円形脱毛症が出来やすい場所や理由はあるのか|診療ガイドラインを基に解説

「円形脱毛症」は、俗に「10円ハゲ」と言われているように、多くの人で頭部に10円玉のような円形の脱毛部が突然現れる症状を特徴とする病気です。
そのため、円形脱毛症というと、頭部に現れる脱毛症と考えがちですが、腕や足など、頭髪以外の体毛でも起こり得るのでしょうか。また、脱毛を起こしやすい場所はあるのでしょうか。さらに、ストレスが原因で円形脱毛症になるという話を耳にしたことがある人もいると思いますが、ストレスを受けた場合に特徴的な脱毛場所などはあるのでしょうか。
ここでは、「円形脱毛症が出来る場所」に焦点を当て、こうした疑問の答えが見つかる正しい知識を、円形脱毛症の診療ガイドラインに沿って解説していきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01円形脱毛症で毛が抜ける場所と脱毛しやすい部位
  2. 02円形脱毛症の4つの脱毛パターン
  3. 03ストレスなどの原因で脱毛場所は違うのか
  4. 04まとめ

円形脱毛症で毛が抜ける場所と脱毛しやすい部位

ここがポイント!

  • 円形脱毛症で毛が抜ける場所は、頭部だけでなく全身
  • 円形脱毛症で脱毛しやすいのは「頭部(頭皮)」
  • 頭部以外の部分も脱毛している場合を「汎発性脱毛症」と言う

まずは、「円形脱毛症」により毛が抜ける可能性がある場所を確認しましょう。

脱毛しやすい場所は「頭部(頭皮)」

円形脱毛症と聞くと、俗に言う「10円ハゲ」を思い浮かべる人も多いと思います。しかし円形脱毛症は、10円玉大程度の円形状に頭髪の1部分だけで脱毛が起きる場合以外にもいろいろなパターンがあり、さらに頭髪だけではなく、腕や足など全身に生えている体毛でも起こり得ます。
それらの毛が生えている部位の中でも、特に毛が抜けやすい部位は、やはり「頭部(頭皮)」です。次の章で解説しますが、円形脱毛症は大きく4つのパターンに分類され、このうち全てのパターンで頭髪の脱毛が見られているからです。

全身の毛が抜けるケース

円形脱毛症では、脱毛が体毛まで広がってしまうケースもあり、この場合を「汎発性脱毛症」と言います。他の脱毛パターンに比べて回復率は低いとされており、男女差はありませんが、成人だけではなく子どもでも多く見られます。

子どもの円形脱毛症の特徴について詳しくは「【子どもが円形脱毛症になったら】病院は小児科と皮膚科のどちらへ連れていくべきか~特徴や治療法、親が気をつけるべきポイントなど」をご参照下さい。

全身の毛が抜けてしまう汎発性脱毛症では、毛以外でも爪に変化が起こる場合があります。最も多い症状として、爪に小さな点状の陥凹てができてしまいます。

参考


脱毛症診断チェック

円形脱毛症の4つの脱毛パターン

ここがポイント!

  • 円形脱毛症は脱毛部位の数・範囲・形態によって4つのパターンに分類される
  • 4つのパターンは「通常型円形脱毛症」「全頭脱毛症」「汎発性脱毛症」「蛇行性脱毛症」
  • 通常型円形脱毛症はさらに、脱毛部が1つの「単発型」と、複数の「多発型」に分けられる
  • 脱毛パターンは回復率に影響する

円形脱毛症は全身の毛で起こり得ると分かったところで、今度は脱毛パターンによる分類について確認をしましょう。円形脱毛症は、脱毛部位の数・範囲・形態によって4つに大きく分類されています。

円形脱毛症の4つの脱毛パターン
分類 特徴
通常型円形脱毛症 髪の毛が部分的に円形に抜けた状態
・単発型:脱毛部が1つのもの
・多発型:脱毛部が複数あるもの
全頭脱毛症 脱毛部が頭全体に広がった状態
汎発性脱毛症 脱毛部が頭だけでなく全身に広がった状態
蛇行状脱毛症 髪の生え際が帯状に抜けた状態
円形脱毛症の4つの分類
円形脱毛症において、こうした脱毛パターンは回復率に関連していると知られています。通常型円形脱毛症の単発型や多発型は、他の脱毛パターンよりも比較的回復率が高い一方で、全頭脱毛症や蛇行状脱毛症などは、脱毛範囲の広さによらず回復率が低いと考えられています。

通常型円形脱毛症(多発型)の実際の写真はこちらです。
通常型円形脱毛症(多発型)写真

円形脱毛症の回復率について詳しくは「【円形脱毛症の完治と再発】完治の過程や再発の原因などについて診療ガイドラインを基に正しく解説」をご参照下さい。

参考


ストレスなどの原因で脱毛場所は違うのか

ここがポイント!

  • 円形脱毛症では、ストレスの影響を受けて脱毛する場所に違いが出るという報告はない
  • そもそも、ストレスが円形脱毛症の原因になるとはまだ言い切れない

ここでは、ストレスを受けた場合に特徴的な円形脱毛症の脱毛パターンがあるのかどうかについて確認をしていきましょう。

ガイドラインに「ストレスと脱毛部位」に関する記載はない

円形脱毛症の診療ガイドラインには、ストレスによって脱毛する部位に違いが出るといった記載は一切ありません。一方で、まだ完全に解明されてはいないものの、ストレスが円形脱毛症の原因として考えられている「自己免疫応答」を誘発する可能性があるという旨は記載されています。

そもそもストレスはまだ明らかな原因とは言えない

円形脱毛症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、現在最も有力であるとされているのは「自己免疫応答」という免疫機能の異常です。そして、身体的・精神的ストレスは、免疫機能のバランスを崩して「自己免疫応答」を誘発する一因となり得ると考えられています。
一方で、「円形脱毛症とストレスとの関連性」については、まだ医学的に強い根拠をもって証明されてはいません。ストレスは人によって受け取り方が異なるために、受けたストレスの程度を測る尺度を決めるのが難しく評価しにくいことが、証明が難しい理由の1つとなっているのです。加えて、円形脱毛症の原因自体も完全に解明されていないため、ストレスは円形脱毛症の原因になるとは言い切れず、発症にどれほど影響を与えているのかすらまだ明らかになっていないとうのが現状です。

円形脱毛症とストレスの関連性について詳しくは「【円形脱毛症とストレスについて】関連性は医学的に証明されているのか~診療ガイドラインを基に正しい情報を解説」をご参照下さい。

参考


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まとめ

円形脱毛症は、頭髪に起こりやすい脱毛症ですが、全身の毛で起こる場合もあり、脱毛部位の数、脱毛の範囲、脱毛の形態などにより大きく4つに分類されています。
多くの人が「円形脱毛症」と聞いてイメージするのは、円形状に髪の毛が1カ所抜ける「通常型円形脱毛症」のうちの「単発型」でしょう。通常型円形脱毛症には、頭部に複数出来る「多発型」もあります。さらに、脱毛範囲が頭部全体に広がった「全頭脱毛症」、脱毛が全身に拡大した「汎発性脱毛症」、生え際が帯状に脱毛する「蛇行状脱毛症」があり、このような重症例は、回復率が低いとされています。
円形脱毛症は原因がまだ完全に解明されていないため、ストレスを受けて円形脱毛症になるという確実な証明もまだ出来ておらず、ストレスを受けた場合に特徴的な脱毛部位もありません。
円形脱毛症は男女の違いや年齢の違いに関係なく発症するとされており、いつ誰が発症してもおかしくないと言っても過言ではないため、ぜひ正しい知識を身に付けておきましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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