AGAの治療費は医療費控除の対象になるのか|治療費や薬代が確定申告で戻ってくる可能性も解説します

AGA(男性型脱毛症)の治療は公的医療保険が適用にならない「自由診療」であるため、経済的負担が大きいと言えます。医療費控除を受けることができれば、少しでも経済的負担を軽減することが出来ますが、AGA治療は「病気の治療」ではなく「美容目的」と捉えられることが多く、基本的に医療費控除の対象となりません。ここでは、確定申告と医療費控除の仕組みから、AGAの治療費が医療費控除の対象となる可能性についてまでを解説していきます。

Okada
岡田 里佳 医師監修
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

目次

  1. 01確定申告の仕組み
  2. 02医療費控除とは
  3. 03AGA治療費が年間10万円を超えた場合
  4. 04おわりに
この記事のチェックポイント

確定申告の仕組み

確定申告とは

国税庁の確定申告について記載されているホームページでは「確定申告は、毎年1月1日から12月31日まで1年間に生じた全ての所得の金額とそれに対する所得税及び復興特別所得税の額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出し、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続き」であると記載されています。つまり、1年間で得た所得とそれに対する所得税などの金額を出し、源泉徴収や予定納税などすでに収めた税金と付き合わせて払い過ぎや、未払い金があった場合にそれを精算する手続きのことです。

1つの会社から給料をもらっているような会社員の方は、毎月所得税が給料から天引きされています。年末にその所得税が調整され(年末調整)、一年間の所得とその税額が決まります。下記に示すような医療費控除が必要であったり、会社の給料以外に収入がある場合は、会社員でも確定申告をする必要があります。その場合、特に管轄の税務署から連絡がくるわけではなく、自主的に申告する必要があります。申告しない場合、悪意がなくても延滞税などのペナルティが課されることがありますので、注意しましょう。自分が確定申告をする必要があるかどうかわからない場合は、管轄の税務署に問い合わせをしましょう。確定申告の期日は、毎年3月15日前後になっています。

復興特別所得税とは

東日本大震災を受けて、復興のために必要な財源を確保する必要がありました。そのため、平成23年12月2日より特別措置法が交付されました。この法律は平成25年1月1日から平成49年12月31日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際、復興のための「復興特別所得税」も併せて徴収し、合計額を国に納付するということです。つまり、平成25年から平成49年までの間は、源泉所得税の他に復興特別所得税も納付する義務があります。

参考


脱毛症診断チェック

医療費控除とは

ここがポイント!

  • 医療費控除とは1年間に支払った医療費の合計が10万円を超える場合、一定の金額が還付される制度
  • 医療費控除の申請は確定申告の際に行う
  • 還付金の金額は納めている税の金額に応じて決定される

医療費控除の仕組み

医療費控除とは確定申告の際に申請をすることで1年間に支払った医療費のうち、一定の金額が還付される制度のことを言います。医療費控除を受けるには1年間でどの程度の医療費を支払ったのかを、確定申告の際に申請する必要があります。医療費控除を受けると、一定の金額が還付金として返却されますが、この金額は納めている税金の金額で決まります。つまり、納めている税金が多いほど還付金も多くなる仕組みです。このことは、後ほど詳しく説明します。

医療費控除の適用基準

医療費控除は「税金を納めている本人」と「納税者と生計を共にする家族」が1月1日から12月31日までの1年間で10万円を超える医療費を支払った場合に適用されます。また、税金を納めている人の総所得額が200万円未満の場合は、総所得額の5%を超えた場合に適用されます。
ただし、医療保険などから支払われる保険金や、健康保険から支払われる保険金(例えば高額療養費など)を差し引いた金額になります。その金額は10万円未満の場合は、医療控除の適用にはなりませんので、加入している医療保険などのをチェックする必要があります。

実際の医療費控除額の計算方法

上記のように計算した控除額(実際の医療費ー医療保険・公的な健康保険から支払われた保険金ー10万円)が、全て還付金として戻ってくるわけではありません。医療費控除の制度とは、控除額分の所得税が還付される(戻ってくる)という制度です。所得税は、年収によって税率が異なっているため、それぞれの収入に応じて、還付される金額も異なってきます。
以下、具体例を挙げて説明していきましょう。

Aさん(一人暮らし)/ 医療費合計20万円 / 医療保険・健康保険からの保険金0円 / 年収300万円(所得税率10%) の場合


Aさんの控除額は、(実際の医療費の合計ー医療保険・公的な健康保険から支払われた保険金ー10万円)に当てはめて計算すると、(20万円ー0円ー10万円)=10万円になります。ここで注意したいのが、10万円がそのまま還付される(戻ってくる)わけではなく、10万円分の所得税が還付されるということです。Aさんの所得税率は10%なので、10万円分の10%、つまり1万円が還付される金額となります。医療費控除は、それぞれの年収や加入している医療保険などによって異なります。計算方法がわからない場合などは、管轄の税務署の相談するようにしましょう。

参考


AGA治療費が年間10万円を超えた場合

ここがポイント!

  • 確定申告の際に医療費控除の対象となるのは、病気の「治療・療養」に関する費用のみ
  • 「美容・予防」を目的としている場合は、医療費控除の対象とはならない
  • AGAの治療は「病気の治療」ではなく「美容目的」として考えられることが多い

AGAの治療は公的医療保険が適用にならないため、自己負担が大きく年間10万円を超える場合もあります。AGAの治療にかかった費用は、医療費控除の対象となるかについて見ていきましょう。

基本的には医療費控除の対象にはならない

医療費控除の対象となるのは「病気の治療や療養に関する費用」です。一方でまぶたを二重にしたり、胸を大きくするといった美容整形、ビタミン剤の処方、健康診断など、美容や予防を目的としているものは医療費控除の対象外です。現状ではAGAの治療については「病気の治療」として認められておらず、基本的には医療費控除の対象にはならないとされています。同様の意味で、AGA治療に必要な薬代、検査代、交通費も医療費控除の対象にはなりません。

医療費控除の対象

医療費控除の対象となるものは次のようなものあります。
1:医師や歯科医師による診療、治療費用
2:治療のための薬代
3:病院、診療所、介護施設等への交通費用(自家用車は不可)
4:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師による治療費(疲れを癒す目的のものは不可)
5:保健師、看護師、准看護師または依頼した人による療養上の世話の費用(家族や親戚の場合は不可)
6:助産師による分娩の介助
7:介護福祉士等によるたんの吸引や経管栄養の費用
8:介護保険制度による、一定の施設・居宅サービスの自己負担額

一部対象となる場合もある

先ほども説明しましたとおり、AGA治療のほとんどが「病気の治療」と判断されていないのが現状です。しかし、AGA患者の背景や治療内容は様々であり、税務署の判断により医療費控除の対象となる可能性もあります。自分のAGAの治療費が医療費控除の対象となるかについて知りたい方は、管轄の税部署にお問い合わせください。税務署は電話相談窓口を設けていますし、事前に予約をすれば直接相談することも可能です。
※AGAの医療費控除について2017年5月新宿税務署へ電話で問い合わせたところ、個々のケースで異なるので税務署に問い合わせて欲しい、との回答を得ました。

参考


申請に必要なもの

AGAの治療費が医療費控除の対象になるかは個々のケースで異なります。しかし、申請時には以下の書類が必要となるので、申請できるように事前に準備しておくとよいでしょう。特に病院で発行される領収書は再発行が難しいことが多いので、しっかり保管しておく必要があります。また、医療施設へ通うための交通費も医療費控除の対象となります。よって交通機関を使用した際の領収書も保管しておきましょう。

⑴確定申告の申請用紙(ダウンロード可能)
⑵領収書(医療費、交通費)
⑶源泉徴収票

基本的にAGAの治療は、美容や整容の範囲とされているので、医療費控除を受けられない可能性が高いとは考えています。しかし、個々のケースや税務署の見解によって変わると思います。



脱毛症診断チェック

おわりに

AGAの治療は公的医療保険が適用されない自由診療であり、「病気の治療」としては認められていません。医療費控除の対象は病気の治療と療養を目的としている場合のみであり、AGAの治療費は基本的に対象外と考えられています。しかし、AGA患者の様々な背景を考慮すると、全てのケースが一様に対象外になるとは限りません。確定申告や医療費控除の仕組みは複雑ですが、税務署は電話相談窓口を設けています。また、事前に予約をすれば直接相談することも可能です。自分のAGAの治療費が医療費控除の対象になるか知りたい方、分からないことがある方は一度、管轄の税務署に問い合わせてみてはいかがでしょうか。

円形脱毛症・前頭脱毛症などの脱毛症でお悩みの方へ

Okada
岡田 里佳 医師
TMクリニック院長、日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医、日本内科学会認定 認定内科医、日本リウマチ学会認定 リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定 アレルギー専門医

プロフィール

2008年名古屋市立大学医学部卒業。内科を中心に初期研修を行い、その後皮膚科へ進む。大学病院での勤務を経て、皮膚疾患を合併しやすいアレルギー・膠原病診療を経験するため、約3年間内科医として勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本内科学会認定内科医、日本リウマチ学会認定リウマチ専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医を取得。2017年11月、誰にでも最適な医療を提供するためTMクリニック 皮フ科を開設。

この記事の情報の信憑性について

オンラインクリニックでは、医療従事経験者による記事編集、専任の監修医を設けることにより信頼性のある情報提供を心がけておりますが(詳細は「運営方針」をご確認ください)、ユーザーの方ご自身、またはご家族の具体的な医療上の問題を解決する必要がある場合には、医療機関へ相談されるか、または受診をするようにしてください(詳細は「利用規約」をご確認ください)。

記事についてのお問い合わせ