工毛

人工毛は人の髪の毛ではなく、アクリルやポリエステルなどの合成繊維で出来ている髪の毛です。合成繊維を使っているので費用が比較的安く抑えられ、また、一度スタイルを整えるとその形を持続しやすく、耐久性もあるため長期間使えるというメリットがあります。一方で、本物の髪の毛ではないため不自然な光沢感が目立つことがあり、見た目や手触りなどの点で人毛よりも違和感があります。

ミックス毛

ミックス毛とはその名の通り、人毛と人工毛を「ミックス」したものです。両者の良さを併せ持っているため、人毛と人工毛のどちらを選択するか悩んでいる人は一度ミックス毛を試してみても良いかも知れません。ミックス毛を選択する場合には、人毛と人工毛がどれくらいの割合で入っているかによって見た目や手触りだけでなく、値段も変わってくるので購入前に実物を確認しましょう。

人毛・人工毛のメリットとデメリット


人毛と人工毛のメリットとデメリットを表で比較してみましょう。
メリット デメリット
人毛 ・見た目や手触りが自然
・自毛と馴染みやすい
・パーマやカラーリングでスタイリング自在
・スタイリングが崩れやすい
・価格が高い
・色あせやすい
・シャンプーやドライヤーによる手入れが必要
人工毛 ・耐久性がある
・価格が安い
・色あせにくい
・手入れが簡単
・不自然な光沢感がある
・自毛と馴染みにくい
・パーマやカラーリングが出来ない

選択をする際の参考にしてみてください。

男性用・女性用・子ども用医療用かつらの特徴

ここがポイント!

  • 男性用と女性用のかつらは、どちらも基本的な構造は同じ
  • 男性用は短髪、女性用はヘアスタイルやカラーの種類が多いという特徴がある
  • 子ども用は、動きや成長に合わせ、フィット感を高めてサイズ調整をしやすくしていという特徴がある

性別や年齢によってヘアスタイルや頭の大きさは異なりますが、それに伴いかつらのつくりにも違いがあります。ここでは男性用、女性用、子ども用、それぞれのかつらの特徴を確認していきましょう。

男性用の特徴

男性用と女性用のかつらは、基本的に構造そのものにはほとんど違いがありません。使う人が希望するヘアスタイルによってデザインは異なり、男性では短髪の希望が多いという特徴があります。自分らしさを表現するために、襟足、もみ上げ、そりこみなどの部分のデザインにこだわる人が多いようで、それらをリアルに再現出来ることを宣伝しているかつら販売業者も複数見られます。

女性用の特徴

かつらの構造は男性用のものとほとんど同じですが、女性の場合はただ脱毛部を隠したいだけではなく、医療用であってもファッションアイテムの1つとして利用したいと考える人が多い傾向にあります。そのため、女性用は、ヘアスタイルやカラーの種類が多く取り揃えられているという特徴が見られます。

子ども用の特徴

子ども用かつらの一番の特徴は大人用と比べて小さいことにあります。それだけでなく、かつらを意識せずに動きまわることの多い子どもに合わせて、出来るだけ軽くフィット感が高いように作られているという特徴もあります。子どもは日々成長して頭の大きさが変化していくため、かつらのサイズは調整しやすく、さらに病気や治療中の子どもは肌が弱かったり汗をかきやすかったりするため、肌に触れる部分の素材や通気性によりこだわっているものがあるというのも特徴です。

AGA・円形脱毛症治療とかつら~診療ガイドラインに記載されていること

ここがポイント!

  • AGAでは、薬による治療を1年間行って改善しなかった場合にかつらの使用が推奨されている
  • 円形脱毛症では、局所免疫療法が効かなかった特定の脱毛パターンに対しかつらの使用が推奨されている
  • かつらは治療ではないが、治療の補助として脱毛症の人の普段の生活を豊かにする効果が期待されている

ここでは、脱毛を引き起こす主な病気である「AGA(男性型脱毛症)」と「円形脱毛症」に注目して、それぞれの治療において医療用かつらがどのように位置付けられているのか見ていきましょう。

AGA治療とかつら

AGAは、DHTという男性ホルモンが前頭部や頭頂部の髪の毛に作用して成長を抑えることが原因となり発症する脱毛症です。
日本皮膚科学会が2010年に作成したAGAの診療ガイドラインでは、治療の効果や安全性などの点から、最初に行うべき治療として「内服薬」や「外用薬」の使用を挙げています。それらの薬による治療を1年間行っても症状の改善が見られなかった場合に、「自毛植毛」や「かつら」の使用を推奨すると記載されています。

AGAについて詳しくは【AGA(男性型脱毛症)とは】症状・原因・予防法〜病院・AGA専門外来での検査・診断・治療そして気になる費用までを解説ヘアメディカルをご参照ください。

円形脱毛症治療とかつら

円形脱毛症は、突然髪の毛が抜けて生えてこなくなる病気です。原因はさまざまで、まだ完全には解明されていませんが、私たちの体を病気から守る「免疫」の仕組みが異常になり、自分の髪の毛を攻撃してしまう「自己免疫応答」が主な原因の1つと考えられています。
「10円ハゲ」という別名でも知られるように、多くの場合は円形に髪の毛が抜けますが、抜け方には他にもさまざまなパターンがあり、通常型円形脱毛症(単発型・多発型)、全頭脱毛症、汎発性脱毛症、蛇行状脱毛症に分類されています。


円形脱毛症の分類について詳しくは「【円形脱毛症(AA)とは】原因・4つの症状・治療など正しく知ろう~ストレスとの関連性やステロイド治療薬、シャンプーのポイント、隠す手段などまで」をご参照ください。

AGAと同様に日本皮膚科学会が2010年に作成した円形脱毛症の診療ガイドラインでは、局所免疫療法が効かなかった多発型・全頭・汎発性の円形脱毛症の人に対してかつらの使用を推奨しています。この3つは、円形脱毛症の中でも脱毛範囲が広く重症と考えられるパターンです。かつらの使用は、脱毛部を隠す目的以外に、頭皮を紫外線や外傷から保護出来るという点においても推奨されています。

円形脱毛症の治療について詳しくは「【円形脱毛症の治療について】ステロイド注射などさまざまな治療法~治るまでの期間や治療費などまで」をご参照ください。

かつらは治療薬ではないが重要

AGAと円形脱毛症は、どちらの診療ガイドラインにもかつらに関する記載がありますが、かつらは脱毛症自体の改善効果を持つものではなく、また、脱毛による精神的負担の軽減効果についての医学的な検証もなされていないため、「治療」とは別物であると心得ておきましょう。
かつらは、脱毛症の人が気にしている頭部の見た目を改善し、日々の生活の質を高めるという実際の声があることから、「治療の補助」として診療ガイドラインで推奨されているのです。

ちなみに、日本では、かつらは医療器具として認められていませんが、スウェーデンでは医療器具として認められており、医療保険が適用されるため経済的負担は軽く、医療用かつらを使用しやすい状況にあります。

かつらの使用は治療に影響するのか

AGAや円形脱毛症の治療を行っている人の中には、かつらを使用すると頭皮が蒸れて治療の悪影響になるのではないかと心配に思う人もいるかも知れません。日本皮膚科学会は、かつらの使用は治療に悪影響を及ぼすことはなく、むしろかつらを使うことで治療や日々の生活に前向きになれるため、生活がより良くなるとホームページに記載しています。

参考



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医療用かつらの購入方法

ここがポイント!

  • 医療用かつらは店舗もしくは通販で購入出来る
  • JIS規格に適合した医療用かつらを取り扱っている販売店から購入しましょう
  • かつらは既製品とオーダーメイドで購入方法、費用、手元に届くまでの日数などが異なる
  • 通販では購入前に一度自宅で試着出来るサービスもある
  • 医療用かつらはレンタルのサービスもある

医療用かつらの購入には、店舗で直接購入する方法と通販で購入する方法があります。また、購入しないでレンタルを利用するという方法もあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

店舗での購入方法

近くに医療用かつらの販売店がある人、かつらを実際に見て確かめたい人、オーダーメイドしたい人、すぐに手に入れたい人などは、販売店でかつらを購入すると良いでしょう。販売店の場合、医療用かつらについての疑問や希望をその場で直接確認することが出来るというメリットがあります。オーダーメイドの医療用かつらを購入する場合には、細かい調整をするために、必ず一度は販売店へ行く必要がありますが、既製品ではなく、自分の頭の形や好みのスタイルに合わせた医療用かつらが欲しい人は、オーダーメイドがお勧めです。

かつらの販売店は全国にありますが、医療用かつらを取り扱っていない店舗もあり、また販売店によってはプライバシーを守りスムーズに対応するために予約制を取っている場合もあるので、事前にインターネットや電話で確認しておきましょう。

それでは、既製品、オーダーメイド、それぞれの購入の流れの一般的な例を見てみましょう。

店舗での購入の流れ(既製品)

どのようなかつらを希望するのかをスタッフに伝え、販売店にある商品を試着してフィット感やスタイルを確認していきましょう。自分の希望に合うものが見つかったら、手入れの方法や値段などを確認して購入するかどうかを決めます。

店舗での購入の流れ(オーダーメイド)

オーダーメイドは、既に基本的な形が出来上がっている商品から自分好みのものを選択した上で自分の希望に合わせてカットして仕上げる「セミオーダーメイド」と、かつらの形、頭皮に当たる部分の布地、毛質、毛量、カラーなど細かい部分まで自分の希望通りに注文出来る「フルオーダーメイド」の2パターンがあります。

セミオーダーメイド
既製品と同様に、まずは販売店で基本のかつらを選択し、その後自分の好みに合わせてカットしてもらいます。販売店によっては美容院と提携し、かつらの購入後もその美容院でスタイルの調整が出来るようにしているところもあります。

フルオーダーメイド
販売店で頭の型取りから行い、かつらに使用する布や髪の毛、毛量、カラーなどを1つ1つ希望に沿って決定していきます。注文したかつらが出来上がった時点で完成となる場合と、もう一度販売店へ行き細かな調整やカットを行って完成となる場合があります。

オーダーメイドの医療用かつらが手元に届くまでの日数

一般的に、医療用かつらをセミオーダーメイドする場合は数週間~1カ月程度、フルオーダーメイドする場合は頭の型取りから始まり、毛質、長さ、カラーなどを設定するため、手元に届くまでに1~3カ月程度掛かるようです。オーダーメイドのかつらが手元に届くまで、一時的に既製品のレンタルを利用する方法もあります。医療用かつらのレンタルについては後で詳しくお話しします。

通販での購入

かつらの販売店に行く時間がない人や、人目を気にせずにかつらを購入したい人などのために、インターネット通販でかつらを購入する方法をご紹介します。

ネット通販を利用した購入手順の例

1.インターネットで、JIS規格に適合した医療用かつらを取り扱っている通販業者を探します
2.自分好みのかつらのスタイル、サイズ、カラーを選択します
3.気に入ったものがあれば価格や納期を確かめた上で注文をします
4.既製品の場合、購入手続きをしてから数日~1週間程度で手元に届きます

通販では購入前に試着が出来ません。試着によりフィット感を確認出来ないことに対して不安を感じる人のために、購入前にかつらを郵送してもらって自宅で試着出来るサービスを行っている業者もあります。他にもいろいろなサービスがあるので、複数調べて比較をして、最も良いと思えた所から購入すると良いでしょう。

医療用かつらはレンタルもある

医療用かつらのレンタルを行っているサービスもあります。かつらのレンタルは、サービスによって商品や値段、最低レンタル日数などの設定がさまざまなので、利用を考えた場合には事前に確認しておきましょう。

次の章で詳しくお話ししますが、医療用かつらは決して安いものではないため、初めてかつらを使用する人でどのようなものか試してみてから購入を検討したい、冠婚葬祭など一時的に人前に出る時だけ使いたい、などと考えている人は、レンタルの利用も選択肢の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

医療用かつらの値段の相場

ここがポイント!

  • 医療用かつらの相場は既製品で数万円以内、オーダーメイドで30~50万円以内程度
  • 医療用かつらを購入する際に必要な費用は基本的にかつら本体の料金のみ
  • オプションでかつらの手入れ道具などを注文した場合にはその料金もかかる

ここでは、医療用かつらを購入する場合にどの程度の料金がかかるのか、また、かつら本体以外にかかる費用があるのかなどを確認していきましょう。

かつらを購入する際にかかる費用

医療用かつらを購入する際にかかる費用は基本的にかつら本体の料金のみですが、オプションとしてかつらを手入れする道具などを付けた場合、その料金もかかります。

医療用かつらの値段の相場

男性用、女性用、子ども用の3種類のかつらの値段の目安を、既製品、セミオーダーメイド、フルオーダーメイドに分けて一覧表で見てみましょう。
男性用 女性用 子ども用(主に小学生まで)
既製品 数千円~8万円 1~10万円
セミオーダーメイド 5~15万円 15~30万円 5~20万円
フルオーダーメイド 10~30万円 20~50万円 17~30万円

男性よりも女性の方が髪の毛が長い髪の毛のかつらを利用する人が多いため、女性の方で費用が異高めになっているようです。

医療用かつらのレンタルにかかる費用

医療用かつらのレンタルでは、初期費用とレンタル日数に応じた料金がかかります。初期費用の目安は1~2万円程度、レンタル日数に応じた料金は1日200~300円程度のサービスが多いようです。例えば1週間利用した場合には、1万1,400円~2万2,100円程度となります。レンタル業者によっては送料などを別料金で請求するところもあります。


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医療用かつらは医療費控除や保険適用の対象となるのか

ここがポイント!

  • 医療用かつらは「医療費控除」や「医療保険」の対象外であるため費用は全額負担
  • 一定の条件を満たした場合に補助金が出る自治体もある

医療用かつらの相場を確認して分かったように、かつらは高額で経済的負担が大きいと言えます。ここでは、医療用かつらの費用に関係してくる「医療費控除」や「保険適用」について見ていきます。

医療費控除について

医療費控除とは、自分、もしくは家族のために支払った医療費が1年間で10万円(所得により変動あり)を超えた場合、超えた金額を所得から差し引くことが出来るため、支払った税金から還付金としてお金が戻ってくる制度です。
日本にはこのような制度がありますが、かつらは医療用であったとしても医療費控除の対象にはなっていません。医療費控除の対象となるのは、医師による診療や治療の費用や治療に必要な薬代、また受診に必要な通院費などであり、かつらは「治療」として認定されていないため、医療費控除の対象とならないのです。

保険適用について

かつらは医療費控除の対象外であるのと同様に、医療保険の対象外でもあります。
例えば健康保険に加入している20代の人が風邪を引いて病院へ行った場合、治療にかかった費用の3割しか払わなくて良いのですが、これは「医療保険制度」によって残りの7割の費用を国などが支払っているからです。しかし医療用かつらは医療保険の適用にはならないため、購入にかかった費用は全額自己負担となります。

地方自治体によっては補助金が出る

医療用かつらは、医療費控除や医療保険が使えないためどうしても高額になってしまうわけですが、実は医療用かつらの購入やレンタルの費用の一部を助成してくれる自治体もあります。主に抗がん剤治療を行う必要のあるがん患者さんを対象としているようですが、助成の対象者、金額、申請の手続きなどは自治体によって異なっています。利用を希望する人は事前にホームページや電話で確認してみましょう。

参考


へアドネーション:髪の毛の寄付について

ここがポイント!

  • ヘアドネーションとは、病気などで脱毛した子どもへ医療用かつらを提供するために髪の毛を寄付すること
  • 寄付する髪の毛は30cm以上であれば、カラーリングやパーマなどした髪でもOK

ヘアドネーションとは

「ヘアドネーション」は、「ヘア(髪の毛)」と「ドネーション(寄付)」を合わせた言葉で、日本語にすると「髪の毛の寄付」となり、主に病気や治療で髪の毛を失った子どもへ医療用かつらを提供するのを目的に、美容院などで切った髪の毛を寄付することを指します。1990年代に米国で普及し始め、その後日本でも行われるようになってきています。
フルオーダーメイドの医療用かつらを18歳以下の子どもへ無料で提供している日本で唯一の特定非営利活動法人「Japan Hair Donation & Charity(JHDAC)」のホームページによると、1体の医療用かつらを作るには20~30人分の髪の毛が必要であり、また長い髪の毛ほど不足しているとのことです。

ヘアドネーションをするためのポイント

ヘアドネーション
ヘアドネーションをしたいけれど、日々の手入れなどが面倒だと考えている人もいるかもしれません。しかしJHDACによると、ヘアドネーションをするための特別なケアは必要ないとのことです。普段行っているようにシャンプーをして清潔にしておけば良く、くせ毛の人でもパーマ、ヘアカラー、縮毛矯正などを行っている人でも問題ありません。
一方で、ヘアドネーションをするためには切った髪の毛の長さが重要であり、JHDACでは30㎝以上でないと医療用かつらが制作出来ないとしているため注意しましょう。

医療用かつらを必要としている人は、かつら以外にも治療にかかる費用負担があるため、中には経済的な理由から医療用かつらの使用を断念している人もいます。長い髪の毛を短く切る機会があるという人は、切った髪の毛をそのまま捨てるのではなく、医療用かつらを必要としている人のためにヘアドネーションしてみるという選択肢もあるということを覚えておきましょう。

最近では、芸能人がヘアドネーションを行い、それをSNSで公表し話題になっていました。髪の長い人はバッサリ切る時など、ヘアドネーションについて考えてみるはいかがでしょうか。

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まとめ

医療用かつらについていろいろ見て来ました。
かつらには大きく分けると医療用とおしゃれ用があり、医療用かつらは主に病気や治療によって髪の毛を失った人が使用するものです。医療用とおしゃれ用の一番の違いはJIS規格の有無であり、JIS規格に適合しているかつらは、直接皮膚に付けても安全で耐久性があると言えます。一方で、医療用かつらとうたっている商品の中にはJIS規格を取得していないものもあるため、購入の際にはJIS規格に適合しているかつらだけに表示されている「Medウィッグマーク」を確認しましょう。
医療用かつらの毛質は、自然な手触りでパーマやカラーリングなども可能な「人毛」と、安くて手入れが簡単な「人工毛」、両者を合わせた「ミックス毛」があるため、それぞれのメリット・デメリットを確認して自分に適したかつらを選択するようにお勧めします。
脱毛を引き起こすAGAや円形脱毛症の診療ガイドラインでは「かつら」の使用が推奨されていますが、日本では、医療用かつらは治療法や医療器具として認められていません。そのため医療費控除や保険適用がないため購入するためには何万円もかかり、経済的負担は大きいと言えます。自分の経済状況も考慮に入れつつ、既製品にするか、オーダーメイドにするかを決めましょう。長期で使わない場合などはレンタルサービスの利用も可能でなので、選択肢の1つとして考えてみても良いでしょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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