【びまん性脱毛症とは】女性に多い脱毛症の原因から治療薬まで解説します

脱毛症の1種とされている「びまん性脱毛症」は、症状や原因に関する明確な定義が定められておらず、適切な診療方針決定の手助けとなる診療ガイドラインも作成されていません。一方で、複数の医学論文や大学病院のホームページなどで、主に「女性の男性型脱毛症(FAGA)」を指す言葉として「びまん性脱毛症」が使用されています。また、添付文書に記載の治療対象に「びまん性脱毛症」が含まれる薬も販売されています。
ここでは「びまん性脱毛症」について、記載がある医学論文や大学病院などの情報を基に、症状、原因、治療法、日常生活上での対策など、詳しく解説をしていきます。

Ito
伊藤恭太郎 医師監修
日本救急医学会救急科専門医

目次

  1. 01びまん性脱毛症とは
  2. 02びまん性脱毛症の主な3つの原因
  3. 03びまん性脱毛症は男性も発症するのか
  4. 04びまん性脱毛症は病院の何科で治療してもらえるのか
  5. 05びまん性脱毛症の治療に使われる薬
  6. 06びまん性脱毛症は完治するのか
  7. 07びまん性脱毛症の日常対策
  8. 08びまん性脱毛症に効果があるサプリあるのか
  9. 09びまん性脱毛症に効果がある育毛剤
  10. 10まとめ

びまん性脱毛症とは

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症は明確に定義されておらず診療ガイドラインも作られていない
  • 基本的には「脱毛範囲が頭部全体に広がっている脱毛症」を指す
  • 医学論文や大学病院のHPなどでは主にFAGAを指す言葉として使われている
  • FAGAの症状は「女性で頭頂部の比較的広い範囲が薄毛になる」という特徴がある

まずは「びまん性脱毛症」とはどのような病気を指すのかを確認していきましょう。

そもそも「びまん性」とは

一般的にびまん性とは、「広範囲に広がっている状態」を指します。医療用語として使われる場合も多く、「びまん性脱毛症」の他に「びまん性甲状腺腫」「びまん性脳損傷」などの病名もあります。「びまん性」と付く病気に共通しているのは、病変をある部分に明確に限定出来ず、症状が全身、もしくは臓器の広範囲に及んでいる状態であるという点です。

びまん性脱毛症とは

円形脱毛症や男性型脱毛症(AGA)は、日本皮膚科学会により診療ガイドラインが作成されていますが、びまん性脱毛症については診療ガイドラインが作成されておらず、また、病気の定義も明確に定められてはいません。
一方で、医学論文、大学病院のホームページ、治療薬として用いられている育毛剤の添付文書(薬についての詳しい情報を記載している文書)などでは「びまん性脱毛症」という言葉が使われている場合があり、それらは基本的に「脱毛範囲が頭部全体に広がっている脱毛症」を指しています。一部の大学病院では、特に女性におけるAGA(女性男性型脱毛症、FAGA)を指す病名として使用されています。

びまん性脱毛症とされるFAGAの特徴

びまん性脱毛症が指すとされるFAGAについて、症状の特徴を確認しましょう。
男性型脱毛症の症状は、男性では「額の生え際の後退」と「頭頂部の薄毛」が特徴的ですが、女性に現れるFAGAの場合には、生え際の後退は見られず頭頂部の比較的広い範囲が薄毛になるという特徴があります。この特徴から、FAGAがびまん性脱毛症と呼ばれるようになったと考えられます。

参考


脱毛症診断チェック

びまん性脱毛症の主な3つの原因

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症の主な原因と考えられているのは「FAGA」「加齢」「休止期脱毛症」
  • FAGAの原因はまだ解明されていない
  • 年齢を重ねると成長期にある髪の毛が減少し、髪の毛が細く少なくなる
  • 休止期脱毛症の原因は「薬剤性」「鉄欠乏性貧血「栄養不足」「甲状腺機能に関する病気」など

ここでは、びまん性脱毛症の3つの主な原因について、順に見ていきましょう。

FAGA(女性のAGA)

びまん性脱毛症は、先ほどお話ししたように「FAGA」を指す言葉として使用される場合が多いため、FAGAの原因は、すなわちびまん性脱毛症の原因と言えます。
AGAは男性の場合、DHTという男性ホルモンが前頭部や頭頂部の髪の毛の成長を抑えることが原因で発症すると解明されていますが、女性のFAGAは、男性との症状の違いや男性ホルモンの積極的な関与が不明な点などにより、まだ原因や発症のメカニズムは明確に解明されていません。
AGAやFAGAの原因について詳しくは「【AGAの原因について】原因物質「DHT」が薄毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまで」をご参照ください。

2:加齢

加齢によって体のあちこちの機能が低下しますが、髪の毛にも老化があります。髪の毛は通常、成長期・退行期・休止期から成る「毛周期」というサイクルを繰り返して生え変わっています。若いうちは大部分の髪の毛が「成長期」にあり太く伸びていきますが、年齢を重ねると成長期にある髪の毛が減少し、退行期や休止期に当たる髪の毛の割合が増えます。そのため、性別に関係なく、年齢を重ねることで髪の毛が細くなったり、髪の毛の量が減少したりすることは、ある程度自然に起こると言えます。

毛周期について詳しくは「【AGAの原因について】原因物質「DHT」が薄毛スイッチを入れる仕組みから遺伝やストレスの影響・女性のAGAまで」をご参照ください。

3:薬剤や他の病気などの影響による「休止期脱毛症」

FAGAと加齢以外にびまん性脱毛症を起こすと考えられているものとして、「休止期脱毛症」があります。休止期脱毛症とは、毛周期の休止期が通常(3~4カ月)よりも長くなったり、休止期から次の成長期に移らなくなったりするため、多くの髪の毛が成長せずに抜けてしまい全体の量が減る病気を指します。休止期脱毛症を引き起こす原因としては、薬剤性、鉄欠乏性貧血、栄養不足、甲状腺機能に関する病気などが挙げられます。休止脱毛症の原因となる薬剤は多数ありますが、高脂血症薬やパーキンソン病薬などが多いと言われています。脱毛症を引き起こす可能性のある薬は多くありますが、原因が薬剤であることは見逃されがちです。びまん性脱毛症が出現した際は、自分が内服している薬をチェックすることも大切です。

30〜60歳の女性に多くみられる慢性的な休止期脱毛症があります。病因がわかっておらず、数年間持続することもあります。

参考


びまん性脱毛症は男性も発症するのか

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症は男性でも発症する
  • 「加齢」や「休止期脱毛症」が原因となることが多い

これまで説明したように、びまん性脱毛症の原因は、「FAGA」「加齢」「休止期脱毛症」です。FAGAは男性には出現しませんが(男性の場合はAGA)、加齢や休止期脱毛症によるびまん性脱毛症は男性でも発症します。びまん性脱毛症には厳密な定義はなく、頭部の比較的広い範囲で脱毛が見られる状態を言います。よって、生え際の後退と頭頂部の脱毛が特徴のAGAでも、症状が進行した場合は、頭部全体に脱毛が及ぶことがあります。そのような場合は、びまん性脱毛症とされる状態になることがあります。加えて、AGAは、男性の3〜4人に1人は発症すると言われているほど発症率は高い脱毛症です。AGAを発症している状態で、薬剤などによる休止期脱毛症が合併する可能性も十分に考えられます。特に頭頂部に脱毛が生じた場合は、AGAなのか休止期脱毛症なのかの判断が難しい場合も考えられます。これまでの経過や服薬状況、毛髪や頭皮の状態を拡大鏡で観察するなどの専門的な診察が必要となり、それでも鑑別が難しい場合もあるでしょう。AGAと薬剤による休止期脱毛症では治療方法や、その後の経過が異なります。原因を自己判断せずに、必ず専門医へ相談するようにしましょう。以上のことから男性であっても、びまん性脱毛症は発症することがあり、加えてAGAと同時に発症する場合は、鑑別が難しい場合が多いことを覚えておきましょう

脱毛症診断チェック

びまん性脱毛症は病院の何科で治療してもらえるのか

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症は、病院やクリニックの皮膚科や脱毛症専門外来で治療が受けられる
  • 女性のみを対象とする「女性の脱毛症専門外来」もあり、より専門的な診療が受けられる
  • 受診前に医療機関に問い合わせをし、症状を伝えて受診可能か確認をしておくと安心
  • 通常治療の流れは「診察・検査」→「診断」→「治療方針の選択」→「治療」となる

受診は皮膚科もしくは脱毛症専門外来

びまん性脱毛症は円形脱毛症やAGAなどの他の脱毛症と同じく、皮膚科の診療領域であるため、基本的に病院やクリニックの皮膚科で受診可能です。最近は、皮膚科の中でも診療対象を脱毛症に限定した「脱毛症専門外来」や、さらに女性の脱毛症に限定した「女性の脱毛症専門外来」を設けている医療機関もあり、こうした機関でより専門的な診療を受けられます。
皮膚科のクリニックでは脱毛症の治療を行っていない場合もありますので、びまん性脱毛症の治療が可能かどうか、受診前に電話やホームページで確認をしておくと安心でしょう。

受診してから治療までの流れ

医療機関を受診すると多くの場合、まず問診、視診、血液検査などが行われます。それらの結果を基に医師が原因の確認を行い、総合的に判断して脱毛症の種類を診断します。同じ脱毛症であっても原因が違うと治療法も異なるため、びまん性脱毛症であるのか、円形脱毛症であるのか、それとも他の病気によるものなのかなど、医師に原因を確かめた上で診断してもらうことは重要です。
診断後は、脱毛の重症度、年齢、性別などを考慮して治療法を選択していきます。治療法にはさまざまなものがあり、それぞれ内容、費用、治療期間などが大きく異なる場合があります。医師や医療スタッフから十分に説明を受け、分からないことは質問をし、理解および納得をした上で、自分の生活に合った治療法を選択しましょう。

AGAの診断について詳しくは「【AGAの診断方法と診断基準】病院での診断の流れから自宅で出来るセルフチェックや遺伝子検査キットなど幅広く解説」ご参照下さい。

参考

びまん性脱毛症の治療に使われる薬

ここがポイント!

  • 「塩化カルプロニウム」が含まれている薬に、びまん性脱毛症に効果があると明記されているものがある
  • 塩化カルプロニウムには頭皮の血流改善作用と発毛促進作用がある
  • FAGA治療薬として推奨されているのはミノキシジル配合の外用薬
  • ミノキシジルには、髪の毛の成長促進、頭皮の血流改善、髪の毛の基となる細胞の減少抑制の作用がある

最初にお話ししたように、びまん性脱毛症には多数の治療医の一致した意見のもとで確立された治療方針は現時点ではなく、したがって今のところ診療ガイドラインはありません。そのためここでは、びまん性脱毛症に効果があるとされる薬と、FAGA治療において推奨される薬について紹介をしていきます。

びまん性脱毛症に効果があるとされる薬

添付文書に「びまん性脱毛症に効果がある」と記載がある薬は、「塩化カルプロニウム」という成分が含まれている薬です。塩化カルプロニウムは、FAGAの治療薬としてAGAの診療ガイドラインにも記載されています。ガイドラインでの推奨レベルは高い方から3番目の「C1(行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない)」とされており、今のところこの薬単独での治療効果は十分に確認出来ていません。

塩化カルプロニウムには「血管を広げる作用」と「発毛を促進させる作用」があると分かっています。血管を広げることで頭皮の血流を良くし、髪の毛の細胞の成長を活発化させます。また、機能が低下している毛包(髪の基となる部分)に作用して発毛を促進させます。
塩化カルプロニウムを含む薬は、現在複数の製薬会社からさまざまな種類の商品として製造・販売されています。含まれている薬の具体的な例は、下の一覧表をご参照ください。

FAGA治療において推奨される薬

AGAの診療ガイドラインでは、男性(AGA)、女性(FAGA)ともに「ミノキシジル」という成分を配合した外用薬を治療薬として強く推奨しています。ミノキシジルには「髪の毛の成長因子の産生を促進する作用」「血管を広げて頭皮の血流を改善する作用」「髪の毛の基となる細胞の減少を抑制する作用」があり、これらの作用によって発毛効果が期待出来ます。
現在国内で唯一製造・販売が認可されているミノキシジル配合薬は、大正製薬の「リアップ」シリーズです。ちなみにリアップの添付文書には対象とする病気として壮年性脱毛症、つまりAGAとFAGAが記載されていますが、「びまん性脱毛症」という言葉は記載されていません。

ミノキシジルについて詳しくは「【ミノキシジル(リアップ)の効果と副作用】AGA外用薬の基本からフィナステリド(プロペシア)との併用、ロゲインやタブレットの使用まで」をご参照ください。

治療に使われる薬一覧表



有効成分 薬品名 製造・販売会社
塩化カルプロニウム カロヤンシリーズ 第一三共ヘルスケア
塩化カルプロニウム カルプラニン外用液5% 武田テバファーマ
塩化カルプロニウム アロビックス外用液5% 長生堂製薬
塩化カルプロニウム フロジン外用液 ニプロパッチ
ミノキシジル リアップシリーズ 大正製薬

治療に使われる薬の入手方法

塩化カルプロニウム配合の「カルプラニン外用液」「アロビックス外用液」「フロジン外用液」は、医療用医薬品であるため、医師の診察と処方が必要です。塩化カルプロニウム配合の「カロヤンシリーズ」とミノキシジル配合の「リアップシリーズ」は、医薬品の中でも一般用医薬品に属するため、医師の診察と処方は必要ありません。「リアップシリーズ」は薬剤師による情報提供が義務付けられているため、薬剤師のいる薬局でのみ購入することができます。カロヤンシリーズは薬剤師がいない薬局やドラッグストアでも購入出来ます。

参考


脱毛症診断チェック

びまん性脱毛症は完治するのか

ここがポイント!

  • 原因によって、完治する可能性は異なる
  • しかし、著効する治療方法は少なく、慢性的に経過するケースも多い

上記で説明した治療を行うことで、びまん性脱毛症は完治するのでしょうか。びまん性脱毛症がどの程度改善するかについては、その原因によって異なります。ここでは、びまん性脱毛症の原因である「FAGA」「加齢」「休止期脱毛症」について、それぞれの治療によってどの程度改善が期待できるのかについて説明していきます。

FAGA

FAGAはこれまで説明しているように、AGAに比べると原因などがよくわかっていません。よって、その治療法にも確立されたものがありません。ガイドラインでは、「ミノキシジル」という成分を配合した外用薬の使用が唯一推奨されています。しかし、その効果は人によって異なり、多くの人に効果があるとは言えません。どれくらいの割合で効果があるか、どのようなタイプの方に効果が認められるのかについての詳細な検討はなされていません。ただ、一部の方には効果を認める場合がありますので、推奨されている治療は行うべきと考えます。また、効果が認められた場合は、その効果を維持するためには治療を継続する必要があります。

加齢

加齢によるびまん性脱毛症は、生理現象と捉えることもできます。内服薬の適応にはなりませんし、著効する外用薬もありません。また、当たり前ですが比較的高齢の方に認められる症状なので、強い治療薬は副作用の心配がありお勧めできません。よって、基本的には血行を良くするようなマッサージや、頭皮や頭髪を健康に維持するための正しいシャンプー方法を身につけるといった対症療法が中心になります。ただし、注意が必要な点として、びまん性脱毛症の原因は「加齢」だけではありません。自己判断で何も治療をせずに様子を見ていると、症状がどんどん進行してしまうこともあります。まずは正しい診断が大切なので、必ず医師へ相談するようにしましょう。

休止期脱毛症

上でも説明したように、休止期脱毛症の原因はたくさんあります。薬剤性、鉄欠乏性貧血、栄養不足、甲状腺機能に関する病気、高熱や手術などの身体的ストレス、精神的ストレスなどが原因として考えられています。よって、その治療方法も原因によって異なることが理解できるでしょう。特に、薬剤性の脱毛症は、脱毛の原因が飲んでいる薬剤であると気がつかないと診断できませんし、原因の薬剤を中止しないと改善しません。逆を言えば、薬剤性の休止脱毛症の場合、しっかりと原因薬剤を中止することができれば、完治する可能性もあります。また、脱毛症を起こしやすい薬剤もある程度わかっています。薬剤性の休止期脱毛症を起こしやすい薬剤としては、高脂血症薬、パーキンソン病薬、消化性潰瘍治療薬、痛風治療薬などが挙げられます。新しい薬剤を開始し、数ヶ月後に頭部全体に脱毛が生じた場合などは、薬剤性の脱毛症を疑うことが大切です
一方、原因がはっきりせずに慢性的に続くような休止期脱毛症は、女性に多く見られますが、治療に反応せず治りにくいと言われています

参考

  • 天羽 康之 毛包幹細胞から考える薬剤性脱毛症の病態 北里医学2014;OP:1-5

びまん性脱毛症の日常対策

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症を直接的に改善させる日常対策方法はない
  • しかし頭皮や髪の毛を健康に保つことは、間接的な対策になる
  • そのためには栄養バランスの良い食事、適度な運動、良質な睡眠で生活習慣を整えることが重要
  • シャンプーは正しいポイントをおさえて行うことで脱毛改善につながり得る

ここでは、びまん性脱毛症を改善するために、普段の生活で実践出来る対策を見ていきましょう。

生活習慣を整える

びまん性脱毛症の原因はまだ明確になっていないため、直接的に脱毛を予防する方法があるとは言えません。一方で、頭皮や髪の毛を健康的な状態に保つことは、びまん性脱毛症の改善に、間接的につながります。健康的な頭皮や髪の毛のためには、食事、運動、睡眠などの生活習慣を整えることが重要です。

食生活では、栄養バランスの良い食事に加えて、髪の毛の基になる「タンパク質」や、タンパク質の合成などに関与している「亜鉛」「ビタミンB群」を積極的に取るよう心がけましょう。
食事に加えて、ストレッチなどの適度な運動や、良質な睡眠によって血流を改善させ、髪の毛を作る細胞が必要とする栄養と酸素が十分に頭皮へ届けられるようにしましょう。

頭皮や髪の毛の健康につながる食事の具体的な内容や、効果的な運動、睡眠の方法などについて詳しくは「【育毛効果を最大化させるための実践法とは】AGA治療薬、市販の育毛剤、育毛シャンプーから食べ物まで医学的根拠の有無も解説」をご参照ください。

正しいヘアケアを行う~シャンプーや髪型に気を付けよう

毎日行うシャンプーは、直接髪の毛や頭皮に触れるため、間違った方法で行うと脱毛を促進させてしまう可能性があります。反対に正しいポイントを押さえて行えば、毛穴の汚れを取ることが出来るため治療薬や育毛剤などが浸透しやすくなり、脱毛の改善につながる可能性があります。

シャンプーでの洗い方のポイントは以下の5つです。
1)シャンプーの前にはブラッシングを行う
2)熱すぎないお湯で、地肌までしっかりと濡らす
3)シャンプーは手のひらで泡立ててから使用する
4)爪を立てず、指の腹でマッサージするように洗う
5)洗い残しがないようにしっかりと洗い流す

シャンプーの方法について詳しくは「【AGAの予防・改善につながるシャンプーの方法とは】おすすめの洗い方からシャンプー選びのポイントまで~今日から試してみよう」をご参照ください。

シャンプー以外にも、髪型を工夫する方法もあります。
脱毛が気になり始めると脱毛部を隠すために髪の毛を伸ばす人がいますが、髪の毛が長いと絡まりやすくなったり、蒸れやすくなったりするため、短く切ることをお勧めします。また外見の面でも、髪の毛を伸ばすと脱毛部とそれ以外の部分の差が目立ちやすくなるため、短くする方がかえって良いかも知れません。

参考



脱毛症診断チェック

びまん性脱毛症に効果があるサプリあるのか

ここがポイント!

  • びまん性脱毛症の改善効果があるサプリメントはない

びまん性脱毛症は、その原因によって治療方法が異なります。よってサプリメントも、原因によって推奨される種類や効果が異なります。しかし、サプリメントは医薬品ではなく食品の扱いであり、いずれの原因によるびまん性脱毛症であっても、医学的根拠のある改善効果は認めていません。
FAGAについては、男性ホルモンが影響している可能性もあり、ノコギリヤシサプリの効果が得られたする報告があります。また、加齢により、亜鉛やビタミン類が不足することで脱毛が出現している場合などは、それらをサプリメントとして摂取することは推奨されるでしょう。
サプリメントは医薬品と異なり、誰でも簡単に購入することができます。しかし、医学的な根拠を持った改善効果は認められていないことを覚えておく必要があります。

びまん性脱毛症に効果がある育毛剤

ここがポイント!

  • ガイドラインに記載がある育毛剤は、「ミノキシジル」のみ
  • 医療用医薬品としては、「塩化カルプロニウム」がよく使用される

ミノキシジルは、基本的には男性型脱毛症(AGA)に効果が認められている外用薬です。FAGAについても、男性とは推奨濃度が異なりますが、使用は推奨されています(男性の推奨濃度:5%、女性の推奨濃度:1%)。しかし、加齢や休止期脱毛症によるびまん性脱毛症について、どれだけ効果が認められるかについては、明らかではありません。また、ミノキシジルは血圧を下げる内服薬であったことから、高齢者が外用薬として使用した場合でも、血圧が下がるなどの副作用が生じる可能性があり、使用する際は注意するよう添付文書にも記載されています。

脱毛症診断チェック

まとめ

びまん性脱毛症は、「脱毛範囲が頭部全体に広がっている脱毛症」を指している言葉です。
「びまん性脱毛症」という言葉は、一部の医学論文、大学病院のホームページ、薬の添付文書において使用されており、多くの場合、女性の男性型脱毛症(FAGA)を指しますが、この病気自体の明確な定義や、診療方針を示す診療ガイドラインは今のところありません。
びまん性脱毛症の原因として、主にFAGA、加齢、休止期脱毛症の3つが考えられていますが、FAGAに関しては発症のメカニズムが明確になっていません。治療薬としては「頭皮の血流を改善させる作用」や、「髪の毛の成長に関する細胞を活発化させる作用」などのある、「塩化カルプロニウム」や「ミノキシジル」の配合薬が挙げられており、現在さまざまな商品が販売されています。医療機関を受診しての治療を希望する場合には、皮膚科や脱毛症専門外来に行くことをお勧めします。
びまん性脱毛症は、治療に加えて日常生活の中で出来る対策もあります。栄養バランスの取れた食事や適度な運動、さらに良質な睡眠は頭皮や髪の毛の健康を保ち、間接的に脱毛を改善します。またシャンプーは行い方によっては脱毛の悪化にも改善にもつながるので、正しいポイントをおさえた方法で日々意識的に行うようにしましょう。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Ito
伊藤恭太郎 医師
日本救急医学会救急科専門医

プロフィール

東北大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院および聖路加国際病院の救命救急センターにて、救急集中治療医として診療に従事。聖路加国際病院では、救急部チーフレジデントを務め、救急科専門医資格を取得。一般内科外来や在宅診療、重症患者への高度救命処置まで、幅広い分野の診療を経験。

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